失恋した元神童は実質バトルファ●ク世界でまたやらかす 作:匿名
高評価の嵐が気持ち良すぎて続き書いちゃった。
「では、これより『パパの性欲を事前に発散させる事で賢者モードにしてあげよう大作戦♡』を決行するよ。質問があれば挙手して欲しい」
「はい! アルナルトス卿は何故、アクリル板の向こう側におるのじゃ?」
「反逆罪で逮捕されたからだね」
凸権9段『ダンプスター・アルナルトス』は涼しい表情で質問に答えた。
「本当に反省してんすか、お前……!?」
「勿論だとも。疑われるとは心外だな。罪を償う気持ちは誰よりもあるつもりさ」
「じゃあ、なんで裸エプロンなんだよ! 刑務所の面会室は何やっても良い場所じゃねぇぞ!?」
こっちは服役中のアルナルトスの後釜を務められる者がおらず、ホルミスダス山脈の管理者を誰にするか問題でドッタンバッタン大騒ぎしてんのによぉ……。
「やれやれ、常識で考えたまえ。囚人に軍服の着用が許されるわけがないだろう?」
……すぞ。
「熱くなったら思う壺よ、余熱。そんなんじゃ話が進まないわ。代わりなさい」
「乙歯女さん!」
凹権9段の有能秘書『乙歯女・A・フエラ』がパイプ椅子の上で長い脚を組む。来た! メイン盾来た! これで勝つる!!
「アルナルトス、1つだけ教えて頂戴。……寒さで先っぽが固くなった時って、ポジションどうしてるの?」
「下ネタじゃねぇか」
裸エプロンの方を掘り下げて欲しいわけじゃないんだよ、こっちは。
「やあ、ミセス・メドレー。……いや、本名はフエラなんだっけ? 僕がいなくなったから、今は君が【冥護窮理】の首席かな」
「まるで、貴方がいた時は違ったみたいな言い草じゃない。何度あたしの治癒能力に助けられたのか覚えてないのかしら」
「あはは、数日前の敗北をもう忘れられる単純な頭が羨ましいね。精々、パパの足を引っ張らないように頑張りたまえよ、○○堕ちキープ君」
「ふふ、ずっと余熱の正体を知らなかった癖に随分と馴れ馴れしいわね。あたしに嫉妬してるなら素直にそう言いなさい、○○媚びパパ活娘」
冥護窮理の『仕事で人殺してそうな方』と『趣味で人殺してそうな方』の挑発合戦が始まる。
「ど、どうか穏便に頼むのじゃあ……」
凹権5段の『コキーユ・パイタン』は危険を察知し、頭を下にして床に伏せていた。意外と肉付きの良い尻が小刻みに震えている。コイツ、いつも震えてんな。
「君のその無駄に成長した(自主規制)」
「貴方はどうせ愛人かセ(自主規制)」
怖い怖い、怖いって……! 女同士の口喧嘩、怖すぎ……! アルナルトスが女性だと分かり、乙歯女さんが素顔を見せた事で、互いに以前より容赦のない舌戦を繰り広げていた。
これ、俺が止めないといけないんすか……? 『そうだ、ジャンケンで決めよう!』とか言い出せない雰囲気なんすけど……。
「まあ、聴いてくれ。僕も別に伊達や酔狂で『賢者モード大作戦』なんて考えたわけじゃない」
アルナルトスが乙歯女さんに中指を立てながら、俺に糸目を向けてくる。
「パパが毒婦『レヴァニー・ラフポール』に会いに行くって言うから、その対策として提案してるんだ。彼女と接触するなら官能力の暴走を抑える必要があるからね」
「レバニ、ラ……? その者も9段かの?」
「っすね。ラフポールは搦め手に優れた凸権9段っす。アルナルトスの代役として冥護窮理に仮所属して貰えないか、交渉しようかなって」
こうも急いで組織体制を立て直そうとしているのは、馬鹿親父こと『マダム・グユ』を取り逃がしてしまったからだ。
最後に見せた彼(彼女?)の実力が本物なら、おそらく8段以下では相手にならない。奴の目的が分からない以上は戦力だけでも整えておきたいっす。
「そうね。興奮すると暴発する余熱にとって、ラフポールが天敵なのは事実だけど……」
「だろう? 事前に刺激に慣らすか官能力を吐き出させておかないと、パパのせいで他国の都市機能が麻痺してしまうよ。国際問題だ」
「大丈夫っすよ。あんなラブコメ愉快犯女の誘惑になんて、俺は絶対屈したりしない……!」
「「あ、そう……」」
圧倒的塩対応! お前ら、実は仲良いだろ。
「よく分からんが……つまり、アルナルトス卿はヨネツ卿を興奮させる為に裸エプロン姿で出てきたというわけじゃな?」
「その通り。男性は一度性欲が爆発すると賢者モードに入って冷静になるらしいからね。せっかく若い女性が3人もいるんだ。少し過激な格好をしてあげれば芯なんてイチコロさ」
「何でお前は俺の事を若干舐めてんだよ」
まあ、要するに『
「おおう、妾も頭数に入っておるのか……」
「いや、パイタンさん。あの馬鹿の言葉は気にしなくて良いっすからね?」
「……妾の貧相な体では興奮せんと?」
「何で若干キレてんだよ」
女子ってエッチな目で見られるのが嫌なんじゃないのか……? まずは童貞の幻想をぶち殺してくるのが三次元女子なのでは……?
