C&C戦はせず。 次回かな?
今回はゲーム開発部、作ったゲームをミレニアムプライスに提出、数日後の結果発表待ちへ
その間、C&Cがお礼参りの如く襲来…
「お姉ちゃん! まだ!?」
「モモイ、頼むぞ!?」
締切当日、それも寸前。
皆が目の下に薄らクマを浮かべる中、ミドリは叫び、同様にマルコも叫んだ。
ゲームは、ほぼ完成。 あとはモモイの入力だけなのだ。
「急かさないで! あとこれだけ入力すれば終わりだから……」
「あと2分だよ!? 急かさずにはいられないって!」
「正確には96秒です、そう言ってる間に残り92秒……」
「わ、分かった分かった! もうできたから!」
アリスも急かす中、ユズは鍵盤を凄い速度で叩いてシステムチェック。
「こっちは簡単なテストだけやって、うん。 エラーは出てない、モモイ!」
「オッケー! ファイルをアップロード、完了まで予想時間……15秒! アリス、あと何秒!?」
「残り19秒です……!」
「お、お願い……間に合って!」
「お願いしまぁす!!」
モモイも叫び、エンターキーを打った!
その瞬間、ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました、の文字が浮かぶ!
「間に合ったああぁぁあ!」
「ギリギリ……心臓止まるかと思った……」
「何とかなったか。 皆、よくやった」
マルコも生徒も互いに健闘を讃え合う。
まだ手放しでは喜べないが、やるべき事はやった。 今この瞬間は喜んで良いだろう。
「あとは3日後の発表を待つだけだね」
「3日後には、このまま部屋にいられるのか、そうじゃないのかが決まる」
「結果が待ち遠しいな?」
「……結構時間あるじゃん? そこで提案なんだけどさ、先にweb版の『TSC2』と『METAL SLUG』のプロトタイプをアップロードしてみるのはどう?」
「俺は構わないが……」
「ど、どうして?」
モモイは言い、ミドリは緊張と疑問が口に出た。
待ち時間、大人しく待っていられないから、皆もプレイできるようにしようと。
それには、マルコが自身の経験を元に企画した『METAL SLUG』(以下MS)のプロトタイプも含まれた。
短い動作を描くだけで、ビジュアル担当のミドリが過労でぶっ倒れかねない程の繊細なドット絵が惜しむ事なく使われている。
タイトル通り、戦車のメタルスラッグを動かして、敵を倒しまくりながら進む横スクロールアクションだ。
今のところ戦車から降車はできず、ずっと乗り続けて戦うデモプレイといったところか。
ただマルコも協力したとはいえ、全て作るにはあまりに時間が無く、1面ステージどころか半分以下のステージでひと通り動けるだけの、テストプレイ、試験用のデータをお出しする形となった。
「審査員の評価より先に、ユーザーの反応を見たくない!?」
「ちょっと怖いかも。 低評価コメントも心配だし」
「ミレニアムプライスに出品する為だけに作ったゲームじゃないでしょ! 自信を持って見てもらおうよ! 私達はベストを尽くしたんだから!」
「それはそうだけど」
「うん。 アップしよう」
「ユズちゃん?」
ユズは、信念を抱くままに肯定する。
そこには内気で引きこもり、行動できなかった少女の姿は微塵も無い。
「作品っていうのは、見てくれる人、遊んでくれる人がいてこそ、完成されるものだと思うから。 わたしは……わたしたちのゲームを、きちんと完成させたい」
「ユズちゃん……」
「大丈夫。 もし前みたいに低評価コメントのオンパレードになったとしても……全力で頑張ったから。 それに……みんなが一緒だから、きっと受け止められる。 わたしはもう、大丈夫」
「それじゃあ今すぐアップロード!」
「ああ、心の準備が!」
「転送完了! プレイして感想が貰えるまで少なくとも2、3時間はかかるだろうし、後は暫しの休憩ってことで!」
「……あ、もうコメントが並び始めたよ」
あまりに早いコメント。
危うく見逃しちゃうね。
<hermet021:わお、これ前回クソゲーランキング1位を取った、あれの続編?もうゲーム作りはやめたと思ってたけど、懲りないねぇ>
……が、ネガティブな意見だった。
ネットの感想欄で見かけるような、内容と関係ないもの、投稿時間や再生時間よりずっと早くコメントを残していくヤツだ。
珍しくはないが、これが自分達に向けられて良い気分はしない。 アリスは仲間を攻撃する敵と判断、嫌悪感のままに攻撃準備をし、皆に止められた。
