正直に言うとさ、
僕、こんなに誰かのこと気になるの初めてなんだよね。
何してるのかなとか、
今誰といるのかなとか、
楽しそうにしてるかなとか。
気づいたら毎日のように考えてる。
君からされる挨拶だけで嬉しいし、
名前呼ばれるだけでもちょっとドキッとするし、
会えた日は帰ったあとまでずっと余韻が残ってる。
たぶん僕、
思ってる以上に君のこと好きだよ。
可愛いって思う瞬間も、
守ってあげたいって思う瞬間も、
誰にも取られたくないって思う瞬間も、
全部君だから。
でも一番ずるいのは、
君といると「もっと一緒にいたい」って思っちゃうこと。
あと5分だけ。
あと1時間だけ。
もうちょっとだけ一緒にいたいって。
……だからさ。
僕のこと、
少しくらい特別に思ってくれてたら嬉しい。
僕はもう、
君のことかなり特別に思ってるから。
--------
夕飯も終わり、1人で過ごす部屋の中で今日1日のことを思い出す。
楽しかったな。
……いや。
楽しかった、だけじゃない。
ふと右腕を見る。
そこには、いずみさんと一緒に買ったブレスレットがあった。
それを指先で軽く触れる。
なんとなく嬉しくなって、僕は小さく笑った。
そのときだった。
「わっ、地震だ!」
突然、部屋が大きく揺れ始めた。
グラグラグラ……。
「揺れが落ち着いたら、一旦外に出よう」
僕は慌てて身支度を整え、揺れが収まるのを待って部屋を出た。
右腕には、ブレスレットをつけたまま。
外へ出ると、すでに何人かが集まっていた。
「地震、大きかったね」
「うん、大丈夫だった?」
「うん。もう荷物結構まとめてあるしね」
「お、遅いぞ! 颯!」
みんなはもう集まっていた。
「みんな早いね」
「当たり前だろ? 避難なんだから」
ばしぃっと背中を叩かれる。
「痛っ……」
思わず背中をさすっていると、ふと右腕に視線を感じた。
「あれ? 颯はん、その右腕……」
「戸塚先輩と同じやつでんなぁ……」
「あ、コレ?」
僕は右腕を持ち上げ、ブレスレットを見せる。
「そうそう、おそろいなの。いいでしょう」
昨夜のことを思い出して、思わず嬉しくなる。
「本当に仲良しですよねえ、羨ましいです」
美佐子さんが微笑みながらそう言うと、隣にいたシンディが反応した。
「ワタシも颯クンとお揃いありマース」
「?!」
思わずシンディを見る。
「名前も店員さんにお互い掘ってもらったネ。ねえ、颯クン?」
「う、うん。そうだよ。いずみさんだけじゃなくて、他の人とも結構お揃いのTシャツとかさ。買ったよ?」
僕がそう答えると、静さんが少し羨ましそうに呟いた。
「そうなんですね……」
その様子を見ていた亮子さんが、楽しそうに笑う。
「颯君? あんまりいろんな人とお揃いの買ってると、嫉妬されちゃうわよ?」
そして、ちらりといずみさんを見る。
「ね、いずみ」
「誰が?」
いずみさんは、何でもないことのように答えた。
亮子さんはそんな彼女を見て、くすっと笑う。
「もう、素直じゃないんだから」