デスイズザヒーロー!~悪の組織の怪人候補だった俺は亡き師匠の力を継承して最凶ダークヒーローとして無双する〜   作:蠱毒成長中

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エピソード4と5/13:炸裂!帝国捌兇刃!〜エレノアの懸念と覚悟〜

『……かかれーっ! 全員で行けっ!

 あのスカした野郎をぶっ殺せーっ!』

『『『ウオオオオアアアア!』』』

『『『ヤッタラアアアアア!』』』

『『『アアアア゛ア゛ッ―!』』』

 

 場面は前回から引き続きユーラシア大陸東部の一角。

 手駒ブル―レッグをあっさり始末されたアンクルサッカーは、

 最早形振り構っちゃいられねぇとばかりに残る九体の複製どもを嗾(けしか)ける!

 

『慌てることはない……すぐ楽にしてやる』

[CUNNING FORCE! MALICE LIGHTNING!]

 

 一方相変わらず冷静そのものなゲオルギイ。

 奴がまず手に取ったのは"帝国捌兇刃(インペリアルオクテットブレイズ)"の内の一振り、

 青白い電撃を纏うシャムシール。

 漆黒の鞘から抜かれたその刃は青白く、

 かつやたら細いってのに"脆そう"とは感じさせねえ。

 

『イヒヘヘヘヘッ! なんだそりゃあ!

 そんな耳かきでなにができるっ!

 そんなもんこのディアワイス様の豪腕でっ!

 ポキっと圧し折ってやらあああっ!』

 

 如何にもヤバそうな代物だが、

 複製どもがその辺察せるハズもねえ。

 現にディアワイスはシャムシールを耳かきと称したが……

 

『ふんっ』

『ぎえええええっ!?』

 

 ゲオルギイがそれを一振りすると、

 青白い刀身に纏わりついた電撃が光弾として撃ち出され、

 迫るディアワイスの顔面で一気に炸裂!

 伴って生じた閃光が、複製の視界を潰す!

 

『あっぎゃああああああっ!?

 目っ! 目がっ! 目があああああっっ!』

 

 当然ディアワイスは両目を抑え狂い悶える!

 周りの奴らもいきなりのことに戸惑いを隠せず、思わず立ち止まっちまう!

 

『……電弧(アーク)放電による電光性眼炎だ。

 刀剣と耳掻きの区別もつかんような役立たずの目など必要あるまい?』

[WICKED FORCE! MODIFIED HATRED!]

 

 続けてゲオルギイが手にしたのは

 部分的に機械化されたカニのハサミっぽい槍のような武器。

 

『せめて役に立つ"もの"になるといい』

『ぐあっ!?』

 

 勢いよく跳躍したゲオルギイは、

 身動きの取れねぇディアワイスの横っ腹に槍を突き立てる!

 

『ここは一つ"受け"に回ってみるがいい……』

[INJECTION! HATRED ENERGY!]

『ぐぎゃがああああっ!?』

 

 続け様に槍は不気味に脈打ち、

 なんだかよくわからねー"何か"をディアワイスに注入していく。

 そして……

 

『ウグゲエエエエエエッ!

 ――ガッ! ゲエッ! グギゲエエッ!

 ■■■■■■■■■■■◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!』

 

 槍が引き抜かれると同時に、

 白金色の気色悪い不細工ゴリマッチョは

 有機生命体と戦闘兵器が歪に入り混じったような、

 醜怪なサイボーグの化け物に成り果てる。

 

『■■■■■■■■■■■◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!』

『……うむ。幾らか男前になったようだな。

 例えるならば、東條昭平がシルバーブルーメになったようなものだろう』

(いやボケが若干ばかり意味不明ですよゲオルギイ!?

 そのボケは読者の皆様も微妙に置き去りにされてしまいますよゲオルギイ!?)

 

 ……内心激しくツッコむエレノア。

 とは言え独白止まりで口には出てねぇから、

 ゲオルギイがそれを認知することはなく……

 

『■■■■■■■■■■■◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!』

『『ぎゃああああ!』』

『『ディアワイスがああああ!』』

『『化け物になって襲って来るうううう!』』

『『助けてくれええええええ!』』

『うおいっ!? おめーらっ! 怯むなっ!

 ディアワイスおめーもだコラ!

