『今回は日本の埼玉県にある麻帆良学園に行ってもらうわ。実は今回の任務は上級委員会からの勅令でね。かなり緊急性の高い任務よ。』
『麻帆良学園には初等部から大学院まで一通りの教育機関が揃っているのだけれど、その中でも麻帆良大学工学部は高い技術力を持っていることで有名よ。世間一般より数世代先の技術を保持していることもあるようね。』
『そんな工学部のかなり先進性の高い研究室、“楠木ラボ”が今回のターゲットよ。このラボでは次元波動について研究していて、主に新しいエネルギー源の一つとしての研究らしいのだけれど、最近我々が使っている渡界機の動作原理の一つである“カタストロフ動力波”と呼ばれる波動エネルギーの観測に成功したらしいの。このエネルギーの構造を解析できれば、核融合を超える出力を生み出す発電炉の実現も夢ではないわ。』
『でもその技術はいくらなんでもこの世界では先進的過ぎる。制御に失敗すれば核爆発よりも高威力の大爆発を引き起こし、麻帆良学園はおろかあの世界の地球そのものが物理的に崩壊する可能性すらあるの。上級委員会は過ぎた力を持とうとしているこのラボを破壊する決定を下したわ。』
『ターゲットは主に3つ。ラボの主席研究員である“楠木幸三”。その研究助手12名。そしてそのラボ内にある研究データのすべてを破壊することよ。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
装備:電子励起爆薬、ハッキング用USB、
服装:科学者の白衣
『麻帆良学園へようこそ。』
『この世界のみならず、我々の視点から見てもかなり先進性の高い研究を行っている麻帆良大学工学部。彼らの純粋な知識欲は今回に限っては世界の毒になる。』
『つい最近麻帆良祭と呼ばれる一大イベントがあって、そのときは内外から大量の観光客も押し寄せていたのだけれど、祭も1週間ほど前に終了したわ。今は完全に通常運営に戻っているわ。人々の動きは通常時のそれよ。』
『警備システムはそこらの軍事施設ほどではなくとも、ただ単に監視カメラが付けられてるだけというわけでもないみたい。立入禁止エリアに入るときはカメラ以外の警報装置にも注意して。』
『・・・幸運を祈ってるわ。』
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「バーンウッド、今回の任務は何だ。」
『ブリーフィングで伝えたでしょう?』
「そうじゃない。方向性についてだ。」
『そこは私たちが干渉できる部分ではないわ。上級委員会の勅令なのよ。』
「君もその上級委員会の人間だったはずだが?」
『・・・そこを突かれると痛いのだけれどね。私は彼らの中でも末端。私に発言権は実質ないと言っていいわ。実際細かい承認雑務はすべて私に投げられてるしね。』
「しかし今回の任務は明らかにターゲットの数が多い。しかも大半は学生だろう。それもリストを見る限りほとんど実験の核心部分に触れていないような。」
『私もそこを指摘したりはしたわ。でも梨の礫。私の意見は無視され、そのまま任務は承認されたわ。』
「上級委員会は一体何を考えているのか・・・・。」
『47。私たちはプロよ。与えられた任務に疑問を持つことはもとより許されていないわ。』
「・・・わかっている。そろそろ任務を開始する。」
『ええ。お願いね。』
私は短く息を吐いて通信を切ると、再び歩き始めた。ここは既に麻帆良大学の敷地内。麻帆良の建物の大半はヨーロッパ風のゴシック・ルネサンス・バロックなどを融合させた建築様式をとっているが、工学部棟に関しては最先端技術開発の場ということもあり、白い外壁を持つ、地上50階建ての現代的な高層ビルとなっている。しかしこのメインであるビルは数ある研究の中でも比較的メジャーなもの。例えば道中の掲示板に掲示されていた“核融合発電”や“高効率脱塩処理技術”などが研究されている。有り体に言えば他の大学の工学部でも扱っていそうなテーマを研究しているのがメイン棟であるあのビルなのだ。
