失恋した元神童は実質バトルファ●ク世界でまたやらかす 作:信頼できる語り手
「師曰く、無闇に剣を抜く事なかれ」
赤髪の少女は滝行のような姿勢でシャワーを浴びながら、裸身に滴る水滴に意識を傾ける。
物事は表裏一体だ。過不足なく全身の力を引き出したければ、まずは脱力しなくてはならない。剣術の道を極めたければ、まずは『剣を持たずに何ができるか』を考えなくてはならない。
時代の移り変わりと共に、剣に実用性を求める者は少なくなった。もはや、剣術の真価を他者に伝える事も難しい。ならば、その本質を継承できる次代の『剣』とは何か。
「師曰く、配信は剣よりも強し」
──そう、暴露配信である。
剣術を筆頭に様々な『古の技術』を体に叩き込まれた若き当主『キュンメロ・ストリッパー』にとって、先端技術に迎合するか否かは大きな分岐点だった。
だが、あくまでストリッパー家が最優先とするのは『文化の継承』。そして、次代の継承者を絶やさない為の『優れた交配相手の確保』である。
今の世の中は快適になりすぎた。人間という種全体が進化する事はもうないだろう。しかし、どんな時代にも『突然変異』は出現する。
そんな規格外の雄の遺伝子を血統に取り入れる為なら、伝統を捨てる事に躊躇いはなかった。
「師曰く、『どうすれば優秀な血を提供してくれるか? 輸血の話っすか? まあ、俺を倒せたら何でも言う事聞いてやるっすよ』」
キュンメロは考える。彼を倒すにはもっともっと『情報』が必要だ。ストリッパー家の歴史だけでは足りない。あらゆる人間の『秘密』を暴いて、己の血肉としなくては。
「師曰く、グロスナッジは性癖のぶつけ合い」
切り替えレバーを回してキュッと水を止め、脱衣所のバスタオルで体を拭く。
彼女は白いブラウスとハイウエストのスカート……お手本のような『童貞を殺す服』セットを着用し、告知していたライブ配信枠を立ち上げた。
「──巻き藁の皆、おはよう。今日もキュッパ姫の滅多斬り配信、始める」
◆
誰かがコインを入れたみたいだね。
どうも、死の淵から蘇った余熱芯っす。ふっ……危ないところだったぜ。
「声優の握手会中止くらいで何をジタバタしておるのじゃ。どうせヨネツ卿は人混みに入って行けん体質なのじゃから関係なかろ」
パイタンさん、たまに人の心なくなるよね。どうして眉一つ動かさずにそんな残酷な事が言えるの? 免罪体質者? 魔族?
「だってぇ……推しが炎上してるんすよ……」
「しつこい。スキャンダルを起こした芸能人が復帰する事は少ないのじゃ。いつまでもそんな事にこだわっていないで、日銭を稼いで静かに暮らせば良かろうに。のう、フエラ卿?」
「ふふ、そうね。……ちょっと、キュンメロ・ストリッパーを始末してくるわ」
「其方もファンだったのかえ!?」
声優の推し活は乙歯女さんと俺に共通する趣味である。音響に造詣の深い彼女と、『んほぉ~、この声優たまんねぇ~』って萌えてる俺。まあ、楽しみ方は人それぞれっす。
「あの悪質インフルエンサー、マジで何なんすかね……。本人と喋っても無口だし、何が目的なのか分からなくて怖いんすけど……」
凹権9段『キュンメロ・ストリッパー』。3Dモデルを使った配信キャラクター名は『キュッパ姫』。燕を斬ったり狼をボコったりしてるような、生粋のYAMA育ち。
それが何故、暴露系配信者なんてやってるんだろう? グロスナッジ七不思議だ。
「貴方が分からないなら誰も分からないわよ。一応、余熱の弟子でしょ? 首輪付けて犬小屋にでも閉じ込めてなさい」
「いや、弟子っていうか……。向こうが勝手に師匠扱いして『手合わせ』を仕掛けてくるんすよ……。あれ……? これ、イジメ……?」
……いかん、雨が降ってきたな。視界が滲む。
「また何か変な事を吹き込んだんじゃないの?」
「またって何すか。俺はパーフェクトコミュニケーションしか取った事ないっす」
俺、失敗しないので。……失恋はしたけど。
「余熱が女子から狙われてる時は大体自業自得なのよね。思わせ振りな態度取ったり……」
