卒業バケーション 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうか?
「石板については水辺が怪しいって思ってたけど、なんもねえな」
聖美さんは川辺を見回しながら、つまらなそうに呟いた。
「そうでっか? よく水面を覗いてみてほしいんや」
「ん? なんかあるのか?」
「ほら、そこ……」
さおりさんが川の方を指さす。
しかし、聖美さんはそちらを見ることもなく、呆れたように口を開いた。
「……と、川に落とすのはなしだぜ?」
「バレてたか」
「そんな見え透いた手に引っかかるやつはなあ……」
聖美さんは呆れたように肩をすくめた。
どうやら、さおりさんの企みはすっかりお見通しらしい。
「あ! あそこ、なんや光るもんがあるで!」
「えっ、どこ?」
思わず声を上げ、さおりさんが指さす方へ目を向ける。
……あれ? 今、聖美さんが同じような手に引っかかるやつはいないって言ってなかったっけ?
「ほら、そこや! よう見てみい!」
「うん」
僕は疑うこともなく、川のそばにしゃがみ込んだ。
水面を覗き込もうとした、そのときだった。
「うわっ!?」
「えっ!?」
突然、さおりさんの身体が僕にぶつかった。
どうやら、僕につまずいてしまったらしい。
その勢いのまま、さおりさんの身体が川へと傾く。
そして、僕もまた、彼女に引っ張られるようにしてバランスを崩した。
バシャーンッ!
「…………」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
冷たい水の感触に、ようやく自分が川に落ちたのだと理解する。
「アハハハハ! いいもん見せてもらったぜ!」
岸の上では、聖美さんがお腹を抱えて笑っていた。
「ちょっ、新井先輩! 笑っとらんと助けてぇな!」
さおりさんの悲鳴が川辺に響く。
……いや、ほんとに。
どうして僕までこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!
「ほら、宿に早く戻るで」
「オレたちも行こうぜ」
そう言って聖美さんは機嫌良く歩き出した
夕飯後
夕飯を終え、自分の部屋でくつろいでいると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
返事をすると、ドアの向こうから聞き覚えのある声がした。
「こんばんは」
「あれ、由紀恵さん? どうしたの?」
ドアを開けると、由紀恵さんが笑顔で立っていた。
「これから鈴鳴島についてググろうと思って」
「ググる?」
思わず聞き返すと、由紀恵さんは得意げに胸を張った。
「由紀恵の部屋には携帯とノートパソコンがあるのだ!」
「ああ、ネットで調べるってことだね。うん、いいかも」
確かに、島について何か情報が見つかれば、石板や宝の手がかりになるかもしれない。
「でね、一緒に見てみない?」
「一緒に? いいの?」
「うん! 二人の方が何か気づくかもしれないでしょ」
「そうだね。よし、早速見てみよう」
由紀恵さんの部屋にお邪魔し、さっそく鈴鳴島について調べ始めた。
島の名前を入力して検索してみるものの、出てくるのは限られた情報ばかりだった。
観光地として大きく紹介されているわけでもなく、宝探しにつながりそうな話も見当たらない。
いくつか検索の仕方を変えてみたけれど、結果はほとんど変わらなかった。
「ふにゃあ〜、何も大して情報が出なかったよぉ」
由紀恵さんは、画面を見つめたまま肩を落とした。
「そうだね。あまり世間には知られてないみたいだね」
「何か分かるかもって思ったのに……残念」
せっかく二人で調べたのに、これといった成果はなかった。
僕も少し残念だったけれど、ここで諦めるのはまだ早い気がした。
「そうだね。でも、だからこそ、まだ宝が残ってるって可能性も出てきたんじゃない?」
「そうかなぁ……」
由紀恵さんは少し考えるように画面を見つめたあと、ぱっと顔を上げた。
「うん、きっとそうだよね! ありがとう、悠君」
「また何か分かったら教えてね」
「うん、また相談しにくるね! 今日は本当にありがとう! おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
由紀恵さんを見送ると、僕は改めて鈴鳴島のことを考えた。
ネットで調べても、たいした情報は出てこなかった。
でも、それだけで何もないと決まったわけじゃない。
明日も、もう少し島を調べてみよう。
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