マルコはコンピュータ系に強いイメージですが、作者は詳しくないので、それっぽい言葉を羅列しているだけな雰囲気なのでご注意を。 なので色々ツッコミもあると思います……
やって来たのは闇市、ブラックマーケット。
廃材の板を組み合わせて作った小屋が建ち並び、盗電用コードが電柱に絡みまくっているような、スラム街といった景色の中にその区画はあった。
「ここがブラックマーケットか。 スクラップ置き場のような場所に、色んな看板や得体の知れないモンが並んでるな。 昔、こんな場所にも行った事があった」
マルコも歳か、時々追憶してしまう。
鉄屑の山があるような敵のアジトや工場にも行けば、東洋の雑多な雰囲気がある町にも行った。 決まってドンパチの為に。 今回もそうなる予定だ。
一方、ホシノ達は相槌を打ちながら進む。
「ワルの町って感じ。 もしかして便利屋もいるかもねぇ」
「ここならスクラップ屋より儲かる?」
「掘り出し物もありそうです⭐︎」
「さっきからガラの悪い連中ばかりなんだけど」
「皆さん気を付けて。 ブラックマーケットは連邦生徒会が匙を投げた無法地帯です」
アヤネは説明する。
ここは合法、非合法問わず、様々な物品が売買される市場であり、露店だけじゃなく、ここらを中心に生業とするギャングや裏銀行が拠点を置いている。
都合、治安が悪い。 市場の形を保つ為に、銀行などが最低限の治安維持員、マーケットガードを警邏させているが、市場全体に損害が出る荒事じゃなければ介入してくれない。 目の前で助けを求める少女が車にぶち込まれていても、基本無視だと思われる。
規模や他所への犯罪波及への懸念から、摘発する人員や時間、力が足らない連邦生徒会は匙を投げ、ここで行われている悪事は事実上黙認している始末。
体力使って変に叩いて臭い物が分散するくらいなら、集まった状態にした方が良いというのもあるだろう。
法が届かない暗所。 悪党のビジネスだけでなく、潜伏するにもうってつけ。
それがこのブラックマーケットである。
そんな場所の銀行に向かっているワケだが。
当然、普通の銀行じゃない。
実際に悪銭が集まり、マネーロンダリング等が行われている他、暴利な金貸にも関わり、犯罪組織への融資等も行われている。
マルコとアヤネが調べた限り、カイザーローンが関わっていて、アビドス生が汗水垂らして稼いできた「綺麗な金」は、現金輸送車でこの銀行に運ばれており「洗浄」や犯罪組織への融資に使用されているようだった。
今回の目的は、アビドスが納めてきた金の不当な流れ、暴利の証拠を確保する事にある。
そしてヴァルキューレ警察やネットの海に放流して告発。 カイザーローンの不正を明るみにし、借金問題を先送り、有耶無耶にして帳消しにしたり、そうでなくても納めてきた分を正しく計算し直して貰う。
「カイザーPMCの基地にあったセキュリティトークンをパクり、生きてた端末でバックドアを構築。 他の端末からも侵入できるようにした。 そこからウィルスを放流、サーバーに細工をして遊……敵さんの対応力を見たが、セキュリティは突破できるレベルと判断した。 ただし紙媒体で記録している分は物理的にパクるぞ……証拠を燃やされないよう、連中の口座を弄って首を絞めるのはその後だ」
「若い子の話は、おじさんには分からないよぉ。 でもワルいプランに聞こえたな〜?」
「任務に集中しろ。 問題は身元バレを極力防いで、上手くズラかる事だが」
「ん、それなら私に考えがある」
マルコとホシノが戦闘面以外に悩むと、シロコが挙手。 持って来た容量のあるスポーツバッグから覆面を出した。
「段取りはできてる。 これで顔を隠して銀行を襲う。 逃走ルートも構築済み」
「エラい準備が良いな。 いつもこんな事を考えてんのか? いや助かるが……」
「シロコちゃん……今回だけだよ?」
「折角なので楽しみましょう⭐︎」
「ここまで来たら、やるしかないんでしょ!」
「……極力、人を傷付けないようにしましょう」
それぞれが覆面を取ろうとした刹那。
「きゃあああ!?」
突如と響く、少女の悲鳴。
思わず声の方を見やれば、育ちの良さそうな娘がチンピラに絡まれているではないか。
「いいから来いってんだよ!」
「ぐへへ、大人しくしとけ!」
「金持ちのトリニティの生徒となりゃ、身代金に期待できるってモンだ!」
「だ、誰か! 誰か助けてください!」
しかし誰も来なかった!
悲しいかな、ここは闇市。 不法の市。
助けても見返りの保証はなく、ましてや面倒に巻き込まれるなんて御免。
人の往来がある通りなのに、誰もが見て見ぬふりをして通り過ぎ、何ならニヤニヤと顛末を楽しむクズまでいる始末だ。
マルコは銃を抜いた。 予備動作もなしのヒップシューティングの早撃ち、弾丸は寸分狂いなくチンピラを撃ち抜いた。 一撃だった。
「ぐへっ!?」「がはっ!」「ごふっ!?」
少女の周りで伸びるチンピラ。
何をされたか理解せぬまま眠りについた。
「わりぃ、放置したらツキが無くなりそうでな。 幸先は良くしたい」
「良いよぉ、おじさんもだったから」
「ん、私もそうしてた」
「流石です先生!」
「ですがなぜ、此処にトリニティの生徒が?」
疑問に答えるように、助けられた少女が駆け寄ってくる。
キヴォトス3大校の1つ、お嬢様学校のトリニティ総合学園。 その白い制服は、悪徳蔓延る場所には悪目立ちし過ぎた。
正面から見ると、背中に小さな白い翼が生えて見えるが、よく見れば背負っているキャラクターリュックの装飾である。
……何というか、変なデザインのキャラだ。 若い子はこういうのが好きなのだろうか、とマルコは人知れず思った。
「助けてくださり、ありがとうございます! 私、トリニティ総合学園の阿慈谷ヒフミといいます!」
そして、再び他校の生徒と縁ができた。
これが吉と出るか凶と出るか……。