今回はアロナと出会ってアレコレする話。
戦闘はありませんが、全飛ばしし難いかなと
キヴォトスで1番偉い人物、連邦生徒会長が残したオーパーツ、シッテムの箱。
タブレット端末にしか見えないが、その正体は全くの不明。
製造会社、OS、システム構成はおろか、動く仕組み等、一切合切が謎に包まれた機器だ。
リンは言った。
連邦生徒会長曰く、これは先生の物であり、これでキヴォトスで1番高い構造物にして行政云々の機能を果たしている、サンクトゥムタワーを回復させられると。
連邦生徒会の議員達は、会長の行方を探る為だったり、治安を回復させる為だったり、或いは余計な下心で起動を試みたものの、うんともすんともいわせられなかった。
だが持主とされ、コンピュータ関連が得意なマルコ先生の手に渡るや端末が起動。 あっさりパスワードを突破。
画面に生体認証を始めると表示されると、次の瞬間には謎の空間に飛ばされるという超常現象に見舞われる。
これで何度目かも分からないが、今度は崩壊した、しかし青空と海辺が輝く教室といった明るい景色。 その机の1つに突っ伏している水色髪の少女が1人。 取り敢えず戦場ではない。 戦場跡地、と言われたらワンチャン信じてしまいそうな崩れ具合をしているが。
「この端末には秘密空間へのテレポート機能がついてるのか?」
マルコはボヤきながらも、少女の肩を揺らす。
どうせ何か知っていて、それを聞く必要があるのだろうと。
「カステラはイチゴミルクよりも、バナナミルクのほうがぁ〜……」
「寝ぼけてないで起きてくれ。 お前は端末の中に住まうAIかなんかで、俺に説明する義務でもあるんだろ?」
「むにゃ……えっ、先生!? マルコ先生! 漸く会えましたね!」
目が覚めるや、マルコを見て目を輝かせ始める少女。 どうやらマルコを知っているらしい。
たぶんリンと同じようなパターンで、簡単な情報を知っているだけというものだろう。 今はそこの頓着よりも進めるべき任務がある。
「ああ。 で、俺はお前を知らん。 誰だ?」
「私はアロナ。 このシッテムの箱のメインOSであり、先生の秘書として、これからサポートします。 宜しくお願いします!」
「ようは流行りのAI的なのが、端末に入っているというワケか。 オッケーだ」
「な、なんか変な納得の仕方をされましたが、今はそういう事にしておきます」
「それでアロナ、俺は何をすれば良いだ」
「ええと、生体認証として指紋の登録をしてください。 私の人差し指に、先生の人差し指を合わせるようにして……」
「昔の映画みたいだ」
指先を合わせるシーンが有名な映画……それは友好的な宇宙人の物語だったか。 キヴォトスにはそういうのがいるのだろうか。
マルコは何種類かの異星人と対峙してきたが、印象に残るのはマーズピープルだろう。 反乱軍ことモーデン軍と一時期協力関係にあったし。 結局裏切られたり、その後の騒動で一時共闘するなんて事もあったりと、登場頻度があったし。
兎に角、フィジカルな不良相手でも疲れるのに、更に厄介な敵性エイリアンが出ない事を祈りつつ、指を合わせてやった。
「画面についた指紋を、私が目で見て確認します。 んー……大丈夫です、たぶん」
「先進的なデジタル存在なのに、随分とアナログな方法だなオイ。 今の機器なら秒と掛からず終わるモンだが」
「えっ、そうなんですか!? むむむ、そんなに最新の端末に拘るなら、そっちに乗り換えちゃえば良いじゃないですか! ぐすん……」
「ああもう、悪かった、俺が悪かったよ!」
プログラム的な存在かと思えば、随分と幼く人間臭い声や表情をするアロナに、マルコはばつが悪かった。
同時にコンピュータプログラミングを趣味にしている事もあって大変興味深くもあり、今後の付き合いで学びを得られるのではとも期待した。
どこかコミカルなメタスラ世界であるが、AIの話は全くの無関係という訳でもない。
というのも、マルコがかつて作って問題を起こしたコンピュータウィルスと思われるものが、SV-001(メタルスラッグ)のCPUでAIに進化し、MS-ALICE(アリス)と名乗ったとか何とか……。
しかも偶然にも「アリス(AL-1S)」はキヴォトスに存在する。 しかもAIのように作られた存在、アンドロイドとして。 彼女との邂逅は少しだけ未来の話となるが……。
「───一先ず認証完了です。 サンクトゥムタワーの権限を取得。 これでキヴォトスは思いのままです」
「そんなアッサリと平和的に征服できてりゃ、誰も苦労しないな」
「連邦生徒会に権限を委譲する事も出来ますが、大丈夫でしょうか?」
「俺の手には余る。 なに、リンって娘は真面目そうだったし、変な事はしねぇだろ」
「分かりました。 全権限を連邦生徒会に委譲します」
「万が一、暴走するようなら止めるさ。 バッグドアの構築……そうでなくても、いつも通り力尽くでな」
「マルコ先生は、とっても強そうですけれど、生徒さんのようにヘイローが無いですから、弾が当たれば大ごとです。 私、スーパーアロナちゃんバリアで出来るだけ守りますが、不測の事態も考えられます。 出来るだけ矢面には立たないようにしてください」
「バリア、ね。 ミステリアスな雰囲気のある端末、もとい少女ってのは魅力的だぜ。 益々手放せねぇな」
「えっ!? エヘヘ、なんか照れ臭いです!」
チョロいな。
暗黒微笑を浮かべるマルコであった。
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