卒業バケーション   作:飽きやすい創作隊

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想像以上に、イベント盛りだくさんだったみたい


10日 川イベント

 











川に着くと、いずみさんがいた。

 

水面を眺めながら、岸辺をゆっくり歩いている。

 

「いずみさんってさ、モテるでしょ?」

 

「え? 何、急に?」

 

いずみさんが振り返る。

 

「連絡先教えて、とかサラッと言えちゃうとことか」

 

「昨日のこと?」

 

「うん。それに、友達も多そうだよ」

 

「そうかな?」

 

いずみさんは少し考えるように首を傾げた。

 

「誰にでも連絡先、聞いてるわけじゃないんだけどね」

 

「……え?」

 

その言葉の意味を考えようとした、そのときだった。

 

「っ、きゃあ!」

 

いずみさんの足が、川岸の小さな段差に引っかかった。

 

「いずみさんっ!」

 

反射的に腕を伸ばす。

 

グッと腕を掴んで引き寄せると、いずみさんの身体が僕の胸に収まった。

 

「……」

 

近い。

 

思った以上に近い。

 

僕の腕の中で、いずみさんが顔を上げる。

 

「……大丈夫?」

 

「う、うん」

 

そう答えたものの、僕の心臓は全然大丈夫じゃなかった。

 

「つまずくかなって、ちょっと思ってた」

 

「えっ?」

 

「だって、さっきから足元見てなかったから」

 

「……それなら最初に言わない?」

 

いずみさんが少しむっとした顔をする。

 

「ごめん」

 

「もう……」

 

いずみさんはそう言いながら、僕の腕から離れた。

 

そして、少しだけ照れたように笑う。

 

「でも……ありがとう」

 

「う、うん」

 

たったそれだけなのに。

 

さっきより、妙に意識してしまう。

 

川のせせらぎだけが、何事もなかったみたいに静かに流れていた。

 

 

「これからみんなと洞窟へ行くんだけど一緒にどう?」

 

「いいね、行くよ」

 

「なあ、なんかいつも2人一緒じゃねえか?」

聖美が洞窟の外で待機していた

 

「えっ、そんなことないけど?」

チラッといずみは颯を覗き見た

 

「僕は、いずみさん一筋だからね」

 

「ちょっと...」

 

「ははは、颯らしいな」

 

「まあ、いいか。みんな中で待ってるぜ」

 

----------

洞窟内

 

「まみちゃん、お腹すいて動けない...」

 

「祭壇の窪みについて考えてたんだけど、何も思い浮かばなかったわ...」

 

「腹ごしらえして、また明日考えるか!」

 

「そうね」

 

「行こう、いずみ」

亮子がいずみに手招きをした

 

 

いずみは颯に振り返る

 

「僕はここで。みんなの邪魔しちゃ悪いし」

 

「それじゃあ...。これで」

と小さく手を振るいずみさん

 

「うん、また後でね」

洞窟でいずみさん達と別れる

 

 

帰りにビーチに寄るとめぐみさんがいた

 

「こんにちは、颯さん」

 

「こんにちは」

 

「そういえば、めぐみさんって巫女さんなんだよね?」

 

「あ、はい」

 

「全然想像つかないけど、帰ったら神社に行ってみてもいいかな?」

 

「え。来てくれるんですか?」

 

「巫女さんの衣装気になるしね」

 

「それじゃあ、おみくじ引いていってくださいね!」

 

「うん!」

 

「...って、場所分かります?」

 

「詳しくは知らないんだよね、どの辺り?」

 

「横浜市の中区にある五月雨神社です」

 

「ふむふむ」

俺は携帯を取り出すとメモを打つ  

 

「近くにいずみの実家もあるので、寄ってみるのもいいと思いますよ」

 

「あ、うん。いずみさんからは前に聞いたんだ。めぐみさんの神社の近くだって」

 

「そうなんです。昔から近所なんですよ」

 

「へえ……」

 

何気なく返したけれど、僕は少し気になった。

 

「もしかして、いずみさんとは昔から知り合いなの?」

 

「はい。小さい頃からずっと一緒ですよ」

 

「へえ……幼馴染なんだ」

 

「そうですよ」

 

めぐみさんは、当たり前のことのように笑った。

 

「もしもいずみさんの実家がわからなかったら、教えてもらえるかな?」

 

「はい、もちろんです」

 

「なんでそんなに嬉しそうなの?」

 

「え?」

 

めぐみさんが、少しだけ嬉しそうに笑う。

 

「だって、幼馴染を好きになってくれる人って、なんだか嬉しいじゃないですか」

 

「……好き……?」

 

思わず聞き返してしまった。

 

「えっ?」

 

めぐみさんが首を傾げる。

 

「いや……そんなに分かる?」

 

「分かるというか、自然と2人ってそうなのかなと思ってました」

 

「?!」

 

「あはは、隠そうとしてませんよね?みんなもそう思ってると思いますよ」

 

人から改めて言われると

ただ、ただなんか恥ずかしくなる

 

ただ、「幼馴染」という言葉が妙に頭に残った。

 

いずみさんとめぐみさん。

 

二人は昔から知り合いだった。

 

それなら――。

 

「いずみさんって、昔からあんな感じだったの?」

 

「ふふ。そうですね。昔から、自分がこうしたいって思ったら、誰に何を言われても突っ走るところは変わってないですよ」

 

「やっぱり……」

 

思わず笑ってしまう。

 

「でも、学校も一緒だったんだよね?」

 

「はい。小学校も中学校も一緒ですよ」

 

「……そっか」

 

その答えを聞いて、僕はなんとなくいずみさんの昔の姿を想像してみた。

 

今と同じように、自分の思った道をまっすぐ歩いていたのだろうか。

 

少しだけ、見てみたいと思った。

 

 

 

 

 

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