Q.幼馴染み達を殺し合わせないためには A.死ぬほど頑張る   作:寒色系

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初投稿で稚拙な文ですが。それでも良ければご覧ください。


Q.幼馴染み達を殺し合わせない方法 A.死ぬほど頑張る

 

 嵐が吹いている。あらゆるものを巻き込みながら吹くそれは常人であればすぐに吹き飛んでしまうような大嵐、その嵐の中を立っている二人の少女がいる。片方は長い赤髪を後ろにひとつにしたポニーテールの少女。その手には輝かしい大きな剣が握られている。もう片方は大きな漆黒のローブを纏い、その手に大きな杖を持った少女。ポニーテールの少女は顔を苦悶に歪ませ、自身の前にいる少女を見ている。

 

「ねぇ……何でこんな事になったんだろうね。ケシア……」            

 

「……………………」

 

 少女は反対立つケシアと呼ばれた少女に話しかけるも返答はなかった。その代わりに、ポニーテールの少女の顔に向けて炎の塊を飛ばしてきた。少女は飛んできたそれを難なく手に持っている剣で真っ二つに切り裂いた。

 

「ねぇ……私はどうすれば良かったのかな……あの時私は止めるべきじゃなかったのかな……あの時私は助けに行くべきだったのかなぁ……」  

 

 まるでそれは懺悔室で罪を告白する罪人のように口から溢れ続ける。するとそれを聞いていたケシアと呼ばれた少女は口を開く。

 

「いや……ニーロは間違ってないよ、あの時、みんなを救うにはあの選択をするしかなかった。一人を犠牲にみんなを救う。生き物ならば誰もが選ぶ間違ってない選択肢だ」                      

 

 ケシアはゆっくりとその手にある自分の倍はあるだろう杖を振るう。

 

「でも、許せない選択でもあった。だから僕はその選択をニーロに強いた世界を許せない」

 

 それは世界に対する憎悪だった。150ほどもないであろう背丈から放たれるには大きすぎるほどの憎しみだった。

 

「だから僕は世界を壊す。でもただ壊すだけじゃない。この世界を燃料にして新しい世界を作るんだ。その世界でいっしょにまたみんなで楽しく過ごそうよ、ニーロなら分かってくれるよね? 誰よりも人の悪意に触れてきたニーロならこんな世界一度壊すべきだって」

 

 その言葉にニーロと呼ばれた少女は言葉を返せない。その通りだと心で分かっているから。それでも剣を離しはしない。

 

「分かってる。世界は決して美しいだけじゃない……この旅をしてよく分かった。正直私も迷ってる。どうすればいいのかわかんない」 

 

「ならこっちに」「でも」

 

 言葉を発そうとしたケシアに被せるようにニーロは言う。

 

「なにも分からない……どうすればいいのかわかんない……だから私はタツナが居た場所を守る。世界じゃなく私とケシアとタツナ三人の思い出を守る」 

 

「何を、言って……」  

 

 するとニーロはケシアと顔を見合わせる。

 

「タツナがケシアは世界を壊すなんて事をしたら絶対に悲しむ……だから私はここでケシアあなたを殺す。あっちでタツナに嫌われるのは私だけでいい」

 

 それは世界を守る選択ではない。ニーロは勇者の力を世界を守るのではなく。自身の大好きだった。あの日々を、あの日常を壊さないために使うと決めた。

 ケシアはこれ以上は説得は意味をなさないと悟った。思い描いていた幻想を、ありし日のようにまたみんなで暮らす日々は完全に消え去った。

 ここからは自分の選択を相手に押し付ける戦いが始まる。かつての友を殺すための戦いが。過去を守るために未来を捨てるものと過去を捨て新しい未来を手にしようとするものの戦いが。

 ──

 

「はぁ……」                           

 

 俺は村がよく見える山の上で大きくため息を吐く。この山に来れば乱雑に絡まった俺の思考も少しは落ち着くと考えたが、この静かな環境では逆にその事以外が考えれなくなってきてしまった。      

 

「本当にどうしようかな……」                                             

 

 今では違和感を感じてしまう自身の頭を抱え、これからどうするかを考える。すると背後から気配を感じ、振り返るとそこには一人の子供背負った子供がいた。

 

「タツナ! 一人で山に登ったら危ないよ! ここに来るなら私かケシアどっちかといっしょにいかないとだめでしょ!」

 

 一人は髪を後ろに結んだポニーテールの快活そうな女の子。彼女は俺の行動を叱りながらこちらに歩みを進めてきている。彼女の名前はニーロ・セン。人を助けることが大好きで、将来は勇者となることを目指している。俺の幼馴染みの一人であり、俺の悩みの種その1である。

 

「ごめんごめん、ちょっと一人でゆっくり考えたいことが出来たから。次はそうするよ」           

 

「そういうことなら尚更どこ行くか伝えといてね! タツナいそうなところすんごい探し回ったんだから! ケシアなんかもう体力使い果たしてここまで私が背負ってきたんだから」

 

 そういえばとニーロの背に乗っている方はと顔を覗かせるとそこには滝のような汗を流しているがこちらに笑顔を見せる子供がいた。

 

「大丈夫か? ケシア」

 

「はぁ……はぁ……今日の僕は……この山を前より十歩多く登ったよ……!」

 

「すごい進歩じゃないか!次はいっしょに登ろうな!」

 

 俺がケシアを褒めるとケシアは満足したのかその顔を綻ばせる。こいつの名前はケシア・ロッカス。一見その見た目から快活そうなニーロとは、逆の、清楚なお嬢様のように見える。実際はそんなの詐欺レベルでなかなかに癖の強い女の子。俺の幼馴染みの一人で、悩みの種その2である。

