キヴォトスラッグアーカイブ   作:ハヤモ

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ユウカ/アリス合流

 

 

「保安部を倒し、フロアはほぼ全壊。 ここまで引っ掻き回すなんてね。 今なんて押収品の変なロボットに乗ってますし」

 

 

アスナと居並び、マルコを睨みつけるツインテールの女学生、生徒会組織セミナーの会計兼、今回の指揮官枠のユウカ。

監視室でマルコ達の行動を見つつ、保安部やC&Cに指示を出していたが、遂に追い詰めたと何故だか現場に出て来たらしい。

……この動き、負け確の悪役かな?

 

マルコ、それを意識してか否か、煽るように会話を試みた。 今度は此方が時間稼ぎをしなければ。 モモイとミドリの為にも。

 

 

「お陰で助かったぜ。 弾も入りっぱなし、その癖にパイロットセキュリティは外れていて第三者の俺も操縦できた。 それか初期生産型で不備があったか?」

 

「……兎に角、貴方の強さは認めますマルコ先生。 ですがシャーレには抗議文を送らせて貰いますからね! 元凶のゲーム開発部もタダじゃおかないわ!」

 

「あはは! 怒られちゃったねぇ?」

 

「戦場で悠長に説教かよ、余裕だな。 群れたり自分が多数派と感じた瞬間、強くなったと思うタイプか?」

 

「事実でしょう。 実力者を何人も前にして、勝てるとお思いで?」

 

 

確かに状況は良くない。

時間稼ぎのつもりで会話している間にも、参謀役兼爆弾魔のアカネまで来てしまえば尚更に。

気絶から覚醒したばかりなのもあり、煤だらけでボロボロのままだが、歩き回れる程度でも十分な脅威だ。

 

 

「先程の射撃、お見事でした。 ですがここまで入り込んでは言い逃れは出来ません。 薄々感じているでしょうが、計画は既に破綻しております」

 

「寝言は寝て言え。 また寝かせてやるから」

 

「ゼロワンと私もいる中、随分余裕ですね」

 

「だろ? こっちも1人じゃねぇからな」

 

「もしかして後ろの保管室にいるモモイちゃんとミドリちゃんでしょうか。 それかアリスちゃんですか。 それとも部長のユズは……来る確率はどれほどでしょう。 来たところで私達を倒せるとは思えません」

 

「オレ1人でも勝つさ」

 

「3人に勝てるとでも?」

 

「勝つぞお前!」

 

 

強がるマルコだが、正直厳しい。

それぞれ単独でも、アスナは倒し切れてないし、それに加えて2人のネームド。

レベルアーマーがあるとはいえ、鬼避けでも捌き切れない攻撃の嵐が予想された。

負けイベかもな戦闘再開、その瞬間。

 

 

「魔力充填100%!」

 

 

可愛い声に何かの充電音。

それは勇者か魔王の力か。

 

 

「何、この音?」

 

「ッ! 俺ごと撃て!!」

 

 

マルコが気付き、叫んだ。 そして───。

 

 

「光よ!!」

 

 

刹那、轟音と共に極太ビーム砲らしき光線が視界全体を包み込んだ!

 

 

「ぐっ!」「なっ!?」「きゃあ!?」

 

 

一瞬で光が消え、照明の無い暗闇が戻ってくる。

視界が慣れてくると、目の前には床に突っ伏している3人の姿が。

マルコのレベルアーマーは驚くべき事に光線に耐えたが、あと1回何かしらの攻撃を受けたら爆発しそうなほどボロボロだ。 キャノピーは無い方が良いレベルでヒビだらけ、節々から火花が散っている。

 

 

「な、なにが起きたの……?」

 

「あはは! いったぁい! 指1本も動かしたくなぁい!」

 

「そ、その割には、相変わらずお元気そうで」

 

「アーマーがなければ即死だった……」

 

 

三者三様、疑問と安堵の声を交えつつ、光線が飛んで来た方へ視線を向ければ、そこには。

 

 

「アリス! 来てくれたか!」

 

 

レールガンを構えた、天童アリスがいた!

