「……ゲホッ……はぁ……」
息苦しさと共に目が覚める。
まるで肺に空気が足りなかった。俺は勢いよく空気を吸い込むが、気道が締め付けられたように苦しい。
あれ?俺ボコられたんだっけ?
いや、違う、俺はライトキーパーになったんだから、もう犯罪からは手を洗って——。
犯罪?
「あ……あぁ…………」
そうだ。俺、は……。記憶がみるみると鮮明に蘇る。
昨日、何が起こったのかを思い出してしまった。
左胸に手を当てる。ほとんどない胸部の下にある心臓からはどく、どく、と音がした。肌は平常時よりは冷たいものの、生き物の温度だった。
俺、死んでない。なんで?殺さなかったのか?殺せなかったのか、あの人は。
「ん?待て、待てよ」
憂慮しかけたところで、ようやく自分が廃墟の中にいないことに気づいた。
ただっ広い草原の上で、俺は寝転がっていたのだ。ここは何処だ?全然見覚えがないな。
勢いよく起き上がり、土を払う。
ぐるりと見回してみた。近くに、街があることに気づいた。
あー、なんだ。俺の廃墟と逆側だけど、ナシャタウンの近くだった。すぐ帰れるな。
何が起きているのかは、さっぱりわからない。だが、ここでこのままぼんやりしていて、ワイルドハントに襲われてはたまったものではない。
俺は、ナシャタウンに向かって歩き始めた。
てか、なんで俺家で寝てないんだよ。記憶喪失かよ。
せっかく布団買ったのにあれ何処行ったんだ?頑張って値切ったのに!モラめちゃくちゃ減ったのに!こんなことなるくらいなら、布団なんて買わなきゃよかった。
……クルムカケなんて、食べなきゃよかった。
「ギメイラ!」
「ん?なんだ?俺今余裕ないんだけど……」
「おまえ、一応ライトキーパーだったよな?」
ぼんやりしていたら、いつのまにか何十分も歩いていたのだろう。ナシャタウンに居て、たくさんの人に囲まれてた。知り合いもちらほらと居る。
え?何これ。なんで俺囲まれてんだ?
「確かに俺、ライトキーパーだけどさ。なんだ、朝から」
「人が、死んでるんだ!明らかに人には殺されてない!」
「なんだって?」
ライトキーパーは基本、窃盗や殺人事件ではなく、ワイルドハントやアビスなどへの対処をする組織だ。
しかし、もしそれが魔物の仕業だと言うのなら、俺たちは仕事をしなくてはならない。
対処の仕方なんてわかんないけど、上に報告するくらいはできる。そもそも、俺は偵察や調査のために雇われたんだし、調べるのなら、俺に向いているだろう。
何より、集中している間は、嫌なことを忘れられる。願ってもない、タイミングだった。
「こっちだ!このレストランの厨房で、女性が亡くなっていたんだ!」
「は?」
そうして連れてこられたレストランは、見覚えのある所だった。
俺が、昨日クルムカケを食べた所だ。首を絞められ、気絶した場所でもある。
嫌な予感がした。胃の中身がひっくり返りそうになるほどに、変な感覚があった。
俺は足早に、昨日閉じ込められた厨房へと向かった。そして、勢いよくドアをこじ開ける。
「……なん、で」
むせ返るような血の匂いが、辺りには充満していた。
血が派手に飛び散った跡。勢いよく、短時間の間にやられたのだろう。それが見てとれる。
その中央には、女性が居た。刃物で切り裂かれている。かろうじて切り落とされてはいなかったが、右手はひどい有様だった。
俺の首を絞め、クルムカケ十個を俺たちのもとへと運んだ女性。
彼女は、死んでいた。
「どうしてだ!どうして、どうしてどうして……」
目が覚めて、昨日の記憶を思い出した時、俺は心の奥底で謝らなくてはならないと思った。
昨日は首を絞められていて謝れなかった。だから、許されるとは思ってないけど、でも、一生をかけて罪を償おうと、勝手に思ってたんだ。
バカだった。バカだ、俺は。ヤフォダの言う通り、バカギメイラだ。
「ギメイラ、見てくれ。この足跡」
しかし、俺が悔いる間も与えずに、後ろから次々と言葉が降り注ぐ。
指を刺された箇所を、俺は何秒もかけてようやく見た。
「ヒルチャール?」
厨房は綺麗に掃除されているため、足跡は付着しにくい。しかし、血で足跡がくっきりと残っている。どうやら裏口に繋がっているようだ。
確かにこれは間違いなく、人間のものではない。ヒルチャールのものだった。
犯人はヒルチャール。そういうことになる。
思い当たる話はあった。前、俺とイルーガがヒルチャールの足跡を見つけたことがある。確証はないが、場所が近いこともあり、同じヒルチャールの可能性が高い。
だとすれば、俺が今生き残っているのは、彼女が殺せなかったからではなく、俺が殺される前に彼女がヒルチャールに殺されたから、ってことか?