「パイタンさんも魅力的っすよ。白が似合う清楚系が嫌いな男はいないっす。あと、小柄な女子は庇護欲を唆られるというか……」
「分かった、分かったから! そ、それくらいで充分じゃ! うう……流石に人前で褒めちぎられると恥ずかしいのう。……でも、嬉しい」
パイタンさんは可愛いですね……。あと、最後に照れて口調が崩れるヤツは男の子特効だから、使い方に気を付けろよ。その反応、俺が歴戦の童貞でなければマジで勘違いしてる。
「え、ヤバ。確定で俺の事好きじゃん……!」
これは勘違いじゃなくて確信だからセーフ。
「「あ゛?」」
パイタンさんのいじらしさに和んでいると、部屋の温度が5度くらい下がった。すげぇ。女の子ってこんな低い声出せるんだ。
「パパは貧乳好きなのかい?」
「余熱はロリコンだったのね」
やっぱり仲良いよね、君ら……?
◆
グシュナサファ環礁、特殊面会室。
ピカピカに磨かれた床の上に、風呂上がりのように上気した3人の女性が倒れている。
「あはは……♡ パパ、激しすぎ……♡ 僕もうギブアップ……♡」
裸エプロンからの橫乳チラ見せで誘ってきたアルナルトスが、降参するように両手を広げた。コイツには多分、女性としての自覚とか羞恥心とかがほとんど無い。
ただ、中性的な顔とスタイルの良さには絶対の自信を持ってるし、際どい格好をすれば男を手玉に取れると理解している。メスガキが……舐めてると潰すぞ……!
学校に通ってれば同級生男子の妄想ネタ1位確定の距離感バグり無防備一軍女子。でもって、爽やか男装状態では女子人気ナンバーワン。不平等の擬人化かな?
「はっ、はっ……♡ だらしないわね、ゴミ箱……♡ あたしはまだまだ一日中でも余熱の絶倫官能力を受け止めてあげられるわ……♡」
ロボットアニメのパイロットのようなぴっちりスーツを着た乙歯女さんが、艶かしい息を整えてから得意げに舌を出した。
その格好は危険すぎる。スーツを押し上げるフエラ胸がエッすぎて、危うく全てがFになるところだった。デカすぎんだろ……。忌憚のない意見ってヤツっす。
ただでさえ『俺、皆と違ってこういう子に惹かれがちなんだよな……』系の妖しい魅力がある乙歯女さんなのだ。抜群の曲線美を惜しまず披露されたら、官能力を抑えられるはずがない。
「よ、ようやく収まったかの……♡」
涙目のバニーガール、パイタンさん。ちっちゃくないよ!
俺の官能力で毎日ボコられてる彼女だが、八握剣異戒神将並みの速度で適応し、徐々に凹権の段を上げている。最初は直ぐに気絶していた事を考えると大したもんだ。
あ、バニーガール衣装は普通に似合ってます。でも、両手で胸と股間を隠そうとするのはやめた方が良いと思う。男に対しては逆効果だから。興奮しちゃうじゃないか……♡
「絶好調の性欲を100とするなら、40……いや、35ってとこっすね」
「け、ケダモノぉ……♡」
否定はできないけど、日頃からコスプレセットを持ち歩いてるムッツリ少女も大概だぞ。
いや、理屈は知ってるけど。被虐癖が力になる凹権にとって、ハレンチ衣装に着替える事は一番手軽なパワーアップ手段だ。真面目なパイタンさんはその基本を守っているのだろう。
「おっと、そろそろ面会時間が終わるね。じゃあ、僕は独房に戻ろうかな」
「おい、アルナルトス! 焚き付けといて1人だけ逃げるのは無しっすよ! 1時間、延長で!」
「余熱、そういうシステムじゃないわ」
乙歯女さんから白い目で見られた。解せぬ。何故だかアルナルトスが絡むと毎回、俺が貧乏クジ引く羽目になってる気がするぞ。
(いや、でも、今回ばかりは許す……!)
