アビドス編でもそうでしたが、当作のマルコ先生は必要な事なら多少悪い事もします
「改めて自己紹介を。 私は超天才病弱美少女ハッカー、明星ヒマリです。 以後、お見知り置きを」
「欲張りセットかよ、注文してねぇぞ」
「ゲーム開発部の皆様も、貴方の工作行為についてはお願いしてないのでは?」
明星ヒマリ。
ミレニアムにおいて最高の学位である「全知」を持つ。 自らを超天才病弱美少女ハッカーを名乗り、自他共に認める天才。
自信満々な言動が目立つが、体が弱いのは本当で、常に先進的なデザインの電動車椅子に座って活動。 長髪の毛や肌、着用している服まで白いのも拍車をかけているといえる。
しかし、彼女を憐れむ者はいない。 明るい性格もあるし、実力主義な面があるミレニアムにおいて、他を圧倒する知識があるのだから。
そんなヒマリが、マルコに会いに来た。
ただの挨拶なら光栄だったが、違った。
ミレニアムプライスにて、マルコが不正をしている証拠を掴み、それを突きつけてきたのだ。
内容は審査員への脅迫。
ゲーム開発部を入賞させるよう脅し、さもなくば世間に知られたくない情報を撒くと。
それは廃部を回避する為の手段であり、私利私欲、私服を肥やす為では無いものの、犯罪には変わりない。
その証拠を生徒会に持って行かれたら、ゲーム開発部の入賞は撤回、他生徒からの謗りを受けて今度こそ居場所を失い、マルコもただでは済まない。
しかしヒマリは、危険を顧みず直接犯人の下、マルコの前に現れた。 正義を執行したいなら、有無を言わさず通報すれば良いものを。
これの意図するところは、これを脅しの材料として何かしらの交渉をしたいか、自分の安全が確実に確保されているか、それか意地悪く反応を見たいが為だろう。
……或いは、その全ての可能性もあるが。
「廃部の口なら手を出すぞ」
「ただの興味本位でお訪ねしただけです。 そう身構えずとも良いですよ」
「どうだか」
「入賞を取り消させるつもりはありません。 ゲーム開発部の実力も、審査員の気持ちも嘘ではありませんから。 ただマルコ先生がどのような人物か、直接確かめてみたくなりまして」
「調べたんだろ。 見ての通りだ」
「そうですね……様々な武器装備を使いこなし、豆戦車なメタルスラッグで災厄の狐を倒した後、カイザーPMC相手に大暴れ。 コンピュータウィルスを作り、悪徳大企業にハッキングする手腕。 ミレニアムでもそれら能力を遺憾無く発揮し、生徒会の主要な戦力の大半を無力化。 戦闘にもコンピュータ関連にも優れるなんて、ちょっと嫉妬しちゃいました。 同時に興味が湧くのも自然かと」
やはり調査済みだった。
それも報道機関が把握していない部分まで。
「立派な挨拶だ。 益々警戒心を抱いたよ」
「お近付きの印に、あなた方が破壊した建物などは不問にしました。 それに差し上げる情報もあります」
「どんな?」
「AL-1S、アリスについてです」
マルコの眼光が鋭くなる。
瞬間、空気が変わった気がした。
「ゲーム開発部に対してハッキングやら盗聴を駆使したか。 いや、俺が来てからか」
マルコは思う。
キヴォトスにやって来てからのアレコレな経歴を知れば、ヒマリ含め多くの者が注目に値すると判断、調査をしてもおかしくはない。
その方法は合法、非合法含めて色々だろう。 その過程で知れる事も多い筈だ。
「はい。 マルコ先生がミレニアムに来てから、その行動監視の延長線で色々と知る事ができました。 ですが勘違いなさらずに。 元よりその線での調査はしていたのです」
「……アリスは何者なんだ。 宇宙人や古代人の兵器か。 ロストテクノロジーか」
「だいたいその認識で合っているかと。 アリスは……かつてキヴォトスにいた、名も無き神々の遺産ともいうべき存在。 そしてその目的は、キヴォトスの支配……」
「アリスが古代兵器? それほどの力を?」
それではアリスが好む勇者ではなく、倒すべき魔王ではないか。
……魔王。 なんかその言葉は学校か何処かで聞いたような気がするが、トンチキな兵器や装備、人物を相手にしてきた弊害かなと気にしない。
「……というのが、浄化槽の底のドブ水の如き生徒会長、調月リオの見解でしょう」
「まぁ規模的にトップが絡んでいても変とは思わん。 仲は悪いみたいだが、仕事仲間で仕方なく組んでるってところか」
「あ、私は清水の如き透き通っています。 アリスの事は可愛い後輩と答えるでしょう」
「無害の内は俺も同意見だ。 だが、将来的にどうなるのかは分からない」
隙あらば行われる自画自賛をスルーし、アリスの将来を危惧するマルコ。
ヒマリは対応しつつ、今回マルコに会いに来た理由へと繋げていく。
「その対策をする為にも、今後も監視と調査は継続します。 ですが近々結論を出す事になるでしょう。 リオはそこに危険性がある限り、排除しようと動く筈です」
「排除。 退学、なんて生優しくは無いか」
「ある意味では退学、除籍に変わりないでしょう。 元より偽りとしても、その方法は残忍卑劣、非人道的な行いとなる事が予想されます。 リオという下水はそういう女なのです」
「どんだけ嫌われてんだ、リオって会長は……とにかく、その有事の際は、俺が力尽くで介入して説得ないし黙らせれば良いんだな?」
「話が早くて助かります。 なるべく私の方で解決を試みますが、穏便に行かない場合、助力を求めると思います。 その際は、何卒」
また厄介そうな話に巻き込まれた。
だとして今更か。 世界を何度も救って来た英雄マルコ、その手腕がキヴォトスでもある程度は通用するのが分かってきたし、出来ん事は無いかに思われる。
「了解した。 面倒だから先に黙らすってのは、流石に駄目だろうしな。 ミレニアム全体が敵に回りかねん。 ゲーム開発部だけじゃなく、エンジニア部とも仲良く出来そうだし」
「すみませんが宜しくお願いします。 その代わり、私に出来る事であれば協力致しますので。 最近は活動出来ておりませんが、一応ヴェリタスの部長ですし。 今はリオの命令で仕方なく特異現象捜査部として活動していますが、その名でやれる事もあるかに思えます」
「その時は連絡する。 お互い様だな」
こうして互いに握手を交わし、近々来るかも知れない脅威に備える。
会ったばかりで信頼し合えるとは言えない仲だが、助け合えると判断しての事だった。
そしてその時、マルコは解決出来るのか?
この世界線の歴史は、果たしてどうなるのか?
兎に角、今は今。
ゲーム開発部の危機を救えた事を喜ぼう。
mission:3 COMPLETE!
後書き
気が付けば投稿開始からほぼ1ヶ月
毎日のように投稿できた己を褒めたい…
メタスラ要素が薄く面白味が無いかもですが
キリ良く章が終わりを迎えられ、そこは良かったかなと思います
悪天候が続き、作者の心身も不安定な中。 この先どこまで書けるか不明ですが、楽しんでくれている方が1人でも多ければ嬉しく思います