わずかな混濁の中で目を覚ました。
すぐにわかったことは、自分が横になっていて白い天井を見上げ。枕もとのスタンドの光が照らす暗い部屋にいた、ということ。
ああ、それともうひとつ。
マザーフッドの責任者、そして自身を心霊助産師と自称するドクターがこちらの様子をのぞきこむようにしてうかがっていたことだろうか。
声を出そうとすると、驚くほどの口内の違和感にただ驚いてむせてしまう。
ドクターは「落ち着いて」と小声で伝えながら、傍らからストローを刺したコップから水分をとるようにと差し出してきた。
自分がどんな状態なのかはまだわからないが、砂のようにカラッカラにひからびているのだと理解して、それに唇を近づけていく。
――ケンジ、まだ眠りなさい。もう大丈夫だから
結局、ドクターとなにも会話することもなく。
僕の意識は再び闇の中へと落ちていく。
夢を見た。
あれはまだ、UACが壊れかけたアメリカだった頃だ。あのサムがテロリストから兄を助けてくれた日に見た悪夢に似ていた。
不安になる天候、大地はタールの海になってしまっている。
その水面に飲み込まれていたらしき建物が次々と浮き上がってくる。
それは大小様々なビル、それはダイナ―、それは何かから引き裂かれた欠片。それらは浮遊したり、屹立したりして徐々に違和感のある都市の浮かび上がっていく。
そんなタールの海の中から新しいものが浮かび上がってきた。
ひとりは兄、カエデだ。
全身をタールで汚している状態で、はた目から見ても明らかに殺気立っている彼は。閉じていた眼を開くと、そこに憎悪の炎が噴き出し僕に震えが走った。
もうひとつは巨人の大型BT.
両者は異形の都市の一部の中で向かい合い、互いに攻撃する意思を見せている。
だがまだ戦いは始まっていない。そしてこれは良くない状況に違いないのだ。
僕は兄に近づき「逃げよう」と訴えようとした。
だが状況が一変する。
なぜかメディアの中でしか見た記憶のないNYの波止場に場面が唐突に変わった。
さらにカエデは小脇にアリーと刻まれたギャング映画でしか見たことのないトミーガンを抱え。茶色のロングコートに帽子、ビジネススーツ姿の刑事になっていて。
いままで見たこともないようなご機嫌な笑顔をこちらに向けてきた。
「ケンジ、心配ない。俺とこのアリーがあれば恐れるものはなにもない」
僕はわずかな戸惑いの中で、兄はそう口にするなり。いきなり前にあった扉を蹴飛ばすして室内に突入を開始。
「警察だ!無駄は抵抗はヤメロ!」
などと叫びながら、あろうことか手にしたトミーガンを。サブマシンガンを平然とぶっ放していく。
それはもう、惨劇と表現するしかなかった。
部屋の中のギャングたちは次々と倒れ、死体がカーペットのように敷かれて行き。突入した兄は奥の部屋に進みながらそこでも同じようなことを繰り返している。
――どんな刑事だよっ
僕がドン引きながらツッコミを入れることで正気にかえったのか。
カエデの銃はようやく叫ぶのを止めると。しかし何かを見つけたのかまだにやにやと笑いつつ、リロードして何かを見つめているようだ。
僕は腹が立ってきて、その背中に近づき。兄の肩に手を伸ばそうとした。
またもすべてが。状況が変化した。
美しい夕焼けの海辺に立って、2人は自然と足を止めていた。なにかがおかしい、と思えるのだが。同時にこれでいい気もして自分が何をしようとしていたのかを忘れてしまう。
――ケンジ、ここは奇麗ね
今度は自分が女性に声を掛けられていた。
なぜか一緒にいたのはカエデではなかったらしい。兄ではないなら誰だ?
自分はそうだね、と答えつつ。なぜか恥ずかしい気持ちがあって、声の主に顔を向けられない。
いや、さらに待て。
これはなんだ?この状況もだが、自分と恋人のように海辺を歩く相手って誰だ?
