貞操逆転世界のメンズエステで働くことになった 作:カラスあげます
遮光カーテンで太陽の光が完全に閉め出された施術ルームには、どこか粘り気のある冷ややかな静寂が充満していた。
アロマディフューザーから噴き出す微かな白煙が、橙色の間接照明に照らされてゆらゆらと揺らめき、ラベンダーの甘い香りと、先ほどまで振りかけられていたパウダーの微粒子、そして体汗の生温かい匂いが混ざり合った独特の空気が部屋を満たしている。
その部屋の中央にあるベッドの上で、俺は最初から何一つ身につけていない完全な全裸のまま、アイマスクで目元を隙間なく覆われた状態で仰向けに倒れ込んでいた。
視界を完全に閉ざされた状態での仰向け。
それは、全身の防衛本能を根底から解体されるに等しい恐怖だった。
どこから手が伸びてくるのか、次にどんな責め苦が下されるのかが全く目視できない。しかも、先ほどまでのパウダーマッサージや無慈悲なフェザータッチ、そして四つんばいでの過激な焦らし攻撃によって、俺の全身の皮膚は剥き出しの神経そのもののように過敏になり切っていた。
肌の表面を掠めるエアコンの僅かな風気すら、過剰な波紋となって脳幹をダイレクトに揺さぶってくる。すでに体内の血液は激しい熱を帯びてドクンドクンと脈打っており、全身が何一つ隠すことなく「出来上がって」しまっていた。
(頼む……もう終わりにしてくれ……これ以上は本当に……っ)
心の中でどれほど情けなく叫んでも、声となって唇を割ることはない。
静寂を破ったのは、コトネの着ている衣服の擦れる小さな音と、床のマットを踏みしめる静かな足音だった。
彼女は俺の腰のすぐ横、ベッドの脇のポジションに立っている気配がした。目が見えないからこそ、彼女が発する空気の微かな揺れや、可憐で甘い体香の位置によって、彼女が今どの高さから俺を見下ろしているのかが恐ろしいほど鮮明に伝わってくる。
「ふふ……本当に、なんて可愛らしくて情けない格好なんでしょう……♪」
頭上から降ってきたのは、鈴を転がすような、しかしどこか生温かい陶酔を含んだコトネの声だった。
慶明大学に通う品行方正で清楚なお嬢様。そんな彼女の本来のイメージからは程遠い、歪んだサディズムと支配欲が言葉の端々に混ざり込んでいる。
「焦らされすぎて……身体がずっとビクビクと震えていますよ? コウさん♪」
「……っ……はぁ……はぁ……っ」
「それでは……ここからはオイルでのマッサージも試させていただきますね? 私、コウさんのために……特別なマッサージを用意して差し上げますから♪」
カチャリ、と小さなボトルキャップが開けられる澄んだ音が耳に届いた。
『特別なオイルマッサージ』――その言葉の響きに含まれた怪しい甘さに、俺の背筋に冷たい戦慄が駆け抜けた。
「さあ……脚を、しっかりと開いてください」
拒否権など存在しない絶対的な命令。
俺は恐怖に身体を強張らせながらも、彼女の指示に逆らうことの恐ろしさに完全に屈し、震える両脚を左右へとゆっくり広げていった。
仰向けのまま、無防備に開かれた全裸の下半身。紙パンツすら履いていない素っ裸の状態で、目隠しをされたまま彼女の視線と手元の前に自分をさらけ出す。恥ずかしさと屈辱で、胸が押し潰されそうだった。
直後――。
とろり、とろり……。
「っ!??!?」
思わず全身の筋肉が激しく跳ね上がった。
股間のすぐ上、下腹部から最頂部、そして周囲にかけて、粘度の高い温かいオイルが直接トロトロと垂らし落とされたのだ。
滑らかな液体が肌を滑り、太ももの付け根の窪みや秘部の隙間へととろりと広がっていく。
「あ……ぁっ……!」
「ふふ、そんなに驚かないでください。まだまだこれからなんですから……♪」
コトネの愉しげな囁きとともに、オイルボトルの口がさらに傾けられた気配がした。
とろとろ、とろとろと、留まることなく股間周りへ降り注ぐ大量のオイル。絶え間なく液体が垂らされ、俺の下半身は一瞬にしてぬるぬると濡れそぼり、生温かい滑らかさに支配されていった。
そして――。
ズシリ。
「ひぐっ……!?!? あ、あぐっ……!」
悲鳴が途絶えた。
感触で分かった。それは手ではなかった。彼女の素足――滑らかな足の裏だった。
オイルがドバドバと垂らされ続けている俺の股間の真上へ、コトネの足裏が容赦なく乗せられ、ズシリとした確かな体重がかけられたのだ。
「あはっ……! んんんっ……! や、やめて……っ!」
「あら……踏まれただけで、そんなに情けない声を出すんですか? 女性に足で踏みつけられているのに……不思議ですね。ここ……どんどん硬くなっていきますよ?」
