工事現場の職人な格好をした子達とドンパチ
「皆、やっておしまいなさい!」
「悪いね先生、これも仕事なんでね」
「気にすんな。 互いに仕事をするだけだ」
アビドス高校にやって来た便利屋68。
そしてマルコ達と撃ち合い始める傭兵達。
交差するライフル弾。 散らばるボールベアリング。 時々手榴弾が放物線を描き、爆音と共に破片が無差別に飛び散った。
次から次へと戦闘が発生、休む暇が無い。 けれど今度はマルコだけではない。 アビドス生全員がいる。
「おじさんも格好つけないとねぇ」
「ホシノ先輩にも、先生にも負けない」
ホシノが皆を守るように最前に躍り出て散弾をばら撒き、シロコはアクティブに走り回って、アサルトライフルをバースト射撃。
「憂さ晴らししてやるんだから!」
「悪い子はオシオキですよ〜⭐︎」
「残弾には気を付けてください!」
セリカも同様に撃ち始め、ノノミは後方でミニガンを連射。 弾幕を張って援護した。
アヤネは通信越し、ドローンで戦場を俯瞰。 状況に合わせて弾倉を空輸する。
「荒削りって感じだが、十分戦えるじゃねえか」
拳銃で傭兵を撃つ傍ら、感心するマルコ。
マルコも部隊の長。 思う所はある。
そして概ね、高い評価である。 郷愁にも似た感覚も補正要素だろう。
共に戦場に立つ姿は、ターマ副隊長のような親友兼相棒枠、或いは戦える捕虜の一文字百太郎。
それも5人もいる。 内1人はオペレーターで後方だが、いるのといないのとでは全く違う。 現に先程は支援物資を送ってくれて助かったし。
「だが敵もソコソコ。 傭兵稼業なだけあって不良より強い。 指揮官がいりゃ、もっとやれる……俺も仮にも隊長だしな」
ホシノの強さの片鱗は見たが、まだ本気を隠している。 脳ある鷹は爪隠す、という奴か?
その次にアグレッシブに動くシロコが強い。 左右に走り回りながら射撃、遮蔽物に軽やかに飛び込んで、もしくは飛び出して戦っている。 マルコ達と少しだけ似た戦い方かも知れない。
その次は何処ぞの反乱兵の如く、通常生身じゃ扱えないであろう多砲身を振り回すノノミ。
さっきまで捕まっていたセリカは……まぁアサルトライフルで、ソコソコに戦えているように思える。
少なくとも、いつ攻撃してくれるか分からん気紛れなサブマシンガン持ちのオトモなサルとか、いまいち微妙かもな、小さな雷雲を頭上に浮かせて、敵に落雷攻撃して貰うよりは頼れるだろう。
そうして生徒達を評価した上で、マルコは戦闘指示を出していく。 ここに来て初めてだ。
「ホシノ、前に出過ぎると俺の弾が当たるぞ」
「先生ひっどーい」
「シロコ、俺と来い!」
「ッ! わかった」
「ノノミ、弾幕で敵を前に出させるな!」
「わかりました〜⭐︎」
「セリカ、側面に回ろうとする敵を牽制!」
「わかったわ!」
「アヤネ、俺に武器をくれ!」
「空輸します!」
マルコの指示に戸惑いもありつつ、それぞれが動き、戦い始める。
シロコはマルコの近くに寄り、アサルトライフルで援護する。 その隙にマルコはグレネード投擲。 遮蔽物の向こうにいる傭兵を吹き飛ばす。
「先生って色んな武器を使う。 決まってない」
「使える物は何でも使う。 シロコもドローンを使うだろ?」
マルコの視線の先。 シロコの頭上にコンポのような、横に長四角の形をしたドローンが浮いていて、スピーカーではなく銃口、音ではなく銃弾を相手に浴びせていく。
マルコ的にはモビルサテライトを彷彿とさせるか。 アレもサルとか雷雲のサンダークラウドみたいな支援枠で、他より使えた記憶がある気がする。
「あると便利だから」
視線を敵から外さず、淡々と答えるシロコだが。
別世界線のシロコは、事情があってアビドスの生徒全員の武器を1人で扱ったりする。
現在は違うが、似た境遇にホシノがいて、散弾銃以外に盾を使う。
「だろうな。 俺も欲しくなってくるぜ」
「マルコ先生! 武器を投下します!」
「今は手に持って戦う武器を貰おうか!」
投下される「I」印の武器箱。
それはトンデモな、状況を選ぶ武器だった。
流れる動作で箱を開き、手に持ちたるは何かの発射筒。 爆発物が飛び出す武器ではあるが、癖が強いヤツで。
ガチャ!