思い出そうとしても思い出せない。そもそも名前もわからない。だが心が湧いて、体もフワフワする。たぶんだけど恋心ってやつだと思う。
自分がそんな感情を抱くそんな相手、誰なんだ?
夢はいつも唐突だ。
気が付くと再び自分は意識を回復させていた。
ドクターの「おはよう、ケンジ」の声と共に自分はやはり病室にいるのだと理解できた。
前回と違って部屋の中が照明で照らされていた。
「ドクター、兄貴は?」
「ここに来て、2日で退院していった。お兄さんはここにいる女性たちを嫌っているようだから、我慢できなかったみたい」
「アリーは?大丈夫ですよね?」
「――実は、アナタたち兄弟を受け入れた時。アリーが中に入るのを拒否する女性が多くて中に入れられなかったの。悪いと思ったけど、入口につないでおいた。これもカエデを怒らせた理由だと思う」
「ああ……わかります」
まだ寝ぼけている自分に感謝したい。でないと兄と同じように自分もドクターの説明だけで癇癪起こしていたかも。
そして理解はできる。このドクターの患者は基本、妊婦ばかりだ。
彼女たちが獣をバイ菌と同義にしたとしても不思議はない。ここに最初に訪れた時なんて僕ら兄弟に問答無用で銃を向けられた挙句、誰かが私刑にしようと言い出すのではないかと震え上がったものだった。
「カエデはここのそばにあるポーター達が使う仮設住宅に移っていった。
でもここ数日姿が見えないわね。あなたの犬は、今そこにいるポーター達が預かっているみたい」
「アレがアリーを置いて勝手に一人で外を出歩いてる?信じられないな、クソ兄貴が」
これには本当に驚いた。
アリーを他人の手にゆだね、ひとりで出歩くというのも理解しがたく、不安を覚える。
「今朝、今日あたり意識を取り戻すと伝えたら自分もこっちに戻るって返事が来た。大丈夫よ」
「そうですか」
全然大丈夫じゃない。ふざけやがって、どこに行ってるんだ。
体を少し動かすと、ただそれだけで胸から脇腹までが一斉に痛みを叫び出してきた。僕がその不快感に顔をしかめる中で、ドクターは何かを取り出してくる。
「見てみなさい。ブリッジス、いえポーターの努力というべきでしょうね。ここに運ばれた時のあなたのポータースーツがこれ」
前面の上半身に実弾が着弾した後と穴が開いていて、そこから流れた血痕が乾いてこびりついている。確かに、これだけはっきりと蜂の巣にされたのに自分が生きているというのは奇跡に感じる。
「あれから時間は?」
「16日、大体半月くらいね。いくら若いといってもアナタ。回復力がすごいわ。ここに運び込まれた最初の数日は人工呼吸器の力が必要だったっていうのに」
「そんなに?そりゃ凄いですね」
「他人事ね。まぁ、そういうものなんでしょうけども」
こちらの素朴な感想に呆れるドクターだったが、僕の興味は別に移っていた。
「退院はいつできます?」
「もう?まだ目覚めたばかりじゃない」
「兄ほどではないですけど、僕だってここがどんな場所かわかってます。のんびり横になってたら、いつライフル構えて囲まれるか分かったものじゃないですから」
僕の言葉にドクターの顔が曇る。
「アナタたちのような人を追い出すような真似はしたくないけど。否定はできないわね。
あのね、あなたのお兄さんとはもっとちゃんと話したいと思ってることがあったの」
「ほう」
「UACが再建される前。私がまだブリッジスにいたころの話。
表には出なかったんだけど、私の仕事にポーターとしてデビューしたばかりのカエデが関係したことがあったのよ」
「へェ、そうなんですね」
「それが思ったようには上手くいかなくて。あなたのお兄さんのせいではなかったのに、とある家族や周囲から大変な非難を受けたと聞いた。
なんだろう、私はあれにずっと謝らないといけないって考えていたのに。上手く伝えることができないの」
なんだろう、さらっと聞かされた今の話はとんでもないものではなかったか?。
突然の別れから両親を見送り、兄が生き方を外の世界に求めたあの頃か。過去を振り替えることで、その不快感に怒りも加わって身悶えするというか。
なんか自分が見た悪夢もそれっぽかったような。違うような。