コトネの足の裏が、大量のオイルでぬるぬるになった俺の股間の上で、「ぐり……ぐり……」と体重をかけながら押し擦ってきた。
彼女は手元でオイルボトルを持ち続けたまま、上から絶え間なくトロトロとオイルを垂らし続けている。そのため、彼女の足裏と俺の肌の間には摩擦というものが一切存在せず、どこまでも滑らかに、ぬるぬるとした絶妙な圧力が秘部全体へ擦り込まれていく。
「んぁっ……! ああっ……!」
「どうですか? 私の生の足の裏で、直接踏みつけられているんですよ……♪ でも、オイルでぬるぬるにしてあげているから……すべすべして、とっても気持ちいいでしょう?」
彼女は足の指先を器用に丸め、オイルで塗れ滑る部分ををギュッと押し潰すように圧をかけ、そのまま足裏全体で揉みしだいてきた。
ぐりぐり、ぬるぬる、さわ……と、滑らかな足裏の窪みが、怒張した部分を撫で擦る。
「ああっ……! ひ、ひぃっ……! 許して……許してください、コトネさんっ……!」
強烈な圧迫感と、女性の足裏で踏みにじられているという圧倒的な屈辱。
しかし、上から絶え間なく垂らされるオイルのせいで、刺激はどこまでも滑らかで、逃げ場のない快感となって脳へとダイレクトに突き刺さる。踏みつけられ、虐げられているにもかかわらず、俺の股間はぐんぐんと熱を増し、彼女の足裏を押し返すように硬度を増していってしまった。
「ふふ……『許してください』だなんて言っていますけれど、言葉とは裏腹に、ここはずっとびくびく跳ねて私のお足を押し返してきますよ……♪ 女性に足の裏で雑に踏みつけられて、オイルでぬるぬるに擦られながら興奮するなんて……コウさん、本当におかしいですよ? ご自分がどれだけ変態か、自覚はありますか?」
「ち、ちが……っ! 俺は……そんなっ……あぁっ……!」
「何が違うんですか? ほら、足の指でキュッと挟んであげますね……♪」
オイルで濡れた彼女の足指が、ハサミのように俺の秘部を挟み込み、そのままぐぐっと力を込めて捻り上げる。
「んぐああああっ……! ひっ……あはっ……!」
俺は涙目になりながら、ベッドのシーツを両手で固く握りしめた。
全身がビクビクと大きく跳ね上がり、呼吸は浅く荒く乱れ狂う。足の裏で踏まれ、言葉責めでプライドを粉々に砕かれながら、ずっと上からオイルを垂らされ続けてぬるぬるの状態で擦られ続ける地獄。屈辱と快楽の暴風雨の中で、俺の理性を支える柱は一本、また一本と叩き折られていった。
「許して……許してください……もう耐えられない……っ!」
ひたすら許しを請う俺の情けない声に、コトネはクスリと可憐に笑った。
カチャリ。
彼女が手元でオイルボトルを置き、タイマーの画面を確認した気配がした。
「楽しい時間も……あと数分程度で終わりみたいですね。ふふ、時間が過ぎるのは本当にあっという間です♪」
彼女の声から、少しだけ名残惜しそうなトーンが混ざる。俺の股間を容赦なく踏みつけていた足が、ぬるりと音を立ててゆっくりと離れていった。
解放された圧迫感に、俺は「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」と激しく肩を上下させ、酸素を貪った。全身が汗とオイルでべっとりと濡れ、冷気が素肌を刺す。
だが――悪魔のようなお嬢様の戯れは、これで終わりではなかった。
「……しょうがないですね。最後に、少しだけ特別なお仕置きをしてあげます♪」
彼女の足音が静かに響き、気配が俺の顔のすぐ横、胸元から頭元にかけての位置へと移動してきた。
「私の足を舐めれば……今日のところは許してあげますよ。さあ……舌を出しなさい」
「え……っ!?」
足を舐めろ。
そのあまりにも苛烈で屈辱的な命令に、俺の思考は完全にフリーズした。
セラピストとして、いや一人の人間として、客の足を舐めさせられるなどという屈辱に甘んじていいはずがない。だが――断れば、再びあの終わりのないオイル攻撃と足蹴りの地獄が再開されるのだ。今の俺の精神と身体には、彼女に拒否を突きつけるだけの気力が1ミリも残されていなかった。
「……っ……ふ……」
俺は震える唇を小さく開き、、おずおずと舌を前へと突き出した。
言われるがままに舌を出し、彼女の生足が近づいてくるのを、恐怖と情けなさで全身を固くしながら待った。
(……足の裏……舐めさせられるのか……)
そう覚悟を決め、歯を食いしばっていた、その時――。
ドサッ……!!