「しかし、フエラ卿。女性と触れ合えないヨネツ卿に適切な距離を推し量れと言うのはちと酷ではないかのう? 人には向き不向きがあるのじゃ。ヨネツ卿は人並みの恋愛に向いとらん」
「パイタンさんの優しさで抉り殺されそうっす」
フォローに見せかけて的確にトドメ刺しに来るのやめてね。指ノ宮ちゃんとの苦い決別以来、その辺から全力で目を逸らす事で何とか前を向いてるんすよ、俺は。
正気を保つコツを教えてやろう。『できない』と気付かない事だ(現実逃避)。
「うがぁ、リアルはオワコンっす! また幻術使いに幸せな夢でも見せて貰えないっすかねー」
「幻術使い? ああ、アルナルトスのクーデターで出てきた、正体不明の……。報告は受けたけど、余熱を相手に時間稼ぎなんて相当な手練れね。貴方、精神力も規格外なのに」
あの幻術使いに関してはさっぱり続報がない。マダム・グユ側の手下らしく、アルナルトスも正体を知らなかったし。
その危険度と有用性を鑑みて、地道に捜索してはいるんだけどな。冥護窮理とパイタンさんにも手伝って貰って。
「もしかして、いやらしい幻を見せられて自分から虜になりに行ったんじゃないわよね?」
「……はは、なわけないじゃないっすかぁ。あの……あれっすよ。幸せな夢ってのは……今は亡き母親と過ごす的な? そういう系みたいな?」
すまん、天国のお袋。この嘘は見逃してくれ。
「そう。女を抱く幻覚を見たのね。誰が相手だったのか、詳しく聴かせて貰おうかしら」
鋭いにもほどがある。乙歯女さんってメンタリストなんすか……? ウィッシュ。
「心音でバレバレよ」
「しまっ……! いや、違うんすよ。あれは幻術使いが勝手に見せてきたシチュで、俺自身にやましい気持ちは一切なく、むしろムッツリ助平セクハラ野郎なのは幻術使いの方で……」
「ふむ。幻術の虜にさせる場合は大抵、対象の望む情景を引き出すのが定石じゃがの」
「つまり、余熱自身が望んでた夢って事ね」
「パイタンさんはどっちの味方なんすか!?」
ちょっと、スタッフぅー!?(白スーツ芸人) 今、幻術使いに全責任を被せる事で丸く収まりそうだったじゃん!!
「何を見たのか、洗いざらい白状しなさい」
くっ……殺してやる……! 殺してやるぞ、キュッパ姫……!!
「そう言えば、フエラ卿。管理地の『グシュナサファ環礁』は放っておいて良いのかえ? 頻繁に『ラルヴァンダド盆地』へ来ておる気がするのじゃが」
環礁とはリング状になった馬鹿デカい珊瑚礁の事だ。内側の湖部分に浮かべた人工海上都市が、冥護窮理の拠点として利用されている。
「あそこは刑務所とか倉庫とかが集まった場所だから、一般住民がいないのよ。セキュリティも堅牢だし、常に管理してなくても施設が破壊されそうになった時だけ駆け付ければ良いわ」
「逆にアルナルトスの統治してた『ホルミスダス山脈』は人が多くて大変っす。まあ、あっちも険しい地形のおかげで侵入者とかはまずいないっすけど」
「あの爆撃女が目を光らせてる間は、空中から忍び込もうとしてもただの的だものね」
俺はズズズと茶を啜った。
観念して幻術使いとの一件(甘々フエラ恋人生活R15無料体験版)を話したところ、乙歯女さんは無言で別室に行き、数分後に戻ってきた時には特に怒った様子もなく通常モードだった。
何らかの武器でも取りに行ったのかと怯えていた俺だが、彼女の大人な対応に救われた形である。さすハメ。俺が逆の立場でラフポールとかに変な妄想されてたらシバき倒すもんな。
よし、お許しも得た事だし、これからは安心して乙歯女さんの爆乳をエッチな目で見れるぜ(ゲス)。ただし、本格的な妄想は本人のいないところでやろう(小物)。
「ホルミスダス山脈……ラフポール卿は息災じゃろうかのう。しかと管理できておれば良いが」
「1日1000回くらい病みメールが来るので、既読スルーしてるっす」
「容赦なさすぎじゃろ。もう少しこう、何というか……手心というか……」
痛くなければ覚えませぬ! あの馬鹿は仕事をさせとかないと、何やらかすか分かったもんじゃないのだ。金遣いも荒いので、財政関係の権限は与えていない。
アイツには億単位の金を一晩で散財した実績がある。ありえない話し!!
