ランナー   作:Zizzi

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第四十八章 フォール

夜明け前のわずかな薄明かり。 頭上では煤けたペンダントライトが微かに揺れ、壁紙の剥がれ落ちた壁の素肌を柔らかく照らし出していた。

電気コンロに乗せられた素焼きの薬缶が、シュンシュンと小気味よく湯気を立ち上らせている。部屋の中には、長年使い古された絶縁ゴムの焦げた匂いと、温かい野菜スープの湯気が混ざり合った、どこか懐かしい生活の匂いが満ちていた。 窓辺の小さな棚。汚れを落とした錆びだらけのレーション缶の中で、手のひらほどの変異チャセンシダが、瑞々しく柔らかな蛍光グリーンの葉を静かに広げている。

清子(きよこ)は窓際の木製スツールに腰を下ろし、湿らせた古い綿布の端を指先でつまみながら、葉の縁に積もった粉塵をごくゆっくりと、慈しむように拭き取っていた。背後の気配に気づいた老女が振り返る。白く濁って黄色く変色したその瞳が、細く穏やかな弧を描いた。微かな喘鳴混じりの、聞き慣れた穏やかな声が届く。

「目が覚めたなら、顔でも洗っておいで。鍋の乾燥野菜クズはもう二度煮込んであるよ。温かいうちに腹に入れなさい。胃を冷やしたら体に毒だからね」

作業台の前では、老井が最後のエアドライバーを色褪せたキャンバス地のツールバッグへとねじ込んでいるところだった。機械油に汚れ、分厚いタコの刻まれた手の甲で、油汗の滲む額を大雑把に拭うと、ソファに身を起こした一戸へ振り返る。口元ではいつものように悪態をつきながらも、その目尻には隠しきれない温かな笑みが刻まれていた。

「何をぼさっとしてやがる! さっさとそのスープを腹に流し込みな! 夜が明けたら闇市へ行くぞ。耐酸防水塗料のペール缶を二つ担いで帰るんだ。我が家のトタン屋根はもう丸三年も雨漏りしてやがる。清子(きよこ)の肺に湿気は大敵だ。今日のてめえの骨組みならビクともしねえだろうからな、屋根の上に這い上がって刷毛を渡す手伝いをしてもらうぜ。わかったな?!」

一戸は寝台の縁に手を突いて身を起こした。 目の前には、手を伸ばせば触れられるほどリアルな、使い古された三組の食器。 暴力と凍てつく殺戮の記憶の中に十年以上も塗り込められていた心臓の奥底が、震えるほどの切なさと、安らぎの波に締めつけられた。

深く息を吸い込み、手を伸ばす。老井から差し出された布製バッグを受け取り、そのささやかな約束に頷こうとした——その瞬間。

「ゴォォォォンッ————!!」

脆いトタンの屋根と薄いレンガの壁が、前触れもなく爆砕した。

濃煙を突き破り、全身をつや消しブラックの炭素繊維(カーボンファイバー)装甲で覆った重厚な戦靴(コンバットブーツ)が、狂暴極まりない踏圧トルクを伴って上空から容赦なく踏み下ろされたのだ! へし折れた木のテーブルが吹き飛び、沸騰した野菜スープが灼熱の雨となって虚空を舞う。 その軍靴は微塵の減速もなく、老井の屈んだ背骨と、清子(きよこ)の華奢な胸郭を、瓦礫と汚泥の中へと一瞬で無慈悲に踏み砕いた。 骨が粉々に爆ぜる耳障りな破砕音。飛び散った肉片と血の飛沫が、一戸の頬へと激しく叩きつけられる!

立ち込める硝煙の向こう、RD-89の死せる漆黒の面甲(バイザー)が、頭上から冷徹に見下ろしていた。眼窩の深紅の戦術センサーが鋭く収縮し、内蔵スピーカーからノイズ混じりの冷酷な嘲笑が吐き出される。

『——無価値な障害物。排除完了』

「ッ……は……ッ!!」

一戸は冷たい作業台の片隅で、跳ね起きるように覚醒した。 胸郭が激しく波打ち、冷たい脂汗が一瞬でインナーを濡らしていた。

陽光などない。温かいスープも、砕け散った瓦礫もない。 目の前にあるのは、蜘蛛(スパイダー)の闇診療所に灯る、澱んだエマージェンシー・グリーンの微光だけだ。鼻をつく強烈なフラックス、重金属の防腐液、そして古い機械油が混ざり合ったヘドロの臭気。天井からは蜘蛛の巣のように無数の黒いケーブルが垂れ下がり、吊り下げられた義体のジャンクパーツが、換気扇の微風に揺れてカチリと硬質な音を立てていた。

