『着せ恋』だと思った? 残念『呪術廻戦』でした! 作:自分のことを五条新菜と信じている(文字数
アウトランダーズでかわいい女の子作ってたら遅なったわ! 狐目女の子ってかわいんすよね〜! あとラヤちゃんカワイイヤッター!
ほんで時オカ買ったら更新遅なる。みんなも買え。Switch2もゼルダエディションあるから買え。ワイは買った。だからお前も買え。
《領域展延》を纏った羂索の拳は、若菜の頬に届く寸前で軌道が逸れた。
手首を引かれたのだ。ほんの僅かに。それだけで打撃の芯がずれ、若菜の顔の横を通り過ぎていく。
追撃に移ろうとしたところで、今度は若菜の一撃が迫った。羂索は半身になっていなし、打ち返す。しかし、こちらも不自然に身を引かれ、空を切った。
《蒼》の扱いが、巧みになっている。
思わず笑みが溢れた。ただし、それは宿儺のような好戦的なものだけではない。苦さも多分に含まれたものだった。
若菜は防御を固めるだけではない。触れられそうになれば身をかわし、間に合わなければ《蒼》で軌道を狂わせる。羂索が展延の精度を高めても、そのたびに対応を変えられた。
しかも、まだ羂索の領域内。《胎蔵遍野》の必中効果は健在であり、常人なら即座に押し潰されているほどの重みが、相対する者の身体にはかかり続けている。
足を踏み替えるたびに舗装が割れ、着地の衝撃だけで亀裂が広がる。重圧の対処に相当の呪力を割いているはずなのに、打ち合うほどにその動きが洗練される。地に這いつくばっていた先ほどの姿が、まるで嘘であるかのように錯覚された。
若菜が踏み込んだ。
羂索は一歩下がり、その勢いを利用して若菜の側面に回る。肩口に寄り添う小さな呪霊が、街灯の光を遮り、袖から肩にかけて薄い陰を落としていた。
日焼けへの恐怖から生まれた呪霊の術式。ただ少しばかり日を翳らす程度の能力だが、視覚に頼らざるを得ない人類にとって、その攻撃の起点を曖昧にさせるものは、こと接近戦において極めて有効だった。
影に隠した右拳が、若菜の顎に突き上がる。
若菜の反応が、僅かに遅れた。
届く。
そう確信した瞬間、肩口の呪霊が見えない力に引き剥がされた。
袖を覆っていた陰が消え、突き上げる腕が露わになる。若菜は顎を引いてかわすと、踏み込みすぎた羂索の脇に入り込んだ。羂索は咄嗟に肘を畳み、胸元への打撃を防いだ。
「ッ──!」
骨を通じて伝わった衝撃が、予想以上に重い。
腕を振って痺れを紛らわしながら、羂索は若菜の動きを追った。
不可解だった。重圧の中で動けているだけではない。足運びも見切りも、ほんの数合のうちに正確さを増している。
そして何より、呪力の減り方がおかしかった。反転術式を絶えず使用しているはずなのに、その勢いが落ちてこない。それどころか、攻防の間に取り戻しているようにすら見える。
身体能力の変化に、呪力の回復まで伴っていた。
「ずいぶんと、タチが悪いね……!」
かつて彼が試したのは、五条の血に眠る術式を引き出せるかどうかだった。その先に何が育つのか、羂索自身にとっても未知ではあったが、少なくとも自らの前に立ちはだかるものを生み出すためではなかった。
若菜の攻撃をいなし、羂索は半歩退いた。返す腕で牽制しながら、次の踏み込みを窺う。
──もう少し、待つべきだったか……?