 その程度気合で逆手に取れパワーアップだろうがっ!』

 

 結果、複製どもは化け物と化したディアワイスに追い回され、

 アンクルサッカーに至っては意味不明な無茶ぶりをする始末。

 もうこうなると、あとはゲオルギイの独壇場なワケで……

 

『情けない。先程迄の威勢は何処へ行った?』

[MIGHTY FORCE! FREEZING FEAR!]

[SCHEME FORCE! SCORCHING WRATH!]

 

 ゲオルギイは一気に二振りの武器を手に取る。

 半透明の鞘に収まり冷気を纏った無機質な片刃剣と、

 骨と筋肉で作ったような炎を纏う幅広かつ肉厚な大剣だ。

 

『凍えながら……焼け死ね……』

『『あっぎゃああああ!?』』

『▲▲▲▲▲▲▼▼▼▼▼▼▼!?』

 

 ゲオルギイは片刃剣でディアワイスと奴に襲われてた複製二体を氷漬けにし、

 直後に大剣から繰り出した炎球でもって複製三体を一気に焼き殺す。

 

『"太くて硬い"のが好みなのだろう?』

[INFEXIBLE FORCE! CONFLICT MINERALS!]

(いや太くて硬いのベクトルが違いますよね!?

 っていうか限度があるでしょう!?)

 

 続けて手に取ったのは岩と宝石でできた金砕棒……

 最早"刃とは?"って哲学的な問い掛けも吹き出すレベルだが、

 ともあれ複製共への攻撃は容赦なく続く!

 

『喜べ、いいものがある……。

 たっぷりと、味わうがいい……』

『ぎょわあああああ!?』

『ぐげええええっ!?』

『ぶぼええええっ!?』

『なッぎょらあげえごぼっ!?』

 

 ゲオルギイが金砕棒で

――北の癇癪持ちな法律家よろしく――地面を"ドンッ"とひと突きすりゃ、

 ざっと四体ほどの複製どもへあちこちから空飛ぶ岩の礫が降り注ぐ。

 礫はどれだけ小さくとも家庭用の炊飯器程もあるもんだから、

 頑強さだけが取り柄の複製どもとて瞬く間にボロボロだ。

 ……しかもゲオルギイの攻撃は単なる"殴打"で終わらねえ。

 

『私は詳しくないが、

 性に一途な者どもは"KIMESEC"なる文化を重んじると聞く。

 なんでも薬を盛って交わると、より"いい"とかで……』

[NEFARIOUS FORCE! VORACIOUS DESPAIR!]

(ああっ、いけませんよゲオルギイ!?

 そういう認識はよくありませんよ!?

 そもそもキメセクは別に性行為の中でそんなに地位が高いわけじゃなく、

 何なら昨今は違法薬物への印象が悪くなりがちなのもあって邪道扱いされてますからね!?)

 

 ゲオルギイが手にしたのは触手で形成されたようなデザインの不気味な長巻だった。

 ……エレノアはもう独白に留めず口に出してやれよって感じだが、

 そのツッコミで明かされる"長巻"の持つ能力とは……

 

『さあ、存分に"KIMARU"がいいっ……』

『ごぎゃああああああああ!?』

『いでえええええええええ!?』

『や゛げる゛う゛う゛う゛!?』

『おげえええっ、ぶべええっ!』

 

(いや全く"キまって"ませんよゲオルギイ!?

 まずあなたのそれは毒であって薬じゃないでしょうがっ!

 何から何まで間違いしかないじゃないですか!)

 

 そう、毒だ。

 ありとあらゆる毒攻撃を使いこなすのがこの長巻の特徴なんだ。

 ……岩に殴られた所へさらに猛毒なんて喰らったもんで、

 四体の複製たちは瞬く間に腐って死に耐えた。

 

『残りは三つか。ならば……』

[AMBITIOUS FORCE! MURDER VENOM!]

 

 ゲオルギイが手に取ったのは、

 黄金の牙と臙脂色の鱗を持つ大蛇の生首みてえなデザインの、

 斧とも大剣とも言い切れねえ謎の武器だった。

 

『ヒイッ!? な、なんだそりゃあっ!』

『た、助けてくれえっ! 死にたくねえよおっ!』

『お、おいてめーらっ!? 何逃げてんだっ!

 あんなもんただのコケ脅しだろっ!』

 

 今までの惨状を見た所為だろう、

 残る二体の複製どもも一目散に逃げようとするが……

 当然そこで逃がすゲオルギイじゃねえ。

 

『外道(クソ)は外道(クソ)らしく糞と化せいっ……』

 

 奴が武器を突き出すと同時、

 虚空には小規模なワームホールらしき"裂け目"が出現!