口には出さないが、とても目の保養になった。
半分男友達みたいな関係性のアルナルトスが間にいないと、俺から直接女子達にコスプレなんて頼めないし。ナカナカヤルジャナイ。素直に感謝するぜ、心の友よ。
「ところで……パパ的には誰のアピールが一番グッと来たかな?」
そういう余計な一言で火に油を注ぐ悪癖さえなければ、な!!
◆
マロウ様、お久し振りですぅ。火力馬鹿に反逆されたってマジですかぁ? どわぁ、糸目に裏切られるとか、きちぃ(笑)。拙をもっと大切にしないから罰が当たったんですよぉ?
反省したら今すぐ会いに来てくださぁい。あと、有り金全部溶かしたので食べ物も恵んでくださぁい。うぉ、空腹で死にそう(笑)。
ていうか、この場所が何処なのか拙自身も知らないんですけどぉ。実はここ、借金のカタに連れてこられた強制労働施設でぇ。ちょ(笑)。
まぁ、そこはメドレー様の超音波で捜してくださいよぉ。エコロケーション(笑)。鯨か(笑)。ヤバ(笑)。
ほらぁ、拙ってば肉体的には9段最弱じゃないですかぁ? ヘボヘボのザコザコなんでぇ……マロウ様が助けてくれないと本当に死んじゃいますぅ。ひぃん。
強制労働をサボって遊びすぎて、今ちょうど下半身がコンクリ詰めにされたところですしぃ。それはエグすぎだろって(爆笑)。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅ(笑)。ガチ逝くぅ(笑)。
──貴方様のいつでも抱ける現地妻、凸権9段『レヴァニー・ラフポール』より(笑)
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◆
「良いすか、パイタンさん。もし旅先でセーラー服の青髪冷笑女と遭遇したら、絶対に無視して俺を呼ぶんすよ。コミュニケーションをミスったら永遠に寄生されるんで」
「都市伝説の話しとる……?」
「リアルの話っす。事実は小説よりも奇なり! 結局、人間が一番怖いんすよ!!」
俺はホラー映画マニアが激怒しそうな持論を吐いた。文句があるならラフポールを更生させてみろ。できる奴いる? いねぇよなぁ!!
「して、フエラ卿は何処じゃ?」
「今回は留守番っすね。拠点から主力が全員抜けるのは不味いでしょう? 心配しなくても乙歯女さんが探知した座標は共有してるっす」
俺は船の上で地図データを指差す。女子ズにコッテリ絞られたおかげで、今の俺は精神が枯れ果てた悟りの賢者モード。こうして乗り物にも乗れてしまうのだ。
「凸権9段『レヴァニー・ラフポール』がいるのは大体この辺りっすね。あの女はいきなり幻覚を見せてきたりするので、常に周囲の状況に気を配るように。……パイタンさんは幻術対策とか持ってます?」
「案ずるでない。妾はこれでも世界最高の幻術使いの技を至近距離で見た経験がある」
「そりゃ頼もしい」
世界最高というのが客観的な事実かは怪しいが、幻術系との接触経験自体が希少である。実戦で使いこなせるレベルは更に稀。その珍しさから、半端な実力で戦場に出た幻術使いが誘拐される事も少なくない。
今思うと、以前の戦いで俺の足止めをしてきた幻術使いは相当な上澄みだったな。
ちなみに、ああいう搦め手特化の相手は乙歯女さんが抜群に上手い。アルナルトスの幻術対策は『上下も左右も前後もまとめてブッ壊してやる』なので論外。そこは相性だろう。
「レバニラ……いや、レヴァニー・ラフポールは幻術使いなのかえ?」
「んー、分類で言えば毒使いっすね。色んな場所から有毒植物を生やしてくる厄介な奴っす。幻覚を見せる毒以外にも未知の毒を大量に持ってるそうで」
0.1mgで鯨とか動けなくする麻痺毒も打ってくる。俺のタフさなら問題ないけど、体に悪そうだから食らいたくない。
「その中に『人間を興奮状態にさせる毒』があるんすよ。俺が警戒してるのはそれっす」
「ふむふむ、なるほど」
「後は……そっすね。俺に恋愛的なアプローチを仕掛けてくる変な奴でした。多分、財布目当てだと思うんでスルー推奨っす」
