デスイズザヒーロー!~悪の組織の怪人候補だった俺は亡き師匠の力を継承して最凶ダークヒーローとして無双する〜 作:蠱毒成長中
通過点:地球が"孤立"した日
(全く、最悪ったらねえな……
マジで生涯トップ3に食い込むぐれえの地獄絵図だぜこりゃ)
場面は、日本国内東海地方某所……
「……〜〜……」
「……ッッ!!」
瓦礫だらけに燃え盛り、煤と死肉の匂いに塗れて荒れ果てた街道で、二人の男がにらみ合う。
「~……」
片や、黒ジャージに白のスニーカー、
色眼鏡やら革マスク、安物の金ネックレス……
概ね破落戸めいた身なりで実際ガラの悪い、
屈強ながらも"細長い"印象を与えるオールバックの男。
マスクや眼鏡のせいで表情の全容は伺い知れねえが、
態度なんかを見るにどこか辟易っつーか、呆れてる感じか。
「……!」
方や、オールバック男より一回り半ほど屈強で、
また端正かつ精悍な顔立ちをした銀髪の偉丈夫……
如何にも高貴で気高い"英雄的な"雰囲気を纏いこそすれ、
何故か身に纏うのは最低限の肌着と脱げかけの病衣一枚っつー異様さ。
こっちは顔の全域が見えてる分表情も判りやすいが、
とにかく怒りと殺意を燃え滾らせてて、
例えるなら"豆腐ぐらいなら視線で切れそうな感じ"か。
「先輩」
長く続いた沈黙を破る形で唐突に切り出したのは、黒ジャージのオールバック男。
その呼称と声のトーンが意味する所としちゃ、
嘗て二人は同じ職場に勤めた先輩後輩で、かつ比較的親しい間柄でもあった。
「かつて我が国が世界に誇る"理想のヒーロー"だった貴方のことです。
ご自分が一体何をしちまってんだか、理解できない
オールバック男の語り口はいたって穏やかだったが、
とは言え色眼鏡越しの目は笑ってなかったし、
言葉の端々には明らかなトゲが見て取れた。
「全く愚かしいったらありゃしませんなァ。
唐突に目覚められたかと思やあ、
わけわからん力で病室脱走した挙句、
マシンや装備を強奪し拠点をぶっ壊し……」
マスクの中で言葉を紡ぐ度、
オールバック男の言葉に怒気が籠もり、憎悪が纏わりつく。
既に断片的に言及されてるが……銀髪男のやったことが、
例え気心の知れた仲だろうと、
否気心の知れた仲だからこそ許し難い所業だっつー、何よりの証拠だった。
「……拠点だけじゃねえ、周辺一帯をも火の海に変え……!
大勢の構成員や守るべき市民を殺したんですよ、
てめえを慕っていた部下たちや、跡を継いだ親友も含めて、全員……!
それがどれほどオゾましい真似か、理解してねえあんたじゃねえハズでしょう……!」
終いにゃ二人称が"あんた"になり、
然しそれでもギリギリ敬語を意地している状態……。
正直な話、一周回ってまだ敬語なのが異常にすら思えるほどだが、
事実オールバック男が銀髪男に向ける感情は、
既に敵意っつーか殺意っつーか、まあそんなようなもんに置き換わりつつあって……
さて、となると気になるのは銀髪男の反応だが……
「……さて、
こんな星の土地がどうなろうと、どこの誰が何人死のうと、
"
態々気に留めるようなことじゃないだろう」
なんともはや、イカレ散らかしてやがる。
輝ける運命の導きだのなんだのと、
余計に"盛大に道を違えた
「そもそもそれを言えば、
饒舌に言葉を紡ぐ銀髪男……
"ムジョウ"と呼ばれたオールバック男は、その時点で"察知した"。
(ああ、そうか……もう戻れねぇんだな、お互いに……)
どこで間違ったのかなんて見当もつかないが、
とりあえず"間違ったんだ"って事実だけは受け容れなきゃなるめえ。
(……やれやれ。やっぱどーにも"ままならねえ"なァ、"ヒーローって仕事"は……)
"この状況下"で、かつ相手が"あの調子"……
と来りゃあ、最早残された選択肢なんて一つしかねえ。
「……まあ、
今のこんな状況下じゃ、結局なんだって"些事"……
俺自身にも過失があったんだろうよ、あんたほどの男が言うんならな」
"
つまりは最後の防衛線さえ自ら踏み越え、
ムジョウは覚悟を決める。
どの道"この男"は正気じゃねえし、
てめえ自身の意思でもう無事じゃ済まねえトコまで来ちまってる。
ならばもう、忖度も配慮も必要ねえ。