「こんばんは。 良い夜ですね」
「メイドか。 あと何人だ?」
マルコ達の行手を阻む新たな影は、またもメイドであった。
眼鏡をかけ、正統派なメイド服を身に纏っている。 手にはピストル、鞄には爆発物。
コールサインゼロスリー。 室笠アカネだ。
「初めましてマルコ先生。 私はC&C、コールサインゼロスリー。 本名は明かせません、どうかご容赦を」
「あ、アカネ先輩!」「待ち伏せてたの?」
「……正体不明のヒロインは、もう古いのでしょうか?」
モモイとミドリにアッサリバラされ、軽く落ち込むアカネだが、マルコからすれば等しく敵だ。
拳銃を構え、無駄と思いつつ一応警告する。
「なんでも良い。 邪魔するなら容赦しねぇ」
「そうだそうだー! マルコ先生は強いんだからね! 痛い目に遭いたくなかったら、大人しく道を譲ってね!」
「お姉ちゃん、ダサいからやめて……」
虎の威を借る狐ならぬ猫となってイキるモモイに、悲しみと情けなさからツッコミを入れるミドリ。
アカネは臆せず、冷静沈着に状況を進める。
「先生方のここまでの行動は、監視カメラで全て見せていただきました。 これ以上、進める訳には参りません」
刹那、アカネとマルコの間で爆発。
天井が崩れ、大量の瓦礫が進路を塞いだ。
「天井が!?」「そんな、道が!」
フロアはボロボロ、もう遠慮はいらないとばかりの破壊だった。 時間稼ぎだろう。
だがマルコには関係ない。 瓦礫撤去なんて隔壁同様、破壊して突破してきた。
「無駄だ!」
マルコ、グレネードを投擲しまくり爆破解体。
無理矢理瓦礫を粉微塵にし、道を切り拓く!
「流石にこの程度では止まりませんか。 それに大量の手榴弾を持ち歩き、投擲速度もとても素早い。 爆発物を扱う身として見習わねばなりませんね。 ですが」
アカネの声が聞こえたと思えば。
砂塵を突き破り突っ込んでくるは、ドラム缶型など多種多様な警備用ロボット。 何かしらの理由で押収された物を味方機として投入したのだ。
「時間は稼がせてもらいます!」
「足掻くな! 面倒臭ェ!」
マルコ、拳銃をマシンガンのように連射しまくり、迫り来るロボットに風穴を開けまくる。
モモイとミドリも援護。 後方支援。
次々と火花が散り、爆発して鉄屑になっていくロボットだが、確実にマルコ達の時間を奪っていく。
そこに申し訳程度とはいえ、アカネも愛銃の消音拳銃でマルコ達に射撃。 隙を見て工作爆弾と思われる物を手に投擲しようとするが───。
「貰った!」
マルコ、瞬時に撃ち抜く。
爆弾はアヤネの手から離れようとしたタイミングで爆発。 アヤネと周囲のロボットを爆炎に沈めてしまった。
「けほっ、けほ……お見事、でした……」
煤だらけになり、床に伏すアカネ。
さっきよりあっけなかったが、それでも時間は食ってしまった。
「急がねぇと。 こっちも使える物はなんでも使って、さっさとズラかるぞ」
「そうだね、急ごう!」「はい!」
そう言ってマルコ、アカネの近くに転がった鞄を開けると、中から弾薬箱を入手。
カチャ!!
"オゥケー‼︎"
ボムを補充。
欲を言えば、あとは武器だ。 なんならスラッグも欲しい。
「生徒会が押収した物、使える物は近くに転がってないか……あれは」
爆発で剥かれた壁向こうの部屋。
そこにあったのは人が入れるくらい大きなカプセルトイに、手足が生えたような乗り物が鎮座していた。
その名も───。
「レベルアーマーじゃねぇか!」
かつて反乱軍が開発、運用していた歩兵用の装甲防護服。
マルコは敵陣でコレを鹵獲、同型機と撃ち合った経験がある。
なんでここにあるのか不明だが、側面に反乱軍のマークは見当たらない。 コピー品だろうか。
「うわ、なにソレ! ランドセルに手足が生えたみたいなロボット!」
「ちょっと可愛いかも」
「レベルアーマー。 搭乗式強化服みたいな乗り物だ。 ジェネレーターとブースターを背負ってるから、短時間なら飛行が可能だが……使えると良いが」
早速コックピットに乗り込むや、ウィンとキャノピーが自動ドアの如く頭上から降りてきて閉鎖。
ガシャンガシャンと二足で歩き始める。 どうやら問題なさそうだ。
「武装は腕内蔵式マシンガンに、グレネードランチャーと俺が知っているものだ……実弾を積んだままとはな。 助かるが」
「よく分からないけど、鬼に金棒かな!?」
「先を急ぎましょう先生!」
「おう! 遅れを取り戻すぜ!」
早速ブースターを蒸し、ブォーンと一気に廊下を抜けるマルコ。 慌ててその背を追いかける才羽姉妹。
しかし、まだC&Cは残っている。
マルコ達は無事、目的を達せられるのだろうか。