キヴォトスラッグアーカイブ   作:ハヤモ

52 / 53
光と影の歴史

聖なる品性を纏いし輝く陽光、トリニティ。

その生徒会、ティーパーティ。

その歴史は決して平坦ではなかった。

 

大昔、トリニティには幾つもの学園がひしめいており、散発していた学校間での紛争を避けるべく、各校代表が会談を行うために設けられた場をティーパーティと呼んでいた。

やがて各学園は第1回公会議における合意を以って「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」の3つの主要な学園を中心とした連合を形成。 トリニティ総合学園という一つの学校へと統合していく事となる。

 

現在の校章である、十字架と3つの円、逆三角形が重なったデザインはそこからきていると思われる。

学生証などでは十字架が省かれた略式校章が使われている。 放課後スイーツ部など、政治に興味が無さそうな一般生徒は、気にしてなさそうだが……。

 

さても統合の際、問題が起きた。

アリウス分派が反対の立場をとったのだ。

考えの違いの差があり過ぎたのか、同担拒否のようなものだったのかは分からないが、これでは纏まらない……ただ1派のせいで。

だが他は纏まった。 丁度良い。 これ以上派閥が増えても面倒だ。 連合となった戦力を試そう。 そして我々に歯向かったらどうなるのか思い知らせろ。 紛争の火種を踏み消してしまえ。 身の程知らずを蹂躙だ。

 

きっと、そうなった。

 

そしてアリウスはトリニティから迫害を受け、本来の自治区から追放。 キヴォトスの表舞台から姿を消した。

 

その記録に関しては表向き「アリウスが武力衝突を起こしたからやむなく破門にした」等と勝利者としての正当性を主張するような内容が示唆され、歴史改竄、誤認誘発を招く曖昧かつ都合の悪い真実を闇に屠る。

同時に都合の良い歴史をペンと紙で"作った"。

 

歴史は勝者によって作られる。

真実を歪ませ、悪しきは相手に押し付ける。

 

故にその勝利、歴史の形は歪といえよう。

実際にアリウスの詳細な記録はティーパーティの権限を持つ生徒でなければ閲覧できなかったりと、情報統制が徹底されている。

 

トリニティ総合学園となった現在もティーパーティは生徒会という形で残っており、3派から選ばれた首長が最高権限者である「ホスト」を回り持ちで務める三頭政治体制を敷いていた。

 

そして今。

 

パテル分派代表:聖園ミカ

フィリウス分派代表:桐藤ナギサ

サンクトゥス分派代表:百合園セイア

 

この3人が現在のトリニティ首長にあたる。

今は病弱なセイアは入院中で、学園にはナギサとミカの2名。

 

実は他にもティーパーティに参加資格のあるヨハネ分派首長、蒼森ミネがいるが、そちらは救護騎士団という医療系の活動に専念しており、取り敢えずは考えなくて良い。

 

現在のホストは天使系の生徒、ナギサ。

政治絡みが出来るが、エデン条約が間近で気を張る日々だ。

幼馴染でもあるミカは神秘の都合か、武力面ではとても強いものの、性格といい政治がからっきしで頼れず、事実上ティーパーティの首長はナギサ1人。 その気苦労と労力は計り知れない。

 

そこに予想されていたとはいえ、テロ予告がシャーレにより伝えられたからストレスは半端ではない。

丁度ミカが後見人となりやってきた謎の転校生、アズサが正実相手にドンパチしたのもあり、疑心暗鬼になっていく。

 

その上、そのシャーレの顧問、マルコ先生まで突然学内で暴れ出したというからパニックだ。

悲鳴と銃声、爆音が学内を支配し、それは確実に迫ってきている。

 

 

「マルコ先生が、突如として戦闘行動!」

 

「情報局が言っていた例の豆戦車で暴走中!」

 

「こちらに向かって来ています!?」

 

「狙いはナギサ様だ! お守りしろ!」

 

「正実が応戦中ですが、歯が立ちません!?」

 

「ツルギ委員長がいない時を狙われた!?」

 

「突破は時間の問題です!」

 

「クルセイダー隊を急がせろ!」

 

「間に合いません! 侵攻が早過ぎます!」

 

「いいから急がせろ! 巡航戦車だろ!!」

 

「豆戦車に負けたらトリニティの恥だ!」

 

「ゲヘナに知れたら馬鹿にされるぞ!?」

 

「ナギサ様。 大至急避難を!」

 

 

もう何を信じれば良いのか分からない。

 

人間不信に駆られる中、ミカやティーパーティの補佐達……モブ天使生徒に避難を促され、セーフハウスへと姿を隠した。

 

 

「ナギちゃんは早く隠れて! シャーレのマルコ先生とは私が"お話"するから!」

 

「ミカさんが強いのは知っています。 ですが」

 

「もー! 早く行った!」

 

 

そうしてナギサが姿を隠した頃合いに。

 

ドゴォンッ!!

 

テラスへの豪華な両扉が派手に吹き飛んだ。

そして瓦礫を踏む履帯音。 榴弾による黒煙を突き破り、不躾に茶会の場へダイナミックエントリーしてくる銀ピカ豆戦車の姿が!

 

\メェタルスラァッグッ‼︎/

 

どこからか謎の声で自己紹介が聞こえるようだ。

 

 

「わーお⭐︎」

 

 

思わず声が出るミカ。

お互いどこまで聞こえているのかは不明。

さても、行儀の悪い金属ナメクジはお呼びではない。 それでも一応挨拶がてら、話をして反応を見てみるミカ。

 

 

「ナギちゃんならセーフハウスに避難したよ。 私はシンガリってとこかな⭐︎」

 

 

が、返答は少々予想外の言葉だった。

 

 

「いんや聖園ミカ。 君に用があって来た」

 

 

砲塔のハッチが開き、搭乗員が出てきて言った。

白いバンダナ、赤いベストを着た男の人だ。

 

 

「へ? 私? もしかしてデートのお誘い? 豆戦車でドライブしようってコト?」

 

「いや、アズサについてだ。 それとアリウスって知ってるか?」

 

「……ふーん。 そういう感じ?」

 

「知ってるんだな。 教えて貰うぞ」

 

 

絶対バレないとは思ってなかったけど。

まさかこんなにも早く察して来る人がいたなんて。 それも出来て間もないシャーレに。

ミカは得物の短機関銃をメタスラに向ける!

 

 

「マルコ先生だっけ? ごめんね、よく分からなーい⭐︎ でもここまでされたらさぁ……2度とこんな事できないように身も心も折るしかないよね!!」

 

「悪いが負けてやる気はねぇぜ」

 

 

刹那、交差する銃弾。

どちらも譲れぬ戦いが始まった!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。