『今日は横須賀にある横須賀鎮守府へ向かってもらうわ。以前あなたが暗殺したアドミラル・ロクロウのことは覚えている?今回行ってもらう横須賀第3鎮守府はそのときにターゲットを暗殺した鎮守府なの。今は後任であるアドミラル・マエバシ。前橋中将が艦娘部隊を取りまとめているわ。ロクロウ元閣下と違って艦娘からの評判も戦果も上々。最近じゃアメリカからも艦娘が応援で駆けつけて指揮してるらしいわ。』
『ターゲットはその前橋中将・・・ではなく、彼の実の弟、前橋研吾。彼は工廠勤務の労働者で、特段要職についているというわけではないけれど、同じ工廠勤務の同僚たちの取りまとめ役を担っているようで、いわゆる"頼れる先輩"枠ね。』
『身内だからおそらく行動を気にかけていることも多いと思うわ。他の一般工員よりは注目度が高いと言えるわね。』
『クライアントは隣の横須賀第2鎮守府の工廠員。詳しい理由は記載されていないけれど、おおかた彼の人気に嫉妬してというところかしら。ほとんど逆恨みだけれど、依頼料が支払われれば仕事は仕事。相手が誰であろうと関係はない。それがICAの暗殺任務よ。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
装備:コイン×3
服装:愛用スーツ
『横須賀へようこそ。47。』
『現在この鎮守府は大規模作戦と大規模作戦の合間のちょっとした“戦間期”状態で、大抵の艦娘は鎮守府内で訓練や趣味に明け暮れていて人数は多いほうよ。注意してちょうだい。』
『でも警備が厳重になっているというわけではないわ。それでも軍関係施設であることには変わりないから有事に比べればという話だけれどね。』
『深海棲艦との戦争状態は継続中。例の大本営の策略は失敗に終わって、この世界の人類は未だに戦い続けている。もう今年で13年になるそうよ。でも今回は艦娘側の本拠地と言っていい場所、深海棲艦と戦闘状態になることはないと思うわ。』
『幸運を祈ってるわ。』
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渡界機を脱するこの感覚も久しぶりだ。私はあの終末を迎えた世界の調査後、しばらく任務がなかった。理由は不明だがおおよそ聞いた話では“47ほどのエージェントを派遣するほどではない”案件ばかりだったようだ。その分タバサやキュラソー、ブルーやシルバーたちに負担が行っていた可能性はあるが、特に連絡を取り合っているわけでもないので詳細は不明だ。
私は現在、鎮守府から少し離れた工場街の一角にいる。まず鎮守府内に潜入しないことには始まらないので、この辺りで鎮守府へ向かうトラックを強奪しようという計画だ。
しかし、今いるこの道は人通りはほぼないが如何せん見通しが良すぎる。隣は公園でもう少し時間が経てば人も集まるかもしれない。
私は周囲を見渡して何か足止めに使えそうなものがないか探した。すると道路の脇に終わったばかりで一時的に置かれていると思われる道路工事用の柵と看板があった。これは使える。
道路にバリケードを設置しなおし、迂回路を示した看板も路地に誘導するよう立て直した。明らかに迂回路としては狭すぎて不自然だが、通れないわけではないだろう。
私は迂回路となっている路地でトラックを待った。何台か一般車が通り過ぎた後、目的のトラックがやってきた。
私はトラックが通り過ぎようとするときにある程度余裕を持って止まれるくらいのタイミングで道路に飛び出した。
キキーッ
「おいおい兄ちゃん!何やってんだそんなところで!あぶねえじゃねえか!」
「すまない。」
私はそういうと自然な流れで進路を妨害しつつ運転席に近づいた。
「なんだよ。何か文句でもあるってのか?こっちは忙しいんだ。」
「いや、何も。ただ少し休んだほうがいいのではとね。」
「なにぃ・・・?」
そういうと私は持っていたコインを助手席の方へ放り投げた。運転手助手席の上に落ちたコインに気を取られそちらに一瞬目を移した時を狙って首筋に手刀を食らわせた。
ガッ
ギャ!