「流石にラフポール卿が哀れじゃの……。差し入れでも持っていくとするか」
「あ、俺も行くっす。ラフポールが真面目にやってるか不安になってきたんで」
「別に構わぬが……其方はキュンメロ・ストリッパー卿を捜しておったのではないか? 【S文書】の情報を聞く為に」
「それなんすけどね。多分、キュッパ姫を捜し出すのはまだまだ時間がかかると思うっす」
情報屋だから身を隠している? まあ、それも無くはないが、一番の問題は。
「アイツ……むっちゃ方向音痴なんすよ……」
なんと、キュンメロ本人も自分が何処にいるのか分かってないのだ。
◆
ホルミスダス山脈、上空。
高度を保って滞空するヘリコプターの中で、ロングコートを着た男性が煙草に火を点ける。
「ジブンらも堕ちたもんやなぁ……」
彼は元々大国の軍事開発に携わるエリート研究者だった。それが世界情勢の変化であっさりクビを切られ、一念発起してグロスナッジで名を上げようにもそちらの才能はなく。
「最終的にダンプスター・アルナルトスの口車に乗せられて働かされた挙げ句、クーデターの失敗でまた職を失ったわけや。ま、金払いは良かったから恨んでへんけどな。……なあ、聴いとる?」
赤髪の少女に煙草を向けると、フッと煙が掻き消えた。反応すらできない『何か』が指先を撫で、ロングコートの背中を冷や汗が伝う。
(怖っ! こんな見てくれでもやっぱ9段やんな。気ぃ抜いたら、あかんあかん……)
瞑想していたハイウエストスカートの少女が目を開いた。
「ん……。ここ……何処?」
「……は? いやいや、アンタの案内通りに来たんやないか」
「じゃあ……北極?」
「なんでやねん」
ロングコートは溜め息を吐く。ちなみに、臆病な彼は本名を誰にも教えていない。なので、裏社会では『ロングコート』の呼び名で通っていた。
「凸権最段『マロウ』のところまで送ってくれ、いう依頼やったやろ。料金は前払いで貰てるから忘れて損するのはそっちやで」
今のロングコートはしがない運び屋。小遣い稼ぎ程度の仕事でも条件が良ければ喜んで飛び付く。無論、以前に自分を瞬殺したマロウに対して恐怖はあるが……。
(あそこまで大物になると、ジブンみたいな小物の事なんて覚えてへんやろ)
前回の失敗で官能力を極めた連中の恐ろしさは思い知った。無駄に事を荒立てるつもりもない。ロングコートはただ粛々と怪物の前に小娘を送り届けるだけだ。
「今いる場所……ホルミスダス山脈……?」
「何で指示した本人が疑問系なんや……。誘拐されたみたいな反応やめてくれんか? マロウがここにおるんやろ?」
「ん、違う。私は北に飛んで『ラルヴァンダド盆地』に向かうように言った」
「アンタのおった場所から見て、ラルヴァンダド盆地は南や」
「……」
キュンメロ・ストリッパーは無言で俯く。ロングコートの顔が引き攣った。
「おい、嘘やろ……? 義務教育受けてないんか、アンタ……? 世界地図見た事ある?」
「ある!!」
「あ、駄目や。理解できとらん癖にやった事で満足しとる奴。こういうのがいっちゃん話通じひんねん。塾講師バイトの時に死ぬほど見たわ」
仮にも研究者としてエリートコースを歩んできたロングコートは、山育ち野生児の即答に思わず本音を溢す。
「でも……道は間違えたけど結果オーライ。あっちの方角。西から『よねぽ』の気配がする」
「ジブンらはミステリー作家を捜しに来たんか……? マロウはどないなったんや」
「ロングコートには分からないか……この
「めっちゃ煽るやん。あと、アンタがさっきから指差しとるのは西やなくて東やで」
「理系は一々細かい……」
キュンメロが指をクルクル回した。
「それよりも、早く師匠のところに飛んで。急がないと手遅れになる」
「師匠って誰やねん……ジブンは……」
「ロングコート……自覚ないの? さっきから貴方の『左半身が動いてない』事」
「あ……?」
