「おはよう」
「本当に行くの?」
「うん」
「僕なんかでいいの?」
「ボートの漕ぎ手が必要なの」
「あ、そっちか」
「ほら、行くよ」
――――――――――――
「言われた通りに海岸沿いを歩いて、目印を曲がって真っ直ぐ……あった。洞窟だ……」
「人の手が入ってないなら、怪しいけど……なんか、不気味だね」
「やめとく?」
「ここまで来て? ほら、早く懐中電灯つけて」
そう言って、いずみさんは僕を先へ促した。
「離れないで、ちゃんと着いてきてよ?」
「分かってる」
しばらく進むと、道が分かれていた。
「え? なにこれ、迷いそう……」
目の前には、五つの道が続いている。
「目印とかつけておくしかないね」
颯は考えながら、どの道を進むか迷っていた。
「わっ!」
「ど、どうしたの?」
「ヘビ……!!!」
「わっ、いっぱいいる」
懐中電灯を向けると、そこには無数のヘビが固まっていた。
「気持ち悪い……」
「進む?」
「うん、早く行こう?」
「行き止まりだ」
「嘘でしょ? 何もなかったなんて……こんなに怖い思いして来たのに」
「あはは、確かに。管理人さんの安全確認を待てば、もうちょっとヘビは少なかったかもね」
「ショックー……って、あれ? なんか暗くない?」
「懐中電灯はついてるんだけど……」
そのとき、美佐子さんの言葉が脳裏をよぎった。
――その洞窟では、『黒い影』が出るそうです。
「……まさか、ね。現実に、そんなわけないよ、ね?」
僕はいずみさんの手を握った。
「早くここから出よう」
僕はいずみさんを引っ張りながら走った。
「颯君、ちょ、早いっ!」
「全速力だからっ!」
――――――――――――
「はあー、疲れた……」
「腕、大丈夫? いずみさん」
「うん……」
いずみさんは息を整えながら、僕を見る。
「早く帰りたい。帰ろう?」
「うん」
僕たちは、急いで洞窟を後にした。
夕飯
「えっ?」
「離小島の洞窟」
「管理人さんの安全確認を待たなかったの?」
「気になったからさ」
「それで?何かあった?」
「ヘビと黒い影しか見なかったけど」
「大丈夫だったの?」
「もう行きたくない」
「颯はんも行ったんやろ?」
「まあね」
「なんや2人きりで行きたかったんちゃう?」
「そういうわけじゃないけど」
チラッといずみさんと視線を合わせた
「そうかも...」
「認めた?」
「ちぇ、オレも行ってみたかったな」
「明日行ってみましょう」
「ヘビが出るんだろ?」
「噛まれたら大変だよ?」
「うーん、だよなあ」
「でもなんの呪いだろう、怖いね」
「呪われたって決めつけないでよ、怖いから」