「ヨネツ卿は一体、何人の女を誑かしておるのじゃ……? いつか背中を刺されるぞ」
真顔でなんて事言うの、パイタンさん。
「誰も誑かしてないっすよ、人聞き悪い。彼女いない歴=年齢のバキバキ童貞っす」
パイタンさんはシェフだし、乙歯女さんは秘書だし、グユは父親だし、アルナルトスはアルナルトスだし。えっ、ラフポール……? 知らない子ですね……。
「うむぅ……それはそうなんじゃが……。其方がそれを言うのは詐欺っぽいのう……」
「ついに俺は童貞としてのアイデンティティすら否定されるようになったんすか……?」
厳しい。厳しさの中にある。
「しかし、見付からんのう。妾達が移動しておる間に距離を離されたかの?」
「おかしいなぁ。遠くまでは行ってないはずなんすけどね。アイツ、めっちゃ足遅いんで」
100メートル走100秒くらいかな。
「バスやタクシーを使っておるのやも……」
「無いっす。ラフポールは基本的に無一文がデフォっすから。いや、無賃乗車ならあり得るか……? もしくは、窃盗の現行犯で警察に連行されてる途中だったり……」
「……すまん。先ほどから最悪の社会不適合者しか連想できん回答が返ってきておるが、本当にその人物は冥護窮理にスカウトして大丈夫なのじゃろうな……?」
「はは、不安になる言い方やめてくださいよ……。大丈夫なわけないじゃないっすか……」
「万策尽きた人事!?」
時には清濁併せ呑む姿勢も必要なのが組織のトップなのだ。毒を以て毒を制すという言葉もある。あんなんでも高段者達への牽制にはなるだろう。絡まれたくないもん、アイツに。
「それにしても、いないっすね、ラフポール」
「おらんのう」
あの女の為に手間を掛けさせられてると思うと、段々と腹が立ってきた。これが乙歯女さんとの待ち合わせなら2時間でも3時間でも黙々と捜すんだが、ラフポールはなぁ……。
どうせ第一声は『ご飯奢ってくださぁい』か『お金貸してくださぁい』だ。そして、第二声は『倍にして返しますからぁ』に決まってる。勿論、返ってきた事などない。
「ここまで見当たらんと、少し心配じゃな」
「いやいやいや。どうせアイツの事だから、借金取りに喧嘩売って海に沈められて、なんやかんやで最終的に全身びしょ濡れで海岸に打ち上げられてるとかじゃないすか?」
「なんやかんやとは……? 其方、幾ら興味がないからって適当すぎじゃろ」
「大変だー! 大変だーー!!」
遠くで誰かが叫ぶ声。俺は咄嗟に懐を探って『マロウ』の仮面に指で触った。
(向こうから高濃度の殺気と官能力……! ラフポールか……? それとも誰か別の……)
「全身びしょ濡れで海岸に打ち上げられてたセーラー服の少女が、謎の植物を出して暴れ始めたぞー! 警察ー! 警察を呼べー!!」
……スゥーッ。
「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ……」
「あわわ……ヨネツ卿! 気を確かに!!」
なんで? なんで? なんで?
暴れる理由ないじゃーーーーん! 百歩譲って海岸までは分かるけど、暴れる理由は何処にもないじゃーーーん!!(メガトン激怒)
「パイタンさん……。ちょっと行って、殺……止めてくる。予約したホテルで落ち合おう」
「お、応! 委細承知じゃ!」
俺は常人には視認できない速度で路地裏に入り、仮面で顔を隠しながら時計台の上まで跳躍する。
「凸権【
あれか。青髪のセーラー服。あの挙動……さては溺れた事で意識が混濁してるな?
え、何でセーラー服かって? ……高校を卒業して以来、手にした金は全て博打と豪遊に注いでるから、新しい服を買えないんだとよ。彼女が卒業した母校は真面目に訴訟を検討すべきだと思う。歩くネガキャンだ。
「手荒なやり方でも恨むなよ、ラフポール」
俺の管理してる地域以外で一般民衆を巻き込むのは避けたい。ならば、手段は1つ。
「凸権【
……ン狙撃ッ!!
