ブルーアーカイブ ―砂塵の角醒ハンター―   作:ガンダムラザーニャ

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第24話 光の剣

 ミレニアムサイエンススクール。

 

 ゲーム開発部の部室を出たモモイたちは、アリスを連れて校舎内を歩いていた。

 

「今日はエンジニア部に行くよ!」

 

「エンジニア部……ですか?」

 

「そう!」

 

 モモイが胸を張る。

 

「アリスにも、ちゃんとした武器が必要だからね!」

 

「武器……」

 

 アリスの目が輝く。

 

「勇者の武器ですか?」

 

「そうそう!」

 

「楽しみです!」

 

 その後ろを、カナタと炎角も歩いている。

 

「アリス、どんな武器をもらうんだろうな」

 

「勇者を名乗るのであれば、それに相応しい武器が必要であろう」

 

「まあ、ゲームみたいにはいかないと思うけどな」

 

 炎角は少し考える。

 

「……この世界は、時折ゲームよりも奇妙だな」

 

「それは否定できない」

 

 カナタは苦笑した。

 

 やがて、一行はエンジニア部へと到着する。

 

「こんにちはー!」

 

 モモイが勢いよく扉を開ける。

 

「おや?」

 

 作業をしていたウタハが顔を上げた。

 

「ゲーム開発部かい?」

 

「うん! アリスの武器を探しに来たんだ!」

 

「なるほどね」

 

 ウタハはアリスを見る。

 

「君がアリスかい?」

 

「はい。アリスです」

 

「よろしく」

 

 ウタハが穏やかに挨拶する。

 

 その横からコトリが近づいてきた。

 

「武器をお探しなんですね!」

 

「そうそう!」

 

「それなら、まずは武器の種類について説明を――」

 

「コトリ、長くなるよ」

 

「えっ?」

 

 ヒビキが苦笑する。

 

「いつものことだよね」

 

「まだ何も説明してませんよ!?」

 

 そんな三人のやり取りを見ながら、アリスは部屋の中を見回していた。

 

 そして――。

 

 一つの巨大な兵器に目を止める。

 

「……あれは何ですか?」

 

 アリスが指差した先。

 

 そこには、巨大な光の剣のような形状をした兵器が置かれていた。

 

「それかい?」

 

 ウタハが振り返る。

 

「それは『光の剣:スーパーノヴァ』だよ」

 

「スーパーノヴァ……」

 

 アリスが近づいていく。

 

 コトリが説明を始める。

 

「正式には大型レールガンで、元々は宇宙空間での運用を想定して――」

 

「つまり?」

 

 モモイが尋ねる。

 

「すっごく強い武器です!」

 

「じゃあ、それでいいじゃん!」

 

「でもですね!」

 

 コトリが続ける。

 

「元々は大型兵器ですから、普通の生徒が扱えるものではありません!」

 

 アリスはスーパーノヴァを見つめる。

 

「……アリスは、使えますか?」

 

 ウタハが少し考える。

 

「実際に持ってみないと分からないね」

 

「はい」

 

 アリスはスーパーノヴァへ手を伸ばした。

 

 そして――。

 

「……持てました」

 

「…………」

 

 三人が固まる。

 

「え?」

 

 モモイが目を丸くする。

 

「持てるの!?」

 

「はい」

 

 アリスは何の苦労もなくスーパーノヴァを構える。

 

「これは……」

 

 ウタハが目を細める。

 

「思った以上だね」

 

 ヒビキも驚いている。

 

「本当に持てちゃった……」

 

 コトリは興奮気味だった。

 

「すごいです! 重量だけでも普通の銃とは比較にならないのに――」

 

「コトリ、落ち着いて」

 

「はい!」

 

 カナタも驚きながらアリスを見る。

 

「……それ、本当に大丈夫なのか?」

 

「はい」

 

 アリスは頷く。

 

「問題ありません」

 

 ウタハはしばらくアリスを観察した。

 

「どうやら、扱えるだけの身体能力はあるみたいだね」

 

「じゃあ、試してみよう!」

 

 モモイが勢いよく言う。

 

「実際に戦ってみれば、勇者の武器になるか分かるよ!」

 

「勇者の武器……」

 

 アリスがスーパーノヴァを見る。

 

「ぜひ試したいです」

 

「決まりだね」

 

 ウタハが立ち上がった。

 

「アリスの性能試験をしよう」

 

 そして、ウタハは炎角へ視線を向けた。

 

「それと――」

 

「む?」

 

「君も炎角だね?」

 

「いかにも。我が炎角だ」

 

「やっぱり喋るんだね」

 

 ウタハの目が僅かに輝く。

 

 コトリも驚いていた。

 

「しゃ、喋る角獣……!」

 

 ヒビキも炎角をじっと見つめる。

 

「こんな角獣、初めて見たよ」

 

 カナタが説明する。

 

「炎角は俺と一緒に行動してる。人間の言葉も話せるんだ」

 

「なるほど」

 

 ウタハは頷く。

 

「せっかくだから、炎角の戦闘データも取らせてもらっていいかな?」

 

 炎角はカナタを見る。

 

「どうする?」

 

 カナタが尋ねる。

 

「構わぬ」

 

 炎角は即答した。

 

「我自身がどれほどの力を持つのか、それを知る機会にもなる」

 

「じゃあ、決まりだね」

 

 ウタハが試験場を確認する。

 

「ただし、ここは屋内だからね。大型化するような能力は使わないでほしい」

 

 炎角は周囲を見回した。

 

 確かに、この場所で角醒すれば大きすぎる。

 

 設備を破壊してしまう可能性もある。

 

「承知した」

 

 炎角は頷く。

 

「ここで角醒する必要はない」

 

 カナタも頷いた。

 