「んぐっ!?!?!?」
突然、俺の顔面全体に、ずっしりとした異次元の柔らかさと温かみ、そして圧倒的な重みが押し付けられた。
鼻と口、そして顎から頬にかけてのすべてが、密度の高い滑らかな肉感によって隙間なく埋め尽くされる。
「んんっ!?!? むぐっ……! ぶ……っ!?」
驚愕と猛烈なパニックで、俺は身体を激しく跳ねさせた。
目が見えない。しかし、鼻孔を刺す甘く熟した匂い、肌に触れる滑らかな感触、そして上から覆いかぶさってくる圧倒的な体熱で、それが「足」などではないことくらい、一瞬で理解できた。
(な……なんだこれ……!? 足じゃない……!? 匂いが……雰囲気が……明らかに……!!)
それは、彼女の股間――下半身の最深部そのものだった。
「ふふ……っ! あははっ……!」
頭上から、弾けたようなコトネの歓喜の笑い声が聞こえる。普段のおしとやかな彼女からは想像もつかない、歪んだ欲望を剥き出しにした声。
「あれからずっと……こうしてあげたかったんですよ……!!」
「むぐっ……! んんんっ……! ぐっ……!」
コトネは俺の顔面の上に自分の股間を完全に重ね合わせ、そのまま体重をかけてぐりぐりと押し潰すように腰を動かし始めた。
生温かい感触と、微かに甘く熟した体香が鼻腔を支配し、酸素が完全に遮断される。息ができない。窒息の恐怖と、顔面全体を彼女の秘部で踏みにじられているという異常な状況。
「んーーーーっ! むぐ……っ! はっ……っ!」
俺はせめてもの抵抗として、腰を必死によじらせ、身体をねじって顔の上の重みから逃れようと試みた。ガクガクと震える腰を左右に振り、少しでも首を動かそうとする。
だが――。
「ふふ……♪ そんな風に腰をよじらせて抵抗しても、何の足しにもなりませんよ? 可哀想に……♪」
俺の必死の抵抗など、上から全身の体重をかけて乗っかっている彼女にとっては、可愛らしい羽ばたき程度にしかならなかった。
コトネは俺の無力な悪あがきを冷酷に嘲笑うと、さらにぐっと腰を落とし、俺の顔面を逃がさないように上から強く押し潰してきた。
「んぐっ……! むぅぅっ……!」
「ほら……無駄な抵抗はやめて、おとなしく私を受け入れなさい……♪」
完全な無力感。
腰をどれだけよじっても、彼女の圧倒的な主導権の前には一切の意味をなさず、ただ己の惨めさを際立たせるだけに終わる。
酸素が肺に届かず、視界の裏側の暗闇がさらに深い黒へと染まっていく。苦しさと、頭がどうにかなりそうなほどの背徳的な刺激。脳に酸素が行き渡らなくなり、意識が朦朧としてくる。
(苦しい……っ! 息が……っ!)