今回向かっている楠木ラボは“次元波動”という学会内ではマイナーな分野を研究しており、さらに言えば内容的に危険性の高い分野であるためメイン棟とは別棟の“特殊研究棟”と呼ばれるところにラボがある。そう言えば以前ICAに協力し、最終的には敵対状態になったチャオと呼ばれた少女は量子力学研究会に所属していたらしいが、実際の研究室は、この特殊研究棟にあったらしい。しかし最近、チャオが“転校”したらしく、残された部員たちは普通の量子力学研究室と大差ない研究を行っているようだ。仲間の葉加瀬という少女は逆にメイン棟の上層階に研究室を持っているらしい。
ギュルギュルギュル
「はーい!すみませーん!通してねー!」
噂をすればなんとやら。直ぐ側を背中にやたら大きなカバンを背負った葉加瀬と呼ばれる少女がセグウェイに乗って通り過ぎていった。彼女はそのまま道を直進してメイン棟の方へと走っていった。彼女はこの世界の主要人物のリストに載っていた。被害を避ける意味でも離れたところにいてほしいものだ。私は道を曲がり、特殊研究棟に向かった。
~葉加瀬聡美side~
「たしかにあそこは麻帆良祭前から色々変な動きはしてたし、麻帆良祭も実質不参加だったけど、一体何を始めたってのよ。私の研究にも影響があるんですけど・・・。」
今は私は自分の借りている研究室の計器とにらめっこしている。茶々丸の新装備を試作していたのだけど、計測器が変な電磁波拾っちゃってまともに測定できやしない。発信源がどこかと思って調べてみたら、今、工学部で色々と噂されている特殊研究棟の楠木ラボ付近だった。あまり騒ぎになってないのはこの電磁波自体が魔法関連の計器にしか影響を及ぼさないってところもあるかも。
「どうしよっかなあ・・・魔法関連ならネギ先生なんだけど・・・」
最近超さんの件で一悶着あったから頼み事は正直しづらいけれど、茶々丸がお世話になってるみたいだし、学祭前に茶々丸が暴走しちゃったときも助けてくれたし今回も相談してみようかな・・・。一応担任の先生だし。
私は携帯を取り出してネギ先生の電話にコールした。
プルルル…ガチャ
「はい。ネギです。」
「あ、先生。葉加瀬です。」
「葉加瀬さん。麻帆良祭のときはちゃんと挨拶できずにすみませんでした。その・・・色々と大丈夫でしたか?」
「はい。超さんはちゃんと後始末をきちんとしていかれたので各種引き継ぎは問題なく・・・。ってそうじゃなかった。」
「え?」
「先生。実はちょっとご相談が。」
「あ、はい。何でも言ってください。色々お世話にもなったわけですし、なんでもしますよ!」
「ありがとうございます。実は工学部棟のそばにある別の研究施設からおかしな電磁波が観測されていて・・・どうやら魔法関連っぽいんです。」
「え・・・本当ですか?」
「ええ。超さんがいなくなった今、私一人で魔法関係の問題に対処するのは少し難しくて。調べるのに協力してもらいたいんです。」
「わかりまし・・・あ!ちょっと!」
「?」
ガタガタ
「葉加瀬ちゃーん!うちも行っていーい?」
「木乃香さん?」
「いやー、学祭のことも色々聞きたいし、うちら今暇やねん。」
「あとの方が本命ですね・・・。いいですよ。でも大丈夫ですか?荒事になる可能性もありますよ?」
「大丈夫大丈夫。せっちゃんが守ってくれるし。」
「刹那さんですか。それは心強いですね。わかりました。」
「あ、明日菜も行くってー。」
「明日菜さんも?わかりました。まあ人数は多いほうが安心できるかも知れません。」
「ほななー!」ハイネギクン
「・・・葉加瀬さん。そういうわけで5人でお邪魔して大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫ですよ。あ、ついでに茶々丸も連れてきてください。新装備の意見も聞きたいので。」
「わかりました。では今から向かいますね。」
「はーい。」
さてと・・・とりあえず荒事の準備しないとね・・・。あ、あと教授にも連絡しとかないと・・・。
~47side~
ピピピガチャ
「ん?何だ今の音は?ロックが外れた・・・?」
ヒュッ
ゴッ!