左肩の骨折部——チタン合金の骨ピンと高分子ゲルで無理やり固定された鎖骨の奥から、脈打つような激痛が走る。首筋の頸静脈に残る神経抑制剤は、冷たい鉛の重みとなって、脊髄の奥底にくすぶる高熱を無理やりに押さえ込んでいた。

灰色の前髪の奥で、義眼・オラクルの青い光条が一瞬だけ鋭く明滅し、視界のブレを無理やり現実へと引き戻す。 高熱による昏睡と、精神への過大な負荷が引き起こした、深層神経の幻覚にすぎない。

一戸は感情を削ぎ落とした顔のまま一度だけ目を閉じ、額の冷汗を手の甲で拭った。 トレンチコートの粗い布越しに、胸ポケットの奥へと指を滑らせる。あの冷たく硬質な絶対シールドコンパートメントが、定位置に収まっていることを確かめた。

部屋の隅に掛かる機械時計の秒針が、重々しい金属音を立ててひとつ進む。 夜明けまで、あと四十分もない。

一戸はチャコールグレーのトレンチコートの襟元を引き上げ、フードを目深に被ると、強張った四肢を軋ませて立ち上がった。 ステンレスの手術台の傍らでは、老女『蜘蛛(スパイダー)』の背から伸びる六本のチタン合金義肢が、相変わらず超高速で微小な屈伸を繰り返していた。微細な溶接の火花が影の中で明滅する。老女は振り返りもせず、乾いた擦れ声を薄暗い空間に投げつけた。

「ずらかるなら音を立てるんじゃないよ。三十分前、レッドウルフの哨戒ドローンがマイナス二十階の排気シャフトを走査していきなすった」

一戸は返答せず、静かに歩み出した。センサーケーブルの垂れ下がる防護ネットの隙間をすり抜け、通路の闇へと音もなく消え去る。

公用のエレベーターや主通路を使う気は毛頭なかった。 義眼・オラクルがあらかじめ解析していた建物の三次元トポロジーマップに従い、一戸は廃棄された工業用冷却パイプの内部を縫うようにひたすら下へと潜っていく。途中にあったギャングの監視ポストを二箇所やり過ごし、やがて、錆びついて歪んだ両開きの重厚な鉄扉を押し開けた。

扉の向こうに広がっていたのは、広大なゴミ処理プラントだった。

超高層メガストラクチャーの垂直深淵。 数万トンに及ぶ赤錆びた鉄骨フレームと、ねじ切れたコンベアベルトが、巨獣の風化した肋骨のように底知れぬ環状の吹き抜けを取り囲み、最下層の濃密で絶対的な暗黒へと螺旋を描いて沈み込んでいる。 上層から幾重にも滴り落ちる工業排水と洗浄廃液が、粘りつく黒い汚泥の雨となって、死せる空洞に単調な水音を反響させていた。腐敗した有機廃棄物、酸性電解液、そして錆が入り混じった甘ったるい血生臭さが鼻をつき、呼吸のたびに肺の奥へ毒気を帯びた工業煙霧を吸い込んでいるかのようだった。

かつてここは、この垂直生態メガストラクチャーの「消化管」だった場所だ。 最上層と中層の住民が投棄したあらゆる生活ゴミと産業廃棄物が、この巨大な漏斗を通って落下し、最底辺の地下都市(アンダーシティ)へとそのまま注ぎ込まれていた。底辺の流民たちはそのゴミの山を漁り、生き延びてきたのだ。現在、排水ゲートはすでに閉鎖されているが、壁面に残された昇降シャフトとスチールワイヤーは、今なおこの深淵の底へと至る唯一の物理的ルートだった。

一戸は中空に突き出た金属プラットフォームの縁に立ち、足元に広がる黒い深淵を見下ろした。 躊躇はない。腰に巻きつけていた高張力ワイヤーを解き、太いH形鋼の支柱へと手際よく結束する。ワイヤーを逆手に掴み、身体を後方へと傾けると、手すりを乗り越えて深淵の闇の中へと一気に身を投げ出した。

下降は、完全なる覚醒下での拷問に等しかった。 左の鎖骨と肩甲神経叢の断裂面は骨ピンで強引に留められているとはいえ、ワイヤーを握る腕に負荷がかかるたび、編み込み繊維の反動が深部の激痛を何倍にも跳ね上げる。引き伸ばされた筋繊維の隙間から滲み出た温かい血が、処置されたばかりのインナーをじわりと濡らしていった。

一戸は奥歯を噛み締め、呼吸の乱れを極限まで押し殺した。 義眼・オラクルの冷徹な青い光が、暗闇の中で周囲の金属フレームの応力データを絶え間なく更新し、錆びついて脆くなった吊り下げられた鉄骨を寸分の狂いもなく避けていく。

