ヘルメット団を撃退後、廃校会議を再開するも良い案は浮かばずに停滞。
セリカはバイトで地道に返す以外思いつかず、ホシノは生徒数を稼げれば、金や人員の確保に繋がるからと他校の生徒を拉致ろうと言い出すし。 ノノミはアイドル活動して注目されましょうと夢物語を語るし。
しまいには、シロコは───。
「ん。 銀行を襲う」
堂々と犯罪を提案。
ホシノと、どっちが、上かな?
「皆さん、真面目に考えてください!?」
司会をしていた書記のアヤネが怒る。
気持ちは分かる。 己が本気で取り組んでいるのに周囲がふざけていたら、先輩相手だろうとキレる事もあるだろう。
だが悲惨過ぎる現実を前に笑うしか無い時もある。 それに手段を選ばなければ強盗も「アリ」寄りだ。 マルコは正義感あれど、そう考えてしまうくらいには、アビドスの借金総額は桁違いなのだ。
アヤネは一縷の希望に縋るように、マルコに意見を求めた。
「マルコ先生からは、何かありますか?」
ここで銀行強盗も悪くねぇ、なんて言ったら暴れられそうだから言わない。
それに仮にも教育者の立場。 先生として、大人として、真摯に、だが別のアプローチを含めて向き合った。
「借金をしてる相手ってのは、カイザーローンとやらだったな?」
「あ、はい。 大企業のカイザー系列、その金融系の会社です」
「今まで返済に滞った事は?」
「いえ、定期的に返済していますが……」
ふむ、とマルコ。
アビドスに来るに辺り、道中アロナにアレコレと調べて貰ったが、どうもきな臭く感じている。
借金は事実だ。 だが返済はしている。 しかし嫌がらせの如くヘルメット団が襲撃してくる。 その雇い主はカイザーか? 何の為に?
そもそも、闇金とはいえ返済不可能なレベルの莫大な借金を、廃校寸前の高校に返済させるだろうか。
もはや形骸化していて、形式だけのものかも知れないが。 目的は金では無い?
「砂漠で何か、石油が埋蔵されていたりしないのか?」
「ないよぉ」
ホシノ即答。
過去に調べたらしいが、何も無いそうだ。
だが本当だろうか。 砂漠地帯にはカイザーの傭兵会社、カイザーPMCの基地がある他、何やらコソコソと発掘作業までしているのを知り得ている。
「となると、目当ては土地そのものか」
それも市街地問わず手当たり次第。
借金返済のカタに、先代は売れそうなものを売り払っているのだが、自治区のほぼ全ての土地をカイザーが購入している記録がある。
他にも僅かに残る市民相手に地上げを仕掛け買収の話を持ち掛けてすらいる。
砂嵐が頻発し、住むにも何か建てるにも適さくなってきた過疎化した土地を、なぜ大企業が欲しがるのだろうか。
やはり、アビドスには何かがある。
その場所が分からないから手当たり次第。
それを確かめるには、カイザーのサーバーに侵入するか。
その媒介に、ローン会社を追跡するか。
物理的な手段に頼るなら、砂漠の発掘現場や基地に潜入し、それっぽい証拠を得るか。
かつてアビドスに本社を置いていたという、セイントネフティス社に絡んでも良いかもしれない。
では学校を遠回しに嫌がらせをする理由は?
これも学校の敷地が欲しいからでは?
ほっといても、新入生が来なければ2、3年で廃校するであろうに。
それも待てない、早く見つけたいのか。
大企業が欲しがるほどの何か。
トンチキな古代兵器か、それとも。
「先生?」
「おっとわりぃ、カイザーの悪い噂を聞いてたもんでな。 法外な利子を摂られてるんじゃと心配だった」
「お気遣い感謝します。 でも、私達を相手にしてくれるのは、やはりそういう所しか無いのかなと……ははは……」
とうとうアヤネまで薄ら笑み。
あまり気を負うものじゃない。 マルコは不器用に労りながら、今後を話す。
「お前らは何も悪くねぇ。 悪いのは砂嵐だろ。 だから暗くなるな」
「はい……ありがとう、ございます……」
「美味い飯屋にでも行こう、皆でよ。 俺が奢るから」
だけど本格的に切り込まねぇと。
久し振りに腕がなる。 気持ちが高揚する。
趣味が昂じて、コンピュータウィルスを製作、それが原因で危うく核ミサイルが発射寸前までいった事件を起こした事もあるマルコだ。
その技量を活かし、企業にハッキングをやってみようかと思い立つ。
「俺のが、どこまでキヴォトスに通じるか」
「アロナちゃん的には、そういう事をする時は生徒さんの見てないところが良いかなって」
「オッケー、わかってる」
アロナにツッコミされつつ、未来を描く。
仕事、あくまで仕事の一環として。
実際は結構楽しんでいたりもするのだが。