ブルアカの世界に転生したけどもう終わってました!? 作:MIKAZUKIN2525
「先生、ここは世紀末か何か何でしょうか⋯⋯」
先生と共にとある場所を歩くレオは、周りから常に聞こえ続ける怒鳴り声や銃声、時には爆発音にかなりの恐怖を感じていた。
確かにキヴォトスは銃社会だ。でも、彼が普段いるシャーレやその付近では銃声などめったに聞こえない。
なのに、常に銃声が聞こえるこの場所こそ。
「ははっ、仕方ないさ。なにせここは、キヴォトスの中でもかなりの混沌を極めている場所⋯⋯ゲヘナだからね。」
「うっ⋯⋯そうは聞いてましたけど⋯⋯ここまでとは⋯⋯」
そう。ゲヘナである。
ゲヘナ生はよく言えば自由。悪く言えば不良。そんな人間が大半で、「自由と混沌」を校風としているのも頷ける。
レオももちろんゲームの知識で知ってはいたが、想像以上に治安が悪かった。
「あっ、おい今肩ぶつかっただろ!!?」
「なんだよ、そっちからぶつかってきたんじゃねえのか?」
「今日は〜、この手榴弾を試そ〜♪」
「そう?じゃあ私はこっちの使おーっと。」
「開発だ開発!今日の目標はこっちだ!!」
「おーっ!!」
右を見れば喧嘩が。左を見れば爆弾が。そして、上を見れば⋯⋯人が。
「えっ、人?」
「どうしたんだいレオ君⋯⋯って、あれは。」
辺りを見回していたレオは、空を飛ぶ一つの人影に気づいた。そして、今レオたちが立っている広場。混沌が極まりすぎているその場所に、紫の雨が降り注いだ。
空飛ぶ少女が両手で持つマシンガンから放たれたそれは、一瞬にして不良生徒や開発部員達を一掃した。
「⋯⋯ふう。先生が来るっていうのに、何か問題が起こったらたまったものじゃないわ。」
「ヒナ!」
ゲヘナの最高戦力、ゲヘナ風紀委員会委員長の空崎ヒナである。
「迎えに来てくれたの?もしそうだったら、うれしいな?」
「うん、その通り。今日の仕事も早めに終わらせた。」
小柄でありながらも、大きな羽にかなりのボリュームがある髪、そして身長とほぼ同じ大きさの機関銃を肩に掛け、ヒナは先生とにこやかに話す。
そして、ヒナは先生の横に立つレオに気づいた。
「貴方が噂のレオ?」
「えっ、あっはい!」
話しかけられると思っていなかったレオはびっくりして少し声が裏返った。
「私は空崎ヒナ。よろしくね。」
「桜木レオです。こちらこそ、よろしくお願いします。」
2人は握手を交わし、ヒナは改めて会話を始める。
「先生、今日は風紀委員会に来るってことで合ってたよね?」
「うん。色々確認したいこともあるからね。」
「それで、ヒナさんが迎えに来てくれた⋯と。」
「そうよ、ゲヘナでは何があるか分からないから。」
「ヒナがお迎えに来てくれたなんて本当に嬉しいよ。ありがとう。」
「⋯⋯うん。じゃあ、行こう。」
そうして、3人は風紀委員会本部へと歩き始めた。
歩いている最中、少しの雑談が交わされる。
「⋯⋯それにしても、レオ。貴方背がかなり高いのね⋯⋯」
「まあ、そうですね。男性の平均以上はあるとは認識してます。」
レオの身長は190cmを越えている。142cmとかなり小柄なヒナからしてみれば、巨大と言えるだろう。実際、ヒナとレオが話すときにかなり見上げないといけないという問題があった。
「うーん、確かにレオ君の身長は高い。けど、君と話していると首が疲れてしょうがないよ。」
「いやー⋯⋯なんかすみません⋯⋯」
「レオ、私は気にしないわ。それに、背が高くて⋯⋯その⋯か、かっこいいと思う。」
「! あ、ありがとうございます⋯。」
消えるような声で話したヒナは顔を伏せた。
よく見ると、ヒナの顔が少し赤らんでいるのが見える。だが、レオはそれに触れることは無く、黙って道を歩き続けた。
■
「アコ、戻ったわ。」
風紀委員会本部に到着したヒナ達はそのままヒナの執務室へと入室した。
中には委員長を除いた風紀委員会の幹部メンバーである3人がいた。
「お帰りなさい、委員長。⋯⋯だ、誰ですかその男!!?まさか⋯⋯先生の⋯⋯!!?ふ、不純です!!風紀委員会として見過ごせません!!」
「落ち着いて。説明するから。」
