貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった 作:カラスあげます
衝撃の脅迫を受けたあの喫茶店での出来事から、ちょうど一週間が経過していた。
季節はゆっくりと秋の深まりを見せており、窓の外から吹き込む風にはどこか湿り気を帯びた冷たさが混じり始めている。築年数の経ったマンションの一室――『GOD SELENE SPA』の施術ルームは、遮光カーテンによって薄暗く保たれており、間接照明の橙色の光だけが静かな空間をぼんやりと照らし出していた。
俺は、施術用ベッドの脇に立ち、用意されたタオルを整えたり、アロマオイルのボトルの位置を微妙にずらしたりしながら、ひたすら落ち着かない手つきで準備を進めていた。
ついに、指定された出勤日当日が来てしまったのだ。
「……はぁ」
口から漏れ出た溜息が、無音の室内に寂しく消えていく。
心臓がずっと早いリズムで鼓動を打っている。指先が妙に冷たい。
あれからの一週間、俺の生活は完全に生きた心地がしていなかった。
大学の講義に出てノートを取っていても、黒板に書かれた文字が滑り落ちて頭に入ってこない。
友人たちとたわいもない会話をしている最中でも、相手の言葉が上滑りして生返事ばかり返してしまい、「お前、なんか最近心ここにあらずだな」と不審がられる始末だった。思考の片隅には常にあの喫茶店での光景がこびりついて離れなかったのだ。
耳元で囁かれた、あの起伏のない平坦で冷酷な声。
肩をガシッと掴まれたときの、逃げ場のない圧迫感。
そして、スマホの画面に映し出された、俺がこのマンションへ入っていく決定的な写真の数々。
店での施術中すら例外ではなかった。他のお客さんの背中にオイルを伸ばしている最中も、「もしこの人も探偵を雇っていたら」「もしこの人がコトネの知り合いだったら」という妄想が頭をよぎり、手元が狂いそうになるのを必死で抑える日々だった。
(はぁ……どうしてこんなことになっちゃったんだろうな)
俺はベッドのシワを丁寧に伸ばしながら、ひとり苦い思考の海へと沈んでいく。
静まり返った室内には、ディフューザーから立ち上るラベンダーの香りがほのかに漂っているが、今の俺にはそのリラックス効果すら胸を締め付ける重圧にしかならなかった。
このメンズエステという働き方が、世間一般には「リラクゼーション」と謳われていようと、法的には限りなくグレーゾーン――いや、アウトに近い位置にあることくらい、薄々感じ取っていた。
それを、完璧な証拠とともに押さえられてしまったのだ。
コトネの背後には、父親のコネで動く優秀な探偵会社がいる。俺がいくら「ただのマッサージです」と言い張ったところで、あの秘密裏に行われている裏オプションのようなサービスの実態を暴かれたら、一発でアウトだ。大学にはいられなくなるし、警察沙汰になれば俺の人生はそこで終わる。
(この弱みを握られた以上、これから色々と無理難題を要求されるのは目に見えている……)
ぞっとするような絶望が背筋を駆け上がる。
だが、その一方で、俺の中の浅ましい男としての本能が、不謹慎な想像を弾き出してしまうのも事実だった。
もし――もしも今後、コトネから本番行為や、それに近い過激なスキンシップを要求されたらどうなるか。
相手は慶明大学に通う、とびきりの清楚系超絶美少女だ。男として、性的な欲求がある一人の人間として言えば……そんな美少女から身体を求められること自体は、正直に言って胸が躍るほど嬉しいし、興奮しないわけがない。
だが問題はそこじゃないんだ。
(このお店で、この賃貸マンションの部屋で、金銭的なやり取りを介してそういうことをするのが一番マズいんだ……!)
