卒業バケーション 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうか?
13日目 航海日誌
河口で、とても古い日記のような手帳を見つけた。
今にも崩れそうな小屋の中、朽ちかけた机の引き出しにしまわれていたものだ。
表紙はひどく傷んでいて、触れるだけでも崩れてしまいそうだった。中の紙も茶色く変色している。長い年月、誰にも読まれることなく眠っていたのだろう。
僕たちはそれを持ち帰り、宿屋でみんなに報告することにした。
テーブルの上に広げられた手帳を、シンディが慎重にめくっていく。
そこに書かれていたのはポルトガル語だった。
シンディはページを覗き込み、難しい顔をしながら文字を追っている。
「この日誌書いた人、めちゃくちゃ字が汚いネ!」
「読めるところだけでいいから頼むよ」
「うーん……ちょっと待ってネ」
シンディは指先で文字をなぞりながら、何度もページを行き来する。
古い紙に書かれた文字はかすれていて、ところどころ判別するのも難しそうだった。
しばらくして、ようやく読み取れた部分を口にする。
「私たちは財宝をついに見つけた。だが、争いが起こった」
その言葉に、テーブルを囲んでいたみんなの視線が集まった。
財宝を見つけたという話は、僕たちが期待していたものだった。
しかし、その直後に続く言葉は穏やかなものではなかった。
「レキオの財宝を巡って争いが起きた……か」
聖美さんはシンディの話を聞いて、そう呟いた。
腕を組み、テーブルの上に置かれた航海日誌を見つめている。
「なあ、あれ見つけたの失敗だったかな?」
「なんで?」
僕が尋ねると、聖美さんは少し困ったように頭を掻いた。
「まあ、オレたちには無縁の話だろうけど……気にするヤツもいるんじゃねえかと思ってさ」
「まあ、感じ方は人それぞれだからね」
財宝という言葉に惹かれる人もいれば、過去の争いを知って複雑な気持ちになる人もいる。
僕たちはただ、古い小屋で偶然見つけただけだ。
それでも、知らなかったことを知ってしまった以上、何も考えずに済ませるわけにもいかないのかもしれない。
「宝の場所でも書いてありゃいいんだけどな」
聖美さんは少し冗談めかして言った。
「シンディにそこは任せよう」
「任せるネ! でも、時間かかるかもしれないヨ?」
シンディはもう一度、航海日誌に目を落とした。
まだ読み取れていないページはたくさんある。
そこに何が書かれているのか。
財宝の場所なのか、それとも別の何かなのか。
僕たちはしばらく、シンディの解読を待つことになった。
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14日
「争いって、まさか殺し合いまでしてるとは思わなかったぜ」
「そうだね。でも、みんななら全然平気じゃない?」
「何でだ?」
「お互いを信頼し合ってる感じだしさ。そんなこと全然起こりそうにないもん」
僕がそう言うと、聖美さんは少しだけ目を細めた。
何か言いたそうにしている。
「それは、一つ大事なことが抜けてるぜ?」
「え?」
「悠のことだよ。もう三週間も経ってるんだぜ?」
「僕?」
思いがけない名前が出てきて、僕は思わず自分を指差した。
「お前も信頼してるってこと……」
聖美さんは少し視線を逸らしながら、ぽつりと言った。
その言葉が意外だったのか、僕は一瞬だけ返事に困ってしまう。
でも、すぐに嬉しさが込み上げてきた。
「それは、嬉しいな。聖美さんから言ってくれるなんてさ」
「オレも照れくさい……じゃあな!」
そう言い残すと、聖美さんは逃げるように走っていってしまった。
その後ろ姿を見送りながら、僕は思わず笑ってしまった。
好きな娘は誰ですか?
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