「ぐあっ!?」
首尾よく入口にある警備室を制圧できた。今私は特殊研究棟の唯一の入口、正面ゲートに来ている。2人の警備員がいたが、片方は外に出てきたところを後ろから首を絞めて気絶させ、その警備員のIDと静脈認証でドアを開けた。その際の音に気がついたもう一人が出てきたところを後頭部に手刀をお見舞いしてやったというわけだ。
しかし、さすがは最先端技術開発を行っている研究室だけあって警備が厳重だ。入口自体はトラックも通れるくらいに大きいが、警備室の記録によるとトレーラーから降ろされた大型の変圧器や実験機械なども専用のリフトで分解せずに運び込むことが可能のようだ。そしてその入口は警備室から完全に遠隔で開閉を操作できる。建物内の監視カメラや動体センサーもすべてここで管理しているようだ。
もっとも、その警備室の中にいる人間が軽く窓をノックされた程度でホイホイ外に確認しに来るような警戒心ゼロに近い人間では何の役にも立たない。麻帆良学園ほどの施設が外部からの侵入者に対してここまで脆弱なセキュリティを敷いているとは正直考えづらいが・・・。罠の可能性も考慮して、警備室でもう少し情報を集めることにした。
施設図、監視カメラ位置、保存先、送信先。色々調べた結果、やはりと言うべきか、警備室では制御できないセキュリティシステムが有るようだ。配線図などを見てもそれらしいものは見当たらないが、明らかに一部の監視カメラ映像の端にこの場所に不釣り合いな大理石と思われる彫刻が置かれている。
さらには、監視カメラの死角にも明らかな偏りがある。まるでここの道を通ってくださいと言わんばかりに監視カメラが異様に少ないルートが有る。普通なら重要度が低いエリアだと思うところだが、ここは麻帆良学園。十中八九魔法的な警備システムがあるはずだ。そして工学部とはいえ魔法を扱う教師や教授はいるだろうから、こういう罠のルートを通って科学的な対策に引っかからない魔術的監視システムが魔法先生・教授へと通報するのだろう。
ICAはそのあたりも抜かりなく対策を施している。私は持ってきたUSB端末を警備室のパソコンに差した。画面にいくつものウィンドウが現れて5分くらいした後、“成功”の文字が現れた。
このUSB端末は、技術部が開発した麻帆良学園電子精霊対策プログラムだ。学園の中央警備システムに密かに侵入し、アラートを鳴らすことなくその機能を実質無効化していく。更にこのシステムは学園の中央システム自身の処理能力を“間借り”してハッキングを行う。システム自身が自分の処理速度で自分を書き換えていくのだから、学園側の防壁が対処できる道理がないのだ。
“成功”と表示されたということは魔術的監視システムも無効化出来たと見て良い。私は物理的な証拠隠滅として、部屋の奥にあった記録用データサーバーの配線を引きちぎり、本体を近くに置いてあったスパナで徹底的に叩き壊した。まだ対処できていないシステムが残っている可能性もなくはないが、これ以上は発見も対処もできないため、見つかったとしても出たとこ勝負で行くしかないだろう。