そして俺はなぜかヒルチャールに殺されず、俺が起きたあの場所へと運ばれて、放置された。それが、一番考えられる可能性だ。
「……ヒルチャールは何処へ?」
裏口へとまわって足跡を追ってみる。
このレストランの裏口は、ナシャタウンの端にある。普通に考えれば、俺の居た草原へと繋がっているはずだが……ヒルチャールの足跡はまるで捜査をされることを予見するかのように、右往左往としていた。
そして、やがて血が渇いてしまったのか、綺麗さっぱり足跡は途絶えている。
「魔物のくせに、ずる賢い奴だな……」
女性の切り裂かれ方から察するに、ナイフとか、剣とかで斬られたのだろう。さらに、わざわざ裏口から出ている。人の気配を察知できるのだろうか。しかも、足跡まで消していると来た。まるで手だれの盗賊みたいな奴である。
盗賊……とう、ぞく。
「俺、どうすりゃいいんだよ」
俺はこれ以上調査出来る気がしなくて、その場に座り込んだ。
フラッシュバックする。財布を盗む時の俺の心臓の音。首を絞められる、その瞬間。血の海の中、横たわる女性。……気分が悪い。
だが、せめてもの償いとして、この情報をライトキーパーに持ち帰らなくては。
持ち帰って……それで……俺、どうすんだ。敵、撃てばいいのか。そうしたら、赦されるのか、俺は。なぁ、答えろよ。
誰に答えて欲しいのかすら、わからない。俺は立ち上がる。そうして向かうのは、イルーガとの集合場所だ。
今日は本来、偵察の仕事があった。だが、今はこっちの事件の方が大事だ。
「ギメイラ!」
イルーガは随分と待っていたのだろう。俺の姿を見ると、すぐに駆け寄ってきた。
「昨日、布団忘れて帰りましたよね!僕、預かっているので、帰りに……」
「布団なんて、どうでもいい」
俺は首を横に振った。首に、激痛が走った。俺は首を反射的に押さえる。
イルーガはらしくない俺の様子に、眉を顰めた。だが、憔悴した顔で今度は俺の首へと視線をやった。
「君、首に酷いあざが!」
「ちょっと、絞められたんだ。自業自得な理由だから、そこは別にいい。それよりも今、話すべきことがあるんだ」
俺はイルーガにヒルチャールのことを話した。
俺が首を絞められたこと、間接的に人を殺したことは触れずに、それ以外の全ての事実を包み隠さず言う。
イルーガは次第に、厳しい顔へとなっていった。
「俺、さ」
俺は、腕を組んだ。あ、カッコつけるためではないぞ?なんか、珍しく寒く感じたんだ。なんでだろ。
「俺、名探偵になれる気がするわ。ある意味体は縮んでるし。真実は、いつも二つ!とか言ってれば解決できると思うんだよ」
「どういうことですか?」
「名探偵といえばそれだろ?」
「……何を言ってるんですか?僕を揶揄ってます?」
「いや全然!ちょっとしか!……じゃなくて、えっと……つまり、俺、このヒルチャールを探して、倒したいんだ」
それで、自分の罪を少しでも和らげたいんだ。
そう、醜い部分は口には出せなかった。我ながら、俺の心きたねー。
人殺ししたってわかって、最初にやることが自己防衛とか。
「そうですね。これまでの捜査に加えて、ヒルチャールも探しましょう。この件は、義父さんにも話しに行きませんか?」
イルーガは間違いなく俺に何かあったと察しただろうに、それには触れないでくれた。俺はなるべくいつも通りを装いながら、イルーガの言葉に同意した。
「おや?お久しぶりですね」
