ブルーアーカイブ ―砂塵の角醒ハンター― 作:ガンダムラザーニャ
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「……ここは……?」
薄暗い倉庫の中。
セリカは目を覚ました。
身体を動かそうとするが、両手は後ろで縛られている。
「っ……!」
周囲を見渡す。
そこには、ヘルメット団の構成員たちがいた。
そして、その中央に立っていた男が、一歩前へ出る。
「目が覚めた?」
「……あんたたち……!」
セリカは睨みつける。
男が取り出したのは、カナタが持つものとよく似た装置だった。
「これを見なさい」
「……レプリカ……?」
見た目は似ている。
しかし、カナタの持つオメガホーンとは明らかに違っていた。
「そうよ。私たちはこれを使って、あの角獣の力を手に入れる」
男が手にしているのは、もう一つの装置。
「そして、これが本物のエゴルギアだ」
セリカの表情が険しくなる。
「まさか……!」
「そういうことだ」
リーダーは笑った。
「あんたが金に釣られてここへ来たのも、全部計画通りよ」
「……!」
セリカは唇を噛み締める。
アビドスの借金。
少しでも学校の役に立ちたかった。
だから、怪しいと思いながらも仕事を受けた。
「……私が……馬鹿だった……」
だが――
「……でも」
セリカは顔を上げる。
「絶対に、みんなが助けに来てくれる」
シロコ、ホシノ、ノノミ、アヤネ。
そして――カナタ。
「……みんななら、絶対に……!」
その瞬間。
――ドォォォン!!
倉庫の扉が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
舞い上がる砂埃の向こうから、五人の少女と一人の大人。
そして、一人の青年が姿を現す。
「セリカ!」
「……みんな!」
ホシノが銃を構える。
「セリカちゃんを返してもらおうかな~」
「抵抗するなら、容赦しない」
シロコも銃を構える。
「先生、どうする?」
アヤネが尋ねる。
先生は周囲を確認すると、冷静に指示を出した。
「シロコ、ノノミ、アヤネはセリカの救出を優先。ホシノは敵の足止めを」
「了解!」
「任せてください!」
「わかったよ~」
一斉にアビドスの生徒たちが動き出す。
銃声が倉庫内に響き渡った。
「セリカ!」
「今助けるから!」
ノノミが敵を牽制し、シロコがセリカの元へ向かう。
アヤネは後方からドローンを操作し、敵の位置を把握する。
「右側に敵が三人! シロコさん、気をつけてください!」
「了解」
一方、カナタはヘルメット団のリーダーを見据えていた。
「……あいつが、今回の黒幕か」
隣に立つ炎角が静かに呟く。
「御前様。あの男、エゴルギアを使うつもりだ」
「分かってる」
カナタは端末を取り出した。
「だったら、俺も行く」
端末を操作する。
「ハンタータイムだ!」
電子音とともに、カナタの身体を装甲が包み込んでいく。
それは、角獣の力を宿していない。
純粋なハンター用装備――
GOハンタースーツ。
「行くぞ!」
カナタが敵陣へ飛び込む。
身軽な動きで敵の攻撃をかわし、銃撃を叩き込んでいく。
しかし――
「ぐっ!」
リーダーがレプリカを掲げる。
「角獣の力は、俺たちのものだ!」
エゴルギアを装填する。
「【弾角獣!】」
次の瞬間。
巨大な角獣が姿を現した。
「グオオオオオッ!!」
弾角が咆哮する。
そして――
無数の光弾が放たれた。
「なっ……!」
四方八方から飛んでくる光弾。
カナタは必死に走る。
「速すぎる……!」
一発をかわす。
二発目を飛び越える。
三発目を横へ転がって回避する。
しかし、数が多すぎる。
「くっ……!」
GOハンタースーツは機動力に優れている。
だが、重装甲ではない。
このままでは防ぎきれない。
「御前様!」
炎角が叫ぶ。
「一つ、方法がある」
「方法?」
「今までの角醒は、我をこの場に呼び出すものだった」
炎角はカナタを見る。
「だが――我そのものを呼び出す必要はない」
「……!」
「お前自身が、我の力を纏うのだ」
カナタはエゴルギアを見つめる。
「俺が……炎角の力を?」
「そうだ」
炎角が頷く。
「それなら、俺にもできるかもしれない」
カナタはオメガホーンを構えた。
そして、炎角のエゴルギアを装填する。
「……いくぞ」
「角醒憑依せよ――角獣王・炎角!!」
――ゴォォォォォッ!!