およそ二百メートルを滑り降りた時、靴底が比較的開けた中継フロアの鉄板を捉えた。

だが、戦靴(コンバットブーツ)が足元の鉄板を軋ませた瞬間、背後の闇の中から、カチリと微小な撃発装置の噛み合う音が響いた。

ぼろ切れを纏った六つの影が、打ち捨てられたコンテナとスクラップの山から音もなく滑り出てくる。手製の散弾銃、改造された空圧式ネイルガン、そして研ぎ澄まされた飛び出しナイフが、三方から半円を描くようにしてプラットフォームの退路を塞いだ。

ゴミ処理シャフトの残飯を漁って命を繋ぐ、最下層の漁り屋——『清掃人(クリーナー)』たちだ。

先頭に立つ男は痩せこけており、顔の右側には酸性液の火傷痕が引き攣るように走っていた。手には使い古されたチタン合金製の軍用ショートダガー。その瞳には、血の匂いを嗅ぎつけたハイエナ特有の貪欲さと猜疑心がぎらついている。

「動くな」

傷跡の男の嗄れ声が、水滴の反響を切り裂いた。 「上層と中層都市(ミドルシティ)が総出で人間狩りをやってる最中だ。血ィ垂れ流した死に損ないが頭上から降ってきやがった。……レッドウルフの猟犬(ハウンド)どもを俺らのシマに引き込んで、飯のタネを潰す気配か?」

男の脇にいた若い小柄な男が、渇いた唇を舐めた。一戸のコートの裾から滴る血痕にねめつけるように視線を注ぎ、切迫した声で耳打ちする。

「頭《カシラ》! メガウォールの街頭放送で流れてる懸賞金があれば、合成レーションが三年分は食えるぜ! こいつ足元がフラついてやがる、これだけの重傷なら持つわけがねえ。全員の銃で一斉にハチの巣にしてバラしちまおう——」

その言葉が終わるよりも早く、殺意が走った。

一戸の表情には微塵の揺らぎもなかった。現在の肉体が消耗戦に耐えられないこと、そしてここで発砲音を立てれば、上層の捜索部隊に音響ソナーで探知されることは火を見るより明らかだった。

一瞬で、格の違いを骨の髄まで刻み込む必要がある。

一戸の右手の指先が、コートの外ポケットへと滑り込んだ。先刻のチンピラから奪った、ビニールテープ巻きの粗製閃光弾(スタングレネード)の信管に指をかける。

安全ピンが外れ、スプーンが弾け飛んだコンマ零一秒。 一戸の身体が、動いた。

【25%】

神経系が低負荷の唸りを上げ、周囲の淀んだ大気がゼリーのように粘りつく超スローモーションの視界へと引き伸ばされる。 宙に放り出された粗製グレネードが、静止した空間の中で極めて緩慢に回転し、信管から吹き出した眩い火花が、ゆっくりと膨張する純白の綿毛のように広がっていく。

六人の漁り屋たちの顔に浮かんだ貪欲と凶暴さは、まだ恐怖へと歪む暇すらない。強光に焼かれた瞳孔は緩慢に収縮を始めたばかりで、引き金に添えられた汚れた指は、最初の1ミリの遊び角すら引き絞れていなかった。

一戸の戦靴(コンバットブーツ)が、錆びた鉄板の上を滑るように擦過した。 25%の時間拡張領域において、生身の大腿筋は寸分の狂いもなく爆発的なトルクを解き放つ。無駄な挙動は一切ない。地を這う灰色の亡霊と化した一戸は、スローモーションの光の死角を縫い、傷跡の男の内懐へと切り込んだ。

稲妻のように伸ばされた右手の掌底が、前傾した相手の慣性を利用して前腕を跳ね上げる。人差し指と中指が万力のように指の隙間をすり抜け、握られていた合金ダガーを鮮やかに奪い去り、逆手にロックした。

そのまま前進の運動量を殺さず、一戸の体軸が空中で半歩分だけ鋭角に旋回する。 弦を放たれた矢のごとく三メートルの間合いを一瞬で詰め、側翼で喚き散らしていた若い男の懐へと肉薄した。

反転したダガーの凍てつく刃が、遅延した視界の中で滑らかな銀の弧を描く。

「プツンッ」

刃先は正確に耳介の軟骨へと滑り込み、極めて軽やかに、極めて速やかに、耳の付け根を一文字に抉り抜いた! 皮膚と肉が切り離され、空中に撒き散らされた数滴の赤い血珠が放物線を描き始める前に——一戸の左手が空中で滑らかに軌道を描き、切り落とされたばかりの生々しい左耳を寸分の狂いもなく受け止めていた。

淀みない身のこなし。流れるような体術。 一戸は凝固した空気の層を踏み越えて傷跡の男の背後へと滑り戻ると、反動の慣性に乗せ、血の滴る温かい左耳を、中空で固まっていた男の左手の平へ、何事もなかったかのように叩き込んだ。

次の瞬間——ダガーの冷たく研ぎ澄まされた切先が、傷跡の男の頸動脈の皮膚へ、深々と突き立てられていた。

時間流速が、轟音と共に現実へと叩き落とされる!