そんな考えが浮かんだことに、羂索は内心で自嘲した。
伏黒甚爾が天元の同化を阻み、《呪霊操術》と《無為転変》まで揃った。千年を費やしても得られなかった好機を見送る理由など、羂索には考えられなかった。
若菜の拳が伸びてくる。羂索はその腕を払い、後ろに引きかけた足を前に戻した。顔を狙うと見せて胴へ打ち込み、若菜が身を捻ったところで逆の腕を差し込む。
今度こそ、《無限》の内側へ──。
しかし、若菜に届く寸前で外へ流れた。
《蒼》。
そう認識した時には、若菜の姿が懐にあった。腹へ拳がめり込む。息が詰まった。
呪力で強化していた腹筋を突き抜け、衝撃が臓腑を揺さぶる。身体が折れそうになるのをこらえ、羂索は若菜との距離を取る──取ろうとした。
だが、上着の襟を掴まれた。
「逃しませんよ」
不気味だった。これだけの過重力、これだけの運動量。それでありながら、驚くほどに息が上がっていない。
「……化け物、かい……!」
嘘偽りない、羂索の本音だった。
近い。
咄嗟に襟を掴んだ若菜の手首を狙い、短く打ち込む。だが、襟を引き下ろされて上体が崩れた。若菜がその浮いた腕を捕らえ、羂索の胸元へ背を滑り込ませると同時に膝を折った。
羂索の上体が、一気に引きずり込まれる。踏ん張ろうとした足が地面を離れ、若菜にのしかかる重力を逆に利用される形で勢いよく視界が反転した。
「ガッ──!?」
衝撃。
背中から舗装に叩きつけられ、肋骨の折れる感触とともに肺の空気が無理矢理押し出された。視野の明滅。その衝撃に呼応するように、通り中央にそびえる異形の柱がかすかに揺らいだ。
若菜が追撃に踏み出す。羂索は身を捻り、砕けた路面を転がって距離を取る。その間に反転術式を働かせ、折れた肋骨が繋がり、胸を締めつけていた痛みが引いていく。立ち上がる頃には、呼吸に支障はなくなっていた。
領域はまだ健在だった。柱は変わらず聳え、重圧も衰えていない。とはいえ、先ほどの揺らぎは無視できなかった。
若菜が再び接近する。羂索は迎え撃とうとしたが、踏み込んできた若菜の蹴りは予想以上に鋭かった。
腕を下げて受け止める。だが、勢いを殺しきれず、押し込まれた自らの腕が脇腹に深くめり込んだ。
「ぐっ……!」
羂索の身体が押され、片膝が地面についた。今度は呼吸を整える間もなく、視界の端で柱の表面に亀裂が走る。異形の一部が剥がれ落ち、地面に触れると同時に消えていった。
それとともに、若菜の足元で生じていた路面の陥没が浅くなる。重力の作用も弱まり始めていた。
──まずい……!
羂索は片膝をついた姿勢から地を蹴り、立ち上がる勢いを利用して若菜の胴へ掌底を打ち込んだ。
若菜は正確に見切ってかわすと、伸びた腕を払い落とす。空いた手で羂索の上着を掴み、間髪を入れずに引き寄せた。
羂索も足を踏み替えて抗おうとしたが、踵が乗ったのは砕けた舗装の瓦礫だった。足裏が滑り、踏ん張りの利かなくなった身体が、支えを失って大きく体勢を崩す。
そこへ、下から突き上げられた膝が寸分違わず顎を捉えた。
「ギッ────!?!?」
奥歯が鳴り、視界が白く弾ける。足が地面を離れたことに気づいた時には、すでに路肩に弾き飛ばされていた。停車していた乗用車の側面に激突し、金属が大きくひしゃげる。
顎から頭の先まで突き抜けた衝撃に、意識が定まらなかった。
そのわずかな空白に、領域の維持が限界に至る。柱が大きく傾き、先ほど生じた亀裂が縦に広がった。絡み合っていた異形が、次々と剥離していく。
羂索が意識をはっきりさせた頃には、柱の半ばまで崩落が進んでいた。残された部分もほどなく崩れ、通りにそびえていた異形の姿が完全に消え失せる。
《胎蔵遍野》が崩壊した。若菜にかかっていた重力も、同時に失われる。
それまで一歩ごとに路面を砕いていた足取りで、若菜が軽く舗装を蹴った。
羂索は凹んだ車体に手をつき、身を起こした。顎の痛みも視界の揺れも、反転術式によりおさまっている。だが、肉体の損傷は修復できても、失われた領域までは取り戻せない。
何より問題なのが、焼き切れた術式だった。肉体を渡る術式は生命線である以上、他の余波で操作を乱すようなヘマはしない。しかし、生来の術式ではない《呪霊操術》はそうもいかなかった。
また、仮に術式が回復しても、今は新たな呪霊を放てなかった。
結界から非泳者が流出し、代わりに事前に放出していた呪霊が泳者となったとしても、まだ結界内の泳者の割合は《無為転変》の底上げのために自ら課した縛りの解除条件を満たしていない。そして、自らが結界から出られないことも、前項の条件が枷となっていた。
もっとも、《呪霊操術》を使えないことと呪霊を使役でしないことは、必ずしも同義ではない。先に放った呪霊には、あらかじめ援護を命じてある。力関係を示している以上、改めて指示を与えずとも有事の際にはいずれ羂索の元へ向かってくるはずだった。
