「ひんやりSUZUNARI?」
「アイスの新商品みたいですね」
町を歩いていると、大きく書かれた「試食」の文字が目に入った。
足を止めて近づいてみると、どうやら新商品の試食らしい。
「へぇ、試食していい代わりにアンケートを書くのか」
「ここで食べて、その場で書いちゃおう」
僕たちは店先に並べられた試食品を囲みながら、しばらくその場にいた。
「たむろってるって言葉、あんまり好きじゃないなあ」
由利佳さんが頬を膨らませる。
「あ、ごめん。次からは使わないようにするよ」
慌てて謝る僕を見て、いずみさんが小さく漏らした。
「そんなに言いなりにならなくてもいいのに」
「このアプリコット味、おいし〜」
由利佳さんが嬉しそうに声を上げる。
「本当だよね」
僕も頷いた。
思っていたよりさっぱりしていて、甘さもちょうどいい。
「これ、おいしいな」
「でしょ?」
由利佳さんと意気投合していると、隣にいたいずみさんが自分のカップを見た。
「いずみさん、何味?」
「アボカド味」
「えー、そっちも気になる」
由利佳さんがいずみさんのカップを覗き込む。
「アプリコット味も気になるけど」
「また貰ってくる?」
由利佳さんがそう提案した。
「……いいよ。また今度買って食べてみるから」
いずみさんはそう言って笑うと、アンケート用紙に目を落とした。
僕も隣からその用紙を覗き込む。
「何?」
「覗き込んだら書きにくい」
いずみさんが僕のおでこを軽く押して、少しだけ距離を取らせる。
「……」
「値段が中途半端か。僕もそれにしよう」
僕もペンとアンケートを準備した。
「ちょっと。本当に書いてるの?」
いずみさんが呆れたように笑う。
その拍子に、長い髪がさらりと揺れて、アンケート用紙の上をなぞった。
「いずみさん」
「何?」
「覗き込んだら書きにくい」
「マネするのが悪い」
「同じことを書く人がいるってことは、効果も倍以上になるはず……」
「どうだか」
いずみさんは呆れたように笑いながら、二人分のアンケート用紙をまとめた。
「アンケート、出してきてあげるよ」
「ありがとう」
そう言いながら、いずみさんは笑っていた。
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夕飯。
食事を終えて部屋へ戻ろうとしていると、舞奈さんの話が妙にひっかかった
「湖で指輪を拾ったんだって」
どうやら湖の中で、誰かが落としたらしい。
そんな話を聞きながら、部屋へ戻るため廊下を歩いていると――
「颯くん」
後ろから呼び止められた。
振り返ると、いずみさんが立っていた。
「明日、暇?」
「うん?」
突然の質問に、少しだけ首を傾げる。
「明日さ、一緒に湖行ってみない?」
「いいよ」
特に予定もなかったので、すぐに答えた。
すると、いずみさんが少し嬉しそうに笑う。
「水着で来てね」
「水着?」
「滝壺に潜るから」
「うん、分かった」
明日も湖か。
そう思いながら、僕は部屋へ戻った。