スラッグアーカイブ   作:ハヤモ

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メカ要素を絡めていきたいところですが……


ゲーム開発部

ミレニアムサイエンススクール。

最先端科学を研究する学舎は、ビル群の一画といった様相で、陽の光を照り返す白さと硝子で造られた摩天楼が聳え立ち、学力と経済力を見る者に誇示。

空と地それぞれで警備ドローンが警邏する中、白い制服を着用した生徒達が往来。 皆研究員なのか、手には何かしらの研究資料を挟んだバインダーや、記録端末を持っていた。

マルコはアビドスとは全く異なる密度と雰囲気に、感嘆の息を吐く。

 

 

「一見平和で楽しめそうな場所だ。 まさかアマデウスの研究員のような、サルになる薬を打ってくるイカレもいるまい」

 

 

また嫌な記憶がフラッシュバックしてしまう。

過酷な環境に身を置いてきた身。 職業病というか、定めというべきか。

 

戦場で邂逅する兵器には、相変わらず意味不明な物もあったが、生物兵器系はおぞましかった。

実験の為か、戦場に出張ってきて怪しい薬を打ってくるマッドサイエンティストすらいた時もある。 その薬の効果がサル化で、打たれると見た目がサルになってしまった。

まぁサブマシンガンを振り回したり、棒渡りする器用さはあったのは不幸中の幸いだったというか。 何にせよ元に戻れて良かったとは思う。

 

 

「何を仰ってるのか存じ上げませんが、危険な研究をセミナーが許可するとは思えません」

 

 

アロナは言う。

マルコには辛い過去があるのだろうけど、だからと生徒を誤解して欲しくはないと擁護する。

 

 

「セミナー。 ここの生徒会の名か」

 

「はい。 現会長は調月リオさんです。 何事にも冷静に合理的な判断を下す生徒さんです」

 

「倫理観が置き去りになってないと良いがな。 ゲーム開発部に行く前に挨拶しに行った方が良いか?」

 

 

アビドスでは人数の少なさもあって自然とホシノら全校生徒と出会ったが。

やはり先に挨拶するのが筋だろうか。 連絡はいっている筈だが。

 

 

「いえ、直接ゲーム開発部の部室に向かって大丈夫です」

 

「わかった。 話が早くて助かる」

 

 

そうしてマルコはゲーム開発部の部室となっている、部屋の一室へと邁進するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

整然として光沢のある廊下は、学校より病院の通路だと言われたら信じてしまいそうだった。

そんなミレニアムの通路の側面。

病室、あいやゲーム開発部の札が下げられた扉の前に立つマルコ。

 

 

「ここか。 シャーレのマルコだ、いるか?」

 

 

扉を叩けば、ドタドタと騒がしい足音。 刹那、バァンと扉が開けば。

 

 

「シャーレ!? ようこそマルコ先生!」

 

 

黒にピンク混じりの猫耳カチューシャと尻尾をつけた快活女子、才羽モモイが現れた!

 

 

「手紙、読んでくれても来てくれるとは思ってなかったよ! さあ、入って入って!」

 

「元気なのは良い事だ」

 

 

悪く言えば馴れ馴れしさもあるが、部のムードメーカーなのだろう。

腕を引かれるがままに中にお邪魔すると。

 

 

「……ここがゲーム開発部か。 嵐でも来たか?」

 

 

汚部屋であった。

ゲーム機と、床に散らばるゲームソフト、伸びたケーブルがごちゃついているのは想像の範疇として。

食べかけのポテチ、油まみれのコントローラーとキーボード、何かしらの資料と見せかけての雑誌……だらしない一人暮らしの部屋といった惨状に苦笑するしかない。

ゲーム開発は過酷と聞く。 デスマーチとなると現場は地獄と化し、心身不衛生な環境になる事は想像に難くない。 だがこの様相からして性格も現れているように思えてならない。

 

 

「ミドリ! 先生が来てくれたよー!」

 

「初めましてマルコ先生。 妹のミドリです」

 

 

中にいた別の部員、ミドリが現れた!

顔はモモイにそっくりだが、差別化の為か緑の猫耳と尻尾と色違いな2Pカラー。

性格も異なり、礼儀正しく汚部屋に反して清潔感がある。

 

 

「忙しい中、来てくれて感謝します」

 

「そっくりだな。 姉妹、双子か」

 

「そうだよ! 私は姉のモモイ! ゲーム作りではシナリオ担当!」

 

「私はビジュアルを担当しています。 あともう1人、今はいないですが企画回りを担当している部長のユズちゃんがいます」

 

「宜しくな。 しかしミドリか……その名はどこかで聞いた事がある気が……」

 

 

正規軍に、似た名の娘がいたような気がするマルコ。 その娘も獣耳をしていたような。 気がするだけかも知れないが。

助ける捕虜にも1人1人に名前と階級があるし、総じて大切な仲間に違いないが、沢山いるし全員覚えていられないのもあり……。

 

 

「はい?」

 

「いや何でもない。 早速本題に入ろう」

 

 

先を促すと、モモイが説明。

ゲーム開発部は今まで16ビットのゲームを作ったりして平和に暮らしていたが、ある日、セミナーの冷酷な算術使いこと会計の魔王ユウカにより、廃部の危機にあるという。

というのも、結果が出ていない部活に割く予算は無いとしてルールが追加されたらしい。

 

 

「つまり結果を出せば良いと」

 

「部員不足もある! 最低でもあと1人いないと廃部条件達成でゲームオーバーだよ!」

 

「結果を出すといっても、今まで作ってきたゲームは、その、低評価の嵐で」

 

「そこから脱却する為にも、これから廃墟に行くよ先生!」

 

「待て。 問題を解決するのに、なぜ廃墟に行くのかも説明してくれ」

 

 

モモイが突拍子も無い事を勢いで言うから、マルコは説明を求めた。

元気で真っ直ぐで分かり易い分、短所も早々に見えてきた。 裏が無さそうでもあり、そこは気に入ってはいるものの。

 

 

「廃墟には面白いゲームの作り方が分かる、伝説のG.bibleというのがあるんだって! それを手に入れれば、廃部は回避できるハズ!」

 

「伝承に縋るのは現実的じゃなさそうだが」

 

「すみません。 ですが藁にもすがる思いといいますか、良い案が浮かばないんです」

 

「それだけ窮地に陥っているのは理解した。 分かった、それで気が済むなら付き合おう。 廃墟探索で体を動かしていれば、何か良い案が浮かぶかも知れない」

 

「ありがとう先生!」「ありがとうございます」

 

 

結局了承、行く事にするマルコ。

まぁアビドスのようにはならんだろうと。

 

 

「俺としても廃墟含め、興味はあるしな」

 

「因みに廃墟は連邦生徒会長が立ち入り禁止にしてたんだけど、行方不明になったのもあってか警備は杜撰なんだ。 だから入るのは楽、その後は分からないけど」

 

「廃墟ってのは、曰く付きか?」

 

「何も分かりません。 ただ廃墟の建物は崩れて危ないからという理由だけで立ち入り禁止かも知れませんし」

 

「噂じゃ、壊れたロボットが徘徊してるとか。 だから戦う準備はした方が良いだろうね!」

 

「……そりゃ楽しみだ」

 

 

結局、どこへ行けども銃は手放せそうにない。

面倒にならずに終わってくれよ、とホルスターに手をかけるマルコだったが。

悲しいかな、廃部どころか世界の終わりに繋がる存在と邂逅する事になるのである……。




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