キヴォトスラッグアーカイブ   作:ハヤモ

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前書き
空飛ぶナメクジvs子ウサギ小隊


SV-F07Vスラグフライヤー/ RABBIT小隊

SRT特殊学園。

政治的中立を志向した法執行機関。

Special Response Team(特別対応チーム)の名を冠した、キヴォトスの法執行機関における最高学府。

 

連邦生徒会長により創設。

一般的な治安維持業務にあたるヴァルキューレ警察学校が連邦生徒会(行政委員会・防衛室)の管轄であることから、キヴォトスの各学園が持つ自治権を理由に活動を制限される場面が多い点を鑑み、ヴァルキューレでは対応できない案件を担うための特殊部隊の運用と養成を主目的としたエリート校。

他校の自治区への介入が可能など強い権限が与えられている他、一般に出回らない強力な武器装備を保有。

それらを扱い、人質救出、対テロ活動などを行い、それら含む様々な状況を想定した厳しい訓練を日々熟している。

 

優秀な隊員を育成する為の選別……入学試験、検査の振い落としは大変厳しいと思われ、一説にSRTに入学できるのは、一般生徒が一生かけても得られない才能を持つ者とされる。

そんな生徒達の活躍により、悪徳企業カイザーの違法な兵器開発をしていた工場の制圧、シャーレオフィスを占拠していた厄災の狐ことワカモの逮捕など、その実績は数多い。

 

ところが創設者兼、後ろ盾の連邦生徒会長が失踪した事で責任の所在が浮いてしまう。

この混乱により治安が著しく悪化、凶悪犯が矯正局から脱走したのもあり、これらを取り締まる為の戦力として存続させるべきという意見もあったが、万が一の暴走に対処出来ないとして廃校になろうとしている。

これに反発した一部生徒……訓練途上にある1年生のRABBIT小隊が武器庫から武器を持ち出し、D.U.と呼ばれるエリアにある子兎公園で籠城。 防衛陣地を構築、抗議活動をしていた。

ヴァルキューレ警察が対処に当たったが、プロの技術と装備相手に警備局は全滅。 続いて公安局が鎮圧に当たるも防戦一方。 残る戦力はポンコツ警官の左遷先のような、生活安全局のみとなるまでに追い詰められてしまった。

 

 

「ここ、死角の筈なのに撃たれる!?」

 

「うわあああ!!」「どこからの銃撃!?」

 

「甘いな。 サーマルカメラも知らないのか、隠れたって無駄だというのに」

 

「こ、こちらアルファ分隊! 気付かれ……!」

 

「座標VK(ヴィクターキロ)4-0-4-5! やれ!」

 

「くひひ……! 待ちくたびれたよ!」

 

「ドローンだ!?」「来るぞ、逃げろ!?」

 

「アルファ分隊応答しろ! ……くそっ!」

 

 

SRTの専門的かつデタラメな火力。

一方的にやられていく警官隊。

 

 

「動けるのは5人にも満たない。 それも生活安全局とは」

 

「本官の出動ですか!」

 

「いやー、無理でしょコレ。 勝てないって」

 

 

残るは平和ボケした閑職と過酷な現場。

エリートと、そうでない生徒の間には、到底埋められない隙間がある。 悔しいが。

 

 

「残ったの生活安全局でしょ。 ザコじゃん」

 

「うぅ……もう帰りたい……」

 

「廃校反対! いや、私達がいる限り! SRT特殊学園は無くならない!」

 

「武力行使による排除が困難と分かれば、交渉の場に持ち込める筈です」

 

 

そして現在。

クロノス報道部が、その様子を面白可笑しく報道、指揮を執る公安局長のカンナがイラつきを見せる中、それは来た。

 

 

「なんの音だ?」

 

「空、ドローン?」

 

 

エンジンの轟音は段々と大きくなり、空に見える黒点はみるみるうちに大きくなり。

 

 

「ッ! 対空警戒!」

 

「RABBIT4、確認を!」

 

 

青空で煌めく銀翼のボディに、ミサイルを懸架した両翼前面、吸気口を邪魔するように備え付けられたバルカン砲。

太陽に反射するキャノピーの内側には、1人の大人の姿。 白い鉢巻に赤いジャケットを着た男が不敵に笑んでいる。

 

 

「ジェット戦闘機、です……!?」

 

「ウソだろ!? そんなものあったか!?」

 

「ミレニアムで噂のVTOL機

"空飛ぶナメクジ"こと

SV-F07Vスラグフライヤーじゃない!?

完成したんだ! で、それを私達に差し向けてきたと! 良いね盛り上がってきたねぇ!!」

 

「喜んでる場合か! あんなのとの戦い方なんて教練になかったぞ!?」

 

「対ヘリ戦闘の要領でなんとか……VTOLならホバリングするタイミングがある筈。 そこを狙って、それまではドローンと携行ミサイルで攻撃してください!」

 

 

想定外の事態に浮き足立つRABBIT小隊。

それでもやらなきゃやられると、地対空ミサイルやらドローンやら、手持ち無沙汰の奴は狙撃で抵抗してくる。

SV-F07Vスラグフライヤーのパイロット、マルコは回避しながら呟いた。

 

 

「公園を陣地化している特殊部隊、SRTの1年生RABBIT小隊。 バリケードに土嚢、機銃陣地……そして高性能な装備の数々。 訓練途上だからか弾幕に粗があるとはいえ火力は本物。

だが航空機相手は不慣れか? まぁスラグフライヤーはキヴォトスには出回ってないだろうからな……じゃないと困る」

 

 

マルコ、挨拶代わりにミサイル発射。

 

 

「FOX、じゃなぁい!!」

 

 

テントが張られた野戦指揮所らしき場所を爆撃、派手に吹き飛ばす。

後方支援役のRABBIT3ことモエが吹き飛び、間も無く RABBIT2ことサキの報告が飛ぶ。

 

 

「RABBIT3ダウン!」

 

「RABBIT2、伏せてください!!」

 

 

そのままバルカンを下に向け、陣地の上を高速で通り過ぎるように機銃掃射。 土嚢が吹き飛び、裏にいた生徒……サキごと吹き飛ばした。

 

 

「RABBIT2ダウン……! RABBIT4、コックピットを狙撃できますか?」

 

「空中を高速で不規則に動く的……や、やってみま……きゃあああ!」

 

「止まってやるかよ。 俺は的じゃねぇぜ」

 

 

刹那、林の一角がミサイルで吹き飛んだ。

スコープの反射光が木々の間で瞬いたのをマルコが見つけ、ミサイルを撃ち込んだのだ。

 

 

「RABBIT4! 残るは私だけ……せめて一矢報いて、いえ、ここは塹壕に退避し、チャンスを伺って……」

 

「姑息な真似なんてさせるかよ。 公安局長のカンナ、だったか。 それと生活安全局。 制圧のチャンスだ、GO!」

 

 

マルコが地上の警官隊に無線を飛ばし指示。

最後の決は歩兵。 マルコの声で弾かれるように動き出す残存戦力たち。

 

 

「動ける者は生活安全局を援護しろ!」

 

「た、逮捕します! 動かないでください!」

 

「えー……トンデモ展開だねこりゃ」

 

 

最後に残った隊長、 RABBIT1を包囲する警官生徒たち。 何発かの銃撃戦こそ発生したが、多勢に無勢。

間も無くして 制圧され、RABBIT小隊は全員手錠を打たれて連行されるのであった……。

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