おっと、気絶させるのに成功したがそのまま前に倒れかけて危うくクラクションが鳴り響くところだった。寸前のところで支えることに成功したのでそのまま起こして窓から手を入れてドアを開ける。
周囲に見られないように素早くシートベルトを外して運転手を引きずり出す。そしてそのまま服を借りて運転手は近くのゴミ捨て場のゴミ袋に横たえた。ついでに付けていたネクタイを頭に鉢巻上にして巻いておいた。はたから見れば酔っ払いが服を脱いで寝ているように見えるだろう。こちらの服のネクタイは私が付けていたもので大丈夫だろう。
私はトラックに乗り、鎮守府を目指した。
鎮守府の正門にはゲートが有り、警備兵が2~3人いた。私は不自然にならないように静かにゲートの停止線でトラックを止めた。
キキッ
「通行証を見せてください。」
「これだ。」
警備兵の一人が窓に近寄ってきて通行証を求めてきた。私はダッシュボード上にあった通行証を提示した。幸いにも通行証は会社名だけが書いてあり、ドライバー個人の名前はどこにも書かれていない。
「積荷は?」
「工廠で使う重油3バレルと研究棟で使う液体窒素2本、それと液体水素も2本だったかな。あとは工廠で使う細々とした備品だ。」
「ふむ・・・一旦中を見させてもらうぞ。」
「ご自由に。」
積み荷の情報自体は書類に書いてあり、事前に参照していたため間違いはないはずだ。
「おい、これはなんだ?」
「はい?」
あのドライバー、まさか非合法なものまで搬入しようとしていたのか?ここで拘束されるわけには行かないのでいざというときは強硬手段も辞さないが・・・。
私はトラックを降りて警備兵が待つ荷台へ向かった。そこには重油の入ったドラム缶やボンベの他になんとか抱えることが出来る程度の大きさの木箱が数個あった。そのうちの一つを開けた状態で警備兵が待っている。
中を覗いてみるとそこには確かに工廠で使いそうな各種道具やねじボルトなどの細々とした部品も入ってはいたが、それ以上に目を引いたのは明らかに大人向けと思われる過激な雑誌の数々だった。
「これは一体どういうことか説明してもらおうか?」
私は今頃ゴミ捨て場で寝ているドライバーに軽く軽蔑の念を抱いた。全く面倒なことをしてくれたものだ。
「勿論備品ですよ。」
「これが備品だと?」
「ええ。使いませんか?兵士さんは。」
「使うか・・・か。まあそれは・・・。いや、しかしだな。」
「わかりました。仕方有りませんね。こちらなどどうです?」
「なっ?!」
「時折目線が行ってましたよ。お好きなんでしょう?ナース。」
「ぐっ・・・。」
「あなたのように必要としている方は工廠にも大勢居ます。それならばこれはもう“備品”では?」
「いや、しかし・・・。」
「あなたにそちらは差し上げますよ。ですので・・・ね?」
「くっ・・・ああわかったよ。さっさと行け!」
「ありがとうございます。」
兵士は胸が大きく露出しているナース服の女性が表紙に描かれている雑誌をさっと懐にしまうと荷台から離れた。どこの世界の男も変わらないな。
軍事施設というのは外部との通信が制限されている場合が多く、通信できたとしてもその内容は常に監視下にあったりする。つまりネットの海を探せばいくらでも転がっているであろうああいうポルノコンテンツですらここでは貴重品というわけだ。ましてここは艦娘と呼ばれる若い女性が闊歩している施設。彼女たちと過ちを起こさないためにも必要な“備品”と言えるだろう。
私は運転席に戻り、それと同時に開いたゲートをくぐって鎮守府内に潜入することに成功した。
少し走り、目的の工廠の近くの駐車場へトラックを止めた。ターゲットはおそらくこの中だ。
途中何人か艦娘とすれ違ったが、一様に皆偽装は外しており、セーラー服を着ている子が多かったのもあってどこかの学校の敷地内とも思える光景だった。有事以外は案外のんびりしたところなのかもしれない。
トラックを停めてからも近寄ってくる人影はなく、このままここに放置していても問題はなさそうだ。私は運転席から出て、周囲を警戒しつつ工廠内への扉を開けた。鍵はかかっておらず、工廠内は何かしらの工具の音が響いておりそれなりにうるさかった。これなら多少音を立てても気が付かれないだろう。
事務所のような場所を発見したのでまずターゲットの居場所の情報を探すことにした。すると事務所内部から声がしたので窓から中をうかがった。そこには20代と思われる若者と、工作艦明石が喋っているのが見えた。