少し目のやり場にこまるような服を着た生徒、天雨アコ驚くように叫んだ。ただ、声には出さないが先生とレオは思った。「風紀を乱しているのはお前じゃないのか。」と。
「アコちゃん、まーた暴走してるよ⋯⋯」
「もう慣れましたね⋯⋯」
そしてそれを眺めていた残り2人の幹部メンバー。銀髪のツインテールが揺れ、呆れたような視線を送る銀鏡イオリ。メガネのブリッジを押し上げ、ため息をつく火宮チナツ。
ヒナはなんとかアコを落ち着かせ、説明を始める。
「この人は最近シャーレで働くようになった桜木レオよ。」
「はい。シャーレの仕事とのことなので今日は先生に着いてきました。よろしくお願いします。」
「だから、アコの思っているような人じゃないわ。」
「そ、そうですか。すみません⋯早とちりでした。」
アコはレオに頭を下げた。
「気にしないでください!初めて会ったんですから、仕方ないといいますか⋯⋯」
「レオ君、私は別に君が私の男でも構わないのだが?」
「先生、冗談は止めてください。余計に混乱を招きます。」
どこまで本気なのか分からない先生の発言はレオに躱され、先生はムスッと頬を少し膨らませた。
「じゃあ、そろそろ本題に入りましょう。」
「うん、そうしようか。」
説明も終わり、皆が落ち着いたところで、仕事の話が始まった。
ただただ普通の仕事なため、説明は不要である。
1時間後。
「よし⋯⋯何も問題なし。ありがとう、助かったよ。」
「これで終わりなのか?少しあっけなかった気もするが⋯⋯」
「いえ、6人全員でやったのでここまで早く終わりました。皆さん協力ありがとうございます。」
レオは風紀委員会の4人に向けた感謝を述べた。
「そ、そうですか。そう⋯⋯」
「ねえレオ君、私には?」
「先生にはいつも感謝してますよね?でも⋯⋯ありがとうございます。」
「お、おお⋯⋯そうか⋯⋯」
レオは非常に、とても非常に、女たらしである。
「じゃあ、今日は帰るとするよ。ほら、レオ君も。」
「あ、ちょっとだけいいですか?」
そう言うとレオは自身のカバンの中を漁り、一つの瓶を取り出した。そして、ヒナにそれを手渡す。
「これは?」
「俺がよく飲んでる栄養ドリンクです。効きますよ、マジで。」
レオが前世から飲み続けていた栄養ドリンクである。キヴォトスにも同じものがあったときにはかなり驚いたが。
また、レオはかがみ、ヒナに耳打ちをした。
「あまり自分を追い込みすぎないでくださいね。ラベルに俺の連絡先を書いておいたので、何か困ったことがあれば連絡してください。」
「!!? う、うん⋯⋯」
「なっ⋯⋯!!レオさん、貴方という人は⋯⋯!!」
「じゃあ、また!」
そうして、レオ達は去っていった。
帰り際、先生からの質問が飛んだ。
「何を渡したんだい?」
「俺がよく飲んでるやつです。」
「ああ、あれか。して、どうして⋯⋯?」
「先生なら分かると思いますが⋯⋯ヒナさんって、かなり激務ですよね?今日も徹夜明けっぽかったですし。」
レオがヒナにああして優しかったのは、彼がヒナから”同じ波動”を感じたからである。社畜時代の自身のハードワークと重なり、お労しく思ったのだ。
「⋯⋯流石だね。私もそこまでは見れていなかったよ。」
「まあ、はい。」
先生からの称賛にレオは少し恥ずかしそうにした。
「(あの様子を見て、何もしないほど俺は落ちぶれてはいないか⋯⋯)」
こうして、レオのゲヘナ、ひいては風紀委員会訪問の日は、終わりを迎えた。
■
「⋯⋯はぁ⋯」
執務室には、色々な感情が混ざった空気が流れていた。
ぽやぽやと思いを巡らせるヒナ。
「ああ⋯⋯委員長にあんなに近づいて⋯⋯!到底許せません⋯⋯!で、でも⋯⋯私も彼には⋯⋯」
怒っているのか想っているのか分からないアコ。
「あいつ、静かな嵐のようだったな⋯⋯」
「ええ。でもまあ⋯⋯」
冷静?なイオリとチナツ。
レオはまた、自分が理解していないところで、想われているのだった。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
活動報告の方に一応リクエスト募集を投げておくので良ければそこにコメントで出してほしいキャラ、絡みをリクエストしてみてください。私のネタが切れた時(もう結構切れてる)にやります。