デスイズザヒーロー!~悪の組織の怪人候補だった俺は亡き師匠の力を継承して最凶ダークヒーローとして無双する〜   作:蠱毒成長中

71 / 71
ケース2.5:弱体化の元凶

 場面は前回から引き続き旧北海道某所……の、前に!

 

 そもそも読者のみんなも疑問に思ってただろう、

 二代目マズルフラッシャーがここ最近見舞われた弱体化の概要、

 ひいてはライホウ引退後のセキガハラが見舞われた惨劇について

 改めて説明させて頂こう!

 

 事の起こりはライホウが"ダビデ王症候群"と診断され、

 セキガハラも"バンバ・(ヤ)ライホウ(ツ)は引退さすしかねぇ"と正式に判断を下した頃……

 いざ、後続の"三代目"探しだと息巻く組織へ、

 外部からクソほど要らん茶々を入れて来るヤツらが居た!

 

 それはズバリ、ライホウの実家"バンバ家"の奴らだった!

 このバンバ家ってのは簡単に言っちまうと、

 江戸の豪商を祖先に持ち現代に至る迄幾つもの大企業を経営し続ける世界長者番付の常連で、

 古くから数多の天才を輩出しちゃ、

 ヒーロー業界をも半ば牛耳りかけてる東亜屈指の名門だが……

 その名声に反して昨今は内側からガタつきがちで、

 業績はともかく一族そのものの純粋な質は下がる一方だった。

 

 特にライホウがヒーロー業界に関わり始めて以後の弱体化は著しく、

 一族全体の抱える"限られた天才に大勢の俗物が依存しきる"っつー悪癖に拍車がかかり……

 ライホウがヒーローや学者として華々しく活躍し成功を収める一方、

 他の奴らは『ライホウさえ頑張ってればそれでいい』と言わんばかりに、

 軒並みロクに義務も果たさず役員やらの椅子に座っちゃ

 ただ権威を振り翳し利益を貪るだけって状況が続いていた。

 つまり実質、バンバ家はほぼライホウ一人に支えられてるに等しい状態だったんだ。

 ……勿論バンバ家の経営する企業にはマトモに働く社員も大勢居たが、

 そいつらとてライホウを慕ってバンバ家に仕えてるに過ぎねえのが現実だった。

 

 さて、そんな状況下でいきなりライホウが精神を病み引退に追い込まれたとなれば、

 ほぼ唯一の支柱を失ったバンバ家は瞬く間に崩壊する……

 かと思いきや、奴らは案外無駄にしぶとかった。

 確かにライホウの再起不能を機に多くの事業は立ち行かなくなり、

 一族の経営してた企業もまともな社員に逃げられ

 必然次々と経営悪化に追い込まれていったんだが……

 バンバ家の奴らは比較的早い段階で諸方に根回しを行い、

 法規の穴を突いた卑劣な策でもってセキガハラを実質乗っ取っちまったのさ。

 しかもご丁寧にライホウの後釜として

 どこで見付けて来たんだかわけのわからねー変な野郎を宛がいやがった。

 

 そいつの名はイカリ・ジュンヤ。

 旧華族を祖に持ち政財界にも顔の利くエリート一族"イカリ家"の出身で、

 "あらゆるヒーローを愛し研究し続けるヒーロー学者"を自称する男だった。

 顔はライホウ程じゃねえがまあまあ男前の域、

 性格も陽気で人当たりが良く正義や道徳を重んじる王道の好青年、

 加えて文武両道を地で行き家庭的な一面もあるハイスペと、

 概ねライホウの後釜としちゃイイ感じに及第点って感じ。

 なもんで二代目マズルフラッシャーの面々は当時安堵しきってたんだ。

『如何にバンバ家の支配下に下ろうと、

 この男が後釜ならセキガハラはライホウが居なくても安泰だろう』ってな。

 