「カッ————!!」

圧倒的な白色閃光と耳を劈く衝撃波が、プラットフォームの縁で炸裂した! 灼熱の盲目がスクラップのフロアを一瞬で呑み込み、生き残った男たちは悲鳴を上げて目を押さえ、手製の銃や鉄パイプを虚空に向けて滅茶苦茶に振り回した。

「ぎゃああああああああっ——!!」

衝撃波の余波が引く間もなく、三メートル先から喉を裂く絶叫が爆発した。 先ほど懸賞金を山分けしようと喚いていた若い男が銃を取り落とし、膝から崩れ落ちて、顔の左側から噴き出す鮮血に狂ったようにのたうち回っていた。指の隙間から、大量の赤黒い血が鉄板へと激しく飛び散る。

「俺の耳が……俺の耳がぁぁぁぁッ!!」

同時に、傷跡の男の視界のブレが収まりかけたその首筋に、骨の髄まで凍りつくような悪寒が走った。 冷たい合金の刃先が、喉元の薄皮をわずかに押し込んでいる。あとコンマ数ミリ押し込まれれば、太い動脈が裂け飛ぶ。

視線を下へと落とすと—— 何もないはずだった自分の左の掌の上に、いつの間にか、生々しく血に塗れ、まだ微かに痙攣している生温かい肉塊が乗せられていた。

たった今、完璧な手際で切り落とされた部下の左耳。

頭頂部から氷水をぶちまけられたような戦慄が全身を貫いた。男は硬直し、全身の毛穴が逆立ち、額から血の気の引いた冷や汗が噴き出す。

スタングレネードが炸裂するまでの、コンマ零一秒にも満たない刹那。 この重傷の男は、自分のナイフを奪い、三メートル先を跳んで部下の耳を削ぎ落とし、背後へと舞い戻ってその耳を自分の手に握らせた上で、喉元に刃を突きつけていたのだ。

逃亡者などではない。 指一本動かすだけで、瞬きの間にこのフロアの人間全員を首なし死体へと変えられる、本物の化け物だ。

一戸は男の側面に立ち、片手でナイフを喉元に押し当てたまま、一切の感情を排した声で、氷のように冷徹な言葉を落とした。

「カラン……」

一戸の手首がわずかに返り、ダガーが指から放たれた。金属が油に汚れた床に落ち、澄んだ乾いた音を立てる。

「俺は通りすがるだけだ」

一戸の声には微かな息の乱れすらなかった。だが、その一語一語に、剥き出しの血の匂いが宿っていた。

「手下に弁えさせろ。……死にたくないならな」

傷跡の男は全身を冷汗でぐっしょりと濡らし、手のひらの上の温かい耳の重みに小刻みに震えていた。 荒い息を吸い込み、額の汗を拭うことすらできず、手の中の肉塊を握り締めながら、目を押さえて呻く手下たちへ向けて嗄れた怒号を張り上げた。

「テメエら全員、銃を床に捨てろッ!! 下がれ! 全員後ろへ下がれッ!!」

男は奥歯を噛み締め、深淵の底へと続く唯一の通路を開け放つと、深く頭を垂れ、一戸の顔を視界の端に入れることすら恐れて目を伏せた。

「……通しな」

血を流してのたうち回る仲間を見た漁り屋たちの瞳から、貪欲の色は完全に消え失せ、骨の髄まで染み渡る恐怖だけが残されていた。全員がパニックのままコンテナの影へと後退し、一戸の前に立ち塞がる者は誰一人としていなかった。

一戸は無表情のまま歩みを進め、プラットフォームを真っ直ぐに横切っていった。 床に転がる耳にも、叫び続ける若者にも、視線一つ向けない。 胸元の隠しポケットに収めたAX-19モジュールと、この傷だらけの肉体以外、彼には失うものなど、もう何一つ残されてはいなかった。

フロアの先端へと歩み寄り、一戸は『清掃人(クリーナー)』たちが深淵へ降りるために組んだ、手製の滑車ロックを片手で手繰り寄せた。

金属のラッチが、太いスチールワイヤーに重く噛み合う。

「カチリ」

一戸は深淵へ向けて、躊躇なく身を投げ出した。

狂暴で冷え切ったヘドロ混じりの突風が、鼓膜を破らんばかりの轟音を立てて耳元を吹き抜けていく。 チャコールグレーのトレンチコートの裾が、夜風に激しくはためいた。

一戸の肉体は一筋の鋭利な残影と化し、眼下に横たわる底知れぬ静寂と漆黒——陽の光の差すことのない、あの地下都市(アンダーシティ)の深淵へと、まっすぐに滑り落ちていった。

 

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