デスイズザヒーロー!~悪の組織の怪人候補だった俺は亡き師匠の力を継承して最凶ダークヒーローとして無双する〜 作:蠱毒成長中
※本エピソード以後『ヒーロー回想録』は簡略化のため台本形式でお送りする。
場面はバンジョウジ邸の一室。
ヒーローチーム『撃鉄戦隊マズルフラッシャー』の面々は、
ここ二年間であった出来事を回想する……。
タイセイ「……なあ、気のせいかな」
カイト「なんやター坊、藪から棒に」
タイセイ「いやそのさ、なんていうか……
オレたちの周りで起こった出来事を思い返そうとしてるんだけど、
なんでだろうな、こう――」
ユライ「バンバさんとホンゴウくん絡みのエピソードばかり思い起こされてしまう、ですか?」
タイセイ「……ユライさん、あんたいつ千年眼なんて入れたんだ?」
ユカ「千年眼って……古いなあ~」
ユメ「今どき誰も知らないでしょ……」
ユライ「別段、心を読んだわけではありませんよ。
そこまで繊細な真似、私にはできませんからね」
タイセイ「じゃあなんで……」
ユライ「私も同じことを思っていたからですよ。
ここ最近の身の回りでの出来事を思い返そうとすると、
何故かバンバさんとホンゴウくんの姿が真っ先に浮かんでくるんです。
決して、それ以外の出来事の記憶がないなんてことはないのですがね……」
ユカ「あー、わかりますわかります。
まずはやっぱり彼らは外せないだろうな~って思っちゃいますもん」
カイト「まあなんや、揃いも揃ってやたらキャラ濃いからなぁ~。
かたや東亜有数の名門バンバ家の御曹司で、
資産家 兼 学者 兼 経営者 兼 芸能人 兼 戦士として、
ヒーロー業界を裏と表から支える世界的大スター……
かたやかの有名な"禍根ハンター"の一番弟子で、
名だたる組織も"生きた死亡フラグ"と呼んで接触を避け、
実際ヴィランの殺害頻度でギネスまで取った"ヴィラン刈り"の達人……
挙句揃ってオタク道極めまくっとって、
サブカル界隈ではプロ評論家も頭上がらず、
大手企業すら一目置くレベルの重鎮扱いやろ?
胃もたれ起こしそうになる属性過多っぷりやでぇ……」
ユメ「そうそう。
もう何でもかんでもやり過ぎなのよ……。
しかもそれに加えてあの二人って、
行く先々で事ある毎にヴィランや怪獣と出くわして成り行きで戦闘になって、
しかも大抵逃さず仕留めちゃうから、
逐一ニュースになったりしてるんだもの。
セキガハラの戦闘記録アーカイブにもあの二人のデータばっかり増えていくし、
そりゃ同じ職場で働いてたら嫌でも記憶に残るでしょうよ……」
タイセイ「だよなー……しかもなんていうか、
仲いいのか悪いのかよくわからないんだよな、あの二人……」
さあ、それでは行ってみよう……!
●回想:即売会の乱!
タイセイ「まずこの手の話題で忘れちゃいけないのは……」
ユメ「やっぱり一昨年の冬コミじゃない?