 だが、そうは問屋が卸さなかった……。

 なんせこのイカリって野郎、確かに王道のハイスペ好青年だし、

 ヒーロー学者って肩書き通りの頭脳派でもあったんだ。

 だが、同時にヤツは極めてクセの強い厄介なタイプのロマンチストでもあった。

 要は"正義"とか"倫理"、"ヒーロー"ってもんへの過度な期待や憧憬、幻想を捨てきれず、

 かえって変な方向に拗らせまくってやがったのさ。

 それこそまさしく"病的"なほどに……

 若しくはマジでそういう精神疾患だったのかもしれねえが、

 ともあれイカリの考え方はヒーロー業界の基礎を逸脱しまくっていた。

 しかも尚タチが悪かったのは、

 ヤツ自身自分の考えこそが絶対に正しいと信じて疑わず、

 自分にとって不都合な意見には一切耳を傾けねえタチだったってこった。

 

(……ある種似たような人種のライホウは、

 然し数多の現実を理解し熟考に熟考を重ね、

 幾らか折り合いをつけたうえで尚理想を追求してるんだから、

 実際現実をロクに知りもせずただ勝手な幻想に執着するだけのイカリとはまるで別モンだ)

 

 さて、そんなイカリの支配下に下ったセキガハラは、

 当然ながら圧倒的な弱体化を強いられた。

 やれ『ヒーローは見返りを求めないものだ』と給料や予算を減らされるわ、

 『私生活でも徹底的に正しくあるべきだ』とプライベートまで徹底的に管理されるわ、

 『武器頼りの戦いなんて弱者のすることだ』と装備の調整や修理点検を禁じられるわ、

 『強くなるためには根性と特訓あるのみだ』と健康を度外視した時代錯誤な鍛錬を強いられるわ、

 所属ヒーローの面々どころかセキガハラの職員までも、

 イカリ家とバンバ家の後ろ盾を得て調子付くイカリの独裁に苦しめられることになった。

 

 特にある意味で不憫だったのは、

 他ならぬ本作主人"ホンゴウ・ユウト"その男だった。

 というのも(想像に難くねえだろうが)"理想のヒーロー像"に固執するイカリにとって

 ユウトはまさしく親の仇か蛇蝎の如く忌み嫌って当然の天敵……

 ともすりゃ事実上セキガハラを乗っ取ったに等しいイカリが、

 特にあの男を放置するワケもねえ。

 実際イカリはあらゆる権限と人脈を悪用してユウトを追い詰め、

 ともすりゃ合法的な社会的抹殺さえも試みた。

 

 だが結果としてイカリの企みはイマイチ上手く行かなかった。

 何せ相手はヴィランの殺害数でギネスも取った男だ。

 とすりゃそれだけ多くの被害者を救ってるも同義であり、

 目立つ実績もねえぽっと出の"自称・ヒーロー学者"とじゃ

 民衆からの支持率は雲泥の差……

 政財界に働きかけようにも思ったほどの効果は得られず、

 いいとこ日本から締め出して

 遠く離れた南米マジャット共和国に閉じ込める程度が精々だった。

 

 ……ま、とは言え日本から締め出された挙句、

 諸事情から治安が死んでるマジャット共和国に閉じ込められるってだけでも、

 ユウトからしたら大概生き地獄めいた仕打ちではあったワケだがね……。

 

 さて、そんなわけでここまで長々と

 セキガハラの不幸な近況について語ってきたが……どうかな。

 ただライホウが引退して欠けただけならまだしも、

 こんな苦境じゃそりゃ三流以下の不審者集団(ヒーローもどき)に惨敗すんのも致し方ねえって話であって。

 

 さあ、こっから改めて前回からの続きと行こう。

 

「「「……」」」

「「……」」

「……」

 

 場面は前回から引き続き旧北海道某所……

 より厳密にはその大地に現れた飛行軍艦"カイザージュピター"船内の客室。

 来客の接待や要救助者の保護を想定して設計されたその部屋の中に、

 現二代目"撃鉄戦隊マズルフラッシャー"の面々はいた。

 敬意としちゃ例の"偽物ども"が軒並み死に絶えたその直後、

 さてじゃあどうするかと迷ってた所を

 艦(フネ)から照射された転送光線で有無を言わさず回収されたんだ。

 

 当然と言うべきか、六人の戦士たちはこの状況に戦慄し警戒せずにいられなかった。

 だってそうだろう、

 本来その場にあるハズのねえ、

 誰が操ってるかもわからねえ機体に、

 傷を負った状態で回収されちまったんだから。

 何をされてもおかしくねえ、予断の許されねえ状況だ。

 