なんて話してたら、背後に気づいたら気配があった。俺は全身の毛が立ち上がりかけた。
「フリンズさん」
青い髪に、金色の目。忘れることなんてない。ワイルドハントから俺を救ってくれた、フリンズさんだった。この人やっぱ気配も呼吸も人間っぽくないから、感知しにくいんだよな。
「メイラも、フリンズさんと知り合いだったんですね」
「俺をライトキーパーに誘ってくれたのが、フリンズさんなんだ。フリンズさんにも、話した方がいいよな。えっと、こんな事件があって……」
またも一部以外包み隠さず話せば、フリンズさんは意味ありげに目を細めて俺を見た。
「なぜか、朝に草原で眠っていたことについて、どう思われますか」
「え?ヒルチャールが俺を運んだんだろうなーって。そういえばなんで俺のこと、殺さなかったんだろ」
「なるほど、確かにそう考えるのが妥当だと思います。しかし僕は、それだけのようには思えません」
フリンズさんから、目隠し越しからも刺すような視線を感じる。
なんだ、この異様な雰囲気。俺は、なぜか一歩足を後ろにやってしまった。
「何かあれば、僕を頼ってください。この話は、ニキータにも通しておきます」
フリンズさんはこれ以上は言わずに、そう言い残した。僕を頼ってください。それは俺に向けての言葉でもあり、イルーガに向けての言葉でもあるように思った。
それだけのようには思わないって、どう言うことだ?俺を運んだわけじゃないってこと?確かに俺、どこにいても、気づいたら廃墟にいるし、夜に俺が勝手に歩いただけなのかもしれないな。ヒルチャールは関係なかったのか?
疑問は消えないまま、その日はただ、ワイルドハントの調査と共に時間が過ぎ去っていった。
✳︎✳︎✳︎
「なぁイルーガ」
俺はまたしても途中で消えた、ヒルチャールの足跡を見てげんなりした。
「俺名探偵なのに全然見つけられないんだけど。まさか真実、十個以上あったりしないか?」
「それは僕にも分かりませんけど、流石に投げやりすぎだと思います」
俺たちは、ヒルチャールの捜査も任せられた。とはいえ、戦うことは認められず、見つけたとしても偵察に集中して情報を持ち帰ることを頼まれている。
かのヒルチャールは普通のものと比べものにならないほどに強いだろうと、予想されているからだ。
あれから二週間も経つが、俺はいつもより大幅に仕事の時間を増やして、ヒルチャールを限界まで調査している。だがヒルチャールは、ほとんど尻尾を掴ませなかった。このヒルチャールによる事件の被害は、増すばかりだった。
「息抜きでもするかー。流石に働きすぎて疲れたわ」
「そうですね、メイラは休んでてください」
「イルーガも休むんだよ!」
俺はイルーガの腕を無理矢理引っ張った。何まだ仕事しようとしてんだよ。俺だって早くヒルチャールを見つけて、このどうしようもない感じから解放されたいけど、無理なものは無理なんだ。
俺はナシャタウンのいい感じの店を探して、視線を右往左往させる。
そうして、甘い匂いを嗅ぎ取った。クルムカケの匂いだった。がく、と頭が殴られたような衝撃とともに、口の中にしょっぱいものが広がった。は、吐きそう。
「俺、クルムカケ嫌いになっちゃったんだ」
「あれだけ食べすぎたら、そうなるでしょうね」
「でもな、クルムカケに罪はないと思うんだ」
「……そうですね」
「だから俺、クルムカケマスターになろうと思う」
「え?」
クルムカケマスターに、俺はなる!
