ミドリがアリスに色々とゲームソフトを見繕い、開発部流の教育を施している中。
マルコは端末を拝借、鍵盤を凄い速度で叩いては、それっぽいゲーム案を企画。 落ち着いたら部員が観閲できるよう、デスクトップの目立つ位置にファイルを残しておく。
形になる頃には夜が明け、閉めたカーテンから朝日が漏れていた。
「もう朝か。 不慣れな作業だったが、趣味に近くはあったか。 偶にはこういうのも悪くない」
「しまった、学校の準備しなきゃ……」
「おはようミドリ。 アリスはどうなった?」
「おはようございます。 アリスちゃんは……」
マルコとミドリ、2人して見やる。
そこにはゲームをやり終え、此方を見据えるアリスの姿が。
「漸く気が付いたか……無事に目を覚ました様で何よりだ、君は運が良いな」
「あ、アリスちゃん? 色々と覚えられた?」
「君の言葉を肯定しよう、必滅者よ」
「なんか偏った台詞ばかり覚えてない!?」
「そういうゲームばかりしたんだろう。 日常会話にするには違和感があるが、意思疎通はできそうだ。 細かいところは後で矯正していけば良い。 して、モモイは?」
「お姉ちゃんは……」
噂をすれば何とやら。
バーン、と元気一杯に扉を開け広げ、入ってくる笑顔のモモイ。
「みんな、おはよう!」
「噂をすればだな」
「お姉ちゃん? 学生証はどうなったの?」
「バッチリだよ! アリス、はいこれ」
「? アリスは正体不明の書類を獲得した」
「おっ、なんだ? 機密文書か?」
「ふふん、手に入れ方を加味すれば機密文書と言えなくもないかな!」
冗談を言いつつ一瞥すれば、それは名前と写真入りの、ミレニアム校章のカード。
メタスラ的にはスコアアイテムとして、ピロリンと何か効果音がなっていそう。
「アリスは口調が洗練されてるね。 そしてこれはね、学生証だよ」
「洗練っていうか、レトロゲームの会話調そのものだけどね……それより学生証はどうやって手に入れたの?」
「この学生証は、私達の学校の生徒だっていう証明書。 生徒名簿にもヴェリタスがハッキ……いや、登録してくれたから、もうアリスも正式に私達の仲間だよ!」
「仲間……理解しました」
「ねぇ今ハッキングって言わなかった?」
「ハッキング。 やはりヴェリタスはそういう連中か……話をしてみたいもんだ」
アリスはゲーム知識で納得し、ミドリは犯罪の気配に姉を訝しみ、マルコは趣味が合いそうな連中がいる気配で楽しみが増えた。
モモイは笑いと勢いで誤魔化しながら続けた。
「大丈夫大丈夫! さて服装と学生証、それに話し方! この辺は全部解決出来たから……あとは武器だね」
「武器……」
「コンビニかどっかで調達するのか?」
「アテはあるんだ! そうだ、折角だし案内するよ、私達の学校、ミレニアムを!」
「そういや回れてないな。 案内は助かるが……武器ってのは急ぎの内なのか?」
「ミレニアムに限らず、キヴォトスの生徒は、みんなそれぞれ自分の武器を持ってるの。 だからアリスにも武器を見繕ってもらわないとね」
体の一部、という域なのだろう。
故に非武装は浮いてしまうのかも知れない。 郷に入れば郷に従え、というやつだ。
マルコ的にもドンパチの規模によっては拳銃だけでは心許ないから、隙あらばヘビィマシンガンくらいは携行したくなる。
……キヴォトスの治安を考えれば、真面目に考えるべきかも知れない。
「調達する方法は色々あるけど、このミレニアムで1番手っ取り早く、ちゃんとした武器が手に入る場所と言えば、やっぱりエンジニア部かな」
「エンジニア、部……?」
「機械を作ったり修理したりする専門家達の事を、ミレニアムではマイスターって呼んでるんだけど。 エンジニア部はそのマイスターが沢山集まってる、ハードウェアに特化した部活なの。 機械全般に精通してるのは勿論、武器の修理とか改造なんかも担当してる部活だから、多分、使ってない武器とかが色々残ってるんじゃないかなって」
「面白そうな部活じゃないか。 スラッグの開発をしているSV計画研究所みたいなところか?」
「スラッグって、廃墟で先生が使ってたロボットですか?」
「そうだ。 アレ以外にも色々造っている。 戦車や航空機なんかをな」
スラッグ、と名のつくビークル全てを入れて良いのなら、地底戦車なドリルスラッグや1人乗りの潜水艦スラグマリナーなど色々ある。
なんなら宇宙船のアストロスラッグなんかもある。 それらの話をエンジニア部にしたら喜ぶかも。 実物があれば尚良い。
「それも気になるけど、今はエンジニア部に行ってみようか!」
兎にも角にもとら一行は現地に向かうのだった。