デスイズザヒーロー!~悪の組織の怪人候補だった俺は亡き師匠の力を継承して最凶ダークヒーローとして無双する〜 作:蠱毒成長中
場面は前回から引き続き、
怪人軍団『チャカイーズ製菓』の手で封鎖されたショッピングモールのイベント会場!
『……俺ァ"遺恨リーパームジョウ"。
セキガハラが誇る"禍根ハンター"の一番弟子だ。
……とりま、名前だけでも覚えて……死んでくれや……!』
万事休すかと思われた絶体絶命の状況下に馳せ参じたのは、
改造を経て師ソウキチの跡を継いだユウト……またの名を"遺恨リーパームジョウ"!
ベルトを使っての変身っつー、師匠譲りの王道を踏襲してみせたワケだが……
然しその実、肝心の"ムジョウ"の姿は中々異質で何なら邪悪!
到底正統派の変身ヒーローとは言い難いデザインだった!
(や、やはり禍根ハンターの弟子かタマゴッ!
然しあの風貌でヒーローとはふざけた奴タマゴッ!)
全裸チビがツッコみたくなるのも無理はねえ。
というのもこの遺恨リーパームジョウ、
大まかな見た目は
『赤と黒のパワードスーツを身に纏う
獣人タイプの細マッチョ特撮怪人』ぽいんだが、問題はその頭……
というのも特撮の獣人系怪人つったら概ね"生きた獣"風のデザインが常なところ、
ヤツの頭部は実際"毛皮も肉も臓器もないイヌ科肉食獣の頭蓋骨"を象ってんだ。
変身前が変身前なら変身後も変身後っつーのか、
世辞にも正義の味方とは到底言い難く、
何なら悪役だとしてもかなり変わり種の……
ぶっちゃけニチアサだったらボツ喰らってそうなデザインと言えるだろう。
……まあ、その辺は兎も角としてだ。
『フン! 「死んでくれ」とは舐め腐りおってタマゴッ!
たかがヒーロー、それも二十歳そこらの若造如きに何ができるタマゴッ!』
『ウッササササ~ッ! 全く以てボスの言う通りウサッ!』
『ワンダーランド王国の文明は地球の二百年先を行っているのデスヨ~!』
『しかも人数とて我らの方が上ニャ!
オヌシ如き童貞木端ヒーロー風情が我ら美少女怪人に勝てるワケないのニャ!』
怪人どもは血気盛んに殺《や》る気満々……
変身前のユウトが
自分たち四人がまさかヒーロー一人如きに負けるわけはねえと高を括ってる。
『……礼儀も語彙もなっちゃいねェ。
お前らの文明は地球より進歩しとるんか知らんが、
反比例的に個々の精神性は退歩する一方みてーだなァ』
『ウサッ! なんつー生意気な奴だウサッ!
たかが地球人、菓子の材料の分際でウサッ!』
『ワタクシらのような美少女を目の前にしてその態度は有り得ないデスヨ~!
全くこれだから女の子の扱いを知らん童貞はいかんのデスヨ~!』
『童貞拗らせた挙句カッコつけてミソジニーかニャ?
全くダサいヤツだニャ! それだからオヌシはモテないんだニャ!』
『……そーゆー台詞しか出て来ねえ辺りが、
マジで精神性終わってるっつー話だよお前ら。
牧場のダチョウのがまだマシなんじゃねえか?』
ユウトは更に煽ってみせる。
実際怪人どもの童貞呼ばわりやら『モテない』認定は的外れもいいトコだったが、
素直に訂正した所で何ら意味なぞねえと理解してる以上その辺についての具体的な言及は避けた。
……そうなんだよ。コイツって"こんな"なのに、
ガッツリ非童貞で過去に彼女居たことあったんだよ(色々あって今はいねーけど)。
何なら(当人にしてみりゃクソ不本意だったものの)幾らか"モテた"経験もあるらしく……
ま、その辺に関しちゃ説明すっと長引くからまた別の話でやるけど……
『そも、セックス経験の有無だモテるモテねえだと、
そんなモンで戦闘者の質が決まるわけもねェ……。
ヴィランにせよヒーローにせよ、結局最後にモノ言うのは実力と実績だぜ。
悲しいことになァ~……』
『……つまり、何が言いたいタマゴ?』
『だからよぉ~ヴィランならヴィランらしく、
目の前のヒーローの一人や二人片付けてみろつってんだよッ。
お前ら強えんだろ~? ならブチ殺せるよなぁ~、俺くらいはさぁ~?』
明確な挑発、紛うことなき宣戦布告……
プライドが高く血の気の多いチャカイーズ製菓の怪人どもが、
よもやここまで言われて引き下がろうハズもなく!
『ホホーウ、なるほど……言うではないかタマゴッ。
どうやらただの身の程知らずな童貞ヒーローではないようタマゴォ……。
良かろうタマゴッ。
どの道、地球人どもの確保には貴様の排除が必須タマゴ……』
全裸チビはユウトに売られた喧嘩をそこそこの値で買い取った。
この時ユウトは咄嗟に思案する。
(……よくわからねえ相手を四匹纏めて同時に、か。
中々骨が折れそうだな……)
そう、このこれだ。
確かにユウトの身体と同化した『遺恨リーパームジョウ』のシステムは、
セキガハラでも五指に入る程と謳われた禍根ハンターの次世代型だけあって高性能。
加えて使い手のユウトにしても、
ソウキチの愛弟子として十二年間育てられた上、
東亜圏屈指の名門かつ難関と名高いセキガハラ傘下のヒーロー養成校、
その大学部を首席で卒業したほどの逸材だ。
ともすりゃ必然ヤツの実力は、数多いる同世代ん中でも首位に食い込むほど……
なんだが、とは言えそれでも若手特有の未熟さや限界はある。
よって如何に小物臭くふざけた連中だろうと、
未知の怪人複数相手に戦うってのは聊か無謀と言えた。
(加えて閉鎖空間で、しかも無数の買い物客を守らなきゃいけねえからな……)
ユウトは内心頭を抱えずにいられなかった。
バリアのせいで同業者の救援は期待できそうにねぇ。
果たしてどうやって戦ったもんか、ってな。
だが……!
『ねぇ~ボスぅ~?
ボクちゃん、提案したいことがあるウサ~』
この如何にも頭の悪そうなバニーガール怪人の"思いつき"を切っ掛けに、
事態は思いもよらねえ方向へと展開していくことになる……!