夜行バスで隣になった親子が自殺しに行くところだったので、考え直させて一緒に住んだら「あなたと結婚がしたいです」と言われたんだけど。 作:主義
僕と親子は一緒に暮らすことにはなった。
そして暮らしてみて改めて感じるのはやっぱりあの親子は何か大切なものが抜け落ちているように感じた。
具体的にどんな仕草や行動かと問われると答えるのは難しいけど、なんかちょっと普通な感じではない。
少し前まで死のうとしていたわけだし、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
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今日は親子の服を買うためにショッピングモールに繰り出していた。
今、僕は食料を確保するためにショッピングモールの中に入っている、スーパーに来ていた。
親子は洋服を買うためにまた違うところに行っている。
「今日である程度の買い物を済ませておきたい」
何度かに分けて買い物に来るのも、さすがに面倒なので今回の買い物で済ませたい。数日分の食料と親子の洋服。
だけど、僕にはファッションセンスというものはない。ないという言葉では足りないかもしれない。
ファッションセンスが皆無と言った方いいかも。
これは両親や友人から聞き飽きるぐらい言われているので、さすがに自分でも自覚しているのだ。
なので、服に関して僕が親子に助言できることは何もない。だから少し多くお金を渡して、僕はその間に食料の買い物を済ませることにした。
お金を親子に渡すときに「私たちのことを疑ってないんですか?」と聞かれた。
「疑っていません。それに僕はこのお金を成美さんと杏奈さんと渡したんです。そのお金の使い道は任せます。もし、二人がお金を持って逃げたとしても僕はそれでいいと思ってる。でも死なないで欲しいけど」
そう別に親子を救うのは僕でなくてもいい。僕の渡したお金を元に二人だけの生活をしたって別に構わない。
だけど、死ぬのだけは止めて欲しい。
成美さんは32歳、杏奈さんは15歳だ。まだまだこれからも幸せが待っているかもしれないのに、その年で自らの命を絶つのは勿体ないと感じてしまう。
そして買い物を全て終えて、集合場所に着くとまだ親子は来ていなかった。なので、僕はスマホをいじりつつ、時間を潰すことにした。
数分した後に…親子がやってきた。
だけど、服装が来た時と違った。
「あれ……」
「遅くなってごめんなさい」
「それについては全然構いません。でも服が来た時と違う気がするんですが…」
僕の指摘に対して成美さんが答えてくれた。
「買った服を着て見ました」
「そうなんですね。お二人共、すごく似合っていますよ」
成美さんは黒のジャケットに薄い緑色のブラウスにブラウスと色が近いカラーパンツというコーディネート。
オシャレな雑誌の表紙を飾っていてもおかしくないぐらいに成美さんに似合っていると思う。というか、元々成美さんは美しい人だったけど、より美しくなったように感じるのは気のせいではないと思う。
そして成美さんの隣で申し訳なさそうにしている、杏奈さんは白いブラウスにスウェードスカート。すごく似合っていて、よく自分が似合う洋服をこんなに上手く見つけることができるなぁ…と関心してしまう。
僕はオシャレ雑誌とかを読む。オシャレな素質がゼロの僕は少しでもオシャレについて学ばないとヤバい。
だから僕のコーディネートのほとんどはオシャレ雑誌に載っているようなものを、そのまま買ったりする。
「成美さんも杏奈さんもオシャレ過ぎて、さすがに隣を歩くのが恥ずかしいですよ」
本当にそう思ってしまうぐらいに二人はオシャレだ。
でも、杏奈さんもそんなことは別に気にしていないようだった。
「私は嬉しいです。久し振りに洋服を似合っていると言われたので」
「ぼ、ぼくも…褒めてもらえて嬉しい」
「とても良く似合っていますよ。でも、元々成美さんも杏奈さんも綺麗ですけどね。どんな洋服を着ていたとしても二人は美しいですから」
どうやら僕の言葉が何か可笑しかったのか、成美さんは首を傾げていた。
「…口説こうとしていますか?」
「い、いえ、そういうつもりは全くありません。ただ思っていることが口から出てしまっただけで」
「そうなんですね。本当に変わっていますね」
「そうですかね」
僕としては何一つ変わっていないと思っているんだけど。
「お二人が自分のことをどう思っているのかは分かりませんが、僕は二人のような綺麗な方はこの世界にそう多くないと思っていますよ」
「…ぼくたちって…きれいなの?」
「はい、綺麗ですよ」
「そ、そっか……」
杏奈さんは視線と顔を下げてしまい、なんか機嫌を損ねるようなことを言ってしまったのかと思っていると成美さんがそんなこと気にせず、「あなたって…女の人にモテるでしょ?」と問いかけてきた。
「全然そんなことありませんよ」
モテたいと思うことはある。
でも、僕はあんまりモテないともう自覚している。
世間一般でモテるようなイケメンにはなれないと。
「あなたみたいな人はすごくモテそうな気がするけど」
「そうですかね。そう言って頂けると嬉しいですが」
なんか僕のことを高く買い過ぎな気もするけど。
そこでまた成美さんが僕に対して質問をしてきた。
「なんであなたは私たちのことをずっと綺麗と言ってくれているの?」
なんでそんな質問をしてくるのか分からない。
だって答えは決まってるから。
「だって本当にお綺麗ですから。それ以外の意味はないです」
「そう…」
そして僕とお二人は一緒に帰ったけど、やっぱり二人はみんなに注目されていて僕は肩身が狭かった。