「あ、アリス、こういうのは気にせず……」
「マキに連絡。 該当IPアドレスの方角に対して、最大出力のビーム砲を食らわせてきます」
「そ、それはダメ!」
「……大丈夫。 ゲームをやってもいない人の発言だから……気にしないで、ね?」
続くコメントはマトモだった為、取り敢えず落ち着いて読んでいく面々。
<kotoha0507:前回の「TSC」は確かに手放しで賞賛できる作品ではなかったかもしれません。 ですが新鮮味があり、少なくともありふれた作品ではありませんでした。 今回の2ではどんな目新しさを見せてくれるのか、楽しみです>
丁寧な言葉遣いで、ポジティブな意見。
皮切りにするようにコメントが溢れていく。
「おっ、徐々にちゃんとした反応が……」
その後も似たコメントが多く書き込まれた。
前回のアレから、どんな変化を見せてくれるのかという、怖いものみたさといった雰囲気ではあるものの、概ねポジティブといえよう。
そして『MS』についても触れられていった。
「あっ! マルコ先生の企画で作った超短めのプロトタイプ『MS』についてもコメントがされてる!」
<QueenC:繊細かつ大胆、それでいてコミカルに描かれていて重過ぎず、見ているだけで楽しめる。 忘却の彼方にあった記憶が蘇るようだ>
<kirakiraNO1:前作TSCに良い思い出はないけど、どうしてかな、続いて2もダウンロードしちゃった。 流れでMSも。 プロトタイプという事でとても短くて試食品って感じだけど、もう続きが気になってる>
<cat0808:2時間後に補習でテストがあるんだけど、そんなことより今はこの2つのゲームがやりたい気分>
<you-me:これらを遊ぶ最高のタイミングは、アップされた今だけなんだよ!>
「凄いよマルコ先生! 私達のTSCも、先生の体験談を元にしたMSもめちゃくちゃ期待されてない!?」
「俺自身は食玩みたいなものだろう。 実際に頑張ったのはミドリ、いや、全員だ。 その結果は……ほらDL数を見てみろ」
PC画面、別の場所を指差すマルコ。
そこに表示される数字は4桁だ。
「えっ! だ、ダウンロード数がもう2000を超えてる!? 流石におかしくない!?」
「あ……有名なポータルサイトに、私達のゲームが発表されたって記事が載ったみたい」
「うわあぁぁ! 無関心じゃなきゃ良いな、くらいに思ってたのに! ここまで数が増えると急に怖くなってきた!」
「アリス、ドキドキします」
「うぅっ! 期待と不安で心臓が爆発しそう!」
体中が希望と不安で熱くなっていく最中。
ドカアアァァァン!
突然の爆音が、部室に響く。
揺れる空間。 埃が舞い、床のゲーム機やソフトがカタカタと鳴っていく。
「本当に心臓、爆発しちゃったんですか?」
「ち、違う! 私の心臓じゃない!」
「違うだろォ!? 覚えある衝撃だろ、砲撃されたんだよ今ここを!」
「砲撃! 46mm砲……カリン先輩の!」
「ひいぃ……!」
再び爆音。
揺れる部室。 壁を抜いて、野晒しにするつもりだろうか。
「遠距離攻撃を確認、部室正面に対して11時の方角! 距離、約1km!」
アリスが自身の能力か、下手人の位置を大凡割り出して報告してくる。
「そりゃ長距離狙撃、いや砲撃だな。 C&Cか個人的な恨みか知らんが、この間のお礼参りか?」
「仕返しって……コト!?」
「反撃を開始します!」
「おっ、そうだな。 ここにいても仕方ない。 部室も壊されちまうし、向こうも俺達を炙り出す気で砲撃してんだろうさ」
「……! 外に生徒会セミナーの人達が展開中!」
「やっぱり仕返しだぁ!?」
「ちょっと申し訳ないと思ってたけど!」
「なら、狙いは俺だ。 そうじゃなくても1番暴れたのは間違いない……先行くぜ」
「マルコ先生! 1人だけに戦わせられないよ! アリス、私とユズが前に出る!」
「はい。 アリスは先生と皆を守ります」
「よし! 行こう!!」
リロードしているであろうタイミングを狙い、手に拳銃を握って外へ飛び出す面々。
廊下には待ち構えていたモブセミナー会員。
「よぉ! 6日くらい缶詰してた怪我人相手だからって遠慮すんなよ?」
激しい銃声が、再び響き始めたのだった。
後書き
土日祝日も関係なく動き、或いは家事だとか私事に追われて休んだ気になれない人も少なくないでしょう
天気も1日だけやっと晴れたと思えば、また悪い日々。心身疲労を感じる中
それでも惰性と偏在、手軽な娯楽の1つとして小説モドキを書く日々ですが、この余力もどこまであるか…