卒業バケーション   作:飽きやすい創作隊

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29日夜イベント

 

 

正直に言うとさ、

 

僕、こんなに誰かのこと気になるの初めてなんだよね。

 

何してるのかなとか、

今誰といるのかなとか、

楽しそうにしてるかなとか。

 

気づいたら毎日のように考えてる。

 

君からされる挨拶だけで嬉しいし、

名前呼ばれるだけでもちょっとドキッとするし、

会えた日は帰ったあとまでずっと余韻が残ってる。

 

たぶん僕、

思ってる以上に君のこと好きだよ。

 

可愛いって思う瞬間も、

守ってあげたいって思う瞬間も、

誰にも取られたくないって思う瞬間も、

全部君だから。

 

でも一番ずるいのは、

君といると「もっと一緒にいたい」って思っちゃうこと。

 

あと5分だけ。

あと1時間だけ。

もうちょっとだけ一緒にいたいって。

 

……だからさ。

 

僕のこと、

少しくらい特別に思ってくれてたら嬉しい。

 

僕はもう、

君のことかなり特別に思ってるから。

 

--------

 

夕飯も終わり、1人で過ごす部屋の中で今日1日のことを思い出す。

 

楽しかったな。

 

……いや。

 

楽しかった、だけじゃない。

 

ふと右腕を見る。

 

そこには、いずみさんと一緒に買ったブレスレットがあった。

 

それを指先で軽く触れる。

 

なんとなく嬉しくなって、僕は小さく笑った。

 

そのときだった。

 

「わっ、地震だ!」

 

突然、部屋が大きく揺れ始めた。

 

グラグラグラ……。

 

「揺れが落ち着いたら、一旦外に出よう」

 

僕は慌てて身支度を整え、揺れが収まるのを待って部屋を出た。

 

右腕には、ブレスレットをつけたまま。

 

外へ出ると、すでに何人かが集まっていた。

 

「地震、大きかったね」

 

「うん、大丈夫だった?」

 

「うん。もう荷物結構まとめてあるしね」

 

「お、遅いぞ! 颯!」

 

みんなはもう集まっていた。

 

「みんな早いね」

 

「当たり前だろ? 避難なんだから」

 

ばしぃっと背中を叩かれる。

 

「痛っ……」

 

思わず背中をさすっていると、ふと右腕に視線を感じた。

 

「あれ? 颯はん、その右腕……」

 

「戸塚先輩と同じやつでんなぁ……」

 

「あ、コレ?」

 

僕は右腕を持ち上げ、ブレスレットを見せる。

 

「そうそう、おそろいなの。いいでしょう」

 

昨夜のことを思い出して、思わず嬉しくなる。

 

「本当に仲良しですよねえ、羨ましいです」

 

美佐子さんが微笑みながらそう言うと、隣にいたシンディが反応した。

 

「ワタシも颯クンとお揃いありマース」

 

「?!」

 

思わずシンディを見る。

 

「名前も店員さんにお互い掘ってもらったネ。ねえ、颯クン?」

 

「う、うん。そうだよ。いずみさんだけじゃなくて、他の人とも結構お揃いのTシャツとかさ。買ったよ?」

 

僕がそう答えると、静さんが少し羨ましそうに呟いた。

 

「そうなんですね……」

 

その様子を見ていた亮子さんが、楽しそうに笑う。

 

「颯君? あんまりいろんな人とお揃いの買ってると、嫉妬されちゃうわよ?」

 

そして、ちらりといずみさんを見る。

 

「ね、いずみ」

 

「誰が?」

 

いずみさんは、何でもないことのように答えた。

 

亮子さんはそんな彼女を見て、くすっと笑う。

 

「もう、素直じゃないんだから」

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