 

 二人はどうやら俺の事を探していたようだが何のようなのだろうか? 気になった俺は聞いてみた。

 

「何で俺の事探してたんだ? 今日は別に何も予定になかったが」

 

 そういうとニーロは口をもぞもぞさせながら口を開く。

 

「それは……最近はタツナがめっきり村に顔出さなくなったから……久しぶりに三人で遊ぼうと思って……」                

 

 そういう、ニーロの顔は恥ずかしそうに顔を赤くし、下を向いている。

 

「……そうだな、最近は村の方にあんまりでてないしな。……分かった今後はもう少し村の方にも顔出すよ」

 

 それを聞いたニーロはとても嬉しそうな顔をして飛び上がる。

 

「ほんとに!? やったー! 今日頑張って探した甲斐があるってもんだよー!」 

 

「もちろん、さすがに毎日は無理だが、何もする事がない日はできる限り村に行くよ」

 

 俺はその飛び上がった衝撃で頭を揺らしているケシアを見ながら二人の格好を見る。二人とも怪我こそないが服に土や砂がたくさん付いている。本当に今日1日探し回っていたのだろう。俺はその姿を見て俺は…………

 

 

 ──

 

 その後、日が落ち始めてきていたから、俺らはすぐに山を降りた。

 村に着くなり、村の子どもたちが俺らに寄ってきた。ケシアはニーロからすぐに降り、まるではじめから自分で歩いてきたかのように振る舞い始めた。

 

「あっ! タツナ兄ちゃん達だー! おかえりー!」

 

「ふっ……出迎えご苦労、タツナは僕の迅速且つ的確な指示によりすぐに見つかった。感謝するがいい」

 

「あっ! ケシア姉ちゃん今日は山にどれくらい登れたの?」

 

「聞いて驚くなよ、僕は今日、前の二倍も多く進んだ」

 

「へぇー! 凄いね! ケシア姉ちゃんってやっぱり凄い人なんだね!」 

 

「…………ふふん」

 

 そのように自慢げに話すケシアに村の子ども達は慣れているのか的確にケシアが喜びそうな言葉で褒めている。

 

「……なんかケシアの精神年齢が日をおく度に低くなってるように感じるんだが……」

 

「最近タツナがよく一人で家で調べ物したり、剣術の訓練ばっかりして、褒めてくれないから寂しいんじゃない?」

 

 …………さっき山でも言われ、俺がやるべき事は剣術や勉強だけではない。この二人といっしょに遊ぶことも重要だと気づいた。

 

「…………明日は三人で遊ぼうか!」

 

「え!? いいの! あれ? でも明日って……」

 

「ん? 明日はなんかあったか?」

 

 俺がそう言うとニーロが何か言おうとしたがその前に子どもに囲まれていたケシアがこちらに向かってくる。

 

「言質とったからね?」

 

「え?」 

 

「言質」

 

「言質って……俺がケシアとの約束は破ったことあるか?」

 

「ない。だからこそ破ったときは重めに責任を取らせる」   

 

 ケシアは真顔で言っていてそれが冗談なのか本気なのか、わからないがとにかく明日の約束だけは絶対に破らない方が良さそうだ。

 

(もうすでに片鱗見えてんだなぁ……)

 

 そんな事を思いながらもギリギリまでみんなと居続ける、日はどんどんと落ちていく、俺達は子ども達を家に帰しながら、俺達もその場で解散して、帰路に着いた。

 

 

 

 

 ──

 

 

 家に着いた俺はすぐに自分の部屋へと入る。そこにはかつての自分では絶対に読むことはなかったであろう本が山積みになっていた。

 そこにあるのは大きくわけて三つの種類の本。魔物の図鑑、この国の歴史、そして剣術の指南書。

 俺は机の前の椅子に座り込み、机の引き出しを開く。そこには“災難がふりかかった時の対処法”と表紙にでかでかとかかれた手帳がある

 

「さて、休憩したし、続きやるか」                      

 

 俺は手帳を開き、そこに様々な事を書き記していく。

 

「簡単なサバイバル料理の作り方、町での買い物の時の注意点、町にたどり着くまでに出会うモンスターの弱点、水龍の鎮め方……」 

 

 次々と文字を書き込んでいく。遥か未来でニーロとケシアが困らないように、一つ一つ丁寧に、ニーロにもわかるように、ケシアが興味を持つように。机に向かいただひたすら手帳に記す。

 

 なぜこの様な手帳を書いているのか、それには理由がある。俺にはニーロやケシアにも言っていない秘密がある。

 

 

 俺には未来が見えている。 

 

 

 俺の見た未来とは今から六年後、勇者となったニーロと魔王軍の幹部となったケシアが殺し合う未来だ。俺はその未来を変えるために、今できる事をしている。そのうちのひとつがこの手帳だ。なぜ俺が手帳を書いているのか、そうなってしまう原因がわかるならそれを取り除けばいいのではないか。俺だってそう思ったが、それは出来ないかもしれない。なぜなら。

 

 

 

 俺は今から二年後にこの村にやってくる魔王軍の幹部“蝕腕のベッチに殺されるからだ。だからこそ自分が死んでもいいように、死んでも二人を助けれるように、手帳を遺す。俺の見た未来にならないように。別に自己犠牲だとか、死ぬのが怖い訳じゃない。むしろ怖いからこそ。俺は二人に絶対にこんな思いはさせたくない。

 

 俺の名前はタツナ・ガレット。ニーロとケシアが幸せになれる未来にするために生きる男だ。

 




現在の年齢                          タツナ・ガレット 10                      ニーロ・セン   12                      ケシア・ロッカス 12
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