私はあえて監視カメラが一番多いルートを選んだ。警備室を制圧しているので監視カメラにいくら写ったところで問題ないためだ。それに記録用の機材はちゃんと破壊してある。
特殊研究棟の内部はそこまで多くの部屋があるわけではないらしく、長い廊下と殺風景さを軽減するための長椅子や観葉植物が置かれている。広い廊下は休憩スペースも兼ねているようだ。警備記録によると、ターゲットの楠木ラボ以外の研究チームは麻帆良祭での研究発表が終わって休暇期間にあるらしく、この建物自体楠木ラボのメンバーしか今は利用していないようだ。
私は目的の研究室の前までやってきた。中からはいくらか話し声が聞こえるが、多く見積もっても3~4人ほどだろう。私は静かにドアを半開きにさせて中を覗いた。研究室内では助手と思われる学生が5人見え、そのうち2人が窓の前で談笑していた。
「それにしても、今日の『波動』の出力、めちゃくちゃ安定してるな。」
「ああ。楠木教授が昨日組み直したジェネレーターの補正パラメータがドンピシャだったみたいだな。……でもさ、ぶっちゃけこのエネルギー波、最終的に何に使うか知ってるか?」
「さあ? 教授は『新時代の高効率エネルギーの要になる』って言ってたけどさ。なんか波長の性質が特殊すぎないか? 核融合を超えるとか言ってるけど、俺にはどう見ても発電用の波長には見えないんだよな。」
「それな。なんかこう……別の空間の座標に無理やり穴をこじ開けて、そこからエネルギーを引っ張ってきてるような……。教授、この特定の波長の観測にだけ異常にこだわってるし。」
「ノーベル賞狙いとか? まあ、俺たちからすりゃ無事にデータが取れて論文になれば何でもいいけどさ。」
私は彼らが隙を見せている間に研究室内に侵入。この部屋は制御室らしく、奥の壁には巨大な強化ガラス窓、そしてその奥で他のメンバーが実験作業を行っている。私は静かに端にいる研究員を順番に首を絞めて気絶させていった。どうせ爆薬で吹き飛ばすのだからこの時点で気絶にとどめても大した問題ではないはずだ。むしろ死体にしてしまうと万が一発見されたときのリスクが有る。気絶ならまだ事故の可能性を残せるだろう。離れて作業していた2人を順番に気絶させると、パソコンで作業をしていた3人目を気絶させた後わざと椅子から転げ落とした。
ガタン!
「ん?おいどうした。何の音だ。」
「おいおい前園。居眠りかぁ?ったくしょうがねえなあ・・・。」
「ったく。これから重要な工程なんだからしっかりしてくれよ。わりぃ慎吾、起こしてやって。今手が離せねえんだ。」
「あいよ。」
慎吾と呼ばれた男がこちらに向かってきている。私は机に隠れて密かに待ち伏せる。床に転げた前園と呼ばれた女性に手をかけようとした瞬間、
ヒュッ
ゴッ!
「ぐあ!」
ドサッ
「んあ?なんだ今の?」
近くで拾ったスパナで頭を殴打。結構勢いよく振ったのでもしかしたら死んだ可能性もあるな。現に頭から血が流れている。叫び声を不審に思ったもう一人が振り向く。その一瞬のうちに、私は拾い上げていた別のスパナを顔面に投げつけた。
ガッ!
