「湖で何してたの?」
「湖面を見てたらさ……ポチャン」
「ポチャン?」
「ネックレスの石が落ちちゃったの」
「え、どの辺り?」
「もう探さないと思うけど、この辺かな?」
いずみさんが湖面を覗き込みながら、足元を指差す。
「しらみつぶしに拾い上げてみるよ」
「いいよ、あきらめるから」
「でも、大事なものだったんでしょう?」
「う……うん。そうだけど」
僕はしゃがみ込み、湖の浅瀬を目を凝らして探してみる。
「……あっ、あったよ」
「え? どこ?」
「ほら、いずみさんの足元」
「え? あ! 本当だ」
僕が拾い上げた小さな石を見て、いずみさんは嬉しそうに笑った。
よほど大事なものだったみたいだ。
「ありがとう!」
「うん。良かったよ」
「それじゃあ、またね」
「うん」
いずみさんは大事そうにネックレスを握りながら、その場を離れていった。
「あれ? いずみさんがいる」
別の場所へ移動すると、今度はいずみさんが珊瑚礁のあたりを泳いでいた。
「ビーチじゃなくて、珊瑚礁を泳いでたの?」
「うん」
「綺麗だよね」
「一緒に泳ぐ?」
「いいの?」
「うん」
いずみさんに誘われて、僕も海へ入った。
しばらく泳いでいると、さすがに少し疲れてきた。
「結構泳いだし、疲れたんじゃない?」
「まだ全然! 余裕だね」
「あはは。もう音を上げると思ったけど、意外」
「いずみさんは、大丈夫?」
「うん。私は休憩がてらそろそろ他のところへ行こうかな」
「そっか。じゃあ、僕もそうするよ」
「またね。楽しかったよ」
「うん。またね」
いずみさんと別れたあと、僕はビーチへ向かった。
「ビーチに行くって言ってたし、きっとこの後いずみさん来るかな?」
先回りしてビーチで休むことにした僕は、ハンモックに横になった。
波の音を聞いているうちに、いつの間にか眠ってしまった。
----------
「……よく寝てたね」
「……ん?」
聞き覚えのある声に目を開ける。
「いずみさん?!」
ハンモックの横に、いずみさんが立っていた。
「もしかして……起こさずに待っててくれたの?」
「うん」
いずみさんは、いつものようにあっさり答えた。
「そっか……」
なんだか、それだけなのに嬉しかった。
「ちゃんと寝てたよね?」
「え?」
「近くで着替えたからさ」
「そうなの?しっかり、寝てたよ...残念ながら」
「何か言った?」
「ううん、なんでもない」
「次は起こしてよね?」
「分かったよ。それじゃあ一緒に宿に戻ろうか」
「うん」
「手、繋いでもいい?」
いずみさんからの提案だった
「え?あ、うん」
僕はそっと手を差し出した