聖なる品性を纏いし輝く陽光、トリニティ。
その生徒会、ティーパーティ。
その歴史は決して平坦ではなかった。
大昔、トリニティには幾つもの学園がひしめいており、散発していた学校間での紛争を避けるべく、各校代表が会談を行うために設けられた場をティーパーティと呼んでいた。
やがて各学園は第1回公会議における合意を以って「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」の3つの主要な学園を中心とした連合を形成。 トリニティ総合学園という一つの学校へと統合していく事となる。
現在の校章である、十字架と3つの円、逆三角形が重なったデザインはそこからきていると思われる。
学生証などでは十字架が省かれた略式校章が使われている。 放課後スイーツ部など、政治に興味が無さそうな一般生徒は、気にしてなさそうだが……。
さても統合の際、問題が起きた。
アリウス分派が反対の立場をとったのだ。
考えの違いの差があり過ぎたのか、同担拒否のようなものだったのかは分からないが、これでは纏まらない……ただ1派のせいで。
だが他は纏まった。 丁度良い。 これ以上派閥が増えても面倒だ。 連合となった戦力を試そう。 そして我々に歯向かったらどうなるのか思い知らせろ。 紛争の火種を踏み消してしまえ。 身の程知らずを蹂躙だ。
きっと、そうなった。
そしてアリウスはトリニティから迫害を受け、本来の自治区から追放。 キヴォトスの表舞台から姿を消した。
その記録に関しては表向き「アリウスが武力衝突を起こしたからやむなく破門にした」等と勝利者としての正当性を主張するような内容が示唆され、歴史改竄、誤認誘発を招く曖昧かつ都合の悪い真実を闇に屠る。
同時に都合の良い歴史をペンと紙で"作った"。
歴史は勝者によって作られる。
真実を歪ませ、悪しきは相手に押し付ける。
故にその勝利、歴史の形は歪といえよう。
実際にアリウスの詳細な記録はティーパーティの権限を持つ生徒でなければ閲覧できなかったりと、情報統制が徹底されている。
トリニティ総合学園となった現在もティーパーティは生徒会という形で残っており、3派から選ばれた首長が最高権限者である「ホスト」を回り持ちで務める三頭政治体制を敷いていた。
そして今。
パテル分派代表:聖園ミカ
フィリウス分派代表:桐藤ナギサ
サンクトゥス分派代表:百合園セイア
この3人が現在のトリニティ首長にあたる。
今は病弱なセイアは入院中で、学園にはナギサとミカの2名。
実は他にもティーパーティに参加資格のあるヨハネ分派首長、蒼森ミネがいるが、そちらは救護騎士団という医療系の活動に専念しており、取り敢えずは考えなくて良い。
現在のホストは天使系の生徒、ナギサ。
政治絡みが出来るが、エデン条約が間近で気を張る日々だ。
幼馴染でもあるミカは神秘の都合か、武力面ではとても強いものの、性格といい政治がからっきしで頼れず、事実上ティーパーティの首長はナギサ1人。 その気苦労と労力は計り知れない。
そこに予想されていたとはいえ、テロ予告がシャーレにより伝えられたからストレスは半端ではない。
丁度ミカが後見人となりやってきた謎の転校生、アズサが正実相手にドンパチしたのもあり、疑心暗鬼になっていく。
その上、そのシャーレの顧問、マルコ先生まで突然学内で暴れ出したというからパニックだ。
悲鳴と銃声、爆音が学内を支配し、それは確実に迫ってきている。
「マルコ先生が、突如として戦闘行動!」
「情報局が言っていた例の豆戦車で暴走中!」
「こちらに向かって来ています!?」
「狙いはナギサ様だ! お守りしろ!」
「正実が応戦中ですが、歯が立ちません!?」
「ツルギ委員長がいない時を狙われた!?」
「突破は時間の問題です!」
「クルセイダー隊を急がせろ!」
「間に合いません! 侵攻が早過ぎます!」
「いいから急がせろ! 巡航戦車だろ!!」
「豆戦車に負けたらトリニティの恥だ!」
「ゲヘナに知れたら馬鹿にされるぞ!?」
「ナギサ様。 大至急避難を!」
もう何を信じれば良いのか分からない。
人間不信に駆られる中、ミカやティーパーティの補佐達……モブ天使生徒に避難を促され、セーフハウスへと姿を隠した。
「ナギちゃんは早く隠れて! シャーレのマルコ先生とは私が"お話"するから!」
「ミカさんが強いのは知っています。 ですが」
「もー! 早く行った!」
そうしてナギサが姿を隠した頃合いに。
ドゴォンッ!!
テラスへの豪華な両扉が派手に吹き飛んだ。
そして瓦礫を踏む履帯音。 榴弾による黒煙を突き破り、不躾に茶会の場へダイナミックエントリーしてくる銀ピカ豆戦車の姿が!
\メェタルスラァッグッ‼︎/
どこからか謎の声で自己紹介が聞こえるようだ。
「わーお⭐︎」
思わず声が出るミカ。
お互いどこまで聞こえているのかは不明。
さても、行儀の悪い金属ナメクジはお呼びではない。 それでも一応挨拶がてら、話をして反応を見てみるミカ。
「ナギちゃんならセーフハウスに避難したよ。 私はシンガリってとこかな⭐︎」
が、返答は少々予想外の言葉だった。
「いんや聖園ミカ。 君に用があって来た」
砲塔のハッチが開き、搭乗員が出てきて言った。
白いバンダナ、赤いベストを着た男の人だ。
「へ? 私? もしかしてデートのお誘い? 豆戦車でドライブしようってコト?」
「いや、アズサについてだ。 それとアリウスって知ってるか?」
「……ふーん。 そういう感じ?」
「知ってるんだな。 教えて貰うぞ」
絶対バレないとは思ってなかったけど。
まさかこんなにも早く察して来る人がいたなんて。 それも出来て間もないシャーレに。
ミカは得物の短機関銃をメタスラに向ける!
「マルコ先生だっけ? ごめんね、よく分からなーい⭐︎ でもここまでされたらさぁ……2度とこんな事できないように身も心も折るしかないよね!!」
「悪いが負けてやる気はねぇぜ」
刹那、交差する銃弾。
どちらも譲れぬ戦いが始まった!