ええと、なんだろう。
確か昔の治安の悪い時代のNYで。”相手ギャングの酒場”になぜか”殺気だったカエデ”がマシンガンをぶっ放しながら突入するアウトローになってて、だったか?よくわからない。
寝ぼけていたはずの頭がはっきりしてくるに従い、夢の内容はぼやけるどころか忘れていってしまう。そしてドクターの小話も含めてこだわることを辞めたとたんに霧散してしまう。もうそれでいい、目覚めてから不愉快は御免だ。
ドクターは退院時期は、カエデが戻ったら相談しようと言ったが。それはつまりその時がタイミングだと言ってるのも同然であった。
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この日、ゴーストハンターは新しい調査結果をカイラル回線上で発表した。
ヒッグスが投入してきたとみられているゴーストメック・ライダー。現在のオーストラリアの半分以上に敷設された国道での脅威の調査結果がまとめられたのだ。
当初より、あのヒッグスが。
機械の体にタールを詰め込んだだけで動くという理解不能な技術をどこで手に入れたのか、この答えは今も正解が出されていない。
だが、ある事件で跳ね橋部隊のサムの協力を得たことで。ついにその片りんに手が届いてしまったのかもしれない。
東部から始まったこのゴーストメック・ライダー達の襲撃は、今は徐々に西側に侵食するように国道上で出現する範囲を広げ始めている。
この襲撃の最大の疑問は「なぜUAC製の国道から奴らが姿を現して襲ってこれるのか」ということ。
サムの前に現れたヒッグスはなぜかその秘密の開示を自らやって見せたように思えることがおこった。そこで出てきた答えは、ヒッグスはUACと組んでいる?というもの。
これは言ってみればかつての加害者と被害者が手を組むというのはなんともありえない話のようにも思えるのだが。そう考えないと納得できないような力を、オーストラリアに現れたヒッグスをやってのけてきている。
そしてこの解答がもたらす深刻さは計り知れないものがあった。
現在、計画の最終段階に入ろうとしているあの跳ね橋部隊というヒーローたちは。このオーストラリアに嘘を振りまいている侵略者の一味という可能性――。
日々を希望に喜ぶ人々の中にこの不安に疑いを持つことがあるのだろうか?
ようやく来るかもしれない明るい未来には、裏切りという悪魔の影が交ざっているかもしれない。
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家族がようやく再集結したのは、あのヒッグスのゴーストメック・ライダーたちの襲撃から20日を過ぎた頃だった。
夜、マザーフッド周辺に設置されている温泉に入浴する兄弟と1匹は。久しぶりの穏やかな時間の中に身を置いて傷をいやしていた。
「それでさ」
「ん?」
「かわいい重傷の弟を放り出して。かわいいアリーを置いてアンタはどこいってたのさ」
「なんだよ。知りたいのか?」
「聞きたいと思ってた。血も涙もねーなって。あ!もしかして女に会ってた!?」
「バカ、そんなわけあるか」
カエデはそう言いつつ、弟に何をしていたのかを別に教える気は全くなかった。
マザーフッドで自分たちに敵意の視線を送り続ける女性たちから逃れたくて、まだボロボロだった体を引きずって飛び出してはみたものの。
頼れる場所などそれほど多くもなく。自分の後の治療をポーター仲間の情報かタール療法士なる怪しげな施術師を頼るしかなかった。
そこでは大変神秘的な体験と共に多くのとんでもない情報を聞かされることになったのだが。これらの経験や情報についてはすぐに口にするのではなく。おいおい少しずつ伝えてやろうと決めたから、今は黙るのだ。
「話したくないならそれでもいいけどさ。僕らの復帰についてどう思ってる?」
「もう仕事か?勤勉だな」
「だって僕らはもう、半月も動けなかったんだからさ。跳ね橋部隊との契約も残ってるし、ダラダラはやれないじゃない」
――それもそうか
顔をしかめるカエデだが、内心では弟の言葉に同意は示せていた。