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『アレが前橋研吾。新世代の有望株の技師だけれど芽が出る前に摘み取らせてもらいましょう。』
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しかし工廠内部がうるさすぎて何を話しているのか全く聞こえない。が、窓や扉を開ければこの煩さが中に漏れて一瞬で気が付かれてしまう。
私は少しばかり考えて、窓のそばに持っていた残り2枚のコインを窓に当たるように投げた。案の定中の二人はその音に気がついて窓までやってきた。
ガララ
「うーん?」
「明石さん、なにかありました?」
「なんか音がした気がするんだけど・・・何もないわね。」
「大方工作機械の振動で揺れたんでしょうね。」
「そう・・・みたいですね。」
二人が喋っている間、窓は開いている。つまり外の音が中にだだ漏れということ。このタイミングであれば別方向に有る扉が開いたとしても気が付かない。私は明石が確認作業をしている間に事務所内部へ侵入した。
ガララピシャ
「それにしても研吾さん、例のモノ。その後はどんな感じです?」
「ああ、アレですか。確か南洋の洋上で拾ったんでしたっけ?そんなところになんでこんな機械部品が有るのかは全く謎ですが、只者じゃないのだけはわかりますよ。」
「深海棲艦の新兵器ですかね?」
「いや、深海棲艦の兵器はどこか有機的な部分があったりするんですが、アレは完全に無機物ですね。どっちかっていうと人類側の技術に近い。」
「じゃあ艦娘の・・・?」
「もしかしたら南洋の破壊された泊地の試作艤装の可能性もありますが、今のところは何がなんだかわからないってのが正直なところですね。」
「うーん、どう報告しようかなあ・・・いやね、その物体について提督から報告を求められたんですよ。提督もただのガラクタじゃないと思ってるみたいで。」
「今のところただのガラクタですよ。確かに先進的な部分もありますけどね。ああもボロボロだと得られる技術なんて殆どありませんよ。」
「あーあ。新装備のきっかけになると思ったのになあ・・・。」
「まあ多少ですがエネルギーが残ってるみたいですね。これからそれを調べようかと。耐爆室は借りれます?」
「はい大丈夫ですよ。今は誰も使ってませんし。ついでに設備の調子も見てもらえます?しばらく使ってないんで。」
「わかりました。やっときますよ。」
####アプローチ発見####
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『ターゲットは耐爆室の中で作業するみたいね。耐爆室内は強固な外壁で覆われていて中の音は殆ど外には漏れないわ。周囲に気が付かれずに事を進めるのにもってこいの場所ね。』
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明石は手近にあった書類をまとめると軽く挨拶をして出ていった。ターゲットの方はと言うと、手に謎の機械部品を持ってしげしげと眺めている。
「うーん・・・どっかで見たこと有る気もするんだけどなあ・・・まあいいや。」
そう言うとターゲットは席を立ち、近場にあったカバンを持って同じく事務所から出ていった。私はこっそりと後を追った。勿論トラックドライバーがこんなところに居たら怪しまれるのは明らかなので慎重に遮蔽物に身を隠しつつ。
耐爆室は工廠の一角にひっそりとあった。周りには使われていない工具や機械が雑然と置かれており、埃をかぶっているものも多い。
「あーあー・・・後で掃除もしないとだめだなこりゃ。」
そう独りごちるとターゲットはそのまま耐爆室のドアを開けて中にはいった。耐爆窓越しに見ると部屋の中央の台の上に例のパーツを置くと近くの壁から伸びているアームをそのパーツへと接続した。2~3本接続するとターゲットは耐爆室から出てきた。そのまま耐爆室前のコンソールを操作し始める。どうやら電流を流したりして様子をうかがおうということらしい。
電流は徐々に強くなっていき、そして大きくバチっ!という音と共にスパークが発生した。音は殆ど漏れていなかった。
「ふむ・・・この電圧でこの反応か・・・もう少し試してみるか。」
そういうとターゲットは再び耐爆室の中に入っていった。どうやらアームの調整を行うようだ。
私はすぐさまコンソールに近づき、耐爆室の中にいるターゲットが例のパーツの位置を調整しているのを確認し、コンソールを操作した。先程スパークが発生した電圧よりも数倍高い電圧を一気にかける。
バジジジン!!バァン!
グアアアア!
