チェックシートの再設計で脚部が完全に別物に変わっていく中、
そして、通信規定の草案も出来上がった。今までの仮運用では、音質もあって誰が誰に対して、なにを話しているのかが分からない問題が多発していたが、呼びかける相手、自身の所属、伝える内容、返信の有無の順に話すという規則を仮制定したことで大きく改善された。
前世の記憶曰く『軍や警察の無線での話し方って意味があったんだ……』とのことだが、実際に参考にして運用してみるとかなり使いやすい。情報の混雑が減るのはもちろんのこと、伝える前に情報が整理されて、聞く側も情報の取り扱いが楽になった。これで安定通信距離が伸びれば言う事なしだが、そっちはまだまだ研究を待つ必要がありそうだ。
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さて、チェックシートの再建が終わり、新たに腰関節と降着機構を組み込まれた新型脚部が完成し、いよいよ稼働テスト開始である。上半身には目立った変化はないが、脚部は大きく変化している。
まず足先が前後に大型化した。特につま先は、そのまま大型化すると歩行に支障が出るため足の指を参考に可動式となった。降着姿勢を取る際は固定され、接地面確保に役立ってくれるだろう。
次に、脛部分が強度確保のため横にも前後にも大型化した。脛部分が前に分割して折れ曲がる内部構造がどうなったかといえば、足首を上に持ち上げるという物理技でなんとかなったらしい。ダーヴィド曰く『関節増やしたら整備の手間が増える』とのことで、それくらいならとつま先立ちしながら平靴を履くような構造になったようだ。副産物的な効果ではあるが、重心が下がって安定性が増す効果もあったようだ。
テスト操縦者は、相変わらずエルが担当している。今回もキチンと理由があり、降着姿勢の
そう言われては断れず、再びの試験開始である。安全対策は前回同様、
「それでは、第二回チェックシート稼働試験を開始します。機体サイズは全高が高くなったものの、前回の時点で視認性チェックは完了しているので、腕振り試験から始めます」
開始の号令を行い、腕振り試験、静動歩行試験、走行試験と問題なくクリアしていく。
「腰関節の追加で、動歩行試験以降でも上半身が安定していますね」
「横捻りできるだけでも変わるもんだなぁ」
追従試験では……若干の速度低下ありか? 機体重量の増加と
「将来
「また稼働時間が減っちまうな……」
サイズ的に
[リヴァ! こちらエル、いよいよ期待の降着姿勢試験ですよ! 送れ!]
「こちらリヴァ。了解。安全には十分気を遣ってね。終わり」
エルのテンションが高い。なにも起きなければいいのだが……。
そう思っていると、早速問題発生である。降着姿勢への変形は、若干ぎこちなさはあるものの成功した。しかし、降着姿勢から直立姿勢に戻れなかったのである。
「親方、原因はなんでしょうか?」
「ありゃふくらはぎの
問題点、筋肉が足りなかった。あまりにも身も蓋もない問題である。
[リヴァ。こちらエル、一旦こっちで
「こちらリヴァ。了解。一刻をリミットにして待機します。終わり」
エルがそう言ってしばらくした頃、チェックシートは膝立ちの姿勢になり、そこから中腰の姿勢へ身体を起こしながら直立姿勢に戻った。
[大腿部とふくらはぎの筋力を連動させて動かしました。これでもできなくはないですが、やはりもう少し筋力が欲しいですね]
「また再設計ですね」
分かっていたこととはいえ、問題は山積みである。
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稼働試験が終わり、対策会議である。今回はエル成分が足りないとアディが付いて来て、暴走防止にキッドもいる状態だ。
「今後を考えると、
「今のチェックシートは最低限の重量しかないのに、あそこで持ち上がらないなら装備満載だと絶対動かないですからね」
「稼働時間がどんどん減っていくなぁ」
「前回は……試験開始から補給なしで、一刻で一割消費でしたね。実践運用だと四刻持つかどうかでしょうか?」
「降着姿勢も筋力が十分なら問題なく動きそうですね。
エルがアディの抱っこ人形と化しながら、今後の方針を明確化する。ずばりチェックシートに筋肉付けようである。稼働時間問題は、チェックシートの筋トレが終わってから改めて深く考えることにしよう。
「とりあえず、降着姿勢が運用できそうなのが分かったのは大きな収穫です!」
「そうだね。乗り降りが楽になるのは十分な利点になる」
そうして、再びチェックシートの下半身は分解され、筋力増強改造が施されるのであった。
忘れてしまった人のためのメモ
当作品内での一刻=1日を48分割したもの。つまり一刻=30分