それまでは、《領域展延》と体術で凌ぐ。けれど、1000年積み上げた肉体を操る技術は、既に何の優位性も残していなかった。
迫ってきた蹴りを前腕で受ける。骨に響く衝撃で肩が跳ね、車体に身体を押し戻される。背後で軋む金属の音が、自らの内から発せられているかのように感じられた。
胸元へ伸びる手を払いのけたところで、今度は脇腹を打たれる。先ほどまで読めていた動きに、身体が追いつかなくなっていた。
──……まったく、困ったものだよ。
対処を強制される現実とは裏腹に、羂索の思考は酷く他人事だった。
「ッ!?」
唐突に、若菜の眼前で閃光が弾けた。街路の明暗が裏返り、景色が白く潰れる。若菜は反射的に目を閉じた。
舗装を長く伸びた影に、別の影が重なる。ほんの一瞬、若菜の動きが縫い止められた。
その隙に、羂索の手が若菜の前腕を掴んだ。袖口から細い糸が這い出し、手首に巻き付く。地中の土蜘蛛が、通りの亀裂を伝わせて羂索に送り込んでいたものだった。
羂索はすぐに手を離し、車体に沿って横へ退いた。糸が地面へ引かれ、制服の袖が裂ける。若菜の手首に浅い傷が走った。
だが、領域の重圧にも耐え抜いた身体には、今更手首を引く程度の力など何の妨げにもならなかった。若菜の足先は、すでに羂索に向いていた。
影踏みの呪霊の気配が途絶える。あの一瞬の拘束に、存在そのものを代償として持っていかれたか。続けて糸が《蒼》に引き剥がされ、羂索が距離を取り切るより早く拳が鳩尾に突き刺さった。
喉の奥で息がつかえた。身体を折られながらも反転術式を働かせて、辛うじて追撃をかわす。
若菜の手首には、すでに傷ひとつ残っていなかった。
羂索が立て直そうとしたところで、若菜の指先に呪力が凝り始めた。
「位相」
「ッ、些か手が込みすぎじゃないかい……!」
《蒼》か《赫》か。何を放つつもりであれ、呪詞を重ねさせるわけにはいかなかった。
羂索は踏み込むなり、若菜の首へ貫手を走らせた。指先が肉を捉える寸前、若菜がわずかに自らの肩を引く。揃えた五指は喉元の脇を通り抜け、その肩越しに伸び切った。
「波羅蜜」
指先の呪力が、さらに密度を増した。
狙いは《赫》。判別そのものは容易だった。
羂索は伸ばした腕を手刀に切り替え、首筋をなおも追う。だが、若菜がさらに踏み込むことで間合いが潰れ、肘が詰まり、振り切れなかった。
「光の柱」
もう一段、呪力が跳ね上がった。
呪詞が完成した。
そこへ、羂索のもう片方の腕が外へ弾かれた。身体の正面が開く。不覚を悔いる暇もなかった。
「術式反転──」
若菜の指先が額を捉える。
羂索は弾かれた腕をすかさず引き戻しながら、それとは上体を逆方向に捻った。頭を射線から逃がしつつ、その手首を掴みにかかる。狙いを逸らすだけなら、まだ間に合う。
指先が届く──
「それ、ズルすぎるだろう……!」
──寸前、引き戻していた腕がさらに内側へ引かれた。若菜の手首を通り越し、掴むはずだった指が空を切る。肩が突っ張り、身を逃がそうとする動きが一瞬止まった。
若菜の指先は、逸らしかけた額の縫い目を正確に追っていた。
もはや、避ける術はなかった。
頭蓋を回して受け流す。スリッピングアウェーの要領も、斥力そのものが相手では意味をなさない。呪力を纏おうとも、呪詞を重ねられたものを逸らして凌げる量ではなかった。
──ここまで、か。
羂索の口元に、苦い笑みが浮かんだ。
若菜の成長は羂索の想定を超えていた。それでいて、なおその途上にあるように思えた。その先を確かめられないことが、羂索には妙に口惜しかった。
「──《赫》」
空気が爆ぜた。
展延が術式を中和する。威力の一部は確かに削ぎ落とされた。だが、呪詞によって高められた出力を前に、濁流を素手で堰き止めるに等しかった。
凄まじい圧力が額に食い込む。縫い目を裂きながら頭蓋の奥へ突き抜け、内側を抉られるような衝撃とともに大きく頭部が後方に弾かれた。首筋が軋み、若菜の姿が視界の端へ流れる。
街路の景色が一際紅く滲んだと思えば、それを境に耳朶を打った破裂音は遠ざかっていった。
呪霊操術、無為転変抽出底上げの縛りとして考えていて、今回開示したもの。
・呪霊操術の使用禁止
解除条件:結界内の泳者割合が一定以上に達すること。
抜け道 :死滅回游開始前に結界予定域外に呪霊を放出し、開始後、結界内に侵入させて泳者登録させることで水増し(ただし、呪霊操術の支配下にあるものは個体としてカウントされないため、契約解除して野良化。黒沐死みたいなのとか特級以外も多数放出してる想定)。
その他独自設定という名の妄想:呪霊操術で支配するための格付けは終わっているので、契約解除しても結界に侵入するなど簡単な言うことは聞く。原作泳者で結界内に侵入できているのは、まだごく少数。メロンパンも原作で「じきに目を覚ますだろう」って言ってたし、ままええやろ。
・結界から一定時間脱出不可
解除条件:1時間程度経過(大体の非泳者が結界から徒歩で脱出できる時間の想定)。