言われて気が付く。煙草を握っていたはずの左手はだらっと床に垂れ、左の瞼が全く開かない。少しでも生物知識のある者ならピンと来る毒物の典型的な症状。
「……な……! 何処……から……?」
──麻痺。かつて化学兵器の開発にも関わっていたロングコートはその恐ろしさを嫌と言うほど理解していた。
「運が悪い。毒女……レヴァニー・ラフポールに捕捉された。このヘリは終わり」
「終わり……? アンタの言う通り速度を上げれば、官能力の射程圏外に……!」
「無理。何であの性悪が効果の分かりやすい毒なんて選んだと思う?」
地上から巨大な植物が伸びてくる。ヘリに巻き付こうとする枝をパイロットが決死の旋回で躱し……。
「逃がさない自信があるから」
枝を伝うように一瞬で燃え広がった『炎』に、周囲の空気ごと呑み込まれた。
「凸権【
燃え盛る空を見上げたアフロ頭の男性が口笛を吹く。景気良く燃える炎を眺めると何歳になっても心が躍るものだ。
「ラフポールの嬢ちゃんは変わり者だぜ。面倒だからって俺達に巡回をやらせたかと思えば、植物と毒霧で完璧に御膳立てしてきやがる。怠惰なのか、真面目なのか……そういう掴み所のなさはボスに似てるかもな」
当の本人が聴いたらキレそうな事を考えるアフロ男は、冥護窮理の纏め役の1人……通称『隊長』。ラフポールの補佐役として出向中の実力者である。
「さて、と」
隊長が背中を発火させ、飛翔した。
「まあ、あれで仕留められるわけないわな。にしても、無傷は流石に傷付くじゃねぇの。えぇ? キュンメロ・ストリッパー?」
「……配信者が炎上。洒落が利いてる」
墜落するヘリから生身で飛び降りたキュンメロは、抱えていた乗組員を地面に投げ捨てる。彼女が腰に顕現させた剣を鞘から抜く所作は見惚れるほどに優美だった。
「アイツが来たら追い返せ、ってのがボスからの命令でな。無断で入ってきたからには制圧させて貰うぜ。……で、兄ちゃんも敵か?」
ロングコートは即座に思考する。どうやら口振りからしてマロウはキュンメロを嫌っているらしい。ここは敵のホームで、他の9段がいつ加勢に来てもおかしくない。
更に付け加えると、気分屋のキュンメロが自分を守ってくれる保証もない。ならば……。
「味方やで」
降参するように右手を挙げる。
「ジブンもこの女に騙されて連れてこられたんよ。マロウ様の為に力を合わせて戦おうや」
「そいつは災難だったな。9段の気紛れには俺もいつも振り回されてる」
「もしかして、私、裏切られた……?」
キュンメロは首を傾げた。
「はっ……まさか、私の体目当て……?」
「どないな美人でもアンタだけは絶対にあり得んから安心せぇ、阿呆娘!」
ロングコートは全力で否定する。今日一番腹の底から出た本音だった。
「かっちーん。頭に来た。三刀流……」
「いや、1本しか持ってへんやん」
「理系め……!」
「これ、ジブンが悪いんか……?」
「ヒャッハー、ガンガン燃やしていくぜ……! 火力上げろ! 野外火葬だ!!」
冥護窮理の特攻隊長。凸権8段『アフロ隊長(愛称)』。
「師匠の気配、師匠の気配、師匠の気配……」
野生を超えた野生。凹権9段『キュンメロ・ストリッパー』。戦いの結果は。
「凹権【
「消え……っ!?」
──瞬殺。
◆
どうも、精神的に向上心のない馬鹿っす。
ラフポールに差し入れを持ってきたら、間の悪い事に敵襲があったそうな。忙しいなら仕方ないね、って事でパイタンさんの焼いたドーナツは俺が1人で食べましたとさ。めでたしめでたし。
……ってわけにいかないのが『ボス』の辛いところだな。覚悟はいいか? 俺はできてる。
「随分と派手な不法侵入っすね、キュッパ姫」
「……師匠、シャンプー変えた?」
キッショ、なんで分かるんだよ。
「──"ブックマーク"」
「何だろう。人の領地にトラップ仕掛けるのやめて貰って良いすか?」
それってお前の官能ですよね?
