「レキオの財宝のレキオって、なんだと思う?」
美夏さんが、ふと思いついたように問いかけた。
「てっきり国の名前をそのまま取っただけだと思ってたネ」
シンディは、なるほどといった様子で両手のひらを広げた。
「例えば……レキオ王とか、人の名前かなんかじゃねえか?」
聖美さんは顎に手を当て、閃いたように呟いた。
「人の名前? シンディ、知り合いにレキオという人はおりますの?」
舞奈さんが興味深そうに尋ねる。
「……いないネ」
シンディは即答した。
「そうですよね。そんな簡単に見つかりませんよね」
めぐみさんがくすりと笑う。
レキオの財宝か。
こうして皆であれこれ考えていると、ただの謎もなんだか面白く思えてくる。
結局、答えは分からないままだったけれど、こういう他愛のない話をするのもバカンスの楽しみのひとつなんだろう。
しばらくして、話題はいつの間にか別のことへと移っていた。
「悠の性格について話してたんだよ」
「なにそれ?」
思いがけない話題に、俺は思わず聞き返した。
「気が強くて負けず嫌いな、性格だよ」
そう言った聖美さんの顔には、どこか楽しそうな笑みが浮かんでいた。
「ほらな、俺の言ったとおりじゃねえか」
どうやら、さっきまで皆で俺の性格について話していたらしい。
いったい、どんな話をしていたんだろう。
気にはなったけれど、聖美さんが妙に得意げなので、なんとなくそれ以上は聞きづらかった。
……それにしても、気が強くて負けず嫌い、か。
自分ではそんなつもりはないんだけどな。
皆からは、そう見えているらしい。
そんなことを考えていると、聖美さんがこちらに顔を向けた。
「この後、ビーチに移動するんだけど、お前も来るか?」
「いいの? 行く行く!」
せっかく皆で過ごせる時間だ。断る理由なんてなかった。
「ビーチボールしようと思ってな! さっき、買ったんだ」
聖美さんは、どこか嬉しそうに話した。
バイクの話をしていたときもそうだったけれど、聖美さんはこういうふうに、楽しみなことがあると表情に出る人なのかもしれない。
「俺も金、少し出すよ」
そう言って財布を取り出すと、聖美さんは首を横に振った。
「いいよ。ありがとうな」
そう言って笑う聖美さんに、それ以上お金を出すとは言いづらかった。
せっかく誘ってくれたんだ。ここは素直に甘えておこう。
そうして俺たちは、ビーチへ向かった。
青い海と広い砂浜。
日差しを受けてきらきらと輝く海を眺めていると、自然と気分も浮き立ってくる。
ビーチボールを手にした聖美さんは、さっそく遊ぶ気満々だった。
俺も負けじとボールを追いかける。
……ところが。
思いきり動いた拍子に、俺は聖美さんと派手にぶつかってしまった。
その瞬間、頭に強い衝撃が走った。
何が起きたのか理解する間もなく、視界がぐらりと揺れる。
そこで、俺の意識は途切れたらしい。
*
「……ん」
ゆっくりと目を開けると、すぐそばに聖美さんの顔があった。
心配そうに俺を覗き込んでいる。
「大丈夫か?」
その声を聞いて、俺はようやく自分が倒れていたことを思い出した。
「あれ……俺……」
起き上がろうとすると、頭が重く感じられた。
何があったのか、まだはっきりと思い出せない。
ただ、聖美さんがそばにいてくれたことだけは分かった。
「……ごめん、聖美さん。そばにずっといてくれたの?」
俺が尋ねると、聖美さんは少し呆れたように、それでも心配そうな顔で答えた。
「頭打っただろ? 打ちどころが悪かったからさ」
何でもないことのように言っているけれど、きっと心配をかけてしまったんだろう。
さっきまで、あんなに楽しく遊んでいたのに。
「……ごめん」
「謝んなくていいよ。大丈夫なら、それでいいから」
聖美さんはそう言って、俺の様子を確かめるように顔を覗き込んだ。
いつもの気の強そうな表情とは少し違う。
俺が思っていた以上に、心配してくれていたのかもしれない。
そのことが、なんだか嬉しかった。
好きな娘は誰ですか?
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