 武器の凡そ三分の二ほどが"裂け目"に消える!

 

『ひいっ!? な、なんだあっ!?』

 

 直後、

 逃げようとした複製片方の眼前へ

 これまた似たような"裂け目"が現れる!

 

『逃がすものか……』

[YOU ARE MY APPETIZER!]

『ぎゃあああああ! で、出たああああ!』

 

 和訳すんなら『お前は私の前菜(オードブル)だ』ってトコか。

 台詞じみた音声を伴って脈打つ武器の先端部は、

 そのままあたかも生きてるみてえに大口を開き……

 

『ひぎゃああああ! や、やめてくれえ――

 

 血の一滴すら流さず、一瞬で複製を丸呑みにしちまったんだ。

 その有り様たるや、派手さがない分逆にやたら怖えワケで……

 

『ひっ! ひっ! ひいいいっ!

 こんなの! こんなの聞いてねえっ!

 やってられっかっ! こんなのっ!』

 

 恐怖の余り最後の複製はその場からトンズラしようとする。

 そもそもてめえ自身がアンクルサッカーの分身だってのを失念してる辺り、

 "帝国捌兇刃(インペリアルオクテットブレイズ)"の恐ろしさが分かるってモンだろう。

 だが当然、それで見逃すゲオルギイじゃなく……

 

『……良くないな。

 あれだけ息巻いておいてまだ逃げるとは……

 それは読者は許してくれんだろう……』

 

 言いつつゲオルギイはロード・アスカロンへの変身にも使った剣を手に取り抜き払う。

 

[DARKNESS FORCE 2ND STRIKE! EXTINCTION TYRANNY!]

 

 手にした瞬間、剣はより禍々しく姿を変える。

 ……というのもこの剣はこれまでの戦闘で力を蓄えていて、

 二度目の抜刀でもって飛躍的にパワーアップしてやがったんだ。

 

『とは言え喜べ。

 この剣は貴様らが多少逃げようと意に介さん』

 

 なんて言いつつ、ゲオルギイは剣を水平に構え切っ先を逃げる標的に向けた。

 そして……

 

[EMPIRE 2ND FORTH! EXTINCTION RAY!]

『ぶげえええええええっ!?』

 

 なんとまあ、

 剣の切っ先から如何にも邪悪そうな光線が放たれたかと思うと、

 それが逃げる複製の巨体を背後から貫通。

 ヤツは体内から"闇に食い荒らされて"消滅しちまったんだ。

 

『……な、ああ……! なん、だあっ……!?

 どーなってんだよっ……! こんな、ことが……!

 こんなことがあっていいのかあっ!?

 この、多様性の時代にっ!

 こんなの、マイノリティに対する不当な迫害じゃねえか!

 ふざけやがって! この差別主義者があ!』

 

 さて、複製たちを全滅させられたアンクルサッカーは、

 相も変わらずわけのわからねぇ主張を繰り返す。

 やれ多様性だ、マイノリティだ、差別だなんだと……

 英語圏によくいる意識高い系のバカみてえな口ぶりって言えば伝わるかな。

 やれ"日本サブカルには強い女が居ねえし白人だらけだから差別的"だの、

 "だから我が国が正しく修正してやる"だの、

 ああいう妄言をシラフでぬかしてるタイプっつーか。

 

『……まだそれを言うのか。

 貴様は余程語彙に乏しいと見える……』

[DARKNESS FORCE FINAL STRIKE! DESTRUCTION DOMINATE!]

 

 当然ゲオルギイがそんな奴に慈悲なんて見せるワケもねぇ。

 最後の複製を殺したお陰でパワーアップを済ませ、

 より禍々しく恐ろし気に仕上がった剣は、

 いよいよ見てるだけで命を奪われそうになるほどのビジュアルだ。

 

(はっ、拙(マズ)いですっ!

 気付けばもうヴィランが一人しか残ってないじゃないですか!)

 

 ……と、そこで行動を起こした奴がいた!

 そう、エレノアだ!

 この女としては是が非でもアンクルサッカーをとっ捕まえ、

 令和神殿騎士団に関する情報を吐かせなきゃならねえ!

 ともすりゃ暴走するゲオルギイを止められはしねえまでも、

 アンクルサッカーが"闇に喰われる"のだけは避けなきゃならねえ!