俺はとりあえず、クルムカケの材料を買うことにした。幸い、イルーガが時々俺の家に来て料理を振舞ってくれるから、結構材料は揃っている。
あれ?でもクルムカケってどうやって作るんだ?レシピとか売ってるかな。……でもレシピって高いよな。
よし、勘で行こう。勘でいけるはずだ。
イルーガは俺が購入した材料をみて、顔を青ざめさせた。
「ま、まさかクルムカケを作るつもりですか?」
「クルムカケマスターの俺に任せろ。完璧なクルムカケを作ってイルーガに食べさせてみせる」
クルムカケなんて、クリームの入った、ただのクッキーだろ?オーブンはないがフライパンとかでも作れるはずだ。
「あ、そうだ!ヤフォダにもプレゼントしたいなぁ。すみません、ヤフォダ見てませんか?」
俺は一応顔見知りの、通行人に話しかけた。盗賊をしてた頃、何度か匿ってもらったことがある。
「ヤフォダ?そういえばここ長いこと、一回も見てないわね」
「そうですか……。ありがとうございました」
ヤフォダ、確かに俺も最近……少なくとも二週間は見てないや。ライトキーパーになってから、必然と忙しくてあまり会えていない。ヤフォダも忙しいんだろうな。
俺は材料を抱えて、家まで歩いていった。
さて、俺の家だが、最初と比べて見違えるように良くなっている。
まず布団。天国だ。寝起きが良くなった。そして、食器。便利になった。以上。
それだけだが、本当に生活は変わったのだ。
「えっと、薄力粉と卵とバター?これ混ぜたらそれっぽくなりそうじゃないか?」
「僕も作ったことはないですけど、確かにクルムカケになりそうですね」
結局イルーガも、参戦してくれている。
それらしくなりそうだと思ったところで、そういえば砂糖を入れ忘れていたことを思い出した。
えーっと?どのくらい入れればいいんだ?
適当に袋を傾ければ、ものすごい勢いで砂糖が出ていった。明らかに、入れすぎだ。……でも砂糖って入れれば入れるだけ美味しくないと思うんだよな。うん。
俺は自分を信じて、全部混ぜ合わせた。すると、クッキーの生地のようになっていく。どうやら、俺は正しかったようだ。成功間違いなし。俺は生地を薄く広げて、フライパンに乗せ、蓋を閉めた。
「……本当に、できるんでしょうか」
「いけるいける」
しばらく、雑談でもして時間を潰せば、甘い匂いがしてきたので、俺はフライパンの蓋を開けた。
「うわっ」
出てきたものは、完全なるただの薄焼きクッキーだった。すっかり固まっていて、クルムカケの形にはできなくなっている。俺は仕方なくその上にクリームを絞った。
薄焼きクッキー、クリーム乗せ。全然クルムカケじゃない。
俺は恐る恐る、一口齧ろうとしたが、トラウマのせいで全然食べれない。
俺は顔を青くさせて、クルムカケを皿の上に戻した。
「ギメイラ、一口貰ってもいいですか?」
「え?いいけど、味の保証はしないぞ」
「大丈夫です」
イルーガは、ひとかけら割ると、迷わず口に含んだ。
特に感想もなく、無言で口を動かしている。なんだよその反応。不味いのか?美味いのか?