“アイアンリザァド‼︎“
「これかよ!?」
思わず叫ぶマルコ。
何故ならコレは、地面を疾走する自走ロケット弾を発射する武器だったから。
垂直の壁か敵に当たるかで爆発するのだが、地面を疾走する特性から、空中の敵には当たらない。
今回はその手はいないが、機関銃などに慣れてしまうと、物足りないというか、使い難い時もある。
「使える物はなんでも使う」
シロコは煽る。 マルコも言った手前、使わざるを得ない。 拳銃よりマシな火力だし。
「そうだよくそっ!?」
トリガーを引けば、砲口からトカゲ型爆弾が沢山飛び出して、地面を疾走開始。
傭兵達は避ける間も無く、足にそれらをぶつけ、次の瞬間には爆発。 吹き飛んだ。
「うおっ、ラジコンが突っ込んでくる!?」
「自走爆弾だ!?」
「追尾性は無い! 避けるか撃っちまえ!」
しかし相手の意表を突いた後は、冷静に対処され始めて微妙な戦果に。
「相手も馬鹿じゃねぇ。 これなら拳銃と手榴弾で戦うか。 頼れる援護もあるしな」
次からは指定しようと思うマルコであった。
その様子を後方から見ていた便利屋、ムツキには好評であったが。
「くふふっ! マルコ先生って面白いじゃん、他にどんなの使うんだろうね!」
悪戯好きで、面白いグッズも好きな傾向が見られるムツキは、変な武器といい、それらを扱うマルコも気に入った。
一方、カヨコは冷静に分析し、ハルカは罠として使えるか否かの視点で見た。
「普通の銃撃戦には向かなそうだけど、特殊な状況では有効かも。 山なりにも進めるなら、遮蔽物の向こう側に攻撃する方法としても使えるね」
「走るトカゲの爆弾、ですか。 確かに特殊な環境では使えるかも、です。 建物の狭い通風口とかに入れるとか……でも制御が難しそうですね」
そんな部下達の評価はさておき、社長役のアルは、膠着した戦況にテコ入れを考え始める。
「マルコ先生って、思いっきり戦えるじゃない!? 私達も参戦して何とか、でもやられちゃったらどうしよう? ああ、傭兵達に支払う分もあるし……!」
優柔不断になっている間にも、時は非情。
傭兵達は突然、撃つのをやめて霧散し始めた。
「じゃ、時間だから。 時間外労働はナシね」
「なんですって!? いや、その、そこは義理人情とかで手伝ってくれたりとか?」
「それで腹が膨れたら苦労しないっつーの。 てか値切っておいて、アレコレ言われてもねぇ」
「そんなぁ!?」
「じゃ、後始末頑張ってねぇ」
帰っていく傭兵達。
その背中を見送るしかないアル。 その背にはマルコ先生の影が差す。 状況は一気に悪化した。
「で、便利屋さんよ。 この落とし前、どうしてくれようか?」
「ひぃ!? きょ、今日はこの辺までにしておいてあげるわ! みんな引き上げるわよ!」
「了解」「はーい」「分かりましたアル様!」
遁走していく便利屋。
マルコは銃口を向け、やめた。 不良にしたように追跡して、拠点を探る事にする。
「ゲヘナから遥々来ている訳じゃないだろう。 不良共みたいに、どこかにアジトがありそうだ。 分かり次第、皆で会いに行くか」
今は小休止がてら、色々デスクワークせねば。
カイザー関連、その銀行口座の操作などだ。
次はゲヘナ風紀委員会かな?