曖昧なのは良くないかもですが……。
セリカのバイト先ともなっているラーメン屋、柴関ラーメン。
二足歩行する柴犬、柴大将が経営する店は、良心的な値段で情に厚く、温かみのある場所だった。
マルコがオススメの飲食店を訪ねるや、満場一致で此処に決まったので素直に訪れている。
親睦を深め、信頼を得なければ何かと困るし居心地も悪い。 打算的な観点からすれば、奢りは将来の投資なのだ。
それにキヴォトスの文化を、より間近で経験し、慣れておきたいのもある。
どうもキヴォトスは、エリ・カサモトという(情報部特殊部隊スパローズの二等軍曹)女性隊員の出身国、日本に酷似しているのも気になる点だ。 通貨も「円」であるし。
マルコは日本に詳しくないが、東洋系の土地には行った事があるし、任務終わりに現地の料理を太るまで食べまくった事もある。 口に合わん事は無いだろう。
それでも未だ慣れない、違う点は───。
「いらっしゃい! お、アビドスの生徒に、噂のシャーレの先生かい!?」
店主が二足歩行の柴犬という事が1つ。
繰り返すようだが、キヴォトスの市民、男性、大人枠はロボットか、こうした二足歩行して言葉を話す動物。
マルコのような「見た目が人間」となると、ほぼ生徒を指す。 もうそういうモノとして考えるのをやめた。
いつぞやの生物兵器や宇宙人、UMAな奴らを相手にするより、絶対に良いのは間違いないし。
「新任だが、もう噂になってんのか」
「ちょっとしたニュースにもなっていたからな! 変わった乗り物にのっていたとかで!」
たぶん先程のラクダの事ではなく、メタルスラッグの事だろう。
今後もスラッグ系にはお世話になりそうだ。 無い時は生身で暴れるが、それも毎度の事。
「今後も俺関連のニュースが好き勝手に報道されるだろうさ、応援頼むぜ。 今日のところは先生ではなく客として扱ってくれ」
「あいよ! 注文は何にする?」
「皆、好きなの頼め」
席につき、皆が揃って同じラーメンを注文。
テーブルに出されたは、スープの入ったお椀に麺や肉などのトッピングが載せられて湯気が立ち昇る、久々に見る気がする東洋系の料理。
食器の箸は使い慣れず、不器用な食べ方となったが……美味い。 運動後だからか。 柴大将が作ったからか。 いや両方だろう。
油断すれば、また食い過ぎてデブ化してしまいそうだ。 そうなると移動速度が遅くなって生存率の低下にも直結する。 戦場か否か問わず食糧には気をつけねば……。
「美味いぜ大将!」
「ありがとよ!」
「そうでしょう先生〜? セリカちゃんもバイトしてる場所だしぃ」
「ちょ、ホシノ先輩! 私は関係ないでしょ!?」
代金は、連邦生徒会から渡された取り敢えずの活動資金で支払い、店を後にする面々。
「腹拵えしたし、学校に戻るぞ……ん?」
背後から扉の開閉音。 振り返ると、入れ違いで角の生えた生徒達が入店するのが見えた。
「先生? どうされました?」
「いや、キヴォトスには色んな種族がいるんだなと思ってな。 やっぱ宇宙人もいるのか?」
「いたら面白そうだねぇ」
「捕まえたら、有名人になれそうです⭐︎」
冗談だと思われている。 流石にそこまでの存在は一般的ではないらしい。
「もしタコ型の生物を見かけても、不用心に近寄るなよ。 下手すると捕まって拷問されたりクローン生成の素体にされるぞ」
「いやに具体的だねぇ。 そういう映画?」
「……そんなところだ」
半ば実体験なのだが。
説明するのも面倒だし、信じてくれそうにないのでやめた。 何より今は任務があった。
「さて、不良の拠点探って見に行くかね」
マルコ先生の大休止終わり。
その足は、再び戦場へ歩き出す……。