卒業バケーション   作:飽きやすい創作隊

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14日

 

「航海日誌の内容、エグかったよね……」

 

 僕はぽつりと呟いた。

 

 シンディが読めるところを翻訳してくれたけど、その内容は想像していたよりずっと重かった。

 

「宝を求めて争うなんて……怖いですよねぇ」

 

 由利佳が小さく頷く。

 

「まあ、わたしたちには関係ないんじゃないの?」

 

 いずみさんはそう言って、いつものように微笑んだ。

 

「そりゃそうよね」

 

 美夏もいずみに同意する。

 

「いや、わからんで〜」

 

 そこへ、さおりが口を挟んだ。

 

「え?」

 

 僕たちが一斉にさおりを見る。

 

「だってさ、航海日誌に書いてあったんやろ? 宝の場所」

 

「……うん」

 

「それってつまり、今もその宝を探してる人がおるかもしれんってことやん?」

 

「まあ……そうなるのかな」

 

「やったら、その人らがこの島に来る可能性もあるんちゃう?」

 

 さおりがそう言うと、さっきまで笑っていた美夏の表情が少し固まった。

 

「……え?」

 

「いやいや、さすがに考えすぎじゃない?」

 

 いずみさんは笑っている。

 

 けれど、僕は航海日誌のページを思い出していた。

 

 そこに書かれていた、宝を巡る争い。

 

 そして――最後まで記されることのなかった、その後のこと。

 

「……でも」

 

 僕が口を開く。

 

「もし、まだ宝が見つかってないんだとしたら……」

 

「うん?」

 

「僕たちが見つけちゃったら……どうなるんだろう」

 

「…………」

 

 一瞬、全員が黙った。

 

「……颯君」

 

 いずみさんが僕を見る。

 

「それ、今言う?」

 

「ご、ごめん」

 

 すると、さおりがニヤッと笑った。

 

「ほらな?」

 

「何が?」

 

「やっぱり、関係あるかもしれんで〜?」

 

「いや、まだ何も決まってないから!」

 

 僕が慌てて否定すると、いずみさんがクスッと笑った。

 

「でも……ちょっと面白くなってきたね」

 

 その言葉に、僕は思わずいずみさんを見る。

 

 その目は、さっきまでとは少し違っていた。

 

 まるで――何かを期待しているような目だった。

 

「もしも、うちらが争ったら、颯はんどないしはるん?」

 

 さおりがニヤニヤしながら聞いてくる。

 

「そりゃもちろん、いずみさんは僕が守るよ」

 

「……あはは、なにそれ」

 

 いずみさんが笑う。

 

「戸塚先輩なら、逆に颯はんを守りそうやな」

 

「……」

 

いずみは不機嫌そうに眉根を寄せる

 

 僕は何も言えなかった。

 

「え、すんまへん。いまのはナシで」

 

 さおりが慌てて付け足す。

 

「あはは、大胆発言だね。いずみも悪い気はしないでしょ?」

 

 美夏が楽しそうにいずみを見る。

 

「……まあね」

 

 いずみさんは少しだけ笑って、僕を見る。

 

 その笑顔に、僕はますます何も言えなくなった。

 

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