「C&Cの狙撃手、カリン先輩と」
「マルコ先生のスナイパー対決だ!」
才羽姉妹が囃す中、スコープ越しにカリンとマルコの視線が交差した刹那、引金が共に引かれた。
銃弾が飛翔、ビルの間で弾丸が激突、火花が散って対消滅。
滅多に無いであろう状況に、目を見開き驚くは、コールサイン02こと褐色デカパイ&デカ尻のメイド服、角楯カリンの方だった。
「ッ、マルコ先生は運が良いな。 拾った狙撃銃で正確な射撃。 それも弾丸がぶつかるなんてどんな確率だ。 だが」
努めて冷静さを取り戻し、次に備えた。
偶然はそう何度も続くものじゃない。
ボルトが後退、次弾を装填。
照準を定め、距離や風向きを把握し直し。
息を止め、トリガーの遊びが殺され。
「幸運は続かない」
ドゴォン!
2発目の弾丸が放たれた。
音を置き去りに、人間が知覚出来ない速度で、ライフリングによる回転のままに空気を切り裂きながらマルコに突き進む大口径弾。
それと、鏡合わせのように突き進む弾丸が1発。
銃声は2カ所、再び同じ場所を音源とし、またもビルの間で出会い、衝突し、火花は2度散る。
連続した弾丸同士の衝突……それが起きた。
「なっ!?」
驚愕のカリン。
そんな馬鹿な。 2度もあるものか!?
マルコ先生、豪運過ぎやしないか?
スコープ越しのマルコ先生は……笑っている。
カリンの驚く様を楽しむように。 或いは腕の差や豪運を自慢するように。
「〜〜〜ッ!!」
焦りと挑発に乗った3発目が放たれる。
調整も然程必要とせず、短時間の内に、感情のままに、射手の心中を代弁するようにして。
そして轟音と火花が散った。
同じ場所、同じ結果だった。
マルコは笑っている。
子供の怒りを可愛がるように。
「嘘だろ!?」
ここまできて、カリンは青ざめた。
弾丸同士の衝突は、意図されて起きていると。
ありえない。 普通なら。
ビリヤードな曲芸、否、神技ができるなんて人間の域ではないじゃないか!?
トリガーを引くタイミング、撃つ場所、弾丸のエネルギーの差など、色々とある中で、こんな事象が何度も起きるなんて!
2度ある事は3度ある。
そして───。
「遊びは終わりだ」
ドンッ!
芯に響く音が、1つだけ響く。
ミレニアムタワー上階から放たれた弾丸は、途中で遮られる事もなく、目を見開き青ざめているカリンの眉間に吸い込まれ───。
「はうっ!?」
マヌケな声と共にひっくり返り、夜空を最後の景色として目を閉じたのだった。
「アレがC&Cか。 本当にメイド服なんだな」
スコープ越しに撃ち合ったマルコの感想がソレだった。 戦うメイドC&C。 成程。 悪くないなと。
が、モモイとミドリはマルコの非常識な闘いぶりにツッコミを入れる。
「感想がソレ!? もっとないの!?」
「その、弾に弾を当ててましたのね……?」
「よくあるし、よくやった」
「よくやるの!?」
狙撃の止んだ廊下を皆で小走りする中、モモイは驚き続けた。
経験者、マルコは語る。
「相手の威力や弾がデカいと、一方的に弾かれる場合もあるが。 今回は上手くいって良かった。 狙撃銃も久々だったからな。 ついでだからウォーミングアップと様子見がてら、少し遊ばせてもらった」
「えぇ……」「その、凄い……です、ね?」
「すまない。 時間が無いんだったな」
マルコは責められていると思い反省したが、モモイとミドリにとっては話を切り上げられてしまった印象だ。
「なんだか、先生の事を知りたくなったよ」
「私も。 きっと凄い経歴をしてそう」
「ゲームシナリオの参考になるかも!」
「そうかい。 ああ、企画を作っといた、ファイルに入ってる。 無事帰れたら軽く読み流してくれたら有難い」
「いつの間に!? というか、そんな事も出来ちゃうんだ!?」
「趣味の応用だ。 気にするな」
「趣味だとしても、だいぶ凄いんじゃ」
マルコの過去に興味が出てくる才羽姉妹。
だが今は今で集中しなければ。
「保管室はもう少しだよ!」
「でも他のメイドも来る筈です!」
そう。 まだ何人もいる1人を倒したに過ぎない。
警告するモモイとミドリ。 対してマルコは。
「誰が来ようと、邪魔するなら倒すだけだ」
いつも通りの調子なのであった。
後書き
どこまで書けるか……
リアルがツライさん。
天気が悪い中、言われた事が日曜出ても終わらず1週間以上。 進んでいる手応えは一応あるものの、体面的というか焦燥感もありつつ……