「ぎゃ!」
こちらも首尾よく気絶させられた。
彼が操作していた制御盤は実験室内の設備の制御盤だったようだ。ある程度は遠隔で実験炉も制御できるらしい。強化ガラスは相当分厚いらしく、今の一連の騒ぎも実験室内の7人には聞こえていないらしい。・・・おや?肝心のターゲットの楠木幸三の姿がない。物陰に隠れているわけでもなさそうだ。全員気絶させずに一人尋問用に残しておくべきだったか。
まあいい。とりあえずこの実験炉とこちらの制御室の端にあるサーバーの破壊、そしてこれら助手達の暗殺は実行できそうだ。あまり気は進まないがな。
まず私は制御盤を操作し、実験データがどこに保存されているかを調べた。幸いなことに“αサーバー”、つまりはこの部屋の端にあるサーバーにすべて集約されて保管されている。どうやら外部への情報漏洩を嫌ったらしい。今回は好都合だ。
私は制御盤を操作して実験室と制御室を繋ぐ扉をロックした。中からも管理者権限があれば開けられるようだが、管理者がいないのであれば開けられる心配もなさそうだ。さらに何のための機能かはわからないが、制御盤のボタン一つで透明なガラスと擦りガラスを切り替えられるようだ。ボタンを操作し、実験室と制御室の間の窓を擦りガラスに変更した。これでこちらからも中からも状況は確認できなくなった。
私は制御盤のパネルを開け、中の配線を適当に引きちぎった。これで制御盤はしばらくは使えないだろう。次に部屋の隅にあるサーバーラックの一つを抜き取り、空いたスペースに持ってきた電子励起爆薬を設置する。この爆薬の威力ならばこの制御室を破壊すると同時に強化ガラスを突き抜け実験炉にも多大なダメージを負わせることが出来る。この手の実験炉は、作動中に外部から強い衝撃を受けると、それ自体が巨大な爆薬と化す。もっとも、机の上にあった資料を見る限り、例の波動を再現する実験はまだ初期段階にあるようだ。建物の構造次第では、制御室だけでなく周囲の区画まで崩壊する可能性もある。だがこの爆発によって学園全体が吹き飛ぶような事態にはならないはずだ。起爆は遠隔でやるとして、ひとまずターゲットがどこに行ったか探さねばならない。私は一旦制御室を後にした。
~ネギside~
「葉加瀬さ~ん!」
「ネギ先生。すみませんわざわざこっちまで。・・・あれ?茶々丸は?」
「あーなんかエヴァちゃんに緊急で呼ばれてるらしくって。あっちの用事が済み次第来るらしいわよ。」
「そうですか。まあこちらの茶々丸の用件は緊急ってわけでもないので後でいいですね。それではこれから特殊研究棟へ向かいます。」
「特殊研究棟ですか?」
「はい。どうやらそこにある楠木ラボで魔力に通じる実験をやっているらしく、先生に実験の停止、または縮小をお願いする手助けをしてほしいのです。」
「まー魔法関連の技術者ってだけで話し通じなさそーな雰囲気してるもんね。」
「明日菜さん、それは偏見では・・・。」
僕たちは葉加瀬さんに頼まれて麻帆良大学の工学部まで来ました。どうやら魔法に関連する実験を無許可でやっているらしく、それが意図的なのかそれとも偶然なのかも含めて調査しにきたというわけです。無許可の魔法実験は非常にマズイので騒ぎになる前に中止させたいというのが葉加瀬さんのお願いらしいです。
「・・・あれ?ねえネギくん。あれって・・・。」
「ん?」
木乃香さんが指を指した先には窓がほとんどない四角い建物があり、多分あそこが特殊研究棟なんだろうと推測できるけど、その入口が半開きになっているのが見えた。そして一番の問題は横にある警備室に誰もいないように見えること。不用心という言葉では済まされない気がします。
「・・・ネギ先生。気を付けてください。なにかおかしいです。」
刹那さんも異常に気がついたみたい。僕たちは慎重に警備室の窓から覗き込むと中では警備員と思われる人が2人倒れているのが見えた。
「大変!警備員さんが!」
「葉加瀬さん!この警備室にはどうやって入れば?!」
「えっと、メインゲートの横に通用口があったような・・・」
「ネギ先生!ありました!しかし鍵がかかってます!」
「刹那さん!一人では危険です!一緒に行きましょう!せーの!」
バァン!
勢いよく鍵のかかった扉を押し破った。中は変なトラップもなく警備員さんも2人とも気絶しているだけみたいだった。
「木乃香さん!行けますか?」
「はいよー。adeat(アデアット)!コチノヒオウギ!」
フワァ…
「う、ううん・・・」
「気がついた!」アベアット!