赤い炎がカナタの身体を包み込む。
炎はGOハンタースーツの装甲を覆い、その全身へと力を流し込んでいく。
【炎角獣!】
巨大な炎角を召喚するのではない。
今度は――
炎角の力そのものが、カナタへ宿った。
装甲の隙間から赤い光が走る。
カナタの銃にも炎が纏われた。
「これが……角醒憑依……!」
炎角の声が響く。
「我はお前の中にいる。ならば、その力を使え!」
「分かった!」
弾角から再び大量の光弾が放たれる。
しかし――
カナタは逃げなかった。
銃を構える。
「……炎角の力なら!」
引き金を引く。
放たれた炎の弾丸が、迫り来る光弾を次々と焼き尽くしていく。
「なっ!?」
リーダーが驚愕する。
「光弾が……消えていく!?」
炎角の炎は、ただの熱ではない。
角獣の力そのものを焼き尽くす特殊な炎。
カナタはその炎を纏ったまま、一気に距離を詰める。
「これで――終わりだ!」
「くっ……!」
リーダーがレプリカを構える。
しかし、カナタの一撃がレプリカを弾き飛ばした。
「なに!?」
続けて放った蹴りが、リーダーを吹き飛ばす。
ドォン!!
男が床を転がる。
その手から、エゴルギアが落ちた。
カナタはそれを拾い上げる。
「……これ以上、角獣の力を悪用させるわけにはいかない」
炎が静かに消えていく。
「角獣の力は……俺が預かる」
その頃には、他のヘルメット団もアビドスの生徒たちによって制圧されていた。
「よし! 全員確保!」
アヤネが声を上げる。
シロコはセリカの拘束を解く。
「セリカ、大丈夫?」
「うん……!」
セリカは立ち上がる。
そして――
「……みんな……ありがとう」
ホシノが笑う。
「いやいや~。仲間なんだから当然だよ~」
ノノミも笑顔を見せる。
「無事で本当によかったです」
アヤネは胸を撫で下ろす。
「本当に心配したんですからね!」
セリカは俯く。
「……ごめん」
「私が、勝手に仕事を探して……」
「アビドスの借金を少しでも減らしたくて……」
その言葉に、先生が静かに近づく。
「セリカ」
「……先生」
「助けたいと思ったことは悪くない」
「……!」
「でも、一人で抱え込まなくていい」
セリカはしばらく黙っていた。
そして――
「……うん」
小さく頷いた。
「先生……ありがとう」
それは、セリカが先生に向けて初めて見せた、確かな信頼だった。
そしてカナタにも向き直る。
「カナタも……ありがとう」
「気にするなよ」
「……うん」
セリカは笑った。
その少し離れた場所で、カナタは二つのエゴルギアを見つめていた。
猛角。
そして――弾角。
「……まだ分からないことだらけだ」
炎角が隣に立つ。
「ならば、一つずつ知ればよい」
「角獣のことも」
カナタはオメガホーンを見る。
「ハンターとしての戦い方も」
そして――
「……俺自身のことも」
砂漠の向こうには、まだ見たことのない世界が広がっている。
角獣とは何なのか。
なぜオメガホーンは存在するのか。
そして、なぜ自分はその力を手にしたのか。
答えは、まだ見えない。
だが――
カナタの旅は、始まったばかりだった。