法律に特別詳しいわけじゃない。けれど、店を介して、料金が発生している状態で一線を越えてしまえば、それは完全に売春行為と同義だ。店舗型の性風俗としての違法性が跳ね上がり、万が一摘発されたときのリスクが桁違いになる。コトネに脅されているという弱みがある以上、俺だけがすべての罪をかぶせられて捨て駒にされる未来だって十分にあり得る。
(どうにかして、この危険な枠組みから外れる方法はないか……?)
冷や汗を拭いながら、必死に頭を回転させる。
そして、俺の脳裏にひとつの「思いつき」が浮かび上がった。
(……待てよ。いっそのこと、セフレのような関係を目指してみるのはどうだろうか?)
自分で考えておいて、あまりの突飛さに一瞬あ然とした。だが、考えれば考えるほど、それは今の詰みかけた状況における唯一の抜け道のように思えてきたのだ。
もし、コトネとの関係を「店舗と客」ではなく、個人同士の「セフレ(性的なパートナー)」へとスライドさせることができたなら――。
プライベートでの付き合いになれば、当然、お店を介した金銭のやり取りは発生しなくなる。売春という違法性のリスクも消えるし、店にバレて解雇される恐れもなくなる。何より、「店に内緒で過激なサービスを提供していた」という探偵の証拠そのものが、個人間の恋愛・性的関係として上書きされ、脅迫の威力を弱められるかもしれない。
(そうだ……お店での付き合いがなくなれば、俺のリスクは激減する。それどころか、あんな綺麗な子とセフレになれるなら、俺にとっても願ったり叶ったりじゃないか……!?)
暗闇の中に一筋の光が差し込んだような気がした。自分に都合の良すぎる自己正当化かもしれない。だが、そう思わなければ、いつ破裂してもおかしくない緊張感に押し潰されそうだったのだ。
その時だった。
ピンポーン――。
静寂を切り裂いて、室内に甲高いインターホンの音が響き渡った。
「っ!?」
肩が大きく跳ね上がる。心臓が早鐘を打ち、喉の奥が一瞬で干上がった。
ついに来てしまった。
俺は深呼吸を一つ挟み、汗ばんだ手でドアノブを握ると、ゆっくりと扉を開けた。
「……いらっしゃいませ」
そこに立っていたのは、あまりにも完璧な美貌を誇るお嬢様――コトネだった。
セミロングの艶やかな黒髪、品のある淡いブルーのワンピースに、薄手のカーディガンを羽織っている。育ちの良さを感じさせる可憐な装いと、すっと通った鼻筋、透き通るような白い肌。
しかし、以前の施術でみせたような、あのオドオドとして自信なげだった雰囲気は綺麗さっぱりと消え去っていた。
「こんばんは♪」
コトネは、余裕に満ちた華やかな微笑みを浮かべ、鈴を転がすような声で挨拶をした。俺の返答を待つまでもなく、洗練されたスムーズな足取りで滑り込むように室内へと入ってくる。
「あ……はい、どうぞ……こちらへ……」
俺はといえば、彼女の圧倒的なオーラと過去の恐怖から、ガチガチに緊張したオドオドとした態度でしか案内できなかった。背中に冷や汗を感じながら、彼女を部屋の奥にある二人掛けのソファーへと促す。
コトネは優雅にスカートの裾を整えながらソファーに腰掛けた。俺も少し離れた位置に、おそるおそる腰を下ろす。
二人を包む雑談が始まった。
「あれから一週間ぶりですね♪ お元気でしたか、コウさん?」
コトネは首を少し傾げ、親しげな瞳で俺の顔を覗き込んでくる。その笑顔は完璧な美少女そのものだが、俺にはそれが猛獣の微笑みにしか見えない。
「はは……まあ……なんとか……」
掠れた声で生返事を返すのが精一杯だった。そんな俺の情けない様子を見て、コトネはクスリと可憐に笑った。
「そうですか? 私は今日という日が本当に楽しみで……ずっとワクワクして過ごしていたんですよ。今日は、とっても楽しい日になりそうですよね♪」
(……どの口が言っているんだ、どの口が……!)