 

 

「マルコ先生、お待たせしました!」

 

「良くやった! 戦力を温存して正解だった!」

 

 

やって来たアリスを褒めるマルコ。

一緒に同行していなかったのは、モモイ達がやられたり、援護が必要な場合などに、敵の意表を突き、背中を撃つ為だった。

ただ合図などはなく一任していた為、良くも悪くも保険だったが上手くいった。

 

 

「先生の采配のお陰です! 建物の揺れが収まったので、ピンチかもと思い駆けつけました!」

 

「ナイスだ! 目下驚異だった3人はのびている。 今のうちにズラかるぞ!」

 

「モモイとミドリは何処ですか?」

 

「まだ保管室だ。 まさか見つから───」

 

「あったー!!」「お姉ちゃん声大きい!」

 

「……問題なさそうだな」

 

 

部屋からモモイ達の元気な声が響いた事で、杞憂に終わった。

敵の戦力は殆ど片付けたし、ヴェリタスのツール「鏡」は回収した。 後はズラかるだけだ。

 

 

「モモイ、ミドリ! さっさと逃げ───」

 

「ッ!! 誰か近付いてきます」

 

 

ここに来て、アリスは警告。

反射的に退路、敵が来る方向に正面を向けて備えるマルコ。

 

 

「人数は?」

 

「足音からして1人」

 

「1人なら何とかなりそうだな」

 

 

このまま迎え撃とうと構えていると、モモイとミドリが部屋の扉を開けて叫んだ。

 

 

「アリス! 先生も! 2人とも逃げて!」

 

「どういうことだ」

 

「ヴェリタスから連絡がありました! 来ちゃった、帰って来ちゃったんです!」

 

「なにがだ?」

 

「「C&C最強の"ダブルオー"が!!」」

 

 

刹那、暗闇の奥からジャラジャラと金属チェーン同士が擦れる音。

やがてそれが目前に来て、外のビル照明と月明かりに照らされ、姿を露わにした。

 

 

「よぉ、コソ泥。 随分と派手にやってくれたな。 ウチのモンも世話になったみてぇだな」

 

 

小柄な体躯、メイド服の上から龍柄スカジャン。

チェーンをつけた"トゥーマシンガン"。

気が強そうな、チビ不良メイドな雰囲気。

 

 

「ほぅお前が。 真打登場ってワケだ」

 

 

見た目で侮ってはいけない。

今目の前にしているのは猛者だと勘が言う。

 

 

「接近対象確認。 ミレニアムの生徒名簿検索……対象把握」

 

 

アリスは機械的に相手の素性を口にしていく。

 

 

「身長146cm、"ダブル"SMG、メイド服の上から龍柄のスカジャン」

 

「見たままだ」

 

「C&Cのリーダー、コードネームダブルオー」

 

「モモイ達に聞いた。 他の情報は」

 

「美甘ネル。 約束された勝利……」

 

 

感じたことの無い感情、恐怖に怯えるアリス。

声が震え、体も僅かに震える。

 

 

「今この状況で、戦闘が発生した場合の成功勝率……ほぼ0%……!」

 

「アリスと俺を入れてもか」

 

「……マルコ先生のデータ不十分。 未知数。 保証できるはず、ありません!」

 

「面白ェじゃねえか! やるぞ! モモイとミドリは隙を見て逃げろ! シンガリをやるって言ったろ!」

 

 

ビビるアリスと己を鼓舞し、爪を相手に向け戦闘の意志を見せるマルコ。

アリスも未だ不安気ながらも、共にレールガンを構え、抗戦の構えを取る。

 

 

「や、やるだけやります! ゲームの勇者達も仲間の為に諦めませんでした!」

 

「その意気だ! どんな時でも諦めるな!」

 

 

相手の意地を垣間見たネルは不敵に笑うと、ガチャリと2挺、サブマシンガンを構える。

 

 

「へぇ戦う気か。 良いね、根性見せろよ!」

 

 

戦いが、再び始まった。

NO.2のアスナ相手にも苦戦、ちゃんと勝てたとは言えないのに、果たして連戦の据え膳にトップと戦い、マルコ達は勝てるのだろうか。

 

 

「やらなきゃやられるだけだしな!!」

 

 

なんにせよ、いつも通りやるだけだ。

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