「師匠の方から顔を出すなんて、珍しい。ついに私の愛が心を融かした……?」
「用があるんすよ、キュンメロ。【Sの落胤】について、何か知ってる事は無いっすか?」
キュンメロの情報屋としての腕はすこぶる優秀であり、マロウの正体も既にバレている。取り繕う必要がないのは楽だ。
「落胤……? 交尾したんだ……私以外の奴と……」
「腹パンすんぞ、コラ」
「お、お腹は駄目……♡ 師匠の赤ちゃんを育てる大事な場所だから……♡」
「女を盾にガードしてくるのやめろ」
ああ、そうそう。俺がキュンメロをファーストネームで呼んでいるのは、単純に彼女の親戚が多すぎるからだ。ストリッパーだけだと、どのストリッパーさんか分からなくなる。
「ストリッパー家は歴史が長いんすよね、確か」
「134代目」
わざわざ覚えてるあたり自慢に思ってそう。頼んでないのに家系図を見せられた事もあるが、正直『複雑すぎるだろ。死滅回游のルールか?』という気分にしかならなかった。
「歴史が長いから資産も沢山ある。私のお婿さんになれば全部師匠のモノ」
「もう資産なら売るほどあるから良いっす。それより【Sの落胤】の情報を……」
「マロウ様ぁ……!」
後ろから息を切らしたラフポールが追い付いてくる。
「げぇっ、脳筋女ぁ! 何でここにいるんですかぁ!? また迷子ですかぁ!?」
「迷子じゃない。そう、これは……戦略的迷子」
「迷子じゃねぇか」
この流れで1ミリも上手い事言えない奴、初めて見たわ。
「何でも良いですぅ。拙の『シゴデキな一面をアピールしてギャップ萌え計画』を台無しにした罪は重いですよぉ? 毒花の蜜で全身ベトベトにしてやるぅ(笑)」
瞬発思考の申し子。凸権9段『レヴァニー・ラフポール』。
「ちょうど良い機会。まずは9段を全員コテンコテンパンパンパンにして、私こそ師匠の子種で孕むに相応しい母体だと証明する」
フィジカル進化の最高傑作。凹権9段『キュンメロ・ストリッパー』。
「凸権【
「凹権【
2人の攻撃が『余熱芯』を消し飛ばした。
「……で、貴方は誰?」
キュンメロが顔を顰める。
「幻術使い、ってヤツですかぁ?」
ラフポールが考察する。
俺……いや、妾は『皆が墜落したと錯覚しているヘリの上』で舌を出した。
「──正解♡」
◆
「すんません、パイタンさん! 1人で行かせる事になっちゃって……」
「急な仕事が入ったのなら仕方あるまいて。それに、妾も今では凹権6段になったのじゃぞ? ボディガードなんぞおらんでも、自分の身くらい守れるわ」
「っすね! ラフポールの奴がちゃんとやってるか、しっかり監査してきて欲しいっす!」
「応、任せておけ!」
余熱芯と笑顔で別れた妾は、飛行機で移動中に『キュンメロ・ストリッパー』の戦闘記録映像を鑑賞する。
「さて、これは好機じゃ」
妾は自身を『世界最高の幻術使い』と信じているが、それが何処まで通用するかは試した事がない。以前の芯への妨害も参考になる戦いではなかった。だが、グロスナッジの世界には分かりやすい基準がある。
人類の天井。すなわち、9段に通じるか否か。その中でも最も試金石として好都合な相手はキュンメロだと妾は判断した。
「うーむ、不味いのう……」
キュンメロが戦う姿を凝視する。その身のこなしは、まさに達人と言えるだろう。それも妾の雇い主である『マダム・グユ』とはまた違ったタイプだ。
グユが息子の芯と同じ天才肌なら、キュンメロは鍛練の結晶。強く、速く、鋭い。反復練習によってのみ磨かれる、無駄を削ぎ落とした機能美の極致。
「此奴、妾より強くねー?」
まず大前提として、妾の『幻術』は『対象との付き合いが深いほどに効果が高まる』という仕様になっている。無論、妾にキュンメロとの接点などない。
──だからこそ、試す価値がある。
「確かに妾は其方らよりも『弱い』が……『勝てない』とは限らんのじゃぞ」
頃合いじゃ。教えてやるとするか。
「其方ら強者は何にもわかっておらん。弱者の底すら無い『創意』を……」
個人の認識する『現実』など、妾にとっては料理の具材と同じ。
茹でて、焼いて、煮て、揚げて、炒めて、蒸して、煎って、和えて、盛り付けて。
「凹権【
──1粒も残さず、妾の養分になるが良い。
幻術恋人体験シナリオが読みたいヒロインは?
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【循環吹奏】乙歯女・A・フエラ
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【無機戦役】ダンプスター・アルナルトス
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【退廃淫酒】レヴァニー・ラフポール
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【偏狭横断】キュンメロ・ストリッパー