一週間前に俺を徹底的に追い詰め、恐怖のどん底に叩き落とした張本人が、よくもまあそんな白々しいことを言えたものだ。心の中で猛烈なツッコミを入れつつも、顔には引きつった笑みを浮かべることしかできない。
「そ、そうですね……楽しんでいただければ、何よりです……」
俺は必死にマニュアル通りの「セラピスト」の顔を作り直し、会話を業務へと引き戻そうと試みた。
「ええと……それで、本日のコースはいかがいたしましょうか? おすすめとしては、以前受けていただいた100分オプション付きのコース……2万5千円となりますが……」
前回のプランを提示し、なんとか通常の施術の枠組みに収めようとした、その時だった。
「ああ、そうそう」
コトネは思い出したように小さく手を打つと、膝の上に置いていた高級ブランドのバッグから、滑らかな革の長財布を取り出した。
探す素振りもなく、そこから厚みのある札束――一万円札の束をサラッと抜き出し、テーブルの上に置いたのだ。
パサッ、と軽い音が室内に響く。
「……とりあえず、これをどうぞ♪」
差し出されたのは、束になった新札。ざっと見ても十万円はくだらない金額だった。
「っ……!? こ、こんなお金がかかるコースなんて、うちの店にはありませんよ!?」
俺は思わずソファーから身を乗り出し、驚愕の声を上げた。日給2-3万で喜んでいた俺にとって、目の前にポンと置かれた二桁万円の現金はあまりにも生々しく、重すぎた。
「ええ、はい。存じ上げております」
コトネは全く動じた風もなく、にっこりと微笑んだまま言った。
「ただ……私とコウさんは、もう既に『通常のお客さんとセラピスト』以上の関係になっていますでしょう? ですから……【あの日のように】、私限定の特別コースをお願いしようかと思いまして♪」
【あの日のように】。
その言葉に込められた意味を理解し、俺の背筋に冷や冷やとした汗が流れる。彼女の雰囲気はどこまでも柔らかく、にこやかだったが、その瞳の奥からは「拒否は許さない」という絶対的な圧力がひしひしと伝わってきた。
「あ、あの……特別オプションというのは……その……」
俺は喉を鳴らし、必死に言葉を絞り出す。
「ほ、本番行為とかは……店舗のルールもありますし、法律的にもどうしても難しかったりするんですけど……っ」
せめて、セフレ関係へのスライドという俺の淡い計画の第一歩として、ここでの本番行為だけは回避しなければならない。俺のおそるおそるの拒絶に対し、コトネは楽しそうに目を細めた。
「ふふ……まあ、具体的な内容は後ほど指示しますね。とりあえず、お店側には『通常コースでのご案内』という風に報告しておいてくださいな。残りの部分は……コウさんがそのまま持って帰っていいんですよ♪」
「俺が……持って帰る……!?」
二桁万円の現金を自分が手にする。その事実の重みに、頭がクラクラした。
だが、断る選択肢など俺には与えられていない。コトネの促すような視線に押され、俺は震える手でスマホを取り出すと、店舗の管理システムを開き、神崎店長へ「100分通常コースで入室」との報告メッセージを送信した。
画面上で処理が完了したのを確認すると、コトネは満足そうに深く頷いた。
「よし、これで大丈夫ですね。それでは……私はとりあえずシャワーを浴びてきますので、コウさんは服を全部脱いで準備しておいてくださいね♪」
「……はい?」
耳を疑った。
「ふ、フルオプションですか……!? せ、せめてパンツくらいは履いたままでも……」
全裸になるというのは、この店の最高級裏オプション――通称「フルオプション」の領域だ。いくらなんでも唐突すぎる。焦る俺に対し、コトネの表情からすっと温度が消えた。
「コウさん??」
低い、静かな声。
「あなた……今、そこにあるお金を受け取りましたよね? お店としてそういった全裸のオプションがすでに存在するのなら、それくらいは許容してくださいね……? 私、特別にお金を払っているのですから」
「うっ……」
ぐうの音も出ない。正論という名の暴力に叩きのめされ、俺は言葉を詰まらせた。
俺が恐怖で固まっていると、コトネは急に破顔し、パッと雰囲気を可憐なものへと変化させた。まるで少女のように少し照れた仕草で、頬をかすかに染める。
「あと……ふふ、以前もお話ししたと思いますが……私、恥ずかしながら女であるにも関わらず、プラトニックな男性経験しかなくて……」
コトネは上目遣いで俺を見つめ、じっと手元を弄りながら語りかけてきた。
「だから……コウさんとのスキンシップで、そういったことの練習台になってほしいんです。本番までとはいかずとも……いざ、そういったことをする際の、男性をリードするための練習台になってくださいませんか? こんな恥ずかしいお願い……コウさんにしかできなくて……」
「っ……!」
急に見せられたその愛らしさと、しおらしい態度に、俺の心臓がどきっと跳ね上がった。
(そうか……!)
