一難去ってまた一難。
セミナーの魔の手から逃れた開発部を待っていたのは、またセミナーだった。
破壊と硝煙の香りを漂わせ、マルコは再び戦場へ。 役員の怒声を受け止めながら、銃弾だけは遠慮する。
「マルコ先生! 貴方はやり過ぎた!」
「よくもセミナーの階をボロボロに!」
「おのれシャーレ! ユウカの仇!」
「ユウカちゃんは生きてるでしょ!?」
「ゲーム開発部共々お仕置きだべ!」
モブ役員達が廊下で待ち伏せて、マルコが出てきたところを一斉射。 拳銃弾やライフル弾、散弾に催涙弾と様々に集中するが───。
「1週間待ってくれて、ありがとよ」
マルコ、撃たれてるのに大人の余裕。
挨拶共々拳銃弾を前方にばら撒き、先頭の役員を床に伏せさせると。
「貰ってくぜ。 いつも通りに」
落ちた小銃、アンダーバレル付きのアサルトライフルを鹵獲する。
ガチャ!!
"ヘビィマスィンガン‼︎"
……見た目は小銃なのに、言い方が重機関銃なのは今更なツッコミである。
そんな事を言っては、他の武器もだし。
「オラ! 弾だけ返却!」
マルコ、拾い上げて即フルオート。
鉄の暴風が、射線上の役員を一掃した。
あまりにもあっけない。 マルコが強いとかモブが弱いだけでなく、人数に武器にと戦力そのものが乏しい。 タワー上階で損耗、未だ復旧や後始末で余力がないのだろう。
「こんなもんかよ。 残るは誰だ、C&Cか」
周囲に散らばったH印の箱を開け、弾薬のみを取得、ガチャガチャと補充しながら周囲を警戒するマルコ。
周囲に動く人影は……モモイ達のみ。
そんな彼女達ゲーム開発部も、マルコの背中を守りつつ、其方側の敵を殲滅したらしい。
「マルコ先生、こっちも片付いたよ!」
「もうセミナーはいなさそうです」
「残りは外です」
「うぅ、本命はまだだよね……」
ゲーム開発後で心身共に大変だろうに。
あいや、セミナー側も色々だろうけど。 今は味方である彼女達を褒めるマルコ。
「モモイ達もか。 何徹もした後に良くやった」
「メイド部に比べたらチョロいって!」
「そのメイド部は外で待ち構えているけど」
「この間は鏡を回収する使命がありましたが、今回は身軽です。 戦えます」
「わ、わたしも。 今度は一緒に戦います」
「なら行くか、どうせ逃してくれないだろ」
互いに頷き合い、屋外へと移動する一行。
玄関から出るや、正面で堂々と起立していたチビメイド。 C&Cリーダー、ネルの姿がそこにあった。
他の連中と異なり奇襲をせず待っていたとは。 不良だが曲がった事はしたくない性格もある一方、どこか律儀なのかも知れない。
「よぉマルコ先生。 怪我はもう良いのか」
「やぁネル。 殺されかけたがこの通り」
「お互い様だろ……アカネが調査した例の『先生』……噂は大袈裟じゃなかったみてぇだな」
「ネル先輩だ!」「やっぱりセミナーの件?」
「今度はきっと勝ちます!」「ひいぃ……」
何か思案するネルだったが、戦々恐々のゲーム開発部は気にする余裕がない。
戦闘職な向こうと異なり、ゲーム開発部はその名の通りだ。 多少アグレッシブな行為もするが、流石に差がデカ過ぎた。
「で、どういう用件だ? 報復か?」
「はっ! そんなくだらない理由で来るわけねぇだろうが。 強いて言うなら、アリスとかいう奴に用がある。 そのデカいのでウチのモンに1発喰らわしたらしいじゃねぇか。 ちっと面貸せや」
「アリス、このイベントを知っています。 告白イベントですね!」
「イベ……? なんの話だ?」
「アリス、すまねぇが今は大人しくしてろ」
才羽姉妹による英才教育により、ゲーム基準の思考となるアリスを止めるマルコ。
まだ日常会話に若干の支障がありそうだ。
「あちこちに怪しい部分はあったが、こっちとしては正当な依頼の中での出来事だった。 そっちはそっちで、あたしらを相手に目標を達成しただけだ。 そこに恨みはねぇが……」
「無いが、なんだってんだ?」
「俄然、興味が湧いてきてな。 確認って言った方が良いかも知れねぇが」
不敵に笑い、ダブルマシンガンの銃口を向けてくるネル。
「ちょっくら相手して貰おうか!」
「やっぱりな」
「あたしと戦って勝てたら、このまま大人しく引き下がってやる」
また戦う流れらしい。
マルコとしてはリベンジの機会が早速きた形
だが、ネルの意図は何だろうか。
「脳筋だな。 話し合いの余地はねぇのかよ」
「お互いを理解するには、これが1番手っ取り早いからな。 どうだ、難しい話じゃねぇだろ?」
そうかな……そうかも。
マルコは徹夜もあって頭が働かず色々面倒になり、それで満足するならやってやらぁと切り替える。
アリスも共々しながら口にした。
「分かりました」
「お、やる気満々と来たか」
「イベント戦闘みたいなものですね、理解しました」
「イベ……また何の話だ?」
「考えるな、感じろ。 俺もそうする。 ネルもそうしろ」
ネルに銃口を向けるマルコ。
目の下に薄ら黒いクマを浮かばせ、瞼が半分落ち、アリスの言動にイラつきとダルそうにしながらも、身に沁みた戦闘態勢を本能的に行っていく。
「調子狂うな……まぁ良い! やろうか!」
ネルもまた、そうしていくのだった……!