スラッグアーカイブ   作:ハヤモ

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エンジニア部

恐らく多種多様、一騎当千の技術者が犇くミレニアムでも、抜きん出た実績を残す部活、エンジニア部。

その作業場は鉄と油の匂いが漂う空間で、様々な機械と銃火器が大中小と見受けられた。

 

 

「ここがエンジニア部の部室か。 大きいな、気になる機械や銃火器があって楽しそうな場所だ。 ここの責任者は……ウタハか。 他にヒビキとコトリ、か」

 

 

マルコは端末、シッテムの箱で確認。

部員達は、現在確認できる範囲で3名だ。

 

3年で部長の白石ウタハ。

1年の猫塚ヒビキと豊見コトリ。

 

何にでも自爆機能をつけたり、Bluetooth機能をつけたり、一方的に長々と説明したがる説明厨の皆様である。

みんな変人奇人……いや、個性豊かな部員であり、将来が不安……じゃなく楽しみな頭の良いバカ共だ。

 

そんな部員達は今、それぞれ何かしらの作業をしていたが、ゲーム開発部の来訪を確認すると、手を止めて快く迎え入れてくれる。 モモイの性格的にアポ無し訪問と思われるが、良い人達なのだなと思う。

 

 

「───なるほど、だいたい把握できたよ。 新しい仲間に、より良い武器をプレゼントしたい……と」

 

「うん! アリスは今、丸腰だから!」

 

「エンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね。 ミレニアムにおける勝敗というのは、優れた技術者の有無に大きく左右されてしまうものだ。 そっちの方に私達がこれまで作ってきた試作品が色々と置いてある。 そこにあるものであれば、どれを持って行っても構わないよ」

 

「やった! ありがとう先輩!」

 

「良かったな。 俺も見学させてもらおう」

 

 

モモイは喜び、マルコはどさくさに紛れて共に武器や装備を見て回る。

キヴォトスの科学の先端の場、どんな物があるのか把握する事は、今後の生存にも関わるだろうし。

何より自分が使えそうな物があるかどうか。 そこら辺に落ちている兵器を鹵獲して戦うのをメインにしてきたマルコだが、貰えるなら貰って最初から火力を持って挑みたいのが本音である。

……弾切れや復活時、拳銃だけで大型兵器を相手にするのはしんど過ぎる。 グレネードを持っていないのに、投げる素振りだけする焦りと虚しさも中々。

 

そんな訳で。 興味のみならず、真面目な視線も内混ぜのマルコ。

その鋭く熱い視線に気付いたウタハは、興味の矢印を彼に向けた。

 

 

「貴方は噂になってるマルコ先生だね。 今はゲーム開発部の皆といるようだが……様々な銃火器と珍妙な乗り物を使い熟すと聞いた。 本当かい?」

 

「大体合ってるが、基本現地調達だ。 ちゃんと支給された訳じゃないぞ」

 

 

少なくとも今は。

戦場で助けた捕虜、或いは予め正規軍から補給や支援を受けて、武器やスラッグを手に入れるなんてのは出来ていない。

都合良く手に入るスラッグは誰かの仕業かも知れないが、今まで通りというか仕様というか……。

 

 

「鹵獲した兵器で戦っているのか。 キヴォトスでは銃火器は身近だし、現地調達も可能か。 だとしても、様々な作動方法を熟知していなければ扱えない。 その点でも先生は凄いと思う……そのホルスターの大型拳銃も拾い物かな?」

 

「俺のだ。 コンバットマーダー50AE」

 

「反動は大丈夫なのかい?」

 

 

マルコの太腿、ホルスターに収められた銃について尋ねるウタハ。

大きく分厚く、反動がデカそうな拳銃だ。

 

ここは超銃社会キヴォトス。 その地で暮らす生徒は神秘だなんだと頑丈で力持ち。 大口径、重火器を扱う者はそれなりにいる。

対物ライフル、多砲身のミニガンなど、生身で振り回せない物を振り回す。 或いはレバーアクションや火炎放射器など、現代銃相手に通じなさそうな古い雰囲気の物や、防護服が必要そうな特殊武器を扱う者もいる。

そんな中では、マルコの拳銃は数多ある銃火器に埋もれて目立たない。 派手な配色をしている訳でもなし。

だがマルコは外から来た人間だ。 多少力があって戦いに心得があるとはいえ、神秘もなく生身で扱って、果たして平気なのだろうか。

 

 

「慣れた」

 

 

駄目みたいですね。

 

 

「普通に手は痛いし、バレルの根本でポッキリ折れて、飛び散った部品で頭を割った人もいるらしい」

 

「それは信頼性に欠けるのでは?」

 

「今更浮気もな」

 

 

マルコは言う。

マーズピープルの母船から脱出後、戦い終えた事を宣言するように銃を捨てた者もいたが。

このマルコは未だ手に馴染むこの銃を使い続けている。 大口径でも大軍相手に火力不足感が否めずとも、様々な銃火器を扱っていても尚、相棒の座に収まり続けていた。

 

 

「グリップが結構ガタつくが、命中率はかなり良い。 良くも悪くもLIVE MURDER(生きた殺意)などと称される」

 

 

結構無茶苦茶な銃なのに、思い入れもあるか。

そこまで聞いたウタハは、技術者として思うところがあったのか。 改修を申し出るがマルコは断った。

 

 

「良ければ預けてくれないか。 オーバーホールを、いや改良して、より使い易くしよう」

 

「気持ちだけ受け取る」

 

「そうか残念だ。 自爆機能やBluetooth、コンビニ決済ができる機能とか盛りたかったが」

 

「断って正解だった」

 

 

信じて預けた愛銃が魔改造されたら困る。

ただしょんぼりするウタハの為、代案を提示。

 

 

「じゃあ、俺が現場で拾った武器装備、スラッグなんかを持ち帰れたら、それらを君らに任す。 どうだ?」

 

「スラッグ?」

 

「ビークル、乗り物だよ。 戦車やロボット、戦闘機、なんなら宇宙船と幅が広い」

 

「宇宙船!?」

 

 

急に溌剌と食い付くウタハ。 目が輝いている。

 

 

「好きなのか?」

 

「それはもう。 いつかは建造を夢見てるさ。 そこにあるレールガンは、その主砲用に開発したしね!」

 

 

そう言って指差す先。

大きな長方形の箱に、ケーブルが繋がれているのが見えた。

丁度、アリスが興味を抱いて見学している。

 

 

「是非、宇宙船について詳しく聞かせてくれ!」

 

「俺としちゃ、ソレの話を聞きたいね」

 

 

軌道修正を試みるマルコ。

任務中だ。 ゆっくり語らうには、時が少々悪かった。

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