この世界は男女の価値観が根底から逆転している。女性が男性をリードし、性的な主導権を握るのが「普通」とされる社会。だからこそ、コトネのようなお嬢様にとって、「男性経験が少なく、男性をリードできない」というのは、極めて恥ずかしく、大きなコンプレックスになり得るのだ。
現実世界で言えば、童貞の男が恥ずかしさのあまり風俗に通って練習するようなものだろう。
……だとしても、いくらなんでも探偵まで使って人を脅迫して追い詰めてくるのは、明らかにやりすぎだろうと思うのだが……。
(だが、もし彼女の本当の目的が単なるいじめではなく『男性をリードするための練習』なのだとすれば……俺にとってもそこまで悪い話ではないかもしれない)
セフレ関係への移行という俺の目的にとっても、これは絶好の足がかりになるはずだ。
「……わかりました。そういう理由でしたら、俺でよければ協力させてください」
俺が意を決してそう告げると、コトネはパッと顔を輝かせた。
「本当ですか!? よかった……! ありがとうございます、コウさん♪」
嬉しそうに微笑むと、彼女は軽やかな足取りで脱衣所へと向かい、シャワールームのドアの向こうへと消えていった。
「……はぁぁぁぁ」
一人取り残された室内で、俺は巨大な溜息を吐き出した。
(ここで人生初の全裸オプションか……)
腹をくくるしかない。俺は意を決して、着ていたTシャツの裾を掴み、頭から脱ぎ捨てた。続いて、ベルトを外し、スラックスと下着を一気に膝まで引き下ろす。
ハラリ、と服が床に落ちる。
「……冷た」
部屋のエアコンから流れる微風が、露わになった全身の皮膚を撫でていく。特に、初めて裸で外気に晒された股間周辺には、空気がそよそよと通り抜けるひやりとした感覚が走り、激しい羞恥心がこみ上げてきた。
いくら男とはいえ、見知らぬ(あるいは恐怖の対象である)女性の前で完全に全裸になるのだ。いくらなんでも恥ずかしすぎる。俺は思わず、両手で股間を覆い隠すようにして、ソファーの横で小さくなって立ち尽くした。
しばらくすると、脱衣所からパタパタという軽いスリッパの音が聞こえ、カチャリとドアが開いた。
「やっぱり……このパンツとブラジャー、恥ずかしいですね……」
出てきたコトネの姿を見て、俺は一瞬ポカンとしてしまった。
彼女が身につけていたのは、この店で用意されている施術用の紙パンツと紙ブラジャーだった。
スレンダーで華奢な体型に合わさった小ぶりで上品な胸の膨らみが布越しに見え隠れしており、すらりと伸びた細く美しい脚が丸見えになっている。清楚なお嬢様がそんな過激な下着姿になっているギャップは凄まじいものがあったが――。
(……コトネさんは裸じゃないのか)
どこか拍子抜けすると同時に、男としての浅ましい失望感が胸をかすめた。自分だけが全裸で、相手は下着をつけているという状況が、余計に恥ずかしさを助長させる。
「お、お疲れ様でした……」
股間を必死に手で隠しながら声をかけると、コトネはシャワー上がりの上気した顔で、こちらへ歩み寄ってきた。
そして、全裸で立ち尽くす俺の身体を、足の先から首元まで、まるで品定めするようにじっくりと舐め回すような視線で見つめてきた。その瞳には、怪しい熱が宿っている。