今まで同人誌は書店か通販一択だったホンゴウくんが、
キャプテンに強制連行されて初めて即売会に行ったって点も踏まえて」
タイセイ「そうだな。あの時は確か、ユカが同行したんだっけ?」
ユカ「ですです~。バンバ隊長ってば、なんでか妙に張り切ってまして~。
もう必死通り越していっそ命懸けぐらいの勢いでしたよ~」
書店委託か通販で何とかすると主張するユウト
対
金と時間があるなら会場に行くべきと主張するライホウ
+
ライホウに報酬を掴まされ半ば巻き込まれた形のユカ
半年以上に渡り凄絶を極めた(?)戦いは、
実質ライホウの一人勝ちに終わった。
そして……
ユライ「然し、何故バンバさんはホンゴウくんをコミケに……?」
カイト「せや。まずはそこがイッチャン疑問やがな。
確かにカシラはホンゴウの"しつけ"に執着しがちなとこあるけど、
ことオタク趣味に関してはメッチャ甘やかすやないかい」
ユメ「確かにねえ。
普段のキャプテンのホンゴウくんへの当たりの強さから考えたら、
やれ『"スイメド"は成人向け版をやれ』だとか
『"メガニケ"や"ドルウェブ"をプレイしないのはオタクの恥』とか
『男性たるもの"モンハン"は女ハンターでプレイすべきだ』~とか
そんな風に言いそうなもんだけど」
タイセイ「何なら"キャリオン"やってるユウトさんに"プロトタイプ"勧めて、
『娯楽は第一言語で楽しみたいから』って言われた時なんか、
開発元はじめ関係各所に数千億ぐらい出して
日本語吹き替えのスイッチ移植版発売させちゃったもんな、ライホウさん」
……甘やかすってレベルじゃねえぞ!?
ユカ「いや~、それが話すと長くなるんですけど……
そもそも当時、隊長の会社って新製品の開発に向けた、
業務提携っていうんですか?
なんかそんなのをフランスの会社に持ちかけてたじゃないですか~」
ユライ「ああ、ありましたね……確かジャミーラ重工様でしたか」
ユカ「ですです。そのジャミーラ重工さんとの交渉が結構難航しちゃってたみたいで、
紆余曲折あって色々拗れた結果、
なんか社長さんのお孫さんが冬コミでコスプレするけど頭数足りないから、
それに付き合ってくれたら業務提携に応じる、
みたいな話になっちゃいまして~」
カイト「なるほどなぁ……
ほなユカやんとホンゴウが呼ばれるのも無理ないわなァ。
ユカやんは本職のコスプレ芸人やし、
ホンゴウもホンゴウでなんかマンガぽいとこあるし」
ユカ「いや、芸人って……コンカフェ店員ですけど……?」
ユメ「"マンガぽい"って何……?
まあ、言われてみれば確かにそんな感じだけど……」
タイセイ「それで、コスプレにも色々あるけど何のコスプレをすることになったんだ?
やっぱりコミケだし、アニメとかゲームのキャラか?」
ユカ「はい。まあそうなりますね。
お孫さんが声かけてらして、
何人か人が集まって来てはいたみたいなんですけど、
どうしても上手いこと人員が揃わず困ってたらしくて」
ユメ「結局、ユカちゃんたちに白羽の矢が立ったわけね」
ユカ「はい。内訳はお孫さんの方から予め要望がありまして、
完成品の衣装まで頂いちゃってて~。
でまあ、当日はなんだかんだ上手く行ってたんですよ。
隊長とホンゴウさんが喧嘩したりとかもなくて、
ほんと順調に進んでたん、ですけど……」
ユライ「……まあ、途中であのような出来事が起きてしまってはね……」
果たして何が起こったかっつーと……
タイセイ「普通誰も想像つかないよな~、
あんな所でヴィラン、それも怪人型と怪獣型が両方現れるなんて」
そう、冬コミ会場はヴィランの襲撃に遭っちまったんだ。
~映像記録に基づく回想~
コミケ参加者たち「「「「「「うわああああああ! 助けてくれええええ!」」」」」
コミケスタッフ「くそっ! 抜かった……!」
コミケスタッフ「警備は完璧だったハズなのに!」
コミケスタッフ「どうしてヴィランが侵入してくるんだ!?」
コミケスタッフ「参加者の皆さん! 慌てないで下さい!」
コミケスタッフ「落ち着いて! スタッフの指示に従って避難を!」
その日、ヴィランの襲撃を受けたコミケ会場は混沌としていた!
怪獣型ヴィラン『ヴオオオオオ! 邪悪ナル消費者共オオオオ!
動物タチノ悲鳴ニ耳ヲ傾ケヨウトモセヌ貴様ラハ赦シガタアアアアイ!』
怪人型ヴィラン『ギャオオオオオン! クソオスチー牛っ!