「ちょっとな、考えてる」
「なにを?」
「もう、仕事いいんじゃないかって」
「は?」
「ああ、本気で言ってる。ドロップしてもいい時期じゃないかって思ってる」
タール療法士による自分への過激で、イカレた治療も衝撃野中。
彼との会話の中で知ることができたのは現在の本当のオーストラリアの現状における認識にあったと言える。
あのゴーストハンターもボヤいていた各地に出没が確認されている大型BT達。
だが、それらは決してタールの海に飲み込まれた北部配送センターのような悲劇を起こしていない。その理由がちゃんとあった。
それはあの跳ね橋部隊が。
UACが、BTの兵器化に成功したからだった。
これまではカイラル濃度上昇から、大型BTが出現。これを倒すことで短い間ではあるもののカイラル・エネルギーを安定させるということが繰り返されてきた。
だが、現状のオーストラリアでは安定する時間は恐ろしく短くなっていて、倒しても倒してもすぐに最悪の環境へと戻っていってしまう。
にもかかわらず、状況に大きな変化が。最悪の事態が生まれない理由は出現したBTを捕獲するという技術が完成したことにあるようだ。つまり各地に現れる大型BTは数日おきに”何者か”の手によって捕獲されるか、倒されるかしており。
死者たちがいくらこの大地に舞い戻ってきたとしても、オーストラリアという国をなす拠点に影響を与えることはできなくなっている。
つまりそれはあの日のアメリカにおきたことと同じで。
ついにオーストラリアにもカイラル通信がいきわたるというエンディングがせまってきているということだ。
だからこそ、カエデは思うのである。
「ケンジ、お前はヒッグスの襲撃で体を蜂の巣にされて死にかけた。俺だって、お前ほどじゃないが自分が撃ったグレネードに自分がまきこまれるなんてバカなことをやってなんとか生き残った」
「そうだね」
「アメリカの時とは違う。今回のヒッグスはサムやフラジャイルだけじゃなく。明確に俺たちポーターも狙ってきている。
追い詰められているのはアイツの方で、だからその攻撃も容赦ない。
なんとか目的地へ転がり込めたから、メキシコから運んできたあの娘もお腹の子も生きて届けることはできたけど。
最悪、彼女の命を落とさなかったなんて言い切れることはなかったはずだ」
「ビビってる?それはそれでいいけどさ、それじゃ僕らはどうするの」
弟はあきれ顔でこれからのことをまだ口にする。
「あのな。この数日、俺は色々知った。知らされて、理解して、ショックを受けたんだ。
あれもこれも見ても、聞いても驚く話ばかりで。俺がビビっている理由を、弟であるお前には全部余すことなく話すべきではあるんだろうけど」
――けど?
目を閉じ、湯の中で伸びをしながらカエデは夜空を見上げる。
10度ほどの気温の中で感じる湯の暖かさに心は休まるが、思い描く近い未来への不安はむしろ夜空のようにすべてを包むように広がって増えている。
「今、ポーター達が北部にいない理由は簡単だ。そこが一番トラブルになっていて、同時に皆もこの契約の終了時期を伺っているからだ。
跳ね橋部隊の最終計画は間違いなく近日中に発表がある。あると俺は確信した。
他の情報をさらってるポーター達もそれを感じはじめている。だから危険なこの地域を避け、だからより危険な東部で慎重にふるまうか。まだ平和な西部に分かれて、適当に時間を潰してる。そう、皆で様子をうかがっているんだ」
「僕らもそれに倣うっていうの?」
「悪いことか?考えろって、お前はUACの経験に毒されすぎてるぞ。
俺達はサムじゃない。殺されれば普通に死ぬ人間だ。対消滅がおこればわざわざ運んできた荷物も、アリーも巻き込んで俺達は死ぬ、間違いなくな」
「シリアスだね」
「笑い話じゃないってことだ。それに、跳ね橋部隊もキナ臭くなってきた」
「?」
ゴーストハンターが発表したゴーストメック・ライダーズの事件の捜査結果は、あろうことかすべてのポーターが内心に抱えていた大きな不安を直撃していた。
我々は、実はUACに利用されていただけではないのだろうか?彼らの本心はやはり優位な立場からの侵略ではないのか?