「さて……ここから特別オプションを始めましょうか♪」
コトネはそう言うと、ソファーの上に置いていた自身のバッグから、小さな黒い布切れを取り出した。
「これをつけてください」
差し出されたものをよく見ると、それは目元を完全に覆うタイプの黒いアイマスクだった。
「アイマスク……? なぜ、こんなものを……?」
首をかしげる俺に、コトネは嬉しそうに解説を始めた。
「色々と勉強したんですよ♪ アイマスクをしたままスキンシップをすると、視覚が遮断されて、他の感覚がすごく敏感になって盛り上がるらしいんです」
(何をされるかわからない得体の知れない恐怖があるな……)
一瞬躊躇したが、ここで拒否して機嫌を損ねるわけにもいかない。俺は腹を括り、渡されたアイマスクを頭から被り、目元を完全に覆った。
視界が真っ暗になる。
光が完全に遮断されたことで、周囲の音や空気の動きが、一気に鮮明になって脳に伝わってくるようになった。
「タイマーが鳴るまでは、絶対に外さないでくださいね♪」
コトネの弾むような声が聞こえる。
見えない暗闇の中で、衣擦れの音や、カサカサと何かを準備するような音がゴソゴソと響いている。何をされるのか分からない困惑と緊張で、俺は全身の筋肉を硬直させたまま、ただ立ち尽くすことしかできない。
静寂が室内を包み込んだ。
コトネの気配が一瞬、消えたように感じられた、その時――。
「――っ!?」
突如、無防備な俺のお腹のあたりに、フワリとした極上のタッチが触れた。
羽毛で撫でられているかのような、繊細でさわさわとしたフェザータッチ。指先が皮膚の上を滑る感覚と同時に、すぐ真横の耳元へ、熱く湿った息が吹きかけられた。
「ひゃあっ……!?」
意図しない過敏な反応が飛び出し、俺は身体をビクッと大きく跳ね上がらせてしまった。全身に鳥肌が立ち、股間がキュッと収縮する。
「ふふ、かわいいですね♪ アイマスク作戦、大成功かもです」
耳元で、コトネの愉しげな笑い声が響く。
「それでは……そのまま、ベッドにうつぶせで寝てください♪」
「え……? コトネさんが寝るんじゃないんですか……?」
暗闇の中で戸惑いながら尋ねる。本来のマッサージであれば、客である彼女がベッドに横になり、セラピストである俺が施術をするはずだ。
「いえ、今回は逆マッサージをしてみようかと♪」
コトネは当然のように言い放った。
「いわば……『男性用風俗』のようなイメージで、練習させていただきたく思います♪」
(男性用風俗……)
この男女逆転の世界ならではの、強烈で歪んだワードが脳裏を揺さぶる。
だが、視界を奪われ、全裸で立たされている俺に拒否する術はなかった。
「……わかりました」
俺は手探りでベッドの位置を確認すると、指示されるがまま、柔らかいマットレスの上へとうつ伏せに倒れ込んだ。
顔をうつ伏せにし、暗闇の中で息を潜める。
これから、この清楚なお嬢様によって何が行われるのか。
逃げ場のない不安と恐怖、そして、視覚を奪われた全裸の状態で触れられるという、抗いがたい性的な期待と興奮――。
二つの相反する感情に全身を包まれながら、俺はコトネの次の動きを待っていた。