「すごく……甘いですね。あと、クルムカケではないと思います」
「ですよね」
そう言われれば、食べられる気がしてきたので、俺はクルムカケもどきを震える手で、口にまた運んだ。
甘い香りが鼻を突いた途端、冷や汗が背中を駆け抜ける。血の匂いを同時に感じたような気がして、全身の毛が毛羽だった。
しかし、舌がようやく味覚を感じたその時、俺は思わず叫んでいた。
「あっま!甘すぎだろ!」
そりゃ言葉を濁すわけだ。砂糖の入れすぎを表したような味をしている。生地もなんか硬くて煎餅みたいになっている。だが、おかげでクルムカケの味には程遠かった。
冷や汗が、スッと引いていく。
「ふふ。僕はこの味、好きですよ」
「え?そうなの?」
そう言われるとは思わず、俺はぽかんと間抜けな顔を晒した。イルーガは、笑いながら頷いた。気づけば、クルムカケが遠慮なく全部消えている。確かに甘すぎるけど、不味くはなかった。
「じゃあ、また作ろっかな」
えへへ、と俺は照れながら調子に乗ると、イルーガは止めようとせず静かに頷いた。クルムカケなのかはともかく、目的は達成できた。もう、クルムカケを見ても吐き気は浮かんでこない。ただ、このやりすぎなくらいに甘い味に、上書きされていた。
「なぁ、イルーガ。関係ないんだけどさ」
俺は寝転んで空を見上げた。
「なんですか?」
イルーガは不思議そうに首を傾ける。
空は当然昼間なんだから、星一つなかった。
「月ってどんな色なんだ?俺、夜になると眠くなる特殊体質だからさ、わかんないんだよ」
「月、ですか?」
なんとなく気になっていたことを尋ねた。
いやだってさ、めちゃくちゃ真っ赤な月かもしれないじゃん。ファンタジー感増し増しの。だとすれば、夜の空を眺められないのは、かなり損をしている。
ナドクライは、かつて月神、クータルがいたとされる地だし、やっぱりなんかありそうじゃないか。
「自分で見てみるのは、どうですか?」
「え?だから、体質で見れないんだって」
「君に効く、眠気覚ましの薬があるかもしれません。どうせなら、僕は君の目で直接、確かめて欲しいです」
「その考えはなかった!」
俺はポンと手を打った。
そうじゃん。眠気覚ましの薬を飲んでみれば月が見れるかも!
青い月とかか?それとも真っ赤?まさかのレインボーカラー?……普通の黄色だったらがっかりだが。
でも、そうだな。俺まだ、この世界の夜の空を一回も見てないんだ。夜になったら眠たくなり、月が地の下へと潜り込むその時まで、俺は目を覚ませない。
どんな空なんだろ。案外、普通だったりしてな。
「イルーガはさ、俺が悪い奴だとしたらさ、俺から逃げるか?」
「そうですね。どんなことをしたのかは聞きますし、場合によれば君を怒るかもしれません。でもなるべく、君に寄り添えるようなひとでありたいとは思います」
「もしかして心に天使飼ってる?」
「飼ってません!君だって、優しいひとだと、僕は思ってますよ」
「そんなことないけどな」
苦笑した。……俺は、人殺しだ。でも、生き延びてしまった。首を絞められた時、俺は死んでもいいかな、と思った。でも今はそうは思えなくなってしまった。
だから、どうせならイルーガの言ってた通り、生きてるって感じの生活、したいな。それから、もう罪を犯さないように、罪の数だけ人を救えるように、なれたらいいなー……なんて、俺らしくないか。
都合の良い考えだ。
「少なくとも、月を見る時までは死ねないな」
俺は、体の向きを変えて、イルーガににかっとはにかんだ。
「ありがと。俺、生きる理由、できたわ」
イルーガは何度か瞬きをした。じ、と俺の顔を見ている。何も言わないので、不思議に思い、ん?と言えば、イルーガは歯切れ悪く、「いえ……」と返した。
「それなら、よかったです」