 ……ま、結局の所蓋開けてみりゃなんてコトもなく、

 客室に備えられた救護システムに世話を焼かれこそすれ、

 それ以外は特になんともなかったワケだが……

 

(それでも怪しいんだよなあ……)

(何が狙いやねん……)

(そもそもこの機体を操縦しているのは一体……)

(とりあえずみんな無事でよかったんだぜ……)

(怪しいけど……

 タイセイをこんなに丁寧に手当てしてくれた恩は確かなのよね……)

(欲を言えば病気治したキャプテンであって欲しい……

 けどどうかしら、最悪は……考えたくもないわ……)

 

 それでも六人は疑念に囚われていた。

 果たして今自分達を乗せた飛行艦艇の操縦席にいるのが誰なのか……

 その先に待つ"答え"が何であれ、確かめずには安心できねえ。

 

「……もうシンボーならんわ。

 いっちょ直に操縦席行って顔見たらな気ィ済まんでコレっ――ぐおっ!?」

 

 中でも特に痺れを切らしたしいカイトは乱雑に身を起こす。

 比較的軽傷だからイケるだろうと判断した結果だったが……

 力んだ途端屈曲な巨体に巻かれた包帯に血が滲む。

 どうやら思いのほか傷は深いらしい……

 

「ちょっ、大将っ。まだ動いちゃダメですってばっ」

「おお……どうも、そのようやな……。

 然し全くやっとれんで……揃いも揃ってこない深傷負うたまんま、

 誰が動かしとるか、どこへ向かうかもわからん艦《フネ》ん中で身動きも取れんとは……」

「すみません、大将さん。

 どうしてもタイセイの回復を優先しなきゃいけなくて……」

「ええて、気にせんでええでマリやん。

 そらター坊の傷は深いし、マリやんも怪我してんねんから……」

「何なら意識あって普通に喋れるのが異常なくらいだものね……」

「ま、しぶといのが取り柄だからな……!

 この程度の傷で意識失ってちゃ、ヒーローなんてできっこないんだぜっ」

「……余り調子に乗ってはいけませんよ、アサガキくん。

 アルヴォーンさんも、くれぐれもご無理はなさいませんよう」

 

 注意喚起しつつ、ユライは自分の傷に意識を向ける。

 カイトやユカと並び傷は浅めだが、身体に負荷をかけるのは避けた方がいいだろう。

 

(……或いは、いざとなれば私が……)

 

 思考を巡らせたユライは、最悪の状況をも想定し腹を括った……と、その時。

 

『――失礼するよ』

「「「な!?」」」

「はぁ?」

「え……!?」

「なんだっ……!」

 

 客室中央に備えられた投射装置が起動。

 立体映像(ホログラム)中継の形でだが、客室に予期せぬ"七人目"が現れる。

 そしてその姿に、現撃鉄戦隊の面々は驚かずにいられねぇ!

 

「なに、これ……!?」

「一体、何が……」

「こりゃ、どないな設定やねん……」

「そんな……キャプテン……?」

「いやユメさん、違うぜ……!」

「この人はバンバさんなんかじゃありませんっ。

 さっき響いた声は、間違いなく別の人のそれでしたっ。

 何なら、シルエットだって結構別物じゃないですかっ」

 

 だが必然、それも無理からぬことだろう。

 何せ奴らの眼前に姿を現した立体映像は、

 まさに"ライホウ以外の誰かが変身したレールガンマイスター"に他ならなかったんだからな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(必須:20文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【悲報】自己犠牲で死んだはずの悪徳領主、何とか生還したものの偽物扱いされてしまう(作者:ふくふくまる)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

悪徳領主に転生した主人公、シグレット・ワイヤー。▼原作無視して善政を敷いていたところ、魔物のスタンピードから領地を守るために、命懸けの特大魔法を使用する。▼結果民を救うことには成功したものの、代償として子供の姿に激変してしまう。▼なんとか生還した彼は正体を明かそうとするが───周囲の『シグレット・ワイヤー激重勢』達がそれを許さなかった!▼「あの人はなあ! お…


総合評価:7660/評価:8.12/連載:35話/更新日時:2026年09月20日(日) 19:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>