でもそれだと原作通り過ぎるかなと…
シャーレの建物は中規模のビルで、綺麗な白色の外壁に、ガラスが張られたオフィスビルといった外装。
1階にはコンビニが併設されてるまである。
今は状況的にシャッターが降りており、とても営業している雰囲気では無いが。
そんな建物に単身乗り込んだマルコ。
操るメタスラは、その小ささを生かし、狭い屋内でもスラスラと進んでいく。
やがて下手人と思われる女生徒、狐坂ワカモに邂逅する事となった。
「連邦生徒会が大切にしている物はコレでしょうか。 タブレットのようですけれど。 起動の仕方が分かりませんし、用途も分からない。 これでは壊しようが……あら?」
何やらぶつくさ独り言を垂れていたが、屋内故に益々喧しいエンジン音と、キュラキュラと奏でる履帯音に頭部に生えた狐耳が反応して振り返る。
堂々行進してくる豆戦車、その砲塔から上半身を出している金髪の大人を見やるや、余裕そうな態度で応対。 マルコも倣うように堂々構える。
「あら。 あらあらあら。 随分と可愛らしい戦車と奇抜な方が来ましたね。 といっても、ここに居るという事は表の者達を倒した猛者、ということでしょう」
「アンタも。 お面は分かるが、その狐耳と尻尾も飾りか?」
「本物ですよ。 さて、何用でしょうか。 わたくしは趣味のままに、人が大切にしているというモノを壊しにきたのですが」
「分かってんだろ。 その悪趣味にお灸を据えにきた大人、マルコ先生だ」
「先生?」
「さっき押し付けられたばかりの役職だがね。 そんで、ここは俺の家でオフィスとなる建物らしい。 それを荒らされるのは困るんだよ。 今直ぐ出ていくってなら止めないが、どうだ?」
「なるほど、そうでしたか。 ですが」
ワカモ、ひと昔前なボルトアクション式ライフルを構える。
どうやらヤル気満々らしい。 その目は釣り上がり、破壊衝動の狂気に満ちている。
「その戦車、中々壊し心地が良さそうで!」
「知ってたよ。 どうせこうなるって、な!」
先手必勝。
マルコはメタルスラッグの主砲を発射。 派手な爆音と共に床が爆ぜ、衝撃が上階に伝播しガラスが飛び散る。 荒らされて困ると言ったのに、自ら荒らしていくスタイル。
ワカモ、爆炎を突き破って天井まで跳躍、壁を蹴り飛ばしてメタスラに迫る。
「矛盾しておりません?」
「うっせぇ! 戦場で気にしてられるか!」
バルカンの射角を上げ、対空機関銃のように弾幕を張りながら後退。
しかしワカモは止まらない。 空中で弾丸のシャワーを受けているにも関わらず、怯みもせずメタスラの車体に取り憑くと、キューポラに銃口を押し付けてクスリと笑う。
「嘘だろ!?」
驚愕するマルコ。 こんな華奢な狐娘が、こうも人外な動きと耐久性を見せるとは。
上半身裸でデカい機関銃を軽やかにブッパしてきた、アレン・オニール軍曹が思い出されるフィジカルさだ。
「では、さようならマルコ先生♡」
「舐めんじゃねぇ!」
「ッ!」
マルコ、咄嗟にハッチを勢い良く上げてワカモを砲塔から振り落とすと同時に飛び出すと。
ガチャッ!!
“ヘビィマスィンガァン‼︎“
手に持つ重機関銃をワカモに向け、情け容赦無くフルオート。 メタスラのバルカンに匹敵する弾幕を、生身の体から繰り出した。
その気迫にワカモはたじろぎ、今度は弾幕のパワーのままに壁際まで押し流されていく。
その隙に、マルコは再びメタスラに再搭乗。 砲塔が前のめりになり匍匐姿勢をとると、ハッチが開いて、中からポンポンと取手付きの手榴弾が投擲されまくる。
爆発。 爆発。 また爆発。 床も壁も爆ぜまくり、無事な箇所はほぼなく基礎が剥き出しに。 部屋はズタボロだ。
「少し舐めておりました。 ですが益々壊し甲斐があるというもの」
ワカモは爆煙に揺らぎながら、マルコとメタルスラッグへの認識を改めた。 ヘイローを持たない、外から来た貧弱な男性ではないと。
そして珍妙な豆戦車は、彼が乗り込めばワンマンアーミーの如く力を発揮するのだろうと。
であればこそ、きっと大切なモノだろうとも。
ああ……♡
早く、ソレを、壊したい……!
その時、どんな快感が体を巡るだろう。
彼はどんな顔をするのだろう。
絶望か。 激昂か。 早くヤってしまいたい!
「そうか、ならくれてやる」
「へ?」
だから、その言葉に不意を突かれた。
恍惚としているワカモに、突如メタルスラッグが特攻。 壁との間にワカモを挟んだ刹那。
ドカァアァァンッ!!!
メタルスラッグ、大爆発。 大炎上。
天井が崩れ、スクラップごとワカモを瓦礫の中に埋めてしまった。
最終手段、乗り物を放棄して敵にぶつける方法、通称メタスラアタック。
正式名称、近接最終決戦玉砕男度胸一番心臓発毛攻撃。 うん、長い。
「きゅぅ……」
ワカモ、目を回して気を失った。
マルコは後方でその様子を見届けると、まぁこんなものかと涼しい顔であった。
「貴重なメタルスラッグだったが、まあ、また何処かでぽっと出のに乗れるだろうさ」
それよりも、と周囲を見回すマルコ。
職場は見事なまでにボッコボコの廃墟。 戦場跡地。 肝心のシッテムの箱とやらが無事なのか、今更に慌て始めるという。
「やべぇ!? シッテムの箱とやらは無事だろうな!? タブレットが何とかって言っていたな、端末か? 無事であってくれ!?」
結論から言うと、無事であった。
そして何とか起動に成功。 先生として本格的に取り組んでいくのである。
なお、初日早々ボロボロになったシャーレの建物、その修繕費等の手配に、リンは笑顔でキレたという……。
mission:1 COMPLETE!
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