毎度お馴染みの熱線が彼岸花を撃ち抜き、チュドンとアホ女を吹き飛ばす。ぶっちゃけ、ちょっとスカッとした。
"1984"ーら、いつもありがとう。
◆
「はっ、ここは何処……拙は誰……? あっ、マロウ様ぁ! お金くださぁい!!」
「凄いな。とうとう『貸して』とすら言わなくなったか。お前を見ていると、人間の堕落には際限がない事を思い知らされる」
「くぅ(笑)。哲学的ぃ(笑)」
「冷笑やめろ。俺は今、お前を高校卒業まで導いた教師に何らかの賞を贈るべきではないかと思案している」
「高校の先生ですかぁ? 拙が在学中にストレス性潰瘍で5人くらい辞めましたねぇ。めっちゃ泣いてて、ちょ、落ち着けって(笑)」
コイツを裁く法律がないのおかしいだろ。
「レヴァニー・ラフポール。俺がわざわざお前に会いに来た理由は察しが付くと思うが……」
「結婚式は何処で挙げますぅ?」
「葬式なら今すぐにでもしてやるぞ」
駄目だ、ペースを崩されるな。俺は必死で頭を冷やし、自分に言い聞かせる。所詮、獣の戯言。俺の心には響かない。
「……お前は何故、恋愛に執着するんだ? 言葉は悪いが、世間体やらを気にする人間ではないだろう?」
「よくぞ訊いてくださいましたぁ!」
水を得た魚のように活き活きし始めるラフポール。コイツ、余計な真似しなければ笑顔の可愛いアイドル顔なんだよな。
「拙は気付いたんですぅ! 恋愛は破滅と隣り合わせの最高のギャンブルぅ! 損得が狂ってるからこそ面白いってぇ!!」
「……そうか」
畜生! 何か言い返してやりたいけど、恋愛経験ないから何も言えねぇっす! 俺は……弱い!!(どんっ!!)
「そしてぇ……拙の知る中で一番ヒリヒリした賭けになりそうなのが、マロウ様のヒロインレースだったわけですよぉ! これはもう、参加するっきゃないですぅ! うぉ(笑)」
「あー……つまり、俺自身に異性としての興味はないと?」
「はぁい! 正直、景品を手に入れたらどうでも良くなると思いますねぇ!!」
元気な返事で大変よろしい。死刑。
「凸権【
「ま、待つのじゃ、マロウ卿! 気持ちは痛いほど理解できるが、拳を下ろしてくりゃれ!」
ちっ、パイタンさんのおかげで命拾いしたな、ラフポール。
このパブリックエネミー女と話していると、心が急速に荒んでいく。今ならアルナルトスのウザイ自慢話にも癒しを感じられそうだ。
「どわぁ(笑)。相変わらず、官能力エグいて(笑)。逝く逝く逝く逝くぅ(爆笑)」
「……試してやる。全霊で俺を……」
「だから、やめよと言うに!!」
なぁ、【特権】使って良いか? この女の人格は一度変質させた方がマシになるんじゃないか?
◆
「まさか、君が僕に面会しに来るとはね、マダム・グユ。いや、本名は余熱具有だったかな?」
「好きな方で呼んで欲しいじゃんね~♪」
ダンプスター・アルナルトスは考える。この修道女に質問したい事は山程あるが、それは今どうしても訊くべき話ではない。
ここは敢えて、極めて私的な疑問をぶつけよう。それでこそ、グユという人間の内面に迫れるはずだ。
「ハッキリ言うよ。僕は君が嫌いだ、グユ。パパ……余熱芯を自分で育てず、孤児にしたのは何故だい? 返答次第では……」
アルナルトスが糸目を開く。この施設には最高峰の官能力妨害システムが組み込まれているが、彼女クラスの凸権を収監するのは歴史上でも初めてだ。
──万が一は、あり得る。
「ん~、アルナちゃ~ん。言い訳みたいだけど、あ~しも好きでそうしたんじゃなくて~。芯ちゃんが生まれてから最近まで、余熱具有という人間はこの世界に存在しなかったんだ~」
「どういう……意味かな……?」
「ずっ~と滅びの回避方法を探して飛び回ってたから~。……あ~、いや~。まず、前提を言わないと分かんないよね~。めんご~」
軽い口調にも関わらず、マダム・グユの目は笑っていない。
「──あ~し、時間跳躍者なんだよね~♪」