この犯罪者予備軍どもめがっ!
イベントごと木っ端みじんにしてくれるゥッ!』
襲撃してきたのは、蔓植物が無数の野菜や食器、
家畜の彫像なんかを無作為に取り込んだような体高数十メートル級の怪獣と、
胴体部分が豚丼になったダチョウみてーな姿の女怪人!
どっちもふざけたビジュアルだがその実力は本物で、
蔓植物怪獣はその圧倒的質量でもって会場を蹂躙し、
豚丼ダチョウ怪人は口からのエネルギー弾で無人になった販売ブースを破壊していく。
ライホウ「ふん、神聖なコミケの会場に土足で立ち入るとは無作法な連中め」
ユウト「察するにヴィー
生産性のねぇ社会ゴミどもが、いよいよ堕ちるとこまで堕ちたらしいな」
ユカ「ホンゴウさ~ん、文字に起こさないと伝わらないネタやめましょうよ~」
ともすりゃ当然、居合わせたヒーロー三人は怪人を止める為に立ち上がる!
ライホウ「行くぞユカ、ユウト……!」
ユカ「はい、隊長っ!」
ユウト「しょうがねぇっスなァ~」
つまり、変身だ!
ライホウ「起動せよ、ローレンツバスター!」
システム音声[チャージマァァァックス!]」
ライホウがメカ銃"ローレンツバスター"にエネルギーを充填!
ユカ「チェンジャーマガジン、セット!」
システム音声[ソウ・テーン!]
続けてユカはトキタガンナーにチェンジャーマガジンをセット!
ユウト「来な、クラナドライバー」
システム音声[列席御礼……♥]
更にユウトは腹に手を翳し、
身体と同化した変身ベルト"クラナドライバー"を出現させる!
嘗ては音声らしい音声も存在しなかったが、
今や愛らしい(?)少女風のシステム音声が実装され、
すっかり特撮ヒーローの変身アイテム感を醸し出すようになっていた!
……実際はわりとホラーチックで不気味だとか言われてるけどな!
ライホウ「イカズチ鎧装!」
システム音声[フルブラァァァスト!]
ユカ「撃鉄チェンジ!」
システム[ダンガン・ファイアーッ!]
ユウト「転身」
システム音声[ガルムモード……♪]
準備を終えた三人は各々ヒーロー形態に変身する!
ライホウ『天上天下、唯我独尊!
雷霆纏いし流星弾!
神罰代行、レールガンマイスター!』
ライホウは銀色をした電磁加速砲の戦士"レールガンマイスター"に!
ユカ『問答無用の猛き散弾! ショットガングリーン!』
ユカは緑色をした散弾銃の戦士"ショットガングリーン"に!
ユウト『……まだ回れてねェブースもあるし、
そしてユウトは"遺恨リーパームジョウ"の、
イヌ科肉食獣を象った赤と黒の基本形態"ガルムモード"に!
ヴィランどもさえ思わず気圧されるほどの変身は、
完璧に完了した……ハズだったんだが……
ライホウ『……ユウト、
君ってヤツはどうにも僕の言いつけを守る気がないようだな……?』
ユウト『何のことです』
ライホウ『トボケるなっ!
変身の際には敵への威嚇と宣戦布告を兼ねた名乗りを怠るなと、
何度もそう言っただろうがっ!
ヒーローの基本中の基本だぞ! 何故君は守れないんだ!?
名乗りのフレーズだって、一緒に考えてやっただろう!?
忘れたとは言わせんぞ!?』
ユカ『た、隊長……? 今は言い争ってる場合じゃないと思いますが……』
ユウト『そうは言いますがねェバンバ先輩~
ヒーローの名乗りって実際そこまで威嚇効果ないし、何なら手間かかるだけじゃないですか~。
正直今時バカ正直に名乗り上げてんのって時代錯誤じゃないですか~?』
ユカ『いやホンゴウさんも煽るようなこと言わないで下さいよ!
ほら二人とも目の前の敵に集中してっ!』
……大丈夫かこいつら?