私はとあるウマ娘に憧れた
戦績は50戦7勝
勝ち星は少ないが、同期や後輩が引退していく中でもその小さな体で国内や海外のライバルを相手に果敢に走り続けるその姿に憧れた
そのウマ娘の名は、ステイゴールド先輩
彼女の引退レースである香港ヴァーズの動画を見る度、長くG1戦線で活躍し、勝てるウマ娘になりたい
そう思い、私はトレセン学園の門を叩いた
が
「これからどうすっかねぇ」
私、オジュウチョウサンは今、知らない天井を見上げながらこれからどうするか考えている
デビュー戦は11着、次の未勝利戦では8着
次の未勝利戦に向けてのトレーニング中に骨折し、1年間休養を強いられることになってしまい、今は病院のベットに寝っ転がっている
色々問題はあるが、一番の問題なのは、復帰する予定の時期には中央の平地未勝利戦が無くなるということだ
「いきなり突撃ドバババーン!やっほーオジュちん!!みんな大好きゴルシちゃんが遊びに来たぞー!!なんやかんや心配だったが元気そうだなオジュちん!!」
「これはこれはゴールドシップ先輩。こんな未勝利ウマ娘のオジュウの為にわざわざありがとうございます」
「そう言うなってオジュちん!!アタシは来たくて来てるんだから気にすんなって!!」
彼女はゴールドシップ先輩。皐月賞と菊花賞を制したクラシック二冠ウマ娘であり、私と同じくステイゴールド先輩を慕っている先輩だ。ちなみにステイゴールド先輩と同部屋だ
正直なぜ私のような未勝利ウマ娘の為に来てくださっているのかが分からない
「ところでさオジュちん、お前のこれからについてアドバイス出来そうなヤツを呼んだんだよ!!おーいネオスー!!」
「お邪魔するね。やぁ、オジュウチョウサンくん。私はトレセン学園大学部所属のマイネルネオスって言うんだ。よろしく」
「初めまして。私はトレセン学園中等部所属のオジュウチョウサンと申します。オジュウなど気軽にお呼びください」
目の前にはトレセン学園の制服を着て右耳に赤と緑の耳飾りを付けたウマ娘がいた
流石大学部というべきか、ゴルシ先輩よりも大人びて見える
「じゃあオジュウくん、単刀直入で言うね。君も障害レースを走らないか?」
「障害…ですか?」
障害レース、3000や4000m以上の距離を生垣障害や水濠障害、急なバンケットを超えながら走るレース。授業では聞いていたが怪我が多い、トレーナーが少ない、賞金が平地G1と比べて少ないなど問題も多く、同期はだれも行く気がなかった
無論、私もだ…ケガをするまでは…
現役を続けたいのなら障害を走るしかないと調べ始め、希望があるかと思った…障害のトレーナーの人数を見るまでは…
授業でトレーナーが少ないとは聞いてはいたが、平地が400人ほどなのに対して、障害は15人程度しかいなかった
今までと全く違う走り方をするためにトレーナーは必須
どの障害トレーナーとも伝手が無い私にとってみたら不可能に近かった
「そうだぞオジュちん!ネオスはな、実は障害G1を制覇している凄いやつなんだぞ!!」
「先に言われてしまったね。ゴルシの言う通り私は中山グランドジャンプというJG1を勝ったことがあるんだよ。まぁそれが現役生活最後の勝利になったけどね」
「そんな実績のあるお方が私を誘ってなんのメリットがあるんですか?こんな未勝利ウマ娘に。オジュウなんかよりもアネキの方がよっぽどいいですよ」
正直、意図が見えない
私の姉であるケイアイチョウサンはG3ラジオNIKKEI賞を制覇している重賞ウマ娘だ
それに対して私は未勝利。周りにはもっと優秀なウマ娘がゴロゴロといる。私を選んだ意味がわからない
「一言で言うと暇でね。現役を引退したはいいけど学校を卒業するまでの課程は全部終わっててやることが無いし、だnヴッヴン、私の担当トレーナーも他の子たちのトレーニングで忙しいんだ。そこで今までやってきたトレーニングなどを後輩に教えたいと思ってね。そんな時に丁度ゴルシがそんならちょうどいい子がいるって教えてくれたのさ」
「ゴールドシップ先輩…」
ゴルシ先輩は私の目線に気づくと、笑顔でピースしてきた
それより…噂には聞いていたがトレセン学園は婚活会場か?
それはさておき、話を聞く限りこちらにメリットしかない。ならば
「分かりました。走ってやります。障害を。そしてステイゴールド先輩のように長く輝き続けてやります」
私の決意は、固まった
体の中にある何かが、燃え始めた
競走馬を調べるのって楽しいですね