資料にはサムがゴーストメック・ライダーの事件調査に向かった際、ヒッグスと遭遇したことに加え。彼が、ヒッグスが”何を”したのかということまで詳細に記録されていた。
これに加え、タール療法士の言葉を思い浮かべると。
ヒッグスとUACは。いや、APAC社は手を組んでいるという答えが出てきてしまう。
かつてUACに用意された、ポーターを必要としない自動配送システム。状況にも、環境にも瞬時に正しく適用するあの姿は。確かにAIも動力も必要としない、あのゴーストメックがどこから生み出されたのか。回答は以前から隠されることなく明らかにされていた可能性があった。
だがそれは同時にそれが真実と示す証拠はない。点と点を結んだつもりで転がり出てきた妄想に近く。陰謀諭ともいえない怪しい物語だ。
それをケンジに話す?本当に?
これを信じて行動を決める?正気か?
なにかにビビッていると自分で認める兄の感情をこの弟は鼻で笑って流してしまわないと誰が言える?そのことで無理にこの危険な環境になっているオーストラリアに飛び出さないと言える?
「なにさ?」
「……悪い話を聞いた。跳ね橋部隊は動けない中、APAC。いや、UACは良くないものに対して対処することを訴えているそうだ」
「初めて聞いたんだけど」
「ここじゃない。UACの議事録にあったらしい。友人からの情報」
「えへ、あの怖そうな黒髪の美人?」
「マーフィだ。お前も知ってる俺の元相棒で師匠だよ。報道されてはいるらしいが、ここでの動きなんてあっちじゃ他国のおとぎ話らしく、聞き流されているらしい」
「ふーん」
「こっちで動くとしても跳ね橋部隊のリーダー、フラジャイルに訴えるしかないだろうが。あっちは目の前のことで忙しいだろう」
「具体的には、何が始まるの?」
溜息を吐く。
「恐らくひとつは巨大BT討伐。この砂漠のどこかで、タール海が浜辺から丘へと逆流しながら大型BTが歩き回っている情報が提出されている。北部の配送センター消滅の経験からガバメンツもこれの対処をしたがるはず」
「もうひとつは?」
「ASだろうな。恐らくだがあのブリガンドの時のような作戦をやろうとしているんじゃないだろうか。でも、当時とは状況が全く変わっている。
ブリガンドに俺たちポーターは上手くやれた。でもその後の俺達が参加しなかった北部国道敷設の際には死人は出なかったらしいが、ケガ人は多かったと聞いている。参加したポーター達の不満もUACへの怒りも爆発していたと聞く。
そこに最後にまた武器をもってピクニック、なんて言い出されたら…」
「兄貴がそんなこと言うなんて意外だね」
「お前は違うのか」
「BTは確かにヤバそうだけど、ASならどうにかなるんじゃない?実弾撃ってくる怖い連中だけど、それを言ったら僕らなんてゴーストメックに蜂の巣にされたばかりだからね」
「やっぱお前はアホだな」
始めた時と違い、跳ね橋部隊による計画の終わり方は想像したものとは違うと思ってる。
それと同じように自分たちも勇気と無謀以外にも、経験による予測を学んだ結果。拍子抜けするような終わり方を自分たちがしてもよいのではないかと思う。
お湯のそばで横になっていたアリーが、寒くなったのか再び湯の中に入ってきた。
兄弟は笑い声をあげ、この夜を楽しく過ごしていく。
今日の月はいつものように白銀に輝いてはいたものの、妙に小さく。デス・ストランディングの世界がなかった時代に見た遠い空にうかぶ小さな円であり続けていた。
次回は明後日のこの時間に