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。君は・・・?」
「ネギ・スプリングフィールドです。中等部で教師をしています。何があったんですか?」
「ああネギ先生・・・聞いたことがあるぞ、麻帆良祭で活躍してたな。ああクソ!頭が・・・。」
「ネギくん!こっちの人も目を覚ましたえ!」
「ああ、伊藤、大丈夫か?お前も気絶してたのか?」
「いつつ・・・何が起こったんだ?」
「警備員さんたちはここで2人とも倒れてたんです。何か覚えていませんか?」
「俺は何も・・・なんか変な音がしたから見に行ったところで・・・後はよく思い出せない・・・。」
「俺は扉のロックがひとりでに外れた音がしたもんだからチェックしようとしたら・・・そっから先は思い出せねえ。頭が痛えから多分殴られたな。」
「つまり・・・侵入者!?」
「ちょ、ちょっと!だったらもう中にいるってことじゃないの?!」
「警備員さん。私は工学部第6研究室を間借りさせてもらってる葉加瀬聡美です。ここでは一体何が?」
「いやあそれは俺らも詳しいことは。波動に関する研究を行ってるところと、エアロゾルに関する研究を行ってるところと、空間転移に関する研究を行ってるところがあるってことしかわからねえ。でも今日は祭の後の休暇期間で棟内にいるのは最初の波動研究のチームだけなはずだぞ。」
「チームがいなくても実験記録や資源を狙っている可能性もありますね・・・ネギ先生!」
「はい。警備員さん。ここの警備記録は見れますか?」
「ああ。ちょっと待ってろ・・・」
警備員さんは起き上がると机の上にあったパソコンを操作し始めた。でもすぐに顔が曇る。
「あれ?おっかしいな・・・」
「どうしたんですか?」
「監視カメラが見れねえ・・・ハッ!もしかして!」
警備員さんは慌てて部屋の奥にあった扉を開けた。中にはミッチリと機械が詰まっているけれど・・・
「ああ・・・やられた。」
「これは・・・」
「クソ!コレじゃここでは何も出来ねえぞ!」
「何なのよコレ!?」
扉の中にはサーバーが置かれていたらしい。内部にはサーバーと思われる機器がぎっしりと並んでいるけれど、そのすべてがめちゃくちゃに壊されていた。配線は切られ、本体も叩き壊されていて、無事なものは一つも見当たらない。
「ちくしょう。どうなってやがんだ!」
「警備員さん。今日ここにいるのは1チームだけでしたね?」
「ああそうだ。・・・もしかしてそれ狙いか!?」
「おそらくそうだと思います。」
「待ってください、そのチームってもしかして楠木ラボですか?」
「ああそうだ。」
「ネギ先生!」
「ええ。」
魔力関係の実験をしている楠木ラボへの襲撃者。もしかしたら学祭前に会ったあの上位悪魔みたいなのが・・・!
事態は一刻を争うかも知れない。もしかしたら一般人にも被害が!
「明日菜さん、刹那さん。ポイントマンをお願いできますか!」
「御意。」
「オッケー!」
「葉加瀬さんは後ろにいてください。」
「わかりました。」
「ラボへ向かいます!」
「おいおい!?嬢ちゃんたちだけじゃ無謀だって!今応援を・・・」
「一刻を争うかも知れません。応援の到着を待ってる時間はなさそうです。ラボはどこにあるんですか?」
「あ、ああ。ここに施設図がある。もってけ。」
「伊藤!良いのかよ?!」
「わけもわからないまま殴られて気絶させられた俺等よりは頼りになりそうだぜ。俺らは応援を呼ぼう。」
「そ、そりゃあそうだけどよ・・・」
「ありがとうございます。では行きます!」
僕たちは戦闘態勢を整えつつ、ラボへ向かって走り出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
to be continued…
登場人物は前回もその前も出ていましたが、実際に麻帆良へは行ってなかった気がするので、今回登場させることにしました。
後編へ続きます。