「ああ。ここでは角醒憑依で十分だ」

 

「角醒憑依……?」

 

 ウタハが興味深そうに尋ねる。

 

「炎角の力を、俺が借りるんだ」

 

「なるほど。興味深いね」

 

 ウタハが頷く。

 

「それなら、そちらのデータも取らせてもらおう」

 

 ヒビキが準備を始める。

 

「試験用ロボットを出すね」

 

「了解です!」

 

 コトリも機材を確認する。

 

「記録装置、問題ありません!」

 

 モモイが目を輝かせる。

 

「おお! なんか本格的!」

 

「ゲームじゃないんだから、気をつけてね」

 

 ミドリが注意する。

 

「分かってるって!」

 

 やがて、試験場に複数のロボットが現れた。

 

「試験開始だよ」

 

 ウタハの声が響く。

 

 ロボットが一斉に動き出す。

 

 カナタは銃を構えた。

 

「まずは動きを止める」

 

 引き金を引く。

 

 矢が飛び、ロボットの関節を正確に撃ち抜いた。

 

 一体が動きを止める。

 

 そこへ別のロボットが迫る。

 

「炎角!」

 

「承知!」

 

 カナタは炎角を見る。

 

「ここでは角醒しない」

 

「分かっている」

 

「なら――」

 

 カナタが構える。

 

「角醒憑依せよ! 炎角!」

 

【炎角獣!】

 

 炎角の力がカナタの身体へと宿った。

 

 腕に炎が走る。

 

 銃にも熱が伝わる。

 

「行くぞ!」

 

 カナタが駆ける。

 

 炎を纏った一撃がロボットを弾き飛ばす。

 

「おお……!」

 

 ヒビキが目を輝かせる。

 

「炎角自身が巨大化しなくても、力を使えるんだ」

 

「そうみたいですね!」

 

 コトリも記録を続ける。

 

「角獣由来のエネルギーが、装着者側へ移行している……!」

 

 ウタハはカナタの動きを観察する。

 

「面白いね」

 

 カナタは敵との距離を取りながら、次々と弱点を撃ち抜いていく。

 

 炎角の力で身体能力を強化しながらも、戦い方そのものは変わらない。

 

 正確に狙い、確実に仕留める。

 

 そして――。

 

「次だ!」

 

 カナタが一体を撃ち抜く。

 

 その時、別のロボットがアリスへ向かっていった。

 

「アリス!」

 

 モモイが叫ぶ。

 

「はい!」

 

 アリスはスーパーノヴァを構える。

 

「勇者の剣……」

 

 巨大な兵器が光を帯びる。

 

「スーパーノヴァ!」

 

 轟音。

 

 凄まじい光が一直線に走り、複数のロボットをまとめて吹き飛ばした。

 

「すっごーーーい!!」

 

 モモイが叫ぶ。

 

「これは……」

 

 コトリも言葉を失う。

 

「本当に、あのスーパーノヴァを一人で……」

 

 ヒビキも驚いていた。

 

「すごいよ、アリスちゃん……」

 

 アリスはスーパーノヴァを構えたまま首を傾げる。

 

「これが、普通ではないのですか?」

 

「普通じゃないよ!」

 

 モモイが即答する。

 

 カナタも驚きながらアリスを見る。

 

「……やっぱりすごいな」

 

「はい」

 

 アリスは嬉しそうに頷く。

 

「これなら、本当の勇者になれます」

 

「最初から勇者じゃなかったの?」

 

 モモイが笑う。

 

「武器がある方が、もっと勇者らしいです!」

 

「確かに!」

 

 モモイも笑った。

 

 試験は無事に終了した。

 

 ウタハはスーパーノヴァを見つめる。

 

「これなら問題なく扱えるみたいだね」

 

 そして、少し考える。

 

「この兵器は、元々は実験用に作られたものなんだ」

 

「実験用……?」

 

 カナタが尋ねる。

 

「ああ。長い間、実際に扱える人がいなくて、倉庫で眠っていた」

 

 ウタハはスーパーノヴァを見る。

 

「使える兵器を、誰にも使われないまま眠らせておく必要はない」

 

 アリスを見る。

 

「アリス。君が望むなら、これを使っていいよ」

 

「……!」

 

 アリスの目が輝く。

 

「本当ですか?」

 

「ああ」

 

「ありがとうございます!」

 

 アリスはスーパーノヴァを大事そうに抱える。

 

「これでアリスも、本当の勇者です!」

 

「だから最初から――」

 

 モモイが笑う。

 

 その様子を見ながら、ウタハは微笑んだ。

 

「大切に使ってくれれば、それでいいよ」

 

「はい!」

 

 アリスは元気よく返事をした。

 

 炎角も頷く。

 

「新たな力を得たか」

 

「はい!」

 

「ならば、その力をどう使うかが重要だな」

 

「分かりました!」

 

 カナタはそんな二人を見ながら、静かに笑った。

 

「よかったな、アリス」

 

「はい!」

 

 こうしてアリスは、自らの「光の剣」。

 

 ――スーパーノヴァを手に入れた。

 

 そしてカナタと炎角もまた、エンジニア部での性能試験を通して、炎角の力をどのように扱えるのかを改めて確認することになった。

 

 巨大化する炎角そのものを呼び出すのではなく。

 

 必要な時だけ、その力を借りる。

 

 それは、カナタと炎角にとって新たな戦い方の一つになっていく。

 

 しかし――。

 

 カナタたちが本当に求めているものは、まだ見つかっていない。

 

 角獣とは何なのか。

 

 炎角とは、一体何者なのか。

 

 その答えを求めて、彼らは次なる目的地へ向かう。

 

 ミレニアム郊外。

 

 かつて角獣に関する文献が発見されたという、廃研究施設へ。

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