大学で『NTR男』と呼ばれていて避けられているのに、後輩たちは臆せず話しかけて来る。その所為で周りから「次はあの子が…」って言われているんだけど。 作:主義
オレは二限の講義に向かうため、午前10時に部屋を出た。
オレは大学の近くのアパートで一人暮らしをしている。
実家から通うのはさすがに距離的に無理という話になり、一人暮らしをすることになった。最初は一人で全てをやるのは面倒だと思っていたが、慣れて行けばそれが日常になり、そこまで苦痛を感じなくなってきた。
話を戻して、大学へと向かうためアパートから出るとすぐ近くの曲がり角から、海野美夜が出て来る。
「お前って…オレのストーカーなの?」
「どうですかね。一応センパイの家とか行動パターンとか、生年月日、好きなこと、嫌いなこと、家族構成とかは知ってますけど」
「それを世の中ではストーカーと言うんじゃないのか?」
「まだだと思いますよ。だって私はセンパイの家に盗聴器とかカメラとか仕掛けていませんし」
「それは仕掛けるな。普通に犯罪だ」
「だけど、それはセンパイのことが好きなのがちょっと暴走しちゃっているだけなんです!」
「だめだ。誰がどう見てもそれは犯罪だ」
「じゃあ、センパイが私生活をカメラに録画して私に送ってください」
「なんで自分のプライベートを後輩に見せなくちゃいけないんだ」
「それは私がセンパイのプライベートを見たいからですよ」
「普通に嫌だ。何を好んで人に自分のプライべ―トを見せなくちゃいけないんだ。絶対にいやだ」
ここで言い合いをして、講義に遅れるのだけは勘弁なので大学へと足を進めることにした。
もちろん、海野もオレの隣を歩いて来る。
「お前って同級生の友達とかいるの?」
「いないわけじゃないですね」
「変な言い方だな」
「そうですかね。あんまり話さないので」
「そうだろうな。これだけオレに付きまとっていたら友達と話す時間なんてほとんどないだろう」
こいつの付きまとい度は尋常じゃないからな。最悪な日は朝から家に帰るまでずっとこいつが付きまとっていたことだってあった。
どうやらこいつの家はそれなりに金持ちで、バイトする必要もないらしい。だからこいつがオレの側から離れる時は絶対に取らなくちゃいけない必修科目の時ぐらいだ。
「お前、モテるんだから同級生たちは泣いてるんじゃないのか?」
「なんでですか?」
「だってオレの近くにいたら話しかけられないだろ」
オレの噂はそれなりに耳に入っているはずだ。噂の中には彼氏に暴力を振ったなんてものもある。そんな狂暴で最悪な男の近くにいる女はさすがに手が出せない。
余程の命知らずか、正義感の塊じゃなければな。
「モテますけど、私はいつも言っていますけどセンパイがいればいいんで。他の男にどれだけ好かれてもセンパイに好かれなかったら意味ないですし。中にはちやほやされたい女子もいますけど、私はそういう人たちとは違うんで」
「そうかい」
「そうです。なのでセンパイはこんな優良物件の私を逃す手はないです!」
「そうですか」
相変わらず、こいつは変わらないな。
そして大学に着くとギリギリだったので、そのまんま講義が行われている部屋に入った。もちろん、海野も付いて来る。
「お前が付いて来るのはいつものことだが、よく取っていない講義に参加するよな」
「センパイが履修しているので」
「そうだが…」
それ以上は話すことなく、講義を受けた。講義の内容自体はそこまで難しいものではないため、理解はできる。
だが、話を聞くだけの講義は眠い。
隣に視線を向ければ海野はずっとオレのことを見ているのだ。
本当にこいつは…おかしい奴だ。