 何故かっつーと……

 

(あのヴィランが"闇"にやられたら最後、

 肉体どころか霊魂さえも完全に、

 跡形もなくこの世から消滅してしまいます!

 そんなことになったら情報収集どころじゃありません!

 なんとしても……何としてもゲオルギイを止めなくてはっ!)

 

 腹を括ったエレノアは瞬時に思考を巡らせ、咄嗟に口を開く!

 

「ゲオルギイ! お待ちなさいっ!」

『!』

 

 ハラから出た大声に、思わずゲオルギイも動きを止める!

 幾ら暴走状態だろうとも、

 主君が本気で訴えかければどんな状況下でも耳を傾けるのが、

 このゲオルギイ・ザムシャンギルって男だった!

 

(よ、よし! 動きが止まりましたね!

 本当に、どんな状況下でも私の話を聞こうと他の全てを投げ出してしまうので、

 正直あまりこういうことはしたくないのですが……

 今は状況が状況ですからね! 仕方ありません! ええ!)

 

 ともあれゲオルギイが話を聞くようになったのは事実!

 こっから一気に畳みかけるしかねぇ!

 

「言ったハズですよね!?

 そのヴィランは重要な情報を握ってるかもしれないと!

 ヒーロー業界はその情報を求めていると!

 ならばゲオルギイ! そのヴィランを殺すなとは言いません!

 言いませんからとりあえず! 霊魂だけは残しておきなさい!」

 

 霊魂さえ残しておけば魔術で回収して幾らでも情報を引き出せる。

 だから単に首をハネる程度なら許すつもりでいた。

 何なら、アンクルサッカーはここで殺しとくべきだってのは、

 エレノア自身も強く思ってすらいた。

 だが……!

 

『……』

 

 ゲオルギイは微動だにしねえ。

 エレノアへの忠義と、アンクルサッカーへの殺意……

 せめぎ合う二つの想いが、奴の行動を限界まで鈍らせていた。

 

(……よほどあのヴィランが許せないのですね。

 確かに彼の経歴を考えれば分からなくもありませんが……

 ……背に腹は代えられません、かくなる上は……!)

 

 ここでまた、エレノアは腹を括る。

 

「わかりました……ゲオルギイ!

 もしあなたが私の言う通りそのヴィランを普通に殺すのなら!

 明日一日は二人で有給を取って一緒に私の部屋で

 "ミニスカ看護師さん&入院患者様ごっこ"をして差し上げますよ!?」

『……!?』

 

 瞬間、ゲオルギイは目に見えて動揺した!

 忠誠を誓ってやまない、

 かつ紛れもなく美人な主君エレノアからの、

 まさか過ぎる申し出!

 とにかくエレノアに対する感情がひたすら重い

――加えて実質エレノアと"デキかかって"すらいる――

 ゲオルギイとしちゃ、

 この誘いを蹴るのはこの上ない"最"悪手!

 

『……!』

 

 ともすりゃその手は止まり、

 大剣を覆う"闇"も薄れていく……!

 そして……

 

『……下郎、エレノアお嬢様の慈悲に感謝するがいい』

『ぐぎええっ!?

 な、なにが慈悲だこの野郎!

 お、俺の体をこんなっ!

 何本もの武器で串刺しにしやがってえっ!』

 

 万全を期すべく、

 ゲオルギイは幾つかの武器でもってアンクルサッカーを拘束……

 確かにはた目から見ると到底慈悲深さなんて微塵も感じねえワケだが……

 

『なに、案ずることはない。

 これ以上、貴様が苦しむことはないのだからな……』

「ゲオルギイ、いつでも構いませんよ。

 私の方はもう、準備万端ですから」

『畏まりした、お嬢様……』

『ま、待て待て待て待て待てえっ!

 何が準備万端だよ勝手に話を進めるなよっ!?

 ふざけんな! こんなことがっ!

 こんなことが許されていいわけ――

 

『 は あ っ 』

 

 ――がああああぁぁぁぁっ!?』

 

 ともあれゲオルギイの一太刀でもってアンクルサッカーはアッサリ斬首され……

 

「今ですアエトニキ! やってしまいなさい!」

『御意……!』

 

 直後、エレノアは魔術でもって

 炎を纏う大蜥蜴の使い魔アエトニキを召喚!

 亡骸から抜け出たアンクルサッカーの霊魂を長い舌で絡め取るや否や、

 そのままあっさり丸呑みにしちまったんだ。

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