「カチコミだーッ!?」
「奴だ、奴がそうだ! ラクダに乗って戦うヤバい奴だ!」
「くそっ、嗅ぎつけてきやがった!」
「今はラクダじゃない! 生身だやっちまえ!」
テントが貼られ、木箱が積まれた空き地。
如何にも怪しい場所に足を踏み入れると自己紹介の絶叫が鼓膜を震わした。
次の瞬間にはマズルフラッシュを瞬かせて、無数の銃弾が飛んでくる。 マルコは身に染みた動作のまま拳銃を構えて撃ち返してやる。
「不自然な物資の潤沢具合。 丁度木箱や弾薬箱にゃカイザー社のロゴもあるし、概ね当たりだろコレ」
そんな独り言に、後ろからついてきたホシノは「そだねぇ」と間の抜けた返事。
木箱に隠れつつ、オートマチックショットガンをブッ放っては次々と不良を地面に眠らせた。
「マルコ先生ってさぁ、やっぱり只者じゃないよねぇ。 戦いは派手に大胆だし」
「ホシノ、学校で昼寝していて良かったんだぞ。 食後で眠いだろ?」
「アビドスの問題を、先生や後輩だけに押し付けて危ない目に遭わせられないよぉ。 それこそ宇宙人に攫われたら、誰が助けるのさ」
「その時はそん時だ。 部隊の仲間が助けに来てくれるのを信じるさ。 あぁ、ただ宇宙に上がるなら兎も角、キヴォトスじゃ厳しいか」
「部隊。 やっぱり先生って、ソッチ側?」
「傭兵じゃねえけどな。 おっと、グレネードで吹っ飛ばすぞ、前に出るなよ」
会話を遮るように、マルコがボムを投擲。
取手付きの、旧式手榴弾の見た目の癖して、地面を数バウンドしてからドカンと爆発すれば、爆炎と四方八方に飛び散った破片で吹き飛ぶ不良やテント、周囲の木箱。
中からはやはり、根無草にしては豪華過ぎる武器弾薬が飛び出した。
「良い銃じゃねえか!」
ガチャッ!
“ショットガァン‼︎“
ドカンドカンドカンッ!!
ポンプアクション式散弾銃を拾い、ポンプを手動で前後、嬉々としてショットシェルを薬室に送り込んでは撃つを繰り返し始めるマルコ。
メタスラのショットガンはゲームでよくある設定通り、射程は無いが近接最強格。 なんならロケランより強いとか。
「なんで散弾銃で戦車が鉄屑になるんだよ!?」
「スラグ弾にしてもオカシイだろ!?」
接近戦はリスクはあるが、リターンもある。 体力のある相手に使える武器だ。 相手にもよるが。
「食後の運動だ!」
「うへぇ。 おじさん、動くと辛いよぉ」
「どっちが1番倒せるか勝負しねぇの?」
「え〜? のんびり行こうよぉ」
ドカンドカンと散弾をぶっ放しながら駆けていくマルコ。 恐怖も反動も感じさせない、ひたすらに真っ直ぐな背中だ。
彼の通った道には、伸びた不良やテントだった布切れ、木屑が散乱。 まるで先生を歓迎し、役割を終えた紙吹雪のよう。
「くそぉ! たった2人に……!」
「生身なら弱いんじゃねぇのかよ!?」
「あのピンクチビ、学校の時より素早い!?」
「手を抜いてやがったのかよ!?」
「駄目だ、強過ぎる……逃げるんだぁ!」
逃げていく不良達。
逃げ足が早いが、しかし。 マルコは潤沢な物資の中から、再び武器を見つけた。
それは───。
「コレは良いモノだ……!!」
ガチャッ!!
“エネミィチェイサアァ‼︎“
大筒の、ミサイルランチャー。
ミサイルは敵を自動追尾、誘導性が高い。
マルコは構え、トリガーを引きまくる!
「俺の奢りだ、受け取れ!」
砲口から次々と誘導ミサイルが発射され、逃げる不良目掛けて飛んでいく。
「ひいぃ!? 対人ミサイルだとぉ!?」
「いや無差別ミサイルだぁ!」
「そんなんアリ!?」
「来るな来るな来るなーーーッ!!」
「ぎゃああああ!!?」
次々とミサイルの先っちょが接触。
爆発。 爆発。 また爆発。 生身のJK相手でも容赦しない。 襲撃したんだ。 されもする。 引金を先に引いたのも向こう。 なら覚悟はあった筈だ。 無くても知らんけど。
「クリア! カイザーとの関係、アビドスと関わる資料を探るぞ。 暇なら手伝え」
「そのつもりで来たからねぇ」
マルコ先生、雇用契約書的な、カイザーとの関わりを探る。 派手に暴れたぶん、証拠も吹き飛んだ恐れはあったが、何だかんだ運が良いであろうマルコだ。 ここだけが唯一の手掛かりでもない。 何とでもなる。
「……ホシノが本気になれる相手じゃなかったみたいだな? 不良共が言っていたように、動きが違ったぞ」
「どうかなぁ。 眠気もあったかもぉ」
欠伸をし、おどけてみせるホシノ。
……まだ己を隠すくらいには、マルコを信じていないのだろう。
それでも会話してくれるあたり、前よりは好感度が上がっていそうではある。
「うっし、契約書的なのを見つけた! やはりカイザーからの命令で、高校に嫌がらせをしていたようだ。 悪ガキの玩具代の出所も追えそうだ」
「じゃ、それを証拠に訴えよっか?」
「大企業相手じゃ厳しいだろう」
「じゃあ何の為にソレを見つけたのさ」
「そりゃあ……お前……」
マルコ先生、ニヤリと笑う。
「借金の帳消しに、罪悪感が薄れるからさ」