予想通りとてつもなく大きなスパークが発生し、耐えきれなくなったパーツは粉々に爆散した。爆発四散したパーツは散弾のように近くにいたターゲットを襲った。
####アプローチ完了####
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『ターゲットダウン。有望株の若者は謎のパーツを調べている際に不慮の事故で死亡。よくある話よね。』
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耐爆室内で起こったことであり、外にもほとんど音は漏れておらず、なおかつ工廠内は騒音だらけ。気がついたものは誰も居なかった。私はそのままコンソール自体にも過電流が流れるように細工をして起動、コンソール自体もいくらかのスパークとともに完全に壊れた。これでコンソールの不具合による事故と結論付けられるだろう。
私はそのまま静かに工廠を後にし、トラックへ戻った。すると・・・
「遅い!どこ行ってたのよ!」
「あー・・・申し訳ありません。少し腹の具合が悪くてトイレに。」
トラックの横で艦娘3人が待ち構えていた。
「まあまあ、体調不良なら仕方ないわよ。」
「そうですね。手早く片付けましょう。」
「全く・・・ヒューストンもノーザンプトンも甘いんだから・・・」
3人とも金髪の艦娘、おそらくアメリカ艦であるヒューストン、ノーザンプトン、そしてミネアポリスだろう。どうやら大淀に言われて遅れている資材搬入の手伝いを任されたらしい。無視していくわけにも行かず、できるだけ手早くトラックの積荷を工廠内の一角へ搬入した。幸いにもターゲットが死んでいるのが耐爆室内ということもあり発見がかなり遅れているようで、搬入作業が終わっても特に騒ぎになることもなかった。
サラサラ・・・
「はい。コレでいいですよ。」
「ありがとうございます。では私は失礼します。」
「今度はちゃんと体調整えてきなさいよね!」
「はい。手伝ってくださりありがとうございました。」
「See you~。」
トラックに乗り込み、ゲートを抜けて鎮守府を離れ、適当なところでトラックを乗り捨てた。もしかしたら今頃元のドライバーは大慌てで鎮守府へ向かっているかもしれないな。
私はそのままセーフハウスから帰還した。
~~~1時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『お疲れ様47。』
「ああ。」
『どうだったかしら?久々の実戦は。』
「どうもなにもない。訓練とあまり変わらない。」
『でしょうね。でもなぜだか上級委員会はたいそう満足げよ。』
「ほう?」
『普段ならもっと難易度の高い仕事のときにしか出さないような報奨金まで出てるわ。』
「特別報奨金はクライアント負担だったはずだが?」
『そうよ。クライアントは今回の結果に大層満足しているみたい。報奨金も弾んでくれたわ。』
「私は金には興味はない。技術部と情報部で山分けでもしろ。それほどなら新しい装備の1つや2つ開発できるだろう。」
『そういわないで。これは正当な報酬なのだから・・・。』
ガチャ
「じゃあそのお金でパーティしましょ!」
『あら、ブルー。それに・・・』
「賛成。」
「いいんじゃない?47復帰祝いってことで。」
「タバサとキュラソーも。シルバーはどうした?」
「ああ、シルバーならまだ任務中よ。あの程度の相手に手こずるとかシルバーもまだまだね。」
『最近になって皆元の世界での仕事が一段落したし、当人たちの希望もあってまた私の下で働くことになったのよ。』
「希望したのか?」
「ええそうよ。だってあの世界退屈なんだもの。」
「しかしブルーは支部長、シルバーも実働部隊司令官だったはずでは?」
ガチャ
「そっちも後任に譲ってきたよ。」
「あら、シルバーおかえり。譲ってまでこっちに戻りたかったの?」
「姉さんを一人にはできないからね。」
「・・・そのシスコンもどうにかしなければいけないだろうな。」
『タバサもアーハンブラ城の再建が終わって支部も完成したし、有能な人材はいくら居ても困らないからね。』
「なるほど。で?キュラソーはどうした。」
「私はもとより前線諜報員のほうが性に合ってるからね。米花町の支部なんかやることなんてあの少年の近くで起きた事件をまとめることしかないわよ。」
『あの世界の事件発生率も今はもう元に戻っているからね。暗殺組織の支部と言うよりは観測所みたいな扱いね。』
「とまあ、そんなわけでみんなここに戻ってきたってわけ。どう?嬉しい?」
「・・・あまりかわらん。」
「ちぇー。」
「まあ47はそう言うだろうね。」
「想定内。」
「(わずかに口角が上がったわね。素直じゃないんだから。)」
『じゃあみんな。これから改めてよろしく頼むわね。』
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「置き配不可」
【+1000】『配送トラックドライバーとして潜入する。』
・「裏口」
【+1000】『トラックの秘密の積荷を使って潜入する。』
・「操作ミス」
【+2000】『コンソールを操作して暗殺する。』
・「金がすべてを解決する?」
【+5000】『コインのみを持参し、暗殺を完了する。』
お久しぶりです。また書き連ねていくことにしました。よろしくお願いします。
概要にも書きましたが投稿はおそらく1ヶ月毎。毎月1日の午前0時に投降することを目標にしています。(もしかしたらストックが溜まったら半月に1度になる可能性もないわけではないですが・・・)