どれほどの時間が経っただろうか。数秒が数時間にも感じられる地獄と天国が交錯する時間。
やがて――。
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……。
部屋の隅に置かれたタイマーの無機質な電子音が、けたたましく響き渡った。
「……あ」
コトネの動作が、ピタリと止まった。
ゆっくりと、顔の上に乗っていた圧倒的な重みと温もりが引き上げられていく。
「はぁあっ……! げほっ……! ぐほっ……! はぁっ……はぁっ……!」
酸素が急激に肺へと流れ込み、俺は激しく咳き込みながら、死に物狂いで空気を貪った。胸が大きく上下し、心臓が爆発しそうなほどの勢いで打脈している。全身から嫌な汗とオイルが吹き出し、ベッドのシーツに大きな染みを広げていた。
施術ルームの中に響くのは、俺の必死な喘ぎ声と、少し離れた場所で聞こえるコトネの浅く荒い呼吸音だけだった。
彼女もまた、俺の顔面に股間を押し付け続けたことで、相当な興奮の絶頂を迎えていたのだろう。息を整える音が静かに聞こえる。
静寂が戻りつつある部屋の中で、足音が俺の頭元へと近づいてきた。
次の瞬間――。
シャッ!
乱暴な手つきで、目元を覆っていたアイマスクが強く引き剥がされた。
「うっ……!」
突然視界に飛び込んできた間接照明の光に、眩しさで目が開けられない。涙で潤んだ目を何度もまばたきさせながら、俺は仰向けでぐったりと倒れ込んだまま、おそるおそる視線を上へと向けた。
そこには――顔を覗き込んでいるコトネの姿があった。
乱れた髪をそっと耳にかけ、頬をかすかに赤らめながら、彼女はいつもの可憐で、おしとやかで、完璧な「お嬢様」の微笑みを浮かべていた。さっきまで俺を足で踏みつけ、オイルでぬるぬるに擦り、顔面を股間で押し潰して嘲笑っていた悪魔のような表情は、跡形もなく消え去っている。
「コウさん……今日は、本当にありがとうございました♪」
鈴を転がすような、清らかで美しい声。
「私……人生でこんなに充実した時間は、今までなかったです」
彼女は心底嬉しそうに、可憐な笑みを深めた。そして、ぐったりと動けない俺の額に落ちた髪を、細い指先で優しく撫でつけると、極上のトーンで耳元に囁いた。
「来月は……もっともっと、楽しいことを沢山しましょうね♪」
「……っ」
声が出なかった。恐怖で、喉が固まりついて動かない。
コトネは満足そうに小さく頷くと、そのまま軽やかな、颯爽とした足取りで施術ルームの奥にあるシャワールームへと向かっていった。パタンと扉が閉まり、水の流れる音が遠くから聞こえ始める。
残された俺は、ただ仰向けのまま、天井の模様を見つめて固まっていた。
全身の力が完全に抜け落ち、指一本動かすことすらできない。
パウダーの粉っぽさと、オイルのぬめり、そして彼女の体香が肌にまとわりつき、屈辱と敗北感を嫌というほど主張してくる。
(……来月……?)
彼女が残した最後の言葉が、脳内で恐ろしいエコーとなってリフレインした。
『来月は……もっともっと、楽しいことを沢山しましょうね♪』
(冗談じゃない……! こんなこと……月1でされたら、俺の精神も身体も……本当に壊れてしまう……!!)
今回はパウダーマッサージと目隠し、そして踏みつけと顔面への押し付けだった。
彼女の中で目覚めてしまったサディズムは、回を重ねるごとに間違いなくエスカレートしていく。次回は何をされる? どんな地獄が待っている?
想像するだけで、全身の毛穴から冷や汗が噴き出し、ガタガタと震えが止まらなくなった。
あまつさえセフレとしての個人的な関係を持つことなどもってのほかだ。
俺一人では、もうこの女を止めることなんてできない。
セラピストとしての立場も、男としてのプライドも、完全に破綻している。このまま彼女の言いなりになって「練習台」兼「玩具」として消化されていくのを待つことなんて、絶対に不可能だ。
(誰かに……誰かに相談しないと……っ!)
シャワールームから聞こえる水の音を聞きながら、俺は固く目を閉じ、悲壮な決意を固めていた。
店のオーナーか、あるいは信頼できる別のスタッフか。この歪んだ泥沼から抜け出すためには、もう自分一人の力ではどうにもならない。
暗闇から抜け出したはずの俺の目の前には、さらに深く、出口のない絶望の影が静かに広がっていた。
主人公の立ち位置について